会長日記

2014年1月 旅の途上で

会 長 橋 本 千 尋(36期)

■全国各地への出張

年が改まりました。

福岡県弁護士会の会長は4月からの一年任期なので、3月末まで残すところあと3ヶ月です。

4分の3を経過した任期中にこれまで県外に出向いたところを挙げますと、札幌、東京、福井、大阪、神戸、広島、大分といったところで、国外まで出たものに中国の大連があります。

■福井市

福井市へは、中部弁護士会連合会の定期大会に出席するために赴きました。中部弁連には、東海地方の愛知、岐阜、三重、北陸地方の福井、富山、金沢(石川県)の6つの弁護士会が所属しています。本年度の定期大会がこのうちの福井弁護士会主催で開催されたわけです。

福井県弁護士会は会員数100名弱の弁護士会ですが、定期大会は会員総出の手作り感満載の心のこもったものでした。

10月の福井は少々寒かったのですが、帰りの飛行機の時間まで少し余裕があったので朝まだ早い時間帯に市内を散歩しました。福井市は、人口約26万人の落ち着いた佇まいの都市です。戦国時代の織田家家臣の柴田勝家の居城であった北ノ庄城の城下町を基礎として発展してきたとのこと。同姓のよしみもあって、市内を流れる足羽川のほとりにある橋本左内のお墓を訪ねてきました。福井藩の幕末の志士でその才覚を高く評価された人でしたが、安政の大獄により26歳の若さで刑死しています。凍える手を合わせながら、この同姓の人物の人生に思いを馳せ、2倍以上生きている自分の人生を思い返した次第です。

■広島市

広島市には、人権大会に参加するために赴きました。人権大会というのは、弁護士会の行事の中でも最大のイベントといって良いもので、全国から弁護士が集い、その年々で重要課題と目されている基本的人権に関する問題が取り上げられて討議されます。

今年の主要なテーマは、原子力発電所、国防軍、格差社会の3つでした。

それぞれのテーマ毎にシンポジウムが持たれ、その成果を踏まえて大会決議として弁護士総体としての意見が表明されています。

大会が終わったのは夕暮れ時。会場は平和記念公園内の国際会議場でした。原爆ドームもすぐ目の前です。かすかに赤みを帯びてきた空を背景に原爆死没者慰霊碑の前にたたずみ、ここでも手を合わせました。「安らかにお眠り下さい。過ちは二度と繰り返しませんから。」という言葉を黙読し、心に刻み直しました。

■東京都

東京へは日弁連の理事会に出席するために毎月1回出向き、理事会前日の夜から3日間滞在しています。

その滞在期間中の合間を縫って、衆議院議員会館に2度ほど出向きました。当時、国会で審議中であった秘密保護法について、地元選出の国会議員に面会して地元弁護士会としての反対の意志と法案の問題点を伝えるためです。

日弁連はもとより全国52の弁護士会が一致して反対の会長声明を出し、国民各層がそれぞれの立場で反対の意見を表明しました。地元の福岡市でも北九州市でも当会の弁護士が街頭に出てこの法案の危険性を訴え、ビラを配りました。

しかし、残念ながら、衆参両議院で強行採決が繰り返され、この危険極まりない法律は成立してしまいました。
福井や広島で得た思いを忘れずに、この法律が存続する以上、監視し続けるとともに廃止に向けた活動を続けなければならないと思っています。