会長日記

2015年7月

会 長 斉 藤 芳 朗(39期)

1 安全保障法制の成立に反対する集会にご参加いただきありがとうございました

6月13日(土)午後に開催した集会及びそれに続くパレードには、会員約200名、総勢約1700名にご参加いただきました。多数のご参加、本当に、ありがとうございました。

集団的自衛権を行使するためには、まず憲法改正をすべきであり、憲法改正をせずに憲法解釈の変更あるいは法律の制定だけで集団的自衛権行使を容認するのは、法律家として許せない事態であります。国会の委員会に招へいされた憲法学者3名も違憲との意見を述べておられますが、当然の発言と思われます。

仮に、「憲法を改正して安全保障法制を制定しよう」という提案がなされているのであれば、現在の国際情勢や政治情勢に鑑み、「憲法改正も是」という考え方もあるのであって、政治問題、外交問題としての色彩を帯びてくるのは事実でしょう。そして、このような提案であれば、弁護士会が政治問題、外交問題に首を突っ込むのはどうか??との批判にも一理あると思います。しかし、今回の安全保障法制の提案の是非は、上記のとおり純粋な法律問題であり、政治問題、外交問題として片づけられるものではありません。当会としては、今後も、この法案の廃案に向けて、様々な活動を展開してまいる所存でございます。

2 ペーパーレス化に関連しての選挙制度の改革について

会長、日弁連副会長、県弁副会長に立候補する会員は、1月初旬に選挙の公示期間が始まるとほぼ同時に、所信(ペーパー)を作成し、郵送又はレターケースに投入して、各会員に対して送付するのが長年の慣行として続いております。県弁の副会長の場合、A4、1枚程度ですが、会長、日弁連副会長となれば、10頁程度の所信が作成されることも少なくありません。さらに、選挙となれば、各候補者から応援のメッセージが記載されたビラが配布されることとなります。他方で、選挙がなければ公聴会も開催されず、会長、日弁連副会長に就任する会員がどのような考え方を持ち、どのような発言をするのかは、未知数のまま選任されることとなります。

ところで、これから弁護士会の役員に就任される方々の期はどんどん若返る一方で、会員数は増加してまいります。所信(ペーパー)や応援ビラを会員数だけ印刷して、郵送等するのでは、費用がかさみます。ペーパーレス化が進む現在において、選挙活動もペーパーレス化して、立候補する会員の負担を軽減すべきと思います。具体的には、所信については、allfbenに流すことを認める。選挙になった場合の応援ビラについては、今後開設予定の会員が自由に意見交換することができるMLに流すことを認める。このような制度改革が必要なのではないでしょうか。

さらに、会長、日弁連副会長に立候補した会員に対して、選挙がなくても、会員の面前で、自己の所信を口頭で表明する機会を付与し、事前に会員から提出された質問に回答するようにすべきと考えます(このような機会を利用するか否かは立候補者の自由)。

このような制度を採用することについての会員のご意見を伺いたく存じます。

3 会務活動の有償化について

人権調査及び県弁の会長、副会長といった役員に対して報酬・費用を支払うべき時期に来ているのではないかと考えております。

まず、人権調査ですが、すでに人権調査室が設置されており、会館に届く人権救済申立書についての事前調査は調査室が行います(調査室の嘱託会員に対しては月額報酬を支払っております)。本調査が開始されると調査委員による調査が始まりますが、その負担は相当なものであります(刑務所等での事情聴取、報告書作成、執行部との協議、常議員会での説明。差戻しとなり再調査となることが度々あります。)。また、本調査まで進む案件の件数は、年間20件程度に過ぎません。しかも、本調査を担当する会員は若手会員であり、従前の慣例に従ってまったくの無償というのでは、本当に気の毒であります。

つぎに、役員の報酬・費用についてです。ご存じのとおり、北九州部会選出の副会長を除き、役員に就任しても無報酬であります。かえって、プール金と称して、会長は一定額の費用を拠出しております(副会長については、各部会がその一部を負担している)。さらに、会務として出張した場合の費用の全額が支給されるわけではありません(2008年度常議員会「執行部活動関連費申し合わせ」参照)。しかし、これからの弁護士会の役員に就任される方々の期はどんどん若返るのであって、このような無報酬どころか経済的負担をさせる制度を温存しておくことはできないと思われます。費用の100%負担は当然のこととして、一定額の報酬を支払うべきと考えます。財源としては、県弁一般会計と部会からの会員1名あたり年間1~2万円程度の負担金を充てることとなるのでしょうか。今後の議論にゆだねたいと存じます。