福岡県弁護士会コラム(会内広報誌「月報」より)

2013年10月号 月報

中小企業法律支援センターだより 中小企業のための講演会「中小企業版M&Aのすすめ」及び全国一斉無料法律相談会開催報告

月報記事

中小企業法律支援センター委員
中 原 幸 治(64期)

平成25年9月12日、福岡市中央区天神の福岡国際ホールにおいて、福岡県事業引継ぎ支援センターとの共催で中小企業経営者を対象とした講演会を開催しました。また、同日、福岡、北九州、筑後、筑豊の各地区(部会)において、中小企業を対象とした無料法律相談会を実施しました。この中小企業経営者を対象とした全国一斉無料法律相談会及びシンポジウムの企画は、日弁連及び全国各弁護士会と連携し、平成19年から毎年行っているものです。

今回は、福岡県事業引継ぎ支援センターの統括責任者で中小企業診断士の河合慶司先生に、「いま考える事業承継−中小企業版M&Aのすすめ−」と題してご講演いただきました。河合先生には、5月24日の当会中小企業法律支援センターの研修合宿において、中小企業への支援実績を踏まえてご講演いただきましたが、参加した会員からは、中小企業からの相談に即時に対応できる大変参考になる内容であったと大好評でした。そこで、中小企業経営者及び中小企業支援に携わる士業に、事業引継ぎ支援センターの活動内容、事業承継対応の基本的情報の提供を行うことが中小企業支援の観点から有益であると判断し、今回、講演を依頼することになったものです。

講演会当日は、平日の午後という貴重な業務時間帯であるにもかかわらず、中小企業経営者を中心に合計67名もの参加者がありました。河合先生からは、統計データを基に、後継者不在を含む事業承継問題が決して個々の企業の問題ではなく、日本の中小企業の多くが抱える社会的な問題であることが示され、企業価値を将来に残すため、積極的な姿勢で事業承継に取り組むことが重要であるとのお話がありました。

講演後の質疑応答では、参加された企業経営者から自社の企業価値をどのように評価するのか、企業価値が買いたたかれることがないのか、などと個別的なご相談に近い具体的なやり取りがなされました。

参加者からのアンケート結果も上々で、「講演内容が役に立った」との評価ばかりでした。事業承継やM&Aは、詳しく説明しようとすればとっつきにくいものになり、逆に深く立ち入らないようにすると形式的な内容になる可能性がある、取扱いが難しいテーマといえますが、具体的な対応策を交えてテンポ良くお話しいただいた河合先生のわかりやすい講演内容が参加者に伝わったとの手応えを感じました。

河合先生には、本企画の意義をご理解いただき、お忙しい中ご講演いただきましたことを、本誌面を借りて御礼申し上げます。また、本企画準備中に、福岡県事業引継ぎ支援センターから、当会との連携をさらに進めていきたいとのご提案をいただきました。当会中小企業法律支援センターにおいて議論のうえ、当会執行部に上程し、検討をお願いしております。今回の講演会が、当会と福岡県事業引継ぎ支援センターとの今後のさらなる連携、福岡県内の中小企業の事業承継支援活動の端緒となることを祈念しております。

無料法律相談会については、例年どおり県内4箇所(福岡、北九州、筑後、筑豊)で開催しましたが、短期間の周知にもかかわらず、あわせて9件もの相談がありました。手弁当で相談をご担当いただいた12名の会員のご協力に御礼申し上げます。

以上が本企画についての報告となりますが、今回の企画に当たっては準備が若干遅れ、弁護士会事務局の皆様及び執行部にご負担をお掛けしたことをお詫び申し上げるとともに、きめ細やかなご配慮をいただきましたことに感謝いたします。

来年度以降も、実効的な中小企業支援に結びつく講演会、法律相談会を継続実施するとともに、今回の反省をふまえてより緻密かつ迅速に準備を行う所存です。

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