会長日記

2017年7月12日

会長 作間 功(40期)

※福岡県弁護士会月報8月号に掲載予定です。

◇九州北部豪雨災害

7月5日から九州北部を襲った豪雨は、とりわけ福岡県朝倉市、東峰村及び大分県日田市に大きな傷跡を残しました。7月12日時点で死者25名、行方不明者22名、避難者は1388名、家屋被害は全壊104棟、半壊33棟と報道されています。お亡くなりになった方々には心より哀悼の意を表するとともに、被災された皆様には深くお見舞い申し上げ、一刻も早い復旧をお祈り申し上げます。

◇自然災害と弁護士・弁護士会の役割

日本はまさしく災害列島であると再認識せずにはいられません。九州に限っても、1991年の雲仙普賢岳噴火、1993年の鹿児島甲突川水害、2005年の福岡県西方沖地震、2010年の新燃岳噴火、2012年の八女水害、そして2016年4月には熊本大地震がありました。

自然災害は、住民の生命を奪い、生活基盤である住居を破壊し、運よく命は助かったとしても、仕事や財産は大打撃で、長い避難生活を強いられれば健康が害されます。家族・住居・財産を失った悲しみに加え、将来への不安が募ります。こうした中にあって、私たち弁護士・弁護士会は、被災者や被災地である自治体をはじめ、社会からの期待に応える必要があります。

◇九州北部豪雨災害に対する福岡県弁護士会の対応

7月6日、当会は臨時災害対策委員会を開き、県内17カ所の法律相談センタでーの相談を福岡地区と筑後地区は7月7日から、北九州地区と筑豊地区は10日からそれぞれ無料とすること、電話相談を7月11日から当面7月24日まで毎日開始すること等を決めました。

11日、災害対策委員会を開催しました。会長声明の発出と対策本部の設置を基本方針として決定しました。

12日昼、会長声明を発出し、対策本部を設置しました。午後3時からの常議員会で事後承認を得ました。

26日、弁護士向けに、今田健太郎弁護士(広島県)による水害・土砂災害の研修会を開催することとしました。

今後、現地相談の実施や電話相談の延長も念頭に入れ、状況に応じた支援をしなければならないと考えています(7月12日時点)。

このような状況の推移の中で、災害対策委員会の委員の先生方には、ボランティア団体の会議への参加(吉野大輔会員、松尾朋会員)、現地へ弁護士会のうちわの配布(金谷比呂史会員)、法律相談の割振り、資料集め、日弁との連携、等々、献身的に取り組んでいただきました。また、土日祭日を含め電話相談に応じていただいた会員、その他有形無形に支援していただいた会員には、本当に頭の下がる思いでした。紙面を借りて御礼申し上げます。

◇ボランティア団体と弁護士会

ここで、7月9日吉塚にある県の合同庁舎で九州北部豪雨支援者情報共有会議が開催され、災害対策委員会の吉野大輔委員長及び松尾朋委員とともに出席しましたので、そのときの状況をご報告します。

会を取り仕切っていたのは、東京都千代田区大手町に本部をおく特定非営利活動法人の代表者。名古屋から来福されたとのことでした。50を優に超えるボランティア団体が出席し、県からは社会活動推進課の職員、また内閣府からも防災担当の参事官補佐が出席されていました。日弁連からも災害復興支援委員会委員長の津久井進弁護士が、朝9時からの会議であるにも拘わらずわざわざ兵庫から駆けつけてくださいました。

配布された資料には、その時点ですでに様々な団体から報告がなされていたとみえ、団体名と6日から8日までの活動状況が記載してありました。福岡県弁護士会の名前も記載してありました。

まずは県の社協から県内の被害状況の概略説明があり、続いて、各団体から、現地での活動内容と、収集した情報を元に被災状況、住民の様子、救援物資の状況、不足する物資の内容、住民のニーズ、懸念される事項、等の報告がありました。

その後、質問に移り、(1)朝倉市の避難所に関し、移設の必要性、(3)仮設トイレの増設の必要性、(4)段ボールベッドのニーズの要否、(5)ライフラインの回復の見込み、等について、質問がありました。

最後は、今後の会議のあり方について討議が行われました。

会議では、司会者から当会に報告が求められ、吉野委員長から、災害対策委員会が用意し配布した弁護士会ニュース災害Q&Aの説明、県内17カ所にある県弁護士会の法律相談について、面談相談の無料化と電話相談を開始することをアナウンスしました。

こうした会議に参加して弁護士がどれだけお役に立てるのか、正直わかりませんでしたが、会議後、参加者から、弁護士会が参加することだけでも心強い、と言われたことが印象に残りました。また、初日の電話相談件数は4件でした。この数を少ないとみるのか、それなりの件数とみるのか。わたしは、被災者にとっては、今は法律問題よりも現在の生活・安全安心の方が優先順位が高いと思っていましたが、現実の相談内容をみますと、親族の方からではありましたが、初日から借金の返済のご相談がありました。こうした心配がストレスに繋がり、健康被害をもたらすことが考えられますので、早期にアドバイスをすることで、早いうちに精神的落ち着きを取り戻していただけるのではないか、と思うにいたりました。法律相談も~数は少なくとも~早期に実施する意味はあると感じた次第です。

地元に貢献する弁護士・弁護士会でありたいと思います。