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2026年5月 の投稿

消費者庁が設置した「多数の消費者に深刻な財産被害を及ぼす詐欺的な悪質商法対策プロジェクトチーム」を早期に開催し、行政による被害回復制度の導入を求める会長声明

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消費者庁は、詐欺的な悪質商法への対応に関する検証等を進めていくことを目的として、2025年11月19日付で「多数の消費者に深刻な財産被害を及ぼす詐欺的な悪質商法対策プロジェクトチーム」(以下「PT」という。)を設置した。ところが、その後、PTは開催されず、何も具体的に進められていない。

投資の裏付けに乏しく、出資金をそのまま出資者への配当に回すような破綻必至の詐欺的商法により消費者に巨額の被害を生じさせる事案が後を絶たない。このような事案の問題点は、表面上の配当で被害が顕在化しないまま急速に拡大し、かつ、被害が顕在化した時には個々の被害額も多額で総額としても巨額になることが多いことである。被害者には深刻な被害を生じさせながら、被害が顕在化したときには集められた資産が散逸してしまっていることが多いため、被害回復のためには早期に業務を停止させ、資産を確保する必要がある。

2009年に制定された消費者庁及び消費者委員会設置法(附則第6項)では、政府に対し、加害者の財産の隠匿又は散逸の防止に関する制度を含め多数の消費者に被害を生じさせた者の不当な収益をはく奪し、被害者を救済するための制度について検討し、必要な措置を講じることが求められていた。これを受け、消費者庁は、消費者の財産被害に係る行政手法研究会を設置し、2013年6月に報告書「行政による経済的不利益賦課制度及び財産の隠匿・散逸防止策について」を取りまとめるなどしたが、その後、消費者庁において、具体的な方策の検討が十分行われてきたとは言えない。

2013年の報告書以降、2018年には磁気ネックレスなどを購入させ、これを預かってレンタル料を支払うと称していたジャパンライフ事件や干し柿などのオーナーになることで高配当をうたったケフィア事業振興会事件が相次いで発覚し、巨額の消費者被害が生じているが、その責任の一端は、具体的な方策の検討を怠ってきた消費者庁にもあるものといわざるをえない。

このような事態を受けて、内閣府消費者委員会では、2023年8月、消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループにおいて、いわゆる破綻必至商法に関する報告書を取りまとめ、行政庁による破産申立権限を検討すべきとの意見をのべた。2025年7月に出された内閣府消費者委員会の消費者法制度のパラダイムシフトに関する専門調査会報告書でも、消費者法制度を抜本的に再編・拡充すべきとした上で、深刻な被害を発生させる悪質事業者・悪質商法について、既存の枠組みに捉われることなく、官民総力を挙げて消費者取引の市場から排除することが求められた。

その後、今年に入っても、福岡県内で、野菜の販売に仮託して出資を募った事案での代表者らが逮捕されるなど、破綻必至商法による被害が継続して発生している。

そこで、当会は、詐欺的な悪質商法による消費者被害の発生を防止し、その被害を一刻も早く救済できるようにするために、消費者庁に対し、今回設置されたPTを早期に開催し、具体的制度の検討を進め、行政庁による破産申立制度等、悪質商法に対する行政による被害回復制度の導入を進めていくよう、求めるものである。

2026(令和8)年5月7日

福岡県弁護士会

会長 池田耕一郎

憲法記念日にあたっての会長談話

カテゴリー:会長談話

本日、日本国憲法は、施行から79年を迎えました。

日本国憲法は、前文で「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有する」ことを確認し、人権侵害の最たる戦争による悲惨な歴史を二度と繰り返してはならないという誓いのもとに生まれました。

しかしながら、現在の世界情勢は、国際法違反とも指摘されるアメリカ合衆国によるベネズエラへの軍事介入やイスラエルとアメリカ合衆国によるイランへの攻撃等、日本国憲法が理想とする平和の実現には程遠い状況といわざるを得ません。

これに対し、政府は否定的な見解を強くは述べておらず、恒久平和主義を掲げる日本として現状を変えるための役割を果たすことができないか、さらなる議論が必要と思われます。

また、1976年(昭和51年)に三木武夫内閣による統一見解として示された武器輸出三原則及びその運用指針は、日本が武力紛争への関与を回避するため一定の歯止めとして機能してきましたが、本年4月21日、政府は、防衛装備移転三原則及びその運用指針を改訂し、これまで救難、輸送、警戒、監視及び掃海のいわゆる「5類型」に限って輸出を認めてきた制限を撤廃し、殺傷能力のある武器の輸出を原則可能としました。政府は、政策転換の根拠として、日本を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増していることなどを挙げています。

しかし、殺傷能力のある武器の輸出解禁という日本の安全保障政策の大きな転換点となるものであり、国会における十分な議論や市民的議論を経ることなく、恒久平和主義を掲げた憲法の理念に反する政策が実施されていくことは、立憲主義の観点からも看過できません。

当会は、基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命とする法律家団体として、恒久平和主義を掲げる日本国憲法の理念が見失われないよう注視し、「市民とともに考える憲法講座」をはじめ時宜に応じて市民の皆様と情報共有しつつ、全力をあげて活動してまいります。

2026年(令和8年)5月3日
福岡県弁護士会
会 長 池田 耕一郎

福岡県弁護士会 〒810-0044 福岡市中央区六本松4丁目2番5号 TEL:092-741-6416

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