会長日記

2017年2月1日

会 長 原 田 直 子(34期)

福岡県弁護士会のHPにおいでいただきありがとうございます。

この時期は、いろいろなところで「受験」の話題を見聞きします。私たちの若いころに比べたら、福岡も私立志向が強くなったのか、小学校からの受験について先輩パパ・ママへ相談する声が聞こえます。

公立でも高校・大学への進学に奨学金は不可欠という家庭も少なくありません。給付型奨学金の拡充が望まれます。

トランプ旋風と法曹の役割

トランプ氏の大統領就任は、選挙中の発言を、次々に大統領令によって実行しています。考えてみれば、公約を実行するのは当たり前なのですが、手法が大統領令という形で即座に行われたこと、その内容が「自由の国アメリカ」でまさか本当に!という内容を含んでいるので、びっくりしてしまいます。

最近のトピックは、移民・難民の受け入れ停止とイスラム圏といわれる7か国の一般市民のビザも90日間発給停止にしたこと。これに対して、アメリカ司法省長官代行のイエーツ氏(弁護士有資格)は「私の責任は、司法省の立場が法的に正当であるようにすることに加え、あらゆる事実を考慮した上で法のあるべき姿についての最良の見識に基づくものであることを保証することだ」と述べ、この大統領令に従わないように指示し、解任されたと報じられています。

司法省長官は、日本でいれば、法務大臣か内閣法制局長官のような役割を果たすといわれています。閣僚の一人であれば、トップの意向に従うのは当然という考え方もありますが、連邦政府の法律問題を担当し、法の公正・公平な執行をつかさどる役割を考えると、トップの打ち出す政策が憲法上問題があるときには、その意見を述べるのも重要な役割かと思います。

イエーツ氏はオバマ大統領に任命され、トランプ氏が任命した司法長官が正式に決まるまでの間の代行でしたが、政治的立場にかかわらず、市民の権利保障に疑義がある場合には法律家として意見を述べる法律家としてのスタンスを貫いたという評価も可能かと思います。わが国では、集団的自衛権を巡って、内閣法制局の憲法解釈が変えられました。その時には、任命権者の内閣によって、集団的自衛権容認派の長官を誕生させ、解釈が変えられたと伝えられています。

任命する権限を時の政府が握っている限り、その意を受けた閣僚や官僚が登場するのはやむを得ないかもしれませんが、法律家として寄って立つ憲法の基本原理や手続きの適正については、妥協しない法律家であって欲しいものだと思います。

弁護士会の広告

2月1日付けの福岡市市政だよりに、天神弁護士センターの広告を掲載しています。広告といっても、誌面の下1/6段の半分ですから目立たないかもしれません。しかし、弁護士会としては初めての試みですので、お目にとめていただければ嬉しいです。

ところで、最近は弁護士や弁護士法人の広告が増えていますね。実は弁護士会もテレビCMやラジオCMを行っているのですが、予算の関係で週に一日、数回だけなので、ご存じない方も多いと思います。このHPで弁護士会のCMとしてご紹介していますので、ご覧いただければ幸いです。

弁護士・弁護士法人の広告

会員が行っているテレビやラジオのCMについて、市民の皆様にご感想をうかがったことがあります。大々的にCMをやるような法律事務所は信頼できない(お金儲けに走っているのではないか)というご意見もあれば、テレビに出るのだから信用できるだろうというご意見もありました。皆様はどう感じられますか?

その他、HPを通じて法律事務所の特色をアピールすることも、多くの会員が行っていて、弁護士を選ぶのに参考にするという方も多いようです。

この業務に関する広告については、弁護士の業務広告に関する規程を設けて、

  1. 虚偽~経歴を偽ったり、架空人物の推薦文を掲載するなど
  2. 誤導の恐れ~特定分野での成功例をあたかも全てについて成功するかのように記載するなど
  3. 誇大~経験を誇張したり、すぐに解決するかのように記載するなど
  4. 困らせたり不安をあおる~今すぐ依頼しないと困難になるなど掲載するなど
  5. 別の弁護士また法律事務所との比較~○○より優れている・・など
  6. 法令や弁護士会の規程に違反するもの

などを禁止しています。市民の皆様が弁護士の広告をご覧になった場合、内容にウソかあるかどうかは調べなければわかりませんが(ウソが多いわけではありませんので念のため)、例えば「あなたの悩み100%解決します!」とか、「○○事務所より優秀なスタッフを揃えています」、「すぐに依頼しなければ過払金の回収ができなくなります!」などのように弁護士会の規程に違反する広告であれば、それ自体として、その弁護士や法律事務所は信頼できないといえるでしょう。また、地元(福岡県内)には事務所がないのに、どこででも相談できますと銘打っている場合もあります。広告には、弁護士や弁護士法人の名前と所属会を記載しなければならないことになっていますので、この点もご確認ください。

また、広告とは少し違いますが、有料で弁護士を斡旋することも禁じられています。「法律相談」とか「なんでも相談」という窓口を開いて、市民の皆さんの相談を受けたうえで、弁護士を紹介して紹介料を取るとか、弁護士の報酬を分けるなどの業者が存在しています。紹介料を請求されるようなことがありましたら、弁護士会にお知らせください。