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福岡刑務所尿道カテーテル事件控訴審判決に対する会長声明

カテゴリー:声明

2014年(平成26年)9月19日、福岡高等裁判所は、2010年(平成22年)4月当時福岡刑務所の受刑者であった控訴人が、腰痛の訴えに対して尿道カテーテルを挿入・留置されたことを理由として国に損害賠償を求めた裁判において、国に慰謝料等の支払いを命ずる判決を言い渡した。
一審の福岡地方裁判所は、強い腰痛の訴え等当時の状況に照らし、一時的安静・転倒防止のために尿道カテーテルを挿入・留置した医師の判断には合理性があるとして請求を棄却していたが、このたびの控訴審判決は、刑事施設内における医療も、社会一般の医療水準に照らして適切なものであるべきことを前提として、①医師の腰痛に対する診療が医療水準にしたがったものとはいえないこと、②本件は尿道カテーテル使用に関するCDCガイドラインの適応条件を充たさないこと、③福岡刑務所以外の刑事施設では腰痛患者に対して尿道カテーテルを使用することなく他の方法で対応していることを指摘し、一審判決を取り消し、本件カテーテル使用の違法性を認めたものである。
当会は、福岡刑務所における本件同様のカテーテル使用につき、控訴人を含む福岡刑務所内の受刑者6名からの人権侵犯救済申し立てを受け、2010年(平成22年)9月、福岡刑務所長に対し、腰痛患者に対する尿道カテーテル留置が憲法13条及び刑事被収容者処遇法56条に違反する重大な人権侵害であり、この侵害行為に関与した医師らに厳正な措置を採るとともに再発の防止を徹底すべき旨の警告を、また法務大臣に対し、刑事収容施設内における診療体制の強化やそれに必要な予算の構築も含めた適切な再発防止策を講ずべき旨の勧告を発している。
福岡刑務所は、当会の警告に対して、「医療措置に問題なし」とコメントし、国は本件訴訟においても尿道カテーテル使用の正当性を主張し続けてきた。今回の福岡高裁判決はそのような考え方に理由がないことを明らかにしたものであり、刑事施設被収容者の基本的人権の擁護の観点から高い評価に値する。
国に対しては、この高裁判決を重く受け止め、自ら非を認めて上告を断念するとともに、改めて、当会の警告及び勧告に沿った再発防止策を実現するよう強く求めるものである。
                         
                    2014年(平成26年)10月1日
                              福岡県弁護士会
                             会長 三浦 邦俊

死刑執行に関する会長声明

カテゴリー:声明

1 本日、東京拘置所、仙台拘置支所において、それぞれ1名の死刑確定者に対して死刑が執行された。
死刑執行は、本年(平成26年)6月26日に1名の死刑執行がなされたばかりであり、今後も新たな執行がなされることが懸念される。
2 本年(2014年(平成26年))3月に、1966年(昭和41年)にみそ製造会社の専務一家4名を殺害したとして強盗殺人罪などで死刑が確定した元プロボクサーの袴田巌氏(以下「袴田氏」と略。)に対する再審開始決定がなされ、刑事司法が無謬ではないという認識が世間一般に改めて広く共有されたところである。万一、袴田氏に対する死刑が執行されていたことを想像すると震撼させられるのを禁じ得ない。
そもそも、死刑という刑罰は、日本弁護士連合会の2011年(平成23年)10月7日の人権擁護大会の宣言でも触れられているとおり、①生命を奪う非人道的なものであり、②受刑者の更生し社会復帰する可能性を奪うものである点に根本的問題を内包している。そして、③人の生命を奪う点において、いかなる執行方法であっても、その残虐性は否定できない。
それ故、死刑の廃止は国際的な揺るぎない潮流となっているのである。
また、我が国では、死刑に直面している者に対して、被疑者・被告人段階あるいは再審請求の段階に至るまで十分な弁護権、防御権が保障されていない。執行の段階でも死刑確定者の人権保障の面で多くの問題を抱えている。
3 当会は政府に対し強く抗議の意思を表明するとともに、今後、死刑制度の存廃を含む抜本的な検討がなされ、それに基づいた施策が実施されるまで、一切の死刑執行を停止することを強く要請するものである。
以上

2014年(平成26年)8月29日
福岡県弁護士会会長 三浦邦俊

集団的自衛権の行使等を可能とする閣議決定に抗議し撤回を求める会長声明

カテゴリー:声明

 本年7月1日、安倍内閣は、多くの国民の反対を押し切って、国会における議論も、国民的議論も尽くさないまま、従来の政府の憲法解釈を変更し、集団的自衛権の行使等を可能とする閣議決定を強行しました。
 集団的自衛権は、わが国が直接攻撃されていないのにもかかわらず、他国のために武力を行使するもので、その行使は憲法第9条によって禁じられています。この憲法解釈は、これまでの政府答弁(1981年5月29日政府答弁書等)や国会決議(1954年6月2日参議院本会議決議)等の積み重ねによって確立しています。
 日本弁護士連合会と当会をふくむ全国の弁護士会が一致して指摘するとおり、このたびの閣議決定は、それ自体が憲法第9条に反し、また、憲法によって政治権力の濫用を抑制する立憲主義に反するものです。 
 このたびの閣議決定は、「わが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合」に「必要最小限度の実力を行使する」としています。しかし、これらの文言は極めて曖昧で、時々の政府の判断により都合良く解釈して運用されかねず、歯止めにはなり得ません。
 さらに、閣議決定について政府が説明用に作成した想定問答集においては、集団安全保障に基づく武力行使への参加に道を開く回答がなされています。集団安全保障は、国連が侵略国などへの制裁として多国間の枠組みで対応する措置ですが、その措置の中には武力行使も想定されています。そのような事柄を、国民的議論がほとんどなされていないなかで準備をすることは、立憲主義の破壊、民主主義の破壊に等しく、到底許すことはできません。
 このたびの閣議決定はまた、「わが国を取り巻く安全保障環境は根本的に変容」し、「アジア太平洋地域において問題や緊張が生み出さ」れていることをも集団的自衛権の根拠としています。仮にそうだとしても、そのような「問題」を解決し、「緊張」を緩和するよう、外交努力を強化することこそ政府の責務のはずです。
 当会は、これまで、韓国の釜山地方弁護士会、中国の大連市律師協会等と親善交流を深め、相互の信頼関係を築いてきました。このような草の根の交流の蓄積を踏まえて、今後より一層、平和外交を進めることが平和国家として歩むべき道だと、確信するところです。
 憲法違反の閣議決定に引き続く自衛隊法等の法改正も、憲法に違反するものとして許されるものではありません。
 当会は、集団的自衛権の行使等を可能とする閣議決定に対して強く抗議し、その撤回を求め、今後予定される関係法の改正等に断固として反対するものです。
2014年(平成26年)7月16日
                      福岡県弁護士会
会長 三 浦  邦 俊

会長声明

カテゴリー:声明

1 本日、大阪拘置所において、死刑確定者に対する死刑が執行された。
死刑執行は、2013年(平成25年)12月以来半年ぶりとはいえ、昨年中には合計8名が執行されていることから、今後も新たな執行がなされることが懸念される。
2 本年(2014年(平成26年))3月に、1966年(昭和41年)にみそ製造会社の専務一家4名を殺害したとして強盗殺人罪などで死刑が確定した元プロボクサーの袴田巌氏(以下「袴田氏」と略。)に対する再審開始決定がなされ、刑事司法が無謬ではないという認識が世間一般に改めて広く共有されたところである。万一、袴田氏に対する死刑が執行されていたことを想像すると震撼させられるのを禁じ得ない。
そもそも、死刑という刑罰は、日本弁護士連合会の2011年(平成23年)10月7日の人権擁護大会の宣言でも触れられているとおり、①生命を奪う非人道的なものであり、②受刑者の更生し社会復帰する可能性を奪うものである点で根本的問題を内包している。そして、③人の生命を奪う点において、いかなる執行方法であっても、その残虐性は否定できない。
それ故、死刑の廃止は国際的な揺るぎない潮流となっているのである。
また、我が国では、死刑に直面している者に対して、被疑者・被告人段階あるいは再審請求の段階に至るまで十分な弁護権、防御権が保障されていない。執行の段階でも死刑確定者の人権保障の面で多くの問題を抱えている。
3 当会は政府に対し強く抗議の意思を表明するとともに、今後、死刑制度の存廃を含む抜本的な検討がなされ、それに基づいた施策が実施されるまで、一切の死刑執行を停止することを強く要請するものである。
以上
2014年(平成26年)6月26日
福岡県弁護士会会長 三浦邦俊

改正少年法施行にあたっての会長声明

カテゴリー:声明


1 本日、少年法の一部を改正する法律(平成26年4月18日法律第23号)(以下、「改正法」という。)が全面施行され、国選付添人選任の対象事件が死刑又は無期若しくは長期3年を超える懲役若しくは禁固に当たる事件(被疑者国選弁護事件と同じ)に拡大した。この結果、当会の試算では、観護措置を受けた少年の約80パーセントが国選付添人選任の対象事件となる。
2 これまで、成人の刑事事件では原則として国選弁護人による法的援助が受けられる一方、可塑性に富み、かつ、成人に比してさらに防御能力が劣る少年には弁護士の援助が権利として保障されてはおらず、正義・公正に反する状況が長く続いていた。
こうした状況の中で、当会は、少年に適正手続を保障するとともに、少年の立ち直りを支援する弁護士付添人の役割の重要性に鑑み、2001年(平成13年)2月、全国に先駆けて、観護措置決定を受け少年鑑別所に収容された全ての少年に弁護士付添人をつける「身柄事件全件付添人制度」を創設した。
この動きは、当会から全国に広がり、2011年(平成23年)には、全国の全ての単位弁護士会で同様の制度が創設されるに至り、全ての少年に弁護士付添人をつける人的体制は整った。そして、現実に当会では、ほぼ100パーセントの少年に弁護士付添人が選任されるに至ったのである。
今回の改正法は、我々が目指してきた全面的国選付添人制度実現に向けた大きな前進であると評価できる。
3 もっとも、今回の改正では、①共同危険行為(暴走行為)や「ぐ犯」事件など弁護士付添人の支援が必要と考えられる事件が対象外とされた点、②付添人の選任は家庭裁判所の裁量とされた点、③検察官関与対象事件が拡大された点、④少年の刑事裁判において科しうる有期刑の上限が引き上げられた点に未だ不十分さを残しているといわざるを得ない。
すなわち、まず「②」の結果、対象事件でも、国選付添人が選任されないというケースも考えられる。
つぎに、「③」の結果、少年審判に検察官が関与することは、少年審判に対立構造を持ち込み、「懇切を旨として、和やかに」行われるべき審判の審理構造と矛盾するものであるとともに、予断排除原則や伝聞法則の適用もない少年審判において、少年を成人以上に不利益な立場に置くことになる。
更に「④」の厳罰化により、少年を長期間社会から隔絶させることは、少年の社会復帰を困難にし、むしろ更生の妨げになりかねない。
4 当会は、改正法によって国選付添人の対象とされた事件については、全て国選付添人が選任されるように努めるとともに、対象事件の拡大のための運動を継続し、観護措置決定を受けた全ての少年に国選付添人が選任される制度の実現を目指していく所存である。
更に、弁護活動及び付添人活動を通じて、検察官関与や厳罰化が決して安易になされることがないように務めるとともに、これまでにも増して少年の権利を擁護し、少年の更生のために最大限の付添人活動を実践する所存である。
以上
2014年(平成26年)6月18日
福岡県弁護士会 会長  三 浦 邦 俊

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