福岡県弁護士会コラム(会内広報誌「月報」より)

2005年6月号 月報

英国便りNo.1 苦労した学生ビザ取得(2003年8月16日記)

月報記事

松井仁

これから時々、近況やイギリスの法律事情など報告したいと思います。  ロンドンへ到着する飛行機を降りて、今までの海外旅行では経験したことのない緊張を覚えました。入国審査で学生ビザをもらえるかどうか不安だったからです。  学生ビザの取得のためには、

  1. 入学を許可されたことを示す大学からの手紙
  2. 銀行の残高証明書
  3. 帰りの航空券

が必要ですが、それがそろっていても認められない場合があると言われています。  同じ飛行機を降りた観光客が皆簡単に入国審査をすませているなか、私と妻は、案の定、入国審査官から専攻科目や滞在先などについていろいろ質問され、なかなかビザの判を押してくれません。  特に、妻のほうは、大学からの入学をオファーされた手紙は持っていたものの、返事を出す時間がないまま渡航しており、入学許可証明書が完全ではなかったため、「あなたはなぜまだ返事を出していないのか。」と、明らかに疑いの目で見られていました。私たちは必死で、「大学から手紙が来たのが直前で、自分たちの引越も重なって、時間がなかったんです。」、「行き違いになったら困るので直接大学に返事を出したほうがいいと思ったんです」などと説明したのですが、渋い顔は変わりません。 その間、私の頭の中には、(もし拒否されたら、異議申立をしようか、いや、観光ビザで入って大学の手紙を取り直して変更申\請か・・・)などと、英国の入管手続など知らないくせに考えがぐるぐる回っていたのですが、最後は、私たちの銀行残高証明書を見て、ようやくパスポートに1年間の学生ビザの判子を押してくれました。不法就労目的ではないと納得してくれたのかもしれません。  今まで、弁護士として何度か外国人依頼者のビザの変更や更新の手続を手伝ったことがありましたが、ビザをもらったときの嬉しい気持ちが、はじめて身に染みて分かりました。

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