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福岡県弁会長日記

カテゴリー:会長日記

会長 羽 田 野 節 夫
県内各地の相談センターの巡回と同センターの活性化策!
 2月10日17:00県弁会長選挙当選証書を受領すると同時に肩の荷がずしりと重くなった感じがする。
 緊張と重責感の連続に耐えながら健康に留意しつつ、この1年間を乗り切っていこうと心に誓う。
 会長の任期は、4月1日から始まるが、事務引継ぎ等による準備期間からその仕事は始まる。2月中旬頃、ゴールが見えた前年度執行部各位は、すれ違い様の声かけに際し、心、晴れ晴れ、気持すっきり感が漂う。
 当選証書を受け取るや、手始めに県内の主要な法律相談センターの実状調査を始めた。手始めに、宗像センター、博多駅前センター、いとしまセンターを訪問し、その後、飯塚部会管内の3地区(田川、直方、飯塚)の法律相談センターを巡り、北九州部会、筑後部会の順序で廻った。北九州と筑後各部会へは、作間功福岡部会長兼副会長予定者(当時)と共に巡った。
 各地の法律相談センターを巡って判ったことは地方の施設の大半が稼働率が悪く、且つ、相談件数が軒なみ下がっていることである。この要因は、何か真剣に考える必要がある。私は、法律相談センターの拡充こそが来たる2007年問題(法曹大増員)の対策の解決の鍵だと認識しているからである。相談件数の落ち込み乃至は伸び悩みの原因は、他士業、 例えば司法書士会や行政書士による無料法律相談の実施(行政書士は非弁活動の疑いあり)等により有料相談を原則とする当会の法律相談センターが影響を受けていると思われる。
 又、各センターの実施日を調査すると週に3〜4日とあって、施設を利用していない所謂遊休施設も見られる。今後、これらの法律相談センターの有効利用を考え、併せて、広報宣伝をしていく必要がある。特に、遊休時のセンター施設の有効利用促進策を会員の皆様で考えて欲しい。私は、この施設で毎週1回、消費者問題、高齢者・障害者問題、住宅紛争問題等につきミニコンサート風に有料(低額)のミニ法律セミナーを実施し、その後に無料相談会を実施しては如何かと考え、各委員会に検討をお願いしている。
事務引継ぎ会議
 2月25日(土)新旧執行部の事務引継会議を実施。
 分厚い会務引継書を新執行部は重い気持ちで受け取り、旧執行部は、重責感から解放される思いが心を晴ればれとさせるのであろう。心うきうきである。それにしても、多岐に渡る会務活動をよくもまあ系統立てて整理しているものよと感嘆しきりである。
 近年の会務活動の広がりと中身の濃さはすさまじく、平成10年に福岡部会長兼副会長を勤めた経験がある私も戸惑うばかりである。とりわけ、平成10年当時は、部会長及び担当副会長としての仕事をこなしておけばよかったが、会長ともなると県弁全体と会務全般に気を配らねばならず、昨今の日弁連の活動の充実振りと併せ考えるとため息の連続である。引継ぎ会議の後、旧執行部の手厚いもてなしの懇親会の御接待を受け、良き伝統を有難く感じた。
大連律師協会訪問
 2月26日〜2月28日、久し振りに厳冬(夜間温度−15℃、昼間−1〜2℃)の中国の大連市律師協会を訪問した。平成12年10月頃に当会を訪問し柳川の川下りを当会の吉村安先生と共に御案内した当時の律師協会の副会長であった王法瑞氏が、大連律師協会の会長となられていて、お会いして一目で判り、懐かしい思いがした。会長王氏の御挨拶の端々に、当時の訪問の様子が語られ国際交流の小さな成果がみられた。今後は、大連律師協会との交流をどのように充実させていくか、さらには、台湾の高尾市も当会との交流を希望しているようであり、如何に両立させるかが課題である。
愛知、横浜、当会との三会交流会
 3月11日(土)〜3月12日(日)にかけて、名古屋市において、愛知県弁護士会主管の下で、三会交流会が開催された。この会には、新旧執行部が揃って参加し、旧執行部にとっては反省会となり、新執行部としては今後の課題と展望が見聞された。
 特に印象に残ったのは、?会務活動の義務化?問題である。今後、大量に増員される見込みの会員の会務離れを如何に食い止めるか、その方策を両会共に検討中とのことである。会員が大量に増えると会員の顔も判別しがたくなり、会への帰属意識も低下し、会務離れも激しくなることが予想される。東京三会は、既に重要な会務について義務化をはかっているそうである。当会も、今後、いずれは考えなければならないであろう。
あいさつ廻り
 3月27日〜4月4日まで実質10日間、福岡県や福岡市、北九州市、久留米市、大牟田市、その他の重要市町村、約160ヶ所にあいさつ廻りを実施した。
 又、マスコミ各社も訪問した。当会の種々の活動に対して、深く理解されていること、又種々感謝されていることが体感できた。話題の中心は3年後に実施される裁判員制度である。
 しかし、その中味は余り理解されていないので、広報宣伝の必要性とこの制度が有する問題点を市民に理解してもらう必要性を感じた。
第1回常議員会と福岡県弁の花見の宴
 4月8日(土)午前10時より、羽田野執行部の第1回目の試練である第1回常議員会が開始。午後に予定される福岡県弁の花見の宴のために会議を早々に切り上げたがっていた執行部ではあったが、歴戦の兵ばかりの常議員も、そうはさせじと質問と意見が多発し、とりわけ、代用監獄法案に反対する会長声明については、文章の一部を撤回修正を余儀なくさせられるなど、前途多難なうちにも、好調なすべり出しである。
 午後1時からの花見の宴は、桜は満開、天気は良し、弁当はうまい。総勢80人を超える会員に集まって戴き、平成18年度執行部としては幸運に恵まれ、上々の滑り出しである。
日弁連第1回理事会
 4月14日(金)、同15日(土)の二日間、本田副会長と私の2人が上京し、日弁連会館にて、日弁連理事会が開催された。朝10時から夕方5時まで11時間、身柄を拘束された思いで大量に排出される莫大な資料を読まされ、質疑応答と意見を求められる。    私は、専ら
(1) 日本司法支援センターの取り扱う民事扶助事件について、司法書士会とどのように住み分けするのかを問うた。
  そもそも、司法書士が有する訴訟代理権は、訴訟物140万円以下の簡易裁判所の代理権という限定的資格しかない。ましてや、家庭裁判所の代理権限がないにもかかわらず、司法書士が離婚、相続等の家事事件はもとより、高額の事件についても相談に乗っている。そして、無料相談と称して何でも相談をしている実態があり、果たしてこれでよいのか。事件を配転するについてその基準を早期に明確にすべきであると注文をつけた。
(2)スタッフ弁護士の地位と弁護士増員(2007年)問題
  司法支援センターは、全国に弁護士を派遣できるようにスタッフ弁護士を雇用しようと考えている。そのスタッフ弁護士に対しては、所属会への入会金及び会費すら免除させようと考えている。又、スタッフ弁護士に対し所属会の会務活動をさせるのかさせないのかあいまいである。これでは、所属部会に帰属意識がなく、3年毎に転勤していくジプシー弁護士を養成することとなり、異質な弁護士集団を作りかねないとの懸念があると意見を述べた。私は、スタッフ弁護士は、弁護士が大量に増員されるまでのつなぎ役でしかありえないと考える。そうでないと、会員少数の地方単位会では、スタッフ弁護士が存在するから、国選も、民事扶助事件もスタッフ弁護士に委ねてしまい、一般会員は、国選事件離れが進みかねないし、スタッフ弁護士がいるばかりに、地方単位会が大量増員される新人の受け皿となりえない結果となりかねない。
  今後は、スタッフ弁護士が地方に根付くように、地方単位会の会務活動を担わせるような配慮をすべきである。
おわりに。
 理事会終了後、最高裁長官町田顕氏を迎えて日弁連会長副会長等役員就任披露パーティーがユーモアあふれる平山正剛会長のあいさつではじまり、なごやかに催された。
 執行部を預かり2週間たらずで随分と鍛えられている。思わず出すため息を会員にさとられず、平然たる思いで会務に勤しみたい。会員の皆様が会務の一つでもよいから担当して御協力くださることを切望します。

北九州矯正センター構想に反対する声明

カテゴリー:声明

2006(平成18)年7月12日
福岡県弁護士会 会長 羽田野節夫
同北九州部会 部会長  横光幸雄
1,当会は、平成7年2月に小倉刑務所敷地に医療刑務所・小倉少年鑑別所(現福岡少年鑑別所小倉支所)・福岡拘置所小倉支所の3施設を移転させるという「北九州矯正センター構想」(以下、「本構想」という)が発表されて以来、一貫して本構想に反対し、対策本部を設置して、様々な活動を展開してきた。その結果、本構想は長期にわたり凍結されたままの状態となっていたところである。
2,ところが、平成16年度に小倉少年鑑別所を小倉刑務所跡地に移転する計画が突然予算化された。そこで、当会は、本構想に反対することとあわせ、当面の問題として少年鑑別所を刑務所と隣接敷地に設置することにより、少年鑑別所に収容される少年に多大な悪影響を及ぼし、少年の健全な育成が阻害されること、少年鑑別所が刑務所と類似した矯正施設であるかのような誤解や偏見を世間に与える事態が生じることなどを理由に、小倉少年鑑別所を小倉刑務所跡地に移転させる構想に断固として反対してきたところである。
3,その後、法務省は、地域住民の反対もあって、一旦着工を延期したものの、地域住民から提出された道路整備等を内容とする要望書の一部を受け入れる形で地域住民の自治会組織である小倉南区自治総連合会の同意を取り付け、平成18年6月7日に小倉少年鑑別所新築工事の入札を実施し、平成19年3月までに完成させる予定で工事を着工しようとしている。
4,しかしながら、法務省は矯正施設である刑務所、鑑別施設である少年鑑別所、無罪の推定の働く未決者の拘置施設である拘置所を併設することの問題点について、抜本的な解決を図る姿勢が全くない。のみならず、地域住民に対して、本構想の全容、特に将来的には本構想に基づき福岡拘置所小倉支所の小倉刑務所跡地への移転計画が存在することについて十分な説明を行っておらず、地域住民の鑑別所移転についての合意形成手続についても重大な疑問があるといわざるを得ない。
5,そこで、当会としては、このような経過を踏まえて、改めて、本構想の撤回及び少年の健全な育成を理念とする少年法の趣旨に反する小倉少年鑑別所の小倉刑務所跡地への移転に断固として反対するものである。
  さらに、当会としては、本構想に基づき近い将来予想される福岡拘置所小倉支所の小倉刑務所跡地への移転にも強く反対し、引き続き本構想の全面的な撤回を求めるものである。
                          以 上

死刑執行の停止を求める会長声明

カテゴリー:声明

2006(平成18)年7月12日
福岡県弁護士会 会長 羽田野節夫
1 わが国での死刑執行は、1989年11月から1993年3月までの3年以上にわたって執行が控えられていた。
 ところが、その後死刑執行が再開され、2005年9月16日までに19回にわたり執行され、その被執行者数の累計は47名に及んでいる。
 しかし、国際的には、1989年に国連総会において採択された死刑廃止条約が、1991年7月に発効しており、2006年6月7日現在、死刑存置国71カ国に対して死刑廃止国125カ国(法律で廃止している国と過去10年以上執行していない事実上の廃止国を含む。)と、死刑廃止が国際的な潮流となっている。その中で、1998年11月5日、日本政府の第4回定期報告書を審査した国連規約人権委員会は、その最終見解において、わが国の死刑制度に関して1993年11月4日に同委員会が表明した懸念事項が実施されていないことにつき重大な懸念を抱いていることを示し、改めて死刑廃止に向けた措置をとるよう勧告している。
 国内的には、1993年9月21日の最高裁判決中の大野正男裁判官の補足意見にて、死刑の廃止に向かいつつある国際的動向とその存続を支持するわが国民の意識の整合を図るための立法施策が考えられるとの指摘がありながらも、十分な議論が尽くされないまま死刑執行が繰り返されてきた。
2 このような国際的な潮流と国内的な状況を踏まえ、とりわけ、現に死刑確定者が収容されている死刑執行施設を備えた福岡拘置所がある当地において、当会は、これまでに、死刑確定者からの処遇改善や再審援助要請といった人権救済申立事件を受理し、同事件処理をとおして、死刑制度の存廃を含めた問題に取り組む必要性を痛感し、より積極的な取組みをするべきであると考えてきた。
 ゆえに、当会は、これまで、数回にわたり、当会会長声明において、死刑執行に対して極めて遺憾であるとの意を表明し、法務大臣に対し、死刑の執行を差し控えるべきであるとの要望を重ねてきた。
 また、当会は、2004年10月7日の日弁連人権大会に向けたプレシンポを九州弁護士会連合会と共に「アジアにおける死刑―死刑廃止の胎動」と題して9月4日に開催し、隣国の韓国及び台湾(中華民国)が死刑廃止立法に向けた確かな歩みをしている事例を紹介し、日本においても死刑廃止を含めた死刑制度の国民的議論の必要性を喚起した。
3 しかしながら、死刑制度存廃につき国民的議論が尽くされないまま、死刑の執行が繰り返されてきた。しかも、これまで国会閉会直後や国政選挙直前あるいは年末など、国会による議論を避け、国民の関心が他に向けられやすい日程で死刑の執行が行われている。
このような状況に照らせば、83名の死刑確定者(2006年6月6日現在)に対し、今後、近いうちに死刑の執行が行われる可能性がある。
 そこで、当会は、法務大臣に対して、今後、死刑の執行を停止するよう強く要請する。
              

薬害肝炎被害の早期解決と肝炎の治療体制整備を求める会長声明

カテゴリー:声明

2006(平成18)年6月28日     
福岡県弁護士会 会長 羽田野節夫
 2006(平成18)年6月21日、全国5地裁(福岡、東京、名古屋、大阪、仙台)に係属している「薬害肝炎訴訟」の初めての判決が、大阪地方裁判所において下された。
 この薬害肝炎訴訟は、血液製剤の投与によりC型肝炎ウイルスに感染させられた原告らが国と製薬企業を被告として、血液製剤を承認し、製造・販売したことが違法であるとしてその損害賠償を求めた訴訟である。
 まず、判決は、血液製剤(フィブリノゲン製剤)の1987(昭和62)年の製造承認につき、「厚生大臣は、より一層の慎重な調査、検討をするどころか、非加熱製剤を加熱製剤に切り替えさせるという方針を立て、あらかじめ申請及び承認時期を定めた上で、極めて短期間に、いわば結論ありきの製造承認を行ったものであるから、安全確保に対する意識や配慮に著しく欠けていたといわなければならない」などと指摘して、原告5人の国に対する損害賠償請求を認容した。
 次に、判決は、1985(昭和60)年、「製薬企業が、製剤の不活化処理について、ほとんど不活化効果がなかった方法に戻し、C型肝炎感染の危険性をより一層高めた」として、原告9人の製薬企業に対する損害賠償請求を認容した。
 その上で、判決は、国及び製薬企業がフィブリノゲン製剤の危険性に関する情報を軽視した結果、原告らが「何らの落ち度がないにもかかわらず、C型肝炎ウイルスに感染し、その結果、深刻な被害を受けるに至った」ことを認めた。そして、高額な治療を受けることが容易でなく、社会の理解がいまだ不十分であるため、肝炎患者が、社会において多大な苦しみを被っていることをも指摘している。
 
 以上から、当会は、国と製薬企業が法的責任に基づき薬害の被害者である原告らを直ちに救済するとともに、全国で350万人ともいわれるウイルス性肝炎患者の被害回復のために、肝炎患者らの訴えに真摯に耳を傾けた上で、治療体制の確立・新薬の開発等の恒久対策を一刻も早く実現するよう求めるものである。

福岡県弁護士会役員就任披露宴ごあいさつ

カテゴリー:会長日記

2006年(平成18年)5月24日
福岡県弁護士会 会長 羽田野節夫
1.(序) 只今御紹介に預かりました、福岡県弁護士会会長の羽田野節夫です。
本日は、皆様には、公私共に御多用の中を、福岡高等裁判所長官龍岡資(すけ)晃(あき)様や福岡高等検察庁検事長佐(さ)渡(ど)賢(けん)一(いち)様、福岡市長山崎広太郎様を初めとして、福岡県弁護士会と関係の深い、各界各層の方々に御出席を賜わり、誠にありがとう存じます。
本日は、当会の過去の活動を検証し、更に今後の活動を皆様に御紹介し、御理解を願って、皆様から忌憚のない御意見や、御忠告を戴く場として、本日のような宴を催す次第です。皆様におかれましては、当会の役員に対しては元より当会の若い会員に対して苦言、提言又は暖かい励ましのお言葉をかけて下されば幸いでございます。
2.福岡県弁護士会の構成員と
弁護士会の組織について若干御紹介します。弁護士会は、強制加入団体であって、どのような政治信条を有するかにかかわらず、どこかの単位会に所属すべきこととされています。
福岡県弁護士会は、伝統的に4つの部会制をとっており、4つの部会は、純粋に独立対等の関係でございます。
各々の部会と構成員数は、前方の画面に表示されたとおりです。
また、九州ブロックには8県・8単位会が存在し、九州弁護士会連合会を組織し、九州内の共通の問題を協議しています。
日本全国には52単位会があり、個々の弁護士と全国の単位会とを構成員とする日本弁護士連合会(所謂、日弁連)という組織を作っています。
(1) 弁護士の自治
各弁護士会は、自治権があり、所属する個々の弁護士を監督し、更に日弁連が監督する関係にあります。しかし個々の弁護士の日常業務を弁護士会が監督する立場にはありません。個々の弁護士の不祥事に対し、弁護士会が懲戒権を発動し、当該弁護士を懲戒処分することによって、自浄作用を発揮します。
この弁護士自治制度は、司法権の独立のための制度的保障であり、市民にとっても重要かつ重大な制度です。もし、弁護士や弁護士会が特定の国家機関の統制下にあるとするならば、市民の為に弁護活動をする弁護士に対して個別の圧力が容易に加わり、司法作用がいびつとなり、司法の独立が保てません。
(2) 弁護士の警察に対する依頼者密告制度法案反対特別決議
本日の定期総会におきまして、皆様のお手元に配布しました「弁護士による警察等に対する依頼者密告制度」(ゲートキーパー問題)法案反対特別決議」がなされました。この制度は、依頼者との話の中で疑わしい取引があれば密告しなさいというものです。これは、弁護士と依頼者との信頼関係を根底からくつがえさせる、とんでもない法案です。いかにテロ予防対策とはいえ、テロの被害国アメリカやその隣国カナダも真っ向からこの法案に反対しています。当会が、政府が作ろうとしている法案に対して堂々として反対意見を申し上げることができるのも、弁護士自治制度があるからです。
本日御列席の皆様も、弁護士の自治を守ることがゆくゆくは市民の基本的人権を守り、社会正義の実現につながること、そして弁護士自治制度は、市民の権利を守るために必要不可欠な制度であることを御理解下さいますようにお願いします。
3.福岡県弁護士会の特徴
(1) 当会は、熱心な会員による委員会活動を中心として、弁護士会の会務活動が実践されています。
(2) 各種当番弁護士制度の発足と関係機関の連携
当会は、全国に先駆けて、平成2年当番弁護士制度を創設し、逮捕直後から、弁護士が被疑者のところに駆けつけ、被疑者の権利擁護に努めてきました。その後、全国に広がった当番弁護士制度は、16年の歳月を経て、ようやく今年の10月より、重大事件という限定的ながら、被疑者弁護人国選制度を実らせました。
(3) 当会は、その後も各種委員会が活発な活動をつづけ、常に日弁連をリードしてきました。全国に先駆けて、?刑事の当番弁護士制度のみならず、?精神保健付添当番弁護士制度、?福祉の当番弁護士制度、?少年事件全件当番付添人制度の各々の導入を実現しました。又、当会は、国際委員会による国際交流も盛んです。すでに15年前より始まった韓国釜山地方弁護士会との交流、そして中国大連市の法律家との国際交流も継続されています。私は、このような活発な委員会活動を展開してきた当会の先達の精神に学び、そして、福祉の当番弁護士などの活動を通じて培われた、行政、医療、福祉施設等々の関係機関との連携を大切にして、更に新たな視点で、市民のための司法改革を実践したいと考えています。
4.司法改革と当会の実践目標について述べます。
平成2年の日弁連・司法改革宣言に始まった市民のための司法改革は、いよいよ実践段階に差し掛かっています。ここで、司法改革の主要課題と当会の実践目標について御紹介します。
(1) 法科大学院と法化社会
(2) 日本司法支援センターの発足
今年4月から、独立行政法人「日本司法支援センター」が発足しました。10月からは、その業務が開始され、短期1年以上に該当する重大事件のみ、逮捕後勾留されたときから、被疑者に対し国選弁護人を選任します。この弁護人の選任作業を司法支援センターが担当し、弁護活動そのものは、各単位会の弁護士が担当します。
(3) 裁判員制度と法教育
司法改革の主要課題の一つである裁判員制度は、今から3年後の平成21年5月までに実施されます。憲法が国民主権を謳いながらも、市民が司法の分野に直接関わることはありませんでした。そこで、市民が裁判に直接参加することによって市民の感覚を裁判に反映させようとして実施されるのが裁判員制度です。
今から3年後に実施が予定されていながら果たしてどれだけの市民がその仕組みを知っているのでしょうか?
今後、当会は、種々の機会を利用して、法曹三者一体となって、市民に対し、広報活動を展開する所存です。
去る5月3日のどんたくに際しては、検察庁、弁護士有志や市民やく200人が、裁判員制度の広報宣伝のために、パレードに参加しました。
又、学校教育現場において、法律の背景にある基本的な価値観(正義や公平)や社会のルールを認識理解させ、そのような価値観に基づき問題を解決する能力を育成する「法教育」が必要です。当会は、中学・高校の社会の授業において、「法教育」を学んで貰うため、講師派遣出前授業を展開しています。これによって、中高生が将来の裁判員制度の担い手として成長して下されば幸いです。
(4) 高齢者・障害者支援センター(あいゆう)の法人化と福祉の当番弁護士の全国展開
平成12年4月から高齢者の介護保険制度と成年後見制度が導入されると同時に、当会は高齢者・障害者支援センター(あいゆう)を設立しました。
今や「あいゆう」の活動は、平成12年9月から実施された福祉の当番弁護士制度と相まって、行政や医療機関、施設関係者に絶大なる信頼と支持を獲ち得たと自負しています。
当会は、現在「あいゆう」の法人化を検討しています。
併せて、福祉の当番弁護士制度を刑事の当番弁護士同様、全九州並びに全国に展開したいと考えています。
(5) 弁護士過疎地対策と法律相談センターの拡充
司法改革の重要課題のもう一つに、弁護士過疎地対策があります。我が県内にも弁護士が存在しない地域があります。
私は、弁護士過疎地対策の一つは、法律相談センターの拡充ではないかと考えています。当会の法律相談センターは、昭和60年4月に発足し、現在の天神の法律相談センターを開設して20周年を迎えます。
現在では、福岡県内に法律相談センターが19ヶ所存在します。法律相談センターの数としては、東京の弁護士会に劣らず全国第1位です。当会は、福岡県民のために、「いつでも、どこでも、誰でも」容易に司法にアクセスできる体制を作っていきたいと思います。
5.行動の基本指針
ところで、昨今の商道徳や、行為規範を逸脱した幾多の社会現象(例えば、耐震偽造問題、ライブドアの粉飾決算、公共工事の談合、架空請求、オレオレ詐欺等の事件)は、一体何が原因なのでしょうか?
企業は、その活動に際して、所謂、社是、綱領といったその会社の行動の基本指針があったはずです。それが、規制緩和というお題目の下で、従来のタガがはずれた感が否めないのが、作今の情勢です。国家行動の基本指針は、所謂、国是といわれ、日本国憲法がそれに該当します。今、基本的人権の尊重と恒久平和を目標とする日本国憲法が改正されようとしています。国家の綱領ともいうべき憲法の改正については、慎重にあるべきだと考えます。国家のタガとも言うべき、憲法を軽々しく緩めるべきではありません。
先日、ある明治時代創業の某商事会社にあいさつに伺ったところ、九州支社長室には、会社の綱領が掲げてありました。
?所期奉公  ?処事光明  ?立業貿易
という三つの言葉です。企業活動は営利を目的とするのは、当然です。しかし、企業活動の基本は、公に奉仕するという精神が大切であるとその会社は昔から考えてきたのです。明治時代に創業者が考えたこの会社の行動の基本指針は、今も普遍の光を放って輝いています。
6.座右の銘
我々弁護士の行動の指針は、弁護士法1条の「基本的人権の擁護と社会正義の実現」であることは言うまでもありません。
さて、私が個人的に行動の指針又は座右の銘としているものは、「積誠動人」という言葉です。私の修猷館高等学校時代の恩師小柳陽太郎先生から戴いた言葉です。これは、『誠を積んで人を動かす』とよみます。孟子の言葉、「至誠人をも動かす」と同じ意味です。金を積んで人を動かす方もおられますが、最後に人の心を動かすものは、誠心、誠意であると確信しています。私は、今後これらの言葉を行動の指針としつつ、皆様を始めとする関係者各位と連携しながら、福岡の県民、市民のために真に役立つ弁護士会活動を展開して参りたいと思います。どうか、本日御列席の皆様には、当会の活動をよく御理解のうえで、御支援、御協力を下さいますようにお願いいたします。
終わりに、本日は、粗酒粗肴ではありますが、本日の宴が、お互いの交流の契機となり、実り多いものになりますように祈念申し上げて、ごあいさつとさせて戴きます。
本日はどうもありがとうございます。
以上
(於ホテルオークラ福岡)

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