福岡県弁護士会コラム(会内広報誌「月報」より)

2015年1月号 月報

災害対策委員会報告(東北大震災関連) 福島現地視察のご報告(2)

月報記事

会 員 池 上  遊(63期)

―前号からの続き―

4 3日目(11月3日)

この日は祝日ということもあり、視察と言いつつ、二本松市内の酒造会社「奥の松」へ伺いました。当日は、たまたまイベントが開かれていて、無料でお酒が振る舞われていました。朝から飲み過ぎてしまいました。この後もジンギスカン(昼)や中華料理(夜)を堪能して視察らしい話がまったくないので省略します。

5 4日目(11月4日)

前日のうちに福島市内に移動し、4日目は福島県(避難者支援課)及びふくしま連携復興センターとの間で意見交換会を行いました。

福島県からは、主に県外避難者への支援(ふるさとふくしま帰還支援事業)を中心にご説明いただきました。現在でも12万4661人の避難者がいること(県内外合計、平成26年10月現在)、これら避難者に対し、地元紙、広報誌等の送付、避難者支援団体への補助事業、全国的な避難者支援中間組織への業務委託事業、県内の避難者支援中間組織(ふくしま連携復興センター)への業務委託、県外への復興支援員設置を実施していることなどをご説明いただきました。

ふくしま連携復興センターは、上記の業務委託を受け、現在は、主に避難者からの相談を受けているとのことでした。今後、避難者、避難者を支援する各種の団体、行政をつなぐ役割が期待されているようです。

以上で、今回の行程を終え、行きと逆のルートで帰福しました。

6 おわりに

私は、原発事故の年からすでに6、7回福島に行かせていただきました。

いつも気になるのは、煌々とともる東京の灯りに比較して福島の灯りの少なさです。極端な言い方かもしれませんが、福島は東京に食べられた、いつも行くたびにそんな印象を持ちます。福岡では報道されることが少ないですが、福島は復興の緒にもついていません。

現在は、政府が安全性ばかりを強調して滞在ではなく帰還を勧めること、避難者を区域によって線引きしたことによって被害が拡大再生産されています。

除染したのに線量が元に戻る、避難先で子どもたちがいじめを受ける、「避難者」と呼ばれるのが辛いと感じる、なぜ避難したのかと非難される。福島の避難者からはこのような話をよく聞きます。原発事故による被害は今も生まれ続けていますし、その意味でも原発事故は収束などしていません。

11月に新たに福島県知事となった方も原発事故の過酷さと今の厳しい現状を踏まえ、県内の全原発の廃炉を国や電力事業者に求めていくと発言されています。
私としては、今後も原発事故による被害をあるがままに見つめ、消されようとしている被害者の声を聞いて、弁護士としてどのような支援ができるのかを考えていこうと思っています。

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