会長日記

2016年9月15日

会 長 原 田 直 子(34期)

福岡県弁護士会のHPにおいでいただき ありがとうございます。

朝夕涼しくなり、日暮れが早くなってきましたね。季節の変わり目は体調を崩しやすい時期、皆様ご自愛ください。

パラリンピックの歴史

パラリンピックでも日本選手が活躍していますね。車いすでのバスケットやテニスの動きの速いこと、柔道や陸上競技ではその障がいに応じた様々なフォームとルールの工夫がされて,すばらしい力を発揮されています。改めて人の知恵と身体のすばらしさを知らされる思いです。

ところでパラリンピックの始まりは、第二次世界大戦で負傷し、脊椎損傷の障害を負った軍人のリハビリとして始められたアーチェリー競技会であることをご存知ですか。現在行われているリオデジャネイロパラリンピックにも、17か国から兵士や元兵士が参加しており、アメリカ選手団の10人に1人は、戦争負傷者ということです。私たちの記憶にも新しいイラクやアフガニスタンで負傷し帰還したと聞くと、戦争が現実のものとして感じられます。帰還しなかった方達、オリンピックにも参加した難民選手団、戦後に残された地雷を踏んでしまった子どもたちにも思いを馳せ、平和な世界での平和の祭典であって欲しいと願います。

選手の皆さん、がんばって!

平和憲法を守りましょう

9月19日は、安保法制の強行採決から丸1年となります。

長年、政府自身が憲法に反するといっていた集団的自衛権を認め、後方支援の拡大や自衛隊の武器使用基準が緩和など、恒久平和を掲げた日本国憲法から離れていく気がしてなりません。また、国民投票によってしか改正することができない憲法を、内閣の解釈や法律で変えてしまうに等しく、憲法に基づく統治という立憲主義の理念からも大いに問題です。

現に、自衛隊が南スーダンに行って、国連やNGO職員、他国軍の兵士らが武装集団に襲われた場合に助けに向かう任務(駆けつけ警護)を遂行する可能性が出ています。もちろん、その場合は武器の使用が前提でしょう。自衛隊員が、人を殺し、あるいは殺される場面も無しとは言えません。助ける対象が他国軍兵士の場合、日本が紛争当事国となってしまうかもしれません。

このことは、他の地域で人道支援を行っている方たちの安全にも大きく影響します。ペシャワール会の中村哲医師は、マガジン9のインタビューに答え、「武器など絶対に使用しないで、平和を具現化する。それが具体的な形として存在しているのが日本という国の平和憲法、9条ですよ。それを、現地の人たちも分かってくれているんです。だから、政府側も反政府側も、タリバンだって我々には手を出さない。むしろ、守ってくれているんです。9条があるから、海外ではこれまで絶対に銃を撃たなかった日本。それが、ほんとうの日本の強味なんですよ。」と述べておられます。

世界中のどこにいても、安全で安心して暮らせる社会。それは武力では生まれません。1年前の19日を忘れず、平和憲法を守っていきましょう。