会長日記

2017年2月15日

会 長 原 田 直 子(34期)

福岡県弁護士会のHPにおいでいただきありがとうございます。

1月から2月にかけては、新年度からの認可保育園の入所決定時期。皆様結果はいかがでしたか?「保育園落ちた!」の叫び以来、待機児童数が注目されて、各自治体では待機児童0を目指しているようです。しかし、そのカウントの仕方は様々。本当に入りたい保育園に入れた結果、待機児童数0といわれる結果を出していただきたいものですね。

弁護士の働き方

皆様、弁護士はどんな風に働いていると思われますか?

テレビドラマに出てくる弁護士、最近ではリーガルハイの古美門研介弁護士が話題を呼びましたが、他にも、刑事専門弁護士深山大翔、遺産相続弁護士柿崎真一、相続離婚弁護士(全力離婚相談)竹内美晴など、専門分野に特化した弁護士ドラマが多く見られます。現在は、一定の分野だけを専門とする弁護士はあまり多くありませんが、いづれにしても、法律事務所を構え、一般市民の方々からご相談・依頼を受け、法廷活動を中心にして問題を解決するという従来型の弁護士像であることは間違いありません。

ドラマに出てくる弁護士は、一つの事件に集中し、有能は事務員さんとともに、足で歩いて証拠を収集し、見事に事件を解決をする場合が多いようです。しかし、実際の弁護士は沢山の案件を並行して扱い、当事者のお話しや持ってこられる証拠に基づいて論理を組み立てて、問題の解決を図っていくことが多いのです。

しかし弁護士の働き方はこれだけではありません。

組織内で働く弁護士(インハウスロイヤー)が増えています。組織内とは、企業・国・自治体などです。2001年には60人台だった組織内弁護士が、2016年には1700人強にまで増えています。

企業でみますと、組織内に弁護士を雇用している企業は、従来外資系企業が多かったのですが、現在では日本企業も積極的に採用しています。株式会社の監査役や社外取締役もすくなくありません。組織の内外で、その業務に精通しながら、法律専門職として、組織の適正・円滑な業務遂行に寄与しています。

また任期付き公務員として、国や自治体で働く弁護士も増えています。また、昨年10月1日から施行された改正児童福祉法では、児童相談所に弁護士を配置することを定めています。虐待を受けた子ども達を保護し、時には里親や児童養護施設に託す場合の法的手続きは緊急性を要しかつ専門的な知識が必要です。福岡県弁護士会では、これまでも福岡市や福岡県の児童相談所と連携をしてきましたが、今後はさらに密接な関係をもって、弁護士の配置に協力していく予定です。

弁護士から裁判官へ任官する道もあります。弁護士として培った幅広い社会経験をもとに、より身近で頼りがいのある司法の担い手として、常勤裁判官として働いているのです。もちろん任官すれば弁護士ではなくなります。一方、弁護士としての仕事をしながら、民事や家事の調停官として週に一日程度裁判所で勤務している弁護士もいます。

法科大学院で後進の指導をしている弁護士もいます。現在法科大学院は統廃合が進められていますが、いづれも実務家教員が求められており、専任あるいは非常勤として法曹を目指す学生を指導しています。当会からも、九州大学、福岡大学、西南学院大学の法科大学院へ教員を派遣しています。

国会議員や首長として働く弁護士も沢山います。防衛大臣稲田朋美氏、公明党代表山口那津男氏、元民主党幹事長枝野幸雄氏、共産党仁比総平氏など各党で活躍されています。 また直方市の壬生隆明市長は、もともと検察官ですが、現在は弁護士として当会に登録されています。自治体の審議会や審査会でも沢山の弁護士が活躍しています。

その他、PTA会長、NPOの役員、社会福祉法人の理事、保護司など、社会の様々な場面で、その知識と経験を活かしながら、社会貢献しています。

未来を花束にして

1910年代のイギリスで、女性の参政権を求めて運動した女性たちを描いた映画「未来を花束にして」が上映されています。女優のメリル・ストリープさんが女性社会政治連盟のリーダーエメリン・バンクハースト氏を演じ、洗濯工場で働く女性が、参政権運動に身を投じていく姿が描かれています。

参政権とは、国のあり方、行く末を決める権利。この権利を享受できるのは、その人たちに判断をゆだねてもいいと評価された人たち。参政権を求める運動は、女性を対等・平等の人間と認めさせる戦いでもあったのです。

万民の自由・平等がうたわれた市民革命後、イギリスでは1832年に所得制限を伴う男子への選挙権の拡大が行われました。そして、1918年、男子21歳、女性30歳以上の普通選挙制度が敷かれ、1928年に男女とも21歳以上の選挙権を認める普通選挙制度となりました。世界的には、男子の普通選挙から男女とも平等の普通選挙となるまで100年もかかったところがあります。日本では1925年に男子普通選挙が施行され、戦後1945年に男女平等な選挙法が成立しています。