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会長日記

カテゴリー:会長日記

平成23年度 福岡県弁護士会 会長 吉 村 敏 幸(27期)

1.今年度最後の日記になります。ちょうど3月下旬のこの時期は、会館東口の沈丁花が甘い香りを放って陽春をたたえています。

執行部に入ると、たくさんの会員の方々が献身的に弁護士会のために粉骨砕身努力しておられることに驚きます。皆様に感謝申し上げます。

また、今年度実現できなかった各委員会の課題は、次年度の課題と引き継いでいかざるを得なかったことをお詫び申し上げます。

2.好きな本のこと

3月に入り、弁護士会の全県職員と現・新執行部との懇親会が開かれ、その折に女性職員から会長日記の本の話を読んでいること、とりわけ上橋奈緒子の「守り人」シリーズが好きで嬉しかったとのお話を伺うことができました。プライベートと会務メッセージとの調整に若干気を遣いながら日記を書いています。

子どもの絵本で気づくのは、大人が求めるのは人生に役立ちそうな、教育的・教養的なものになりがちですが、子どもが好きになるのは単純にかわいらしい、楽しい、面白い(驚きのあるもの)、絵がきれいなものです。

自分は子どものころ、動物ものがすきで、椋鳩十やシートンの動物記を好んで読んだ記憶がありました。ときどき読み返してみたいなと思っていたのですが、本の文庫棚には見当たらないので忘れていました。ところが、娘が小3になり、いろいろな本を漁っているうちに、児童書コーナーにはたくさんの椋鳩十とシートンシリーズがあることに気づきました。狼王ロボ、キザ耳坊や(うさぎ)、熊野犬、愛犬カヤなどの短編です。自分で読み返すつもりでも、心は親子の会話を求めているので、動物ものを好きになってほしくて読んであげます。動物ものは生きるために他の生きている動物を襲い、食らう行為の連続ですから残酷です。ここに人間の行為(狩り)が関わりあいます。生き延びるためには動物の生存本能、智恵が発揮され、相手の裏をかき、九死に一生を得ます。ギザ耳坊や(うさぎ)は前進した足跡をそのまま後進して戻り、途中で横道にステップして枯れ木の上に飛び乗り、あるいはイバラの茂みに隠れて逃げます。熊野犬の物語は、戦時中の食糧難を理由としてすべての飼い犬を殺した話で、犬は頭部を棒で殴打されて頭から血を流しながらも自宅にたどり着いて息絶えたという、涙なくしては読めない物語でした。

このような話を読むと、子どもはやはりギザ耳坊やのようなかわいらしい話は好きなようですが、凄惨・残酷な殺戮場面は苦手です。しかし、共通の話題ができて、一時の幸せを得ました。

3.この月報が出るころには、私たち執行部はすでに退任し、古賀和孝新会長の執行部がスタートしています。平成23年1月から3月、市丸前会長と引き継ぎ作業で併走しながらの助走期間を経て、早1年間が過ぎました。怒涛のような1年間でした。

記憶に残るのは、日弁連レベルでは給費制存続および少年事件全件国選付添人実現のための国会議員あての要請行動、法曹人口政策会議の取りまとめにあたっての議論の経過、死刑廃止についての意見書の採択、ひまわりホットダイヤル無料期間延長の可否の議論、裁判員裁判3年目検証の意見書採択、脱原発へ向けた意見書、などです。このように書いてくると、そのほかにも布川事件の弁護人の活動についての批判意見書や、公訴時効廃止に関しての捜査終結宣言なども含めて、たくさん思い出されてきます。

県弁レベルとしては、新会館建設へ向けての土地取得の総会議決と、北九州部会所属の会員の刑事事件と福岡部会所属会員に対する会立件を行なったことです。しかし、非違行為を疑わせる事例はほかにもあり、私たちとしては重大な関心をもって一般市民、依頼者の信頼を損ねたり、損害を与えたりすることのないように会員を監督し、指導していかなければなりません。しかしながら、弁護士会は強制捜査権を有していませんので、現実に非違行為の存否確定は困難です。弁護士会および日弁連に対する信頼と信用は、個々の弁護士に対する一般市民の信頼と信用を源泉としているものと理解しています。したがって、会員は依頼者の信頼を損ねることのないように、一層、密な経過報告と連絡、および(方針策定にあたっての)相談(打ち合わせ)を励行していただくようお願いします。/

4.3月19日の朝刊に、民主党は秘密保全法の今通常国会への提出を断念したとの記事が掲載されていました。

「新聞等マスコミ、日弁連などの反対が強く、党内にも反対論が強いため、消費税乗り切り策としての決断」との報道です。当会は既に平成24年1月の常議員会において、もしも秘密保全法案が国会に上呈された場合に備えて反対決議の承認をいただいていましたが、平成24年3月8日の常議員会に於いては、法案上呈前に反対決議をなすべきとの判断に基づいて承認をいただき、直ちに会長声明を出していました。この法案の問題点は、秘密の内容そのものが不明確であり、構成要件が特定できないことであり、共謀・共犯として一般市民も犯罪主体となりうる恐れがあることです。新聞報道によると、今通常国会への提出は断念されたとのことであっても、その以後に提出される恐れがあることから、当会としても反対運動は継続する必要があると思います。当会は、平成24年4月28日に秘密保全法反対の市民集会を開催する予定ですので、多くの会員のご参集をお願いします。

5.破産事件の減少

金融法務事情(1941号2012.3.10号91頁)によると、福岡地方裁判所における破産事件の運用状況が紹介されています。「新受事件数は平成17年から減少を続け、平成21年、22年とわずかに増加したが、平成23年は大幅に減少した。法人の件数は、この間大きな変動はないが、自然人の減少が大きい。平成23年自然人件数は平成22年の84%」とのことです。

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この意味は、結局、貸金業法の総量規制の効果が表れて来たものと前向きに評価することができると思います。現在、法人破産には大きな変動はないということですが、これは中小企業金融円滑化法(モラトリアム法)のもとで、元金支払の繰り延べ猶予がなされている状況もあり、あと1年後にソフトランディングの政策がとられない場合は、一挙に事業者の支払困難事例が表面化してくる恐れもあり、貸し渋りや貸しはがし等、重大な懸念を抱いています。

6.タスキをつないで

私たち執行部の活動は駅伝がタスキをつないでいくのと同じような継続的運動です。

今年度の重点課題であった取調べの全過程可視化と少年の全件国選付添人制度は、いずれも実現には至りませんでした。しかし、まさにタスキをつないで次年度に託します。取調べ可視化の検察事案については、たとえば特捜事件、障害者事件等については、全過程の可視化へ向けた取組みが相当に進んでおり、すべての事件、全過程可視化へ向けての活動がさらに必要とされます。

これに対して、少年事件のほうは、年間約10億円の予算規模にて実現との国会議員の理解も相当に進んでおり、2~3年後には実現しそうな勢いであるとの感触です。給費制は一層運動を盛り上げる必要があります。

これらについてもさらに全会員のご支援をお願いします。

当会会員の逮捕に関する会長談話

カテゴリー:会長談話


                会長談話
 このたび、当会の渡邊和也会員(北九州市)が業務上横領罪の容疑で、3月3日、福岡地方検察庁に逮捕されました。
 基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命とし、市民の権利の護り手として最も公正を旨とすべき弁護士が、このような事件を起こしたことは、全く申し開きの余地のないことです。監督者の立場にある福岡県弁護士会を代表して、県民・国民の皆さまに対して、深くお詫びを申し上げます。
 本件の行為は、弁護士の業務に対する社会的信用を失墜させる重大な非違行為であり、当会では、同会員について当会綱紀委員会に調査請求をすること(懲戒請求)を決定し、3月4日、その手続きを了しました。
 当会は、本件を契機に、より一層会員の職業倫理の向上に努め、弁護士および弁護士会に対する県民・国民の皆さまからの信頼の確保に努力致す所存です。
                         2011年(平成23年)3月10日
                             福岡県弁護士会
                             会長 市 丸 信 敏

少年法「改正」法案に反対する会長声明

カテゴリー:声明

法制審議会少年法(犯罪被害者関係)部会は、本年2月13日、少年法「改正」要綱(骨子)を採択し,さらに,3月7日少年法「改正」案が閣議決定され国会に上程された。
この「改正」案は,?犯罪被害者等による少年審判の傍聴規定を新設するとともに,?犯罪被害者等による記録の閲覧及び謄写を認める要件を緩和しているが,以下の理由により,当会は,同法案に強く反対する。
1 法案は,少年審判における犯罪被害者等の権利利益の一層の保護を図ることを理由に,審判の傍聴規定の新設を提案する。当然ながら,犯罪被害者等の権利利益の保護が図られなければならないことは言うまでもない。
しかしながら,そもそも少年審判に関しては,少年の健全な育成を目的とするという少年法の理念(少年法1条)の下,懇切を旨として和やかに行わなければならないと定められる(同法22条)など,裁判官,調査官,付添人ら関係者が少年に対して何よりも受容的に接したうえ,教育的・福祉的な働きかけを行うことにより,少年がその犯した非行事実に真摯に向き合い内省を深める場となることが強く期待されている。その場合,少年の率直な発言をきっかけに,少年の持つ問題性を浮き彫りしに,その未熟さを自覚させ,真の健全育成のための働きかけを行っていくことが重要である。
ところが,こうした審判を被害者等が傍聴するということになれば,精神的に未成熟な少年は,事実に関する自己の率直な意見や心情,気持ちをそのまま発言することに躊躇を覚え,必然的に被害者を意識した建前の発言に終始し,結果として,審判に関わる関係者からの少年の問題に迫った更生への働きかけができなくなるおそれがあるだけでなく,真実の発見にも悪影響を及ぼすことも危惧される。
また,非行の原因や少年の処分は,少年の家庭生育環境や生い立ちなどに遡って総合的に考えることが必要であるところ,被害者等の傍聴が許されるならば,プライバシーの観点から,こうした部分を審判において明らかにすることが躊躇され,非行の原因を十分に掘り下げることができず,かつ,適切な処分を選択することができなくなる。
さらに,多くの場合,審判は,刑事事件に比べても事件発生から間もない時期に開かれるため、少年のみならず、被害者にとっても、心理的な動揺が収まっていない状況で開かれることが多い。にもかかわらず、被害者が少年審判を傍聴することになれば、当該審判廷は必然的に非常に緊張度の高いものとなり、上記少年法の理念に基づく審判の実践はおよそ困難となる。
加えて,犯罪被害者等による少年審判の傍聴については,現行制度においても,少年審判規則第29条に基づき,裁判所が認める範囲で審判への在席が認められる場合があるのであるから,この規定に加えて「改正」案のような規定を設ける必要性は認められない。
2 同様に,犯罪被害者等の権利利益の一層の保護を図るという理由から,記録の閲覧・謄写を認める要件を緩和する点については,その対象範囲を法律記録の少年の身上経歴などプライバシーに関する部分についてまで拡大することになるが,少年の更生に対して悪影響を及ぼすおそれも懸念されるところであり,この拡大は認めるべきではない。
3 犯罪被害者等の権利利益の一層の保護を図るという理由から,今なすべきことは,各関係機関が被害者等に対し,2000(平成12)年少年法「改正」で導入された,被害者等による記録の閲覧・謄写(少年法第5条の2),被害者等の意見聴取(少年法第9条の2),審判の結果通知(少年法第31条の2)の各規定の存在をさらに丁寧に知らせ,これを被害者等が活用する支援体制を整備すること,さらには,より抜本的に犯罪被害者に対する早期の経済的、精神的支援の制度を拡充することである。
以上
2008(平成20)年3月26日
福岡県弁護士会
会 長  福  島  康  夫

長崎市長に対する殺害事件について厳重抗議する会長声明                              

カテゴリー:声明

2007(平成19)年4月25日

福岡県弁護士会 会長 福島康夫
1 今月17日,JR長崎駅前で,伊藤一長長崎市長が,選挙期間中という重要な政治活動の最中に暴力団幹部から銃撃され殺害されるという事件が発生した。
2 報道によれば,暴力団幹部が長崎市に対して執拗な要求を行い,これを拒絶されたことに逆恨みをした挙げくの犯行とのことであるが,いかなる理由があろうとも,有無をいわさず暴力をもって政治活動を圧 殺するという行為は民主主義の根幹を揺るがす暴挙に他ならず,断じてこれを許すことはできない。
また,このような行政の長である市長に対するいわれのないテロ・暴力行為は,公正公平であるべき行政の健全性を阻害するばかりでなく,行政関係者や市民に対して恐怖感を与え社会全体をも萎縮させる危険性がある。私たちは,その卑劣さに対して強い憤りを覚えるものである。
3 福岡県弁護士会会員一同は,基本的人権を擁護し社会正義の実現を図る弁護士の使命に照らし,民主主義社会に対する否定行為であるテロ・暴力を一切否定する。私たちは,市民や関係機関と団結して,暴力の追放と根絶のために最大の決意をもって臨むことを表明するものである。
核兵器の廃絶と平和を世界に訴えてきた伊藤市長が志半ばにして凶弾に倒れられたことを深く悲しみ,衷心から哀悼の意を表する。

国民投票法案の衆議院採決に対し反省を求め、参議院における慎重審議を求める声明

カテゴリー:声明

2007年(平成19年)4月17日
福岡県弁護士会 会長 福島康夫
本日、衆議院において、「日本国憲法の改正手続きに関する法律案」(いわゆる国民投票法案)が可決された。この採決は、拙速になされたものであると言わざるを得ない。
当会は、2006年12月6日には国民投票法案に関する意見書を、2007年3月20日には国民投票法案の慎重審議を強く求める声明を発表し、国民投票法案には多くの問題点が含まれていることを指摘して慎重な審議を求めてきた。
そのような当会の指摘にもかかわらず、本日可決された法案は、?罰則は削除したものの、主権者である公務員や教育者の地位利用による国民投票運動を禁止しており、制約しなくてもよい主権者としての意見表明の自由を広範に制圧していること、?憲法改正案の広報を行う国民投票広報協議会の構成が、所属議員の比率によって選任されるため、国民に対して反対意見が公正かつ十分に広報されないおそれが強いこと、?国会の発議から国民投票までの期間がわずか60日ないし180日とされているため、重要な争点について国民がじっくり考えて意見を持つ時間が保障されていないこと、?過半数の賛成の対象が全有権者となっておらず、また最低投票率の定めすらないことなど、主権者である国民の「承認」を得るという点では重大な欠陥を残している。
また、公聴会が東京、大阪、新潟の3箇所においてしか実施されなかったことも遺憾である。ここ福岡を含む、より多くの地方において公聴会が実施されるべきであったのであり、わずか3箇所のみでは国民の意見が充分に反映されたとは言えない。
参議院においては、衆議院の轍を踏むことなく、少なくとも、憲法改正という国家の最重要課題について、主権者の意思を反映させるという国民投票制度の本来の目的・趣旨を十分に生かすよう、広く主権者たる国民の声に耳を傾けたうえで、そもそも、いま法制定の必要性が果たしてあるのかどうかも含め、慎重に審議されることを強く求めるものである。

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