会長日記

2016年11月1日

会 長 原 田 直 子(34期)

福岡県弁護士会のHPにおいでいただき ありがとうございます。

10月末の週末の雨、上がると急に寒くなりました。北海道ではすでに平地でも積雪の便り。箪笥の中からとりあえず長袖を・・と取り出しながら、だんだんと衣替えが終わります。これから寒くなるごとに、電車やバスの中で防虫剤の匂いを感じますね。皆様、風邪などお召しになりませんように。

当会を被告とする損害賠償請求裁判のご報告

当会の主張が認められて請求は棄却されましたが、今後いっそうの不祥事防止に努めます。

10月27日、福岡地方裁判所において、福岡県弁護士会に対して損害賠償を求める訴えを棄却する判決が言い渡されました。今回の訴訟は、当会に所属していた元会員弁護士から仮処分の申立のための保証金等を口実に金員をだまし取られた元依頼者の方々3名が原告となって、弁護士会が適切な指導監督を行わなかったために損害を防ぐことができなかったとして、当会に損害賠償の請求をされたものです。

弁護士の仕事は独立性が高く、弁護士会の監督責任の及ぶ範囲は、相当に不祥事が明白である場合に限られるとされ、弁護士会の責任は否定されました。

しかし、当会の元会員が業務に関連して元依頼者の方々に損害を与えた事実に変わりはなく、この点については、当会としても大変遺憾に存じます。

今後とも、法的サービスの充実のために会員の研修に励むとともに、不祥事防止のためにいっそうの努力をして参りたいと存じます。

中部弁連大会で三重県四日市市に行きました。

10月1日の会長日記で九州弁護士会連合会の大会のお話をいたしました。同様に名古屋高裁管内の弁護士会(愛知、岐阜、金沢、富山、福井、三重)の集まりである中部弁連の大会が開催され、参加しました。

シンポジウムは、「権利擁護の観点から見た、よりよい成年後見人制度の活用を目指して」でした。成年後見制度は、2000年に、それまでの禁治産制度を廃止して導入されたものですが、私たちはつい認知症や知的障がい者の方々について「この人は判断能力が十分でないから、他の人が代わって判断してあげなければならない」と考えがちです。しかし、適切な判断ができないと思われていた人々も、支援さえ受ければその人なりの決定ができる、どんな重い認知症の人でもその人なりの人生を生きてきた経緯・思い・判断がありうるはずだとの考え方が、世界の主流となりつつあります。このシンポジウムでは、このような考え方を基本に、日本の成年後見制度を見直し、さらに利用しやすくする方策について話し合われました。

自分の判断能力が衰えてきたとき、誰かが何でも決めてしまう・・それはどんな人生なのでしょう。誰かが考えた「これがいい」ではなく、「私が心地よく感じること」を尊重してほしい、最期まで私の気持ちに寄り添って欲しい・・。支える側から支えられる側へと変わっていく自分の将来を想像しながらシンポの発言に聞き入りました。

会場のお隣に、日本四大公害の一つである四日市大気汚染の記録を展示する環境未来館がありました。現在はきれいな青空が広がっている四日市市。当時の汚染状況や、裁判で汚染源を明らかにし、被害救済を図った苦難の歴史が展示されていました。案内をしてくださったボランティアの市民の方のお話しの中で、弁護団の先輩弁護士達への尊敬の念が感じられ、身の引き締まる思いでした。

日本の四大公害と言えば、水俣病、第二水俣病といわれる新潟水俣病、イタイイタイ病、四日市大気汚染です。その水俣病も公式確認60年を迎えました。しかし、未だに新たな患者さんが発生し続け、認定審査・訴訟が続いています。「私たちの苦しみ・悲しみは繰り返してほしくない」、国や企業はこの患者さんや遺族の声に耳を傾けて欲しいと思います。

九州朝鮮中高級学校創立60周年おめでとうございます

ちょっと肌寒い10月23日、折尾にある九州朝鮮中高級学校創立60周年記念行事に参加させていただきました。

朝鮮学校は、日本で暮らす在日コリアンの方たちが、自らの言葉、民族性、文化を伝え、子ども達のアイデンティティを育て伝えるために設立された学校です。展示された写真には、終戦間もない時期、在日一世の方たちが丘を切り開き池を埋めて子ども達のための学校を作る姿がありました。そこでは、戦前の日本の植民地支配のもとで、皇国臣民誓詞を強いられた在日コリアンの歴史を抜きに語ることはできません。

朝鮮学校の子どもたちは、北朝鮮の核実験や拉致問題を契機として、高校授業料無償化制度からの排除、自治体による補助金打ち切りやヘイトスピーチなど、いわれのない差別の中で学ばざるを得ない状況にあります。子ども達に罪はありません。日本の子ども達が日本語を学ぶように、母国語と母国の文化を学ぶことは、子どもの権利条約も認める子どもたちの権利です。

弁護士会は、日本で暮らすすべての子ども達が、国籍や親の社会的・経済的地位等の如何にかかわらず、健やかに学び成長する権利を守るため、力を尽くします。

球団福岡は札幌チームに返り討ち

日本シリーズは日本ハムファイターズの大逆転で終了。実力の差を見せつけましたね。
さてわが球団福岡は、日弁連野球全国大会に出場して1回戦札幌弁護士会の札幌ローヤーズと対戦。クライマックスシリーズで札幌(日ハム)に惜しくも敗れた福岡(ホークス)の雪辱を果たそうと奮闘しましたが、8対3と返り討ちにあってしまいました。また来年に向けて、厳しく?楽しい練習が始まることでしょう。