福岡県弁護士会コラム(会内広報誌「月報」より)

2014年3月号 月報

給費制本部だより ~1.30院内集会のご報告~

月報記事

会 員 清 田 美 喜(66期)

1.はじめに

去る1月30日、衆議院第二議員会館において、日弁連とビギナーズネット等との共催により、司法修習生に対する給費の実現と司法修習の充実に関する院内集会が行われました。

今回、給費制本部本部長代行の市丸信敏先生、同本部委員の髙木士郎先生と共に、高平奇恵先生の代理として、院内集会、日弁連での会議に出席し、福岡選出の議員との面談にも同席させていただきました。

登録したての新人にこのような機会を与えていただいたことに感謝しつつ、会員の先生方にご報告を申し上げます。

2.院内集会

院内集会には、衆参両院から62名(本人出席22名、代理出席40名)の議員が参加され、うち福岡県選出の議員は8名(本人出席4名、代理出席4名)の方が駆けつけてくださいました。また来賓として、日本医師会、日本公認会計士協会、環境に関する活動をされている市民団体からのご出席をいただくことができました。

挨拶をされた15名の国会議員の方全員が、若手法曹がスタート時点で多額の借金を背負っていることを問題視され、修習生への給費の復活ないし経済的支援を検討すべきであると発言されました。また多くの方が、議員立法で進めるべきであるとか、超党派で取り組むべきであるといった点にまで言及されていました。

中でも注目を集めたのは、自民党の保岡興治衆議院議員のご発言です。法務大臣経験者であり、司法制度改革を主導して来られた保岡議員は、従来は給費制の復活に反対の立場でした。しかし今回、修習生の地位を明確化して経済的支援をする必要がある、旅費や移転費の支給、入寮者数の増加、兼業禁止の緩和といった現在の対策では足りないと明言され、今後の議論に大きく影響を与える可能性があると感じられました。

来賓の方々からは、若手法曹が貸与金の返済に追われる事態を一刻も早く解消し、給費制に戻すべきであるというお言葉をいただきました。

日本医師会の横倉会長の代理として出席して頂いた今村副会長からは、国民のための高度の専門職としてのプロフェッションにとっては誇りをもって仕事に打ち込める環境、とくに経済的な裏付けが必要であり、経済的理由で若い人が法曹への道を諦めてしまうことは国家的損失であるとして、給費制復活を支持する意見を表明して頂きました(本月報にメッセージの全文を掲載させていただいておりますので、どうぞご覧ください)。日本公認会計士協会の山田副会長からは、当初は構成員の中から、修習生だけが給付を受けられるのは不公平であるという反対の声が上がったものの、会計士も法曹も同じ社会のインフラであって、その養成制度は若い人が目指すに足るようなものでなければならないとの共通認識を形成するに至り、団体署名に賛同したという経緯のご紹介がありました。意見対立を越えて支援を表明してくださったことに、感動を覚えました。

当事者である新65期、第66期の弁護士も、貸与制が修習や弁護士活動に及ぼす影響について実感を語り、一時間の予定の集会が一時間半に及んだにもかかわらず、最後まで多くの方が熱心に耳を傾けてくださいました。

このように、立場も、またときには意見も異にする多くの方々が、若手法曹の現状を問題であると捉え、その解決に向けて支援してくださっていること、その輪が目に見えて広がっていることを実感することのできた院内集会であったと思います。

当会会員の先生方の温かなご協力により、福岡県内各地からも多数の団体のご賛同をいただいております。今後ともご協力のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

3.国会議員との面談

院内集会に先立ち、議員会館に国会議員を訪ね、面談をお願いしました。井上貴博衆議院議員(自民)はご本人とお話をすることができ、ご多忙中にもかかわらず30分ほど時間をとっていただきました。井上議員は、経済的に困窮した法曹が増加すると、反社会的勢力に取り込まれてしまうのではないかという危機感を持っておられ、私に貸与制下での修習について尋ねるなど、熱心に話を聞いてくださいました。

その他にも、麻生太郎衆議院議員を始めとする議員の方々を訪ね、政策秘書の方とお話をさせていただくことができました。

4.終わりに

これまで給費制存続のために尽力してこられた先輩方から、この問題は岩盤が固い、なかなか局面が変わらないという声を聞いてきました。しかし、今回初めて議員面談と院内集会に参加した私の目から見ても、議員の関心や、他の団体の賛同の声はこれまでになく高まっていることが感じられました。

これも、当会会員の先生方を始めとする先輩方が、我々若手法曹のおかれた窮状を理解し、法曹界の将来を憂いて、給費の実現のためにお力を貸してくださってきたおかげであると思います。
心より感謝を申し上げるとともに、引き続きのご支援をお願いして、私のご報告とさせていただきます。

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