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福岡法務局大牟田出張所の統廃合に反対する声明

カテゴリー:声明

2005(平成17)年12月13日
福岡法務局 御中
       福岡県弁護士会  
              会 長 川副正敏
       同筑後部会
              部会長 中野和信
1 声明の趣旨
 福岡県弁護士会は、福岡法務局大牟田出張所を廃止して柳川支局に統合する方針案に反対し、今後とも大牟田市に存続されるよう求める。
2 声明の理由
  平成17年10月17日、福岡法務局から突如として平成18年10月を目処に大牟田出張所を廃止し柳川支局へ統合する方針案が表明された。
 その理由として、大牟田出張所の登記件数が法務局統廃合基準(1万5000件未満)を下回る1万3000件であること、近くに約30分程度で行くことができる法務局があること等が挙げられている。
 しかし、我々弁護士会は、このような安易な理由で法務局の統廃合を議論するのは、地域社会における各種権利義務関係を明確にしてその社会経済的活動を支えている登記手続への支障をもたらすだけではなく、以下に述べるとおり、法務局が担う人権擁護機能や住民への司法サービスの観点を没却したものとして到底許されないと考える。
第1に、法務局は法務省管轄下において登記制度を担うほか、戸籍の整備や地域における国の人権擁護機関としての役割を持っている。
大牟田出張所の管轄人口は大牟田市、高田町を合わせると15,6万人を擁し、その管轄人口のきめ細かな人権擁護活動が今こそ求められている。
 男女差別等各種の人権問題が未だ根強く残っているところ、かかる人権問題を行政として受け付ける国家機関は法務局しかない。そのような重要な 国家機関が地域から撤退することは地域での人権問題が放置されてしまうことになりかねず、到底容認できるものではない。
 第2に、法務局は裁判所と連携した有機的一体として司法機能を果たしている。その一翼を担う法務局が欠けることは、他の機関の機能低下を招き、ひいては住民への司法サービスが低下することに繋がる。
 例えば、保全処分は一刻を争うことが少なくないところ、供託を行う法務局が近くにあるからこそ迅速な保全手続が出来るのであり、大牟田のように裁判所支部の至近に法務局が無くなれば管轄区域内の保全手続に支障をきたすおそれがある。
 また、後見登記制度でも登記アクセスが重要になっており、従来東京法務局に一元化されていた登記サービスのうち、後見登記証明書の取得については、平成17年1月から地方法務局でも行えるようになった。日弁連ではこれをさらに全国の支局・出張所にも広めるべく運動をしているところであるが、大牟田出張所の廃止はその途を塞ぐものである。これは、ひいては大牟田地域における後見制度の運用を担う家庭裁判所支部の機能低下を招くことにもなりかねない。
 今回の法務局統廃合は政府が進める国家公務員削減計画に基づくものと思われるが、地方の住民サービス・住民の権利擁護に重大に関係する機関を削減することは、地方の切り捨てに繋がるものとして到底容認できない。
  よって、社会正義の実現と人権擁護を担う弁護士会としては、今回の法務局統廃合案に対し、住民の司法アクセスの低下・権利擁護機能の低下を招くものとして強く反対し、その撤回を要求するものである。

イラクへの自衛隊の派遣継続に反対する会長声明

カテゴリー:声明

2005(平成17)年12月6日
福岡県弁護士会 会長 川副正敏
1 当会は、2003年12月2日、常議員会決議に基づき、会長声明で自衛隊のイラク派遣に強く反対する意見を表明し、その後、2004年4月20日に「イラクからの即時撤退を求める会長声明」、同年12月8日に「イラクへの自衛隊派遣継続に反対する会長声明」をそれぞれ発表した。
  当会がかかる会長声明を発表した理由は、?イラク特措法は憲法に違反するおそれが極めて大きいものであること、?自衛隊のイラク派遣は、戦争を違法とし、国連憲章が容認しない武力行使は承認しないという国際社会の原則に違反する疑いが極めて大きいこと、?イラクはまだ戦争状態にあり、かつその全土が戦闘地域であることから、人道復興支援活動又は安全確保支援活動については、我が国領域及び現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行なわれることがないと認められる地域において実施するものとすると定めたイラク特措法第2条3項の要件を満たしてないこと、?これまで、米軍に限らず、市民や子どもを含むイラク国民の死傷者が多数生じたことのほか、サマワの自衛隊駐屯地近くに迫撃砲が着弾したり、邦人をはじめとする各国の民間人等が拘束される事件が続くなど、イラク全土が戦闘地域であって、イラクに安全な非戦闘地域が存在しないことが明らかになったことなど、憲法が掲げる平和主義および基本的人権の尊重という観点から、看過しがたい問題があるとの判断によるものであった。
2 しかるに、現在に至るまでイラク特措法の問題は何ら払拭されていないばかりか、イラク国内は不安定な情勢が今なお続いている。すなわち、米英軍による攻撃はいまだ継続し、爆弾テロにより多くの市民の犠牲者を出す事件や、要人等をねらった襲撃事件が後を絶たないという状況にある。また陸上自衛隊が駐屯するサマワにおいてもロケット弾や迫撃砲による攻撃があるなど、イラクはまだその全土が戦闘地域であると言わざるをえない。
他方、イラクに駐屯していた外国の軍隊は次第に撤退しつつあり、すでにオランダが4月に撤退した。また、ポーランド、ウクライナ、ブルガリアおよびイタリア等が撤退を表明したほか、陸上自衛隊が駐留する南部サモワ周辺の治安維持を担っていた英国軍とオーストラリア軍は来年撤収する方向で検討を行っている。さらに、イラク駐留軍隊を撤退すべきであるとの世論は、日本国内はもとより、アメリカ、イギリスを含めた世界各国で高まりつつある。
こうした状況において、自衛隊がイラクへの駐屯を続けた場合、自衛隊を敵視する勢力からの攻撃が強まる可能性があり、派遣された自衛隊員の生命・身体の安全はいっそう危険にさらされることになりかねない。
3 ところが、政府は、イラク南部のサマワで活動している陸上自衛隊については来年前半に撤収する方向で検討しつつも、本年12月14日の延長期間満了を前にして、国会で十分な議論も行わないまま、再度の自衛隊派遣延長を行おうとしている。また、政府は、仮に陸上自衛隊が撤退しても、クウェートからイラクへ米軍の物資を輸送する航空自衛隊の支援活動は続ける方針をとっている。
  しかし、かかる方針は憲法の平和原則及び国連憲章の原則に違反し、かつイラク特措法第2条3項にも違反するなど、とうてい容認できるものではない。
  そこで、当会は、自衛隊のイラク派遣継続に強く反対し、自衛隊がイラクから速やかに撤退することを強く求める。

要望書(労働審判制度の運用に関して)

カテゴリー:意見

最高裁判 所 長官 殿

福岡地方裁判所 所長 殿

福岡地方裁判所小倉支部 支部長 殿

福岡県弁護士会 会 長 川副 正敏

同・個別労働紛争問題プロジェクトチーム

座長 市川 俊司

要望の趣旨

労働審判制度の運用に関して、地方裁判所の主要な支部、ことに福岡地方裁判所小倉支部における施行当初からの実施を要望いたします。

要望の理由

1 労働審判制度は、2006(平成18)年4月から全国の地方裁判所で実施が予定されています。申すまでもなく、この制度は、労使各1名の労働審判員2名と労働審判官(裁判官)1名の3人合議制により、個別労働紛争を3回期日で調停又は審判で解決しようとするものです。

これは、近時個別労働紛争が多発しているにもかかわらず、多くの労働者が必ずしも迅速で適切な司法的救済を得られずにいるという現状を改善し、個別労働紛争を簡易迅速かつ適確に処理するために設けられたものであり、司法制度改革の一環として、国民に身近で開かれた裁判所を実現し、もってわが国における法の支配を徹底せんとする画期的な制度です。

2 ところが、その実施を間近にして、聞くところによりますと、法令上、労働審判の実施は地方裁判所の本庁に限定する定めはないにもかかわらず、運用として、施行当初は本庁だけでの実施を予定しているとのことです。そうすると、地方裁判所の支部では当面労働審判制度が行われないことになります。

3 しかしながら、労働審判制度の上記趣旨に照らすと、全国各地の労働者があまねくこの制度を利用できるようにするため、地方裁判所の本庁に限定することなく、合議体のあるすべての支部において広く実施されるべきであると考えます。

仮に当面はこれらの支部全部で実施することが事実上困難であるとしても、地域によっては本庁に匹敵ないし準ずるような大規模な支部が存在しており、少なくともこれらの支部では行われるべきであると思料いたします。

とりわけ、当地に所在する福岡地方裁判所小倉支部は、全国の各地方裁判所本庁と比較しても、配置されている裁判官・書記官等の職員数や処理事件数等の点において、上位10位に入るほどの大規模な裁判所であり、同支部を労働審判制実施庁から除外する理由は全くないと思われます。しかも、福岡地方裁判所における労働側の労働審判員予定者15名のうちの6名は北九州・京築地域の居住者であり、使用者側の労働審判員予定者も15名中4名が同地域の居住者で占められていると聞いております。

このように、福岡地方裁判所小倉支部は労働審判制度を当初から実施する人的物的資源が十分に整っていると考えられます。

他方、同支部で当初から労働審判制度を実施しないということになると、当分の間(その期間は不明です)、北九州・京築地域の多くの労働者が簡易迅速な労働審判制度を事実上利用できないということになります。これは労働審判制度の趣旨を著しく減殺するものと言わざるを得ません。

4 よって、労働審判制度について、2006(平成18)年4月の施行当初から、地方裁判所の本庁だけではなく、少なくとも主要な支部、ことに福岡地方裁判所小倉支部においても実施されるよう強く要望いたします。

以 上

ハンセン病の患者であった人々の人権を回復するために(要望)

カテゴリー:意見

福岡県知事 麻生 渡 殿

福岡市長 山崎 広太郎 殿

北九州市長 末吉 興一 殿

福岡県弁護士会 会長 川副 正敏

貴職におかれましては、日ごろ住民の福祉向上のために多大の尽力をしておられることに敬意を表します。

さて、当会は常議員会の議に基づき、貴職に対して以下のとおり要望いたします。

要望の趣旨

ハンセン病の患者であった人々の人権を回復するために、下記のとおり、生活支援相談窓口の設置とハンセン病に対する偏見・差別解消策の一層の充実を図るよう要望いたします。

  1. ハンセン病療養所退所者の生活全般を支援する相談窓口を設置すること。
  2. ハンセン病政策によって形成された偏見・差別を除去するために、特に以下の視点からその解消策を一層推進すること。
    1. 偏見・差別解消策の実施においては、強制隔離などの過去の誤ったハンセン病政策が未曾有の人権侵害を引き起こし、継続させたことにも言及すること。
    2. ハンセン病問題の歴史や国・社会の責任などについて市民に周知させること。
    3. 市民が簡単に入手できるパンフレット、視野に入りやすく分かりやすいポスターを作成するなどして広報活動を拡充するとともに、理解しやすく感銘力の強いドラマやドキュメンタリーなどの番組制作を具体化すること。
    4. ハンセン病問題に関する人権教育の取り組みを積極的に支援し、教材作成、教育実践例の紹介など様々な教育情報を提供すること。
    5. ハンセン病の患者であった人々と市民、とりわけ生徒、学生らが交流する場を積極的に設けること。
要望の理由

らい予防法違憲国家賠償請求訴訟に関する2001(平成13)年5月11日の熊本地方裁判所判決から4年余りが経過しました。

ところが、医療体制・生活支援体制の不備、根深い差別偏見の継続など、ハンセン病の患者であった人々の人権はなお十分に回復されていない現状にあります。

この点は、本年3月1日に公表されましたハンセン病問題に関する検証会議の最終報告書(以下「検証会議最終報告書」という)でも明らかにされています。これらを受けて、日本弁護士連合会は、本年9月28日付で、別添のとおり、国に対し、2001(平成13)年6月21日に続いて、再び「ハンセン病の患者であった人々の人権を回復するために」と題する勧告をしたところです(以下「日弁連勧告」という)。

日本弁護士連合会並びに当会としては、ハンセン病患者の強制隔離政策とこれによる深刻な偏見・差別の作出・助長を看過してきた法曹の責任を自覚しつつ、今後とも、関係諸官庁その他の機関・団体とも連携しながら、ハンセン病問題の早期かつ全面的解決に向けて真摯な努力を続けていく所存です。

とりわけ、ハンセン病の患者であった人々の高年齢化が進む中で、福岡県にお住まいであったり、あるいは福岡県出身で帰郷を希望されている方々が当地で安心して生活していけるようにするための諸施策を講ずることは喫緊の課題です。

御庁におかれましても、これまで啓発ポスターの配布、里帰り事業の実施、リーフレットの作成・配布、講演会やシンポジウムの開催、人権・同和教育ビデオの配備、人権教育研修会の実施等をしておられると承知しております。

しかしながら、日本におけるハンセン病強制隔離政策は極めて長期かつ過酷なものであり、ことに、1931(昭和6)年の癩予防法制定を経て1930年代から戦後の1950年代までの長期間にわたって全国で展開されたいわゆる「無癩県運動」では、各県からハンセン病患者を徹底的に排除するために、強制的に不必要な消毒をしたり、列車に「ライ患者用」と赤書するなど、地域住民に科学的根拠のない恐怖心と偏見を植え付ける様々の方法がとられてきたところです(検証会議最終報告書171〜187ページ、大谷藤郎『らい予防法廃止の歴史』121〜135ページ)。しかるに、今日に至るまでこの政策全体が根本的に誤りであったことの周知徹底がなされていないこともあって、偏見・差別の除去が未だ十分とは言い難い状況にあるのは否めません。

そこで、当会は御庁に対し、かつて地方行政機関として上記のような「無癩県運動」の推進に関わるなどして自らも国の政策を実行し、偏見・差別の作出・助長を担ったという責任を十分に踏まえられたうえで、別添・日弁連勧告の2項、3項にもありますように、頭書のとおり、生活支援相談窓口の設置とハンセン病に対する偏見・差別解消策の一層の充実を要望いたします。

以 上

別添・日弁連報告書(略) (日本弁護士連合会ホームページ「主張・提言」に掲載)

会 務 報 告

カテゴリー:副会長日記

副会長  樋口 明男
一 執行部に入り早や四ヶ月が過ぎました。
  執行部会議で会務全般の情報に触れているとはいえ、自分の担当以外は手薄なので、私が直接に担当又は経験したことに限定して報告したいと思います。
二 心神喪失者医療観察法について
  全国的に入院施設の整備が進んでいないため日弁連は施行の延期を主張しましたが、政府は七月一五日施行を強行しました。
  執行部と付添人PTは六月一七日から七月二六日まで裁判所との協議会を四回開きました。その中で弁護士会としての意見を相当強く主張したつもりです。具体的な実務運用は今後の事件処理の中で固まっていきますが、常議員会や総会において議論を尽くして定めた当会の規程や規則の理念が実現されるよう監視していきたいと思っています。なお、国選付添人名簿への登載承諾者の数が少ないので、このままでは承諾者の先生に加重な負担がかかることが危惧されます。期限は設けておりませんので、名簿登載へのご理解とご協力をお願いいたします。
三 月報と会報について
  月報は広報委員会の先生方のご努力により発刊されています。担当副会長として編集会議に参加させて頂き、大変さが良く判りました。会員諸氏におかれては、編集担当者の先生から執筆を依頼された場合はご快諾いただきますようお願いします。
  並行的に、執行部は(月報とは別に)長年休刊状態にあった「会報」(最終刊行平成八年)を復活させたいと考えており、具体的な準備作業に入っています。本年度中に編集作業を終えて来年度執行部に引き継ぎたいと思っています。
四 メーリングリストについて
  執行部における情報伝達は概ねメーリングリストで行われています。これは九弁連や各委員会も同様です。現在のところ私は倒産・消費者・高齢者障害者等のメーリングリストに加わっていますが、会員間の情報交換や交流促進に極めて良い効果を発揮しているように思われます。
  交通事故被害救済委員会では従来メーリングリストがありませんでした。しかし、不法行為法以外に医療・福祉・工学等の専門知識が必要とされるこの分野こそメーリングリストが不可欠ではないかと考え、八月からの立ち上げを実現しました。委員に大いに活用され、被害救済の活動が更に活発化することを願っています。
五 釜山弁護士会との交流について
  七月一七日から一九日まで韓国の釜山弁護士会を訪問しました。釜山弁護士会の先生方の周到な準備により、警察署の取調室の見学・検察庁の訪問・裁判所の拘束適否審(勾留理由開示・勾留取消・保釈などが一体となった公開手続)の見学等を行い大変参考になりました。交流会においても心を尽くした歓迎を受け「国家間の関係は個人間の関係の積み重ねである」という単純な道理を再度確認しました。安武先生や大塚先生をはじめ、ご尽力いただいた全ての先生方に深遠なる感謝を表明させて頂きます。\n六 市民窓口と紛議調停について
  人体の臓器を「動脈系」と「静脈系」に分類するならば、後者にはガス交換を行う肺や尿を生成する腎臓などが含まれます。いずれも人体にとって有害なものを体外に排出する重要な臓器です。昔、腎臓が浸透圧(濃度の異なる二種類の溶液を半透膜で遮る時に生じる圧力)という単純な原理に基づいていることを学んで深い感銘を受けた記憶があります。
  会務にも「動脈系」と「静脈系」があるように思われます。市民や公共機関に対し積極的に働きかけを行うとともに会員に新鮮な情報を提供して弁護士会の活動を活発化させるのが前者です。会員に関する苦情や不祥事を処理し、場合によっては自治的な懲戒権を行使して弁護士の活動に対する社会の信頼を保持する働きが後者です。後者は前者に比べその存在が見えにくく、若手の先生方にとっては馴染みがない分野と思われますが、弁護士会の極めて重要な機能を担っています。生体において代謝機能\が損なわれれば生命を危うくするのと同様です。
  弁護士会の「静脈系」の制度は大ベテランの先生方の献身的なご努力により維持されていますが、私にはこれも浸透圧(弁護士会という半透膜において倫理性の異なる二主体間に生じる圧力)により営まれている制度であると感じられます。弁護士に非があれば内側に向かう力が生じますが、そうでない場合には外側への力が必要です。弁護士としての見識が問われる両者の見極めは本当に難しいものです。やはり年季が必要なのでしょう。

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