本日、日本国憲法は、施行から79年を迎えました。
日本国憲法は、前文で「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有する」ことを確認し、人権侵害の最たる戦争による悲惨な歴史を二度と繰り返してはならないという誓いのもとに生まれました。
しかしながら、現在の世界情勢は、国際法違反とも指摘されるアメリカ合衆国によるベネズエラへの軍事介入やイスラエルとアメリカ合衆国によるイランへの攻撃等、日本国憲法が理想とする平和の実現には程遠い状況といわざるを得ません。
これに対し、政府は否定的な見解を強くは述べておらず、恒久平和主義を掲げる日本として現状を変えるための役割を果たすことができないか、さらなる議論が必要と思われます。
また、1976年(昭和51年)に三木武夫内閣による統一見解として示された武器輸出三原則及びその運用指針は、日本が武力紛争への関与を回避するため一定の歯止めとして機能してきましたが、本年4月21日、政府は、防衛装備移転三原則及びその運用指針を改訂し、これまで救難、輸送、警戒、監視及び掃海のいわゆる「5類型」に限って輸出を認めてきた制限を撤廃し、殺傷能力のある武器の輸出を原則可能としました。政府は、政策転換の根拠として、日本を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増していることなどを挙げています。
しかし、殺傷能力のある武器の輸出解禁という日本の安全保障政策の大きな転換点となるものであり、国会における十分な議論や市民的議論を経ることなく、恒久平和主義を掲げた憲法の理念に反する政策が実施されていくことは、立憲主義の観点からも看過できません。
当会は、基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命とする法律家団体として、恒久平和主義を掲げる日本国憲法の理念が見失われないよう注視し、「市民とともに考える憲法講座」をはじめ時宜に応じて市民の皆様と情報共有しつつ、全力をあげて活動してまいります。
2026年(令和8年)5月3日
福岡県弁護士会
会 長 池田 耕一郎


