福岡県弁護士会コラム(会内広報誌「月報」より)

2014年10月号 月報

偽装質屋被害者110番と消費者委員会の 取り組み

月報記事

消費者委員会 河 内 美 香(57期)

1 110番実施の状況~台風に負けました

平成26年8月10日(日)、「偽装質屋被害無料電話相談会」を実施しましたので、まず、その結果を、簡単にご報告します。

110番当日の電話の件数は「4件(うち、偽装質屋関係の電話は、2件)」でした。

今回の110番は本当に残念な結果でした。事前に(2日前の8月8日、なお、この日は業者及びその代表者に対する刑事判決言渡日でした。)、記者レクを行った際の記者の方々の関心は「高い」と感じていたので、正直、がっかりしました。おそらく、週末に迫っていた台風報道に110番報道が吹き飛ばされてしまったようです。

110番自体は極めて低調で、ご報告できることはこの程度です。

とはいえ、今後、本件に関し、被害者の方から、法律相談を求められる場合もあると思われます。そこで、「偽装質屋」問題と消費者委員会における取り組み及び破産手続の状況を説明いたします。

2 「偽装質屋」問題と消費者委員会における取り組み

平成24年10月、福岡県警が、福岡県内及び近隣の県で質屋営業を行っている業者(2社)に対し、貸金業法違反等の容疑で捜索・差押えを行いました。

当時の報道によれば、上記業者は、高齢者等に融資を実行する際、貸付金に対し担保価値のない安価な物品を預け入れさせつつ、一方で、年金等公的給付が振り込まれる口座から口座振替させるなどの方法で返済を受け、実質的には年金等公的給付を担保に貸付を行っていたとされています。この業者は質屋営業であることを理由に、金利は、月8%もの高金利(年利96%)を受け取っていました(質屋営業法上の上限金利は109.5%)。この事件は、新聞・テレビ等で大きく取り上げられ、このような形態をとる業者は、以後、「偽装質屋」という名称で報道されるようになりました。

この報道により、上記業者から貸付を受け高利の利息を支払っていた被害者の相談が顕在化するのではと予想されたことから、消費者委員会所属の弁護士が中心になり、同年11月、北九州・福岡・筑後の3カ所で、被害者説明会や無料電話相談会を実施しました。その後、黒木和彰消費者委員会委員長が団長となり、違法質屋被害者弁護団が立ち上がりました。

3 上記業者の破産事件の状況

福岡地方裁判所において、上記2社の破産手続きが進行しています。破産手続の進捗状況は、以下のとおりです。

  • 平成25年2月 債権者破産申立
    *この破産申立は、破産法23条(国庫仮支弁)の適用が初めて認められたケースでもあります。
  • 平成26年1月7日 破産手続開始決定(破産管財人 髙松康祐弁護士)
  • 平成26年7月31日 債権届出期間及び債権調査期間の決定
4 最後に

今回の110番の広報のため、対外広報の関係で、原田直子先生、塗木麻美先生に多大なるご助力をいただきました。この場をお借りして、お礼申し上げます。

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