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海賊対処法に反対する会長声明

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海賊対処法に反対する会長声明
1 今国会に上程されていた「海賊行為の処罰及び海賊行為への対処に関する法律」案は,6月19日,参議院で否決されたにもかかわらず,同日,衆議院の特別多数決で再可決するという形で成立した。しかし,同法は,以下に述べるとおり,日本国憲法に違反するおそれが極めて強いものである。したがって,当会はこの法律の制定に強い遺憾の意を表明するものである。
                       記
① 自衛隊の海外活動に関する憲法上の制約への違反
同法は,海上保安庁が海賊行為へ対処することに加えて,自衛隊が海賊対処行動を行うことや一定の場合に自衛官が武器を使用することができる旨を規定する一方,その活動地域や保護対象となる船舶について何らの限定も加えていない。しかも,同法は緊急な事態に対処する特別措置法ではなく,恒久的な対応法として位置づけられている。しがたって,同法によれば,自衛隊が,領海の公共秩序を維持する目的の範囲(自衛隊法3条1項)を大きく超えた全世界の公海上で,全ての国籍の船舶に対する海賊行為に対処し,一定の場合には武器使用まで行うことを可能にすることになる。
しかしながら,日本国憲法は,恒久平和主義の精神に立ち,その第9条は武力による威嚇又は武力の行使を放棄し一切の戦力不保持,戦争放棄を宣言しているのであるから,本来,自衛隊の海外活動については,憲法上大きな制約が課されていると解されるところであり,同法はこの憲法上の重大な制約に違反するおそれが極めて大きい。
② 恣意的な武器使用につながる危険が大きいこと
しかも,同法では,自衛官が船体射撃(海賊船の機関部をめがけての射撃)や危害射撃(人に危害を与える射撃)を行う要件が,「他に手段がないと信ずるに足りる相当な理由」(同法6条)など,きわめて曖昧な規定内容となっているため,恣意的な判断の下に安易な武器使用がなされる危険性を否定できない。このような権限を自衛官に与えることは,一切の武力行使を禁止した憲法9条に違反するおそれが極めて大きい。
③ 民主的統制の観点からも重大な問題が存すること
さらに,同法は,自衛隊の海賊対処行動の判断は,内閣総理大臣の承認のもと防衛大臣が行うものとし,内閣総理大臣は国会に事後的な報告をすれば足りると規定しており,国会は承認機関ですらない。そして,海賊対処行動が急を要する場合には,内閣総理大臣の承認すら不要としている。このように同法は,海賊対処行動の権限を防衛大臣に集中させた内容となっており,民主的統制の観点からも重大な問題を有すると言わざるを得ない。
2 結論
現に海賊行為が行われているソマリア沖の問題を解決するために我国を含めた国際協力が必要であることは言うまでもない。しかしながら,武力を放棄し恒久平和主義を宣言した日本国憲法を有する我が国がとるべき国際協力の方法は,自衛隊の海外派遣という手段ではなく,無政府状態を原因とする貧困状態の解消に向けた支援活動など非軍事的国際協力によるべきである。したがって,海賊対処法は執行することなく,速やかにその廃止の手続きが執られるべきである。
以上
2009年6月25日
福岡県弁護士会 会長 池 永  満

消費者庁関連法成立に関する会長声明

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 2009年(平成21年)5月29日,消費者庁及び消費者委員会設置法,並びに同法関連法案が参議院本会議において全会一致で可決成立しました。
 これらの法律は,これまでの産業育成の行政から消費者のための行政に大きく転換し,また従来の縦割り行政を打破して,消費者行政全般を司る司令塔としての役割を果たす消費者庁を設置するものです。しかも,当初の政府案に対し,衆議院での超党派の修正により,内閣府に独自の組織として消費者委員会が設置され,その独立と権限が強化されています。
 この消費者庁及び消費者委員会は,国の仕組みの変革の基点となるものであり,このような極めて重要な国の組織変更を超党派の合意により断行したことは極めて画期的なことであり,高く評価します。
 当会は,2008年(平成20年)6月18日に強力な消費者行政を一元的に担う組織を造ること,地方消費者行政をより充実させること,違法収益のはく奪等に関する実効的な法制度を導入すること等を求める「消費者行政の一元化と地方の相談体制強化を求める会長声明」を発表しています。今回,会長声明で求めた事項につき,その実現に向けた大きな第一歩が踏み出されたことは,繰り返されてきた消費者被害の防止と救済のための大きな前進であって,心より歓迎します。
 同時に,当会は,消費者庁及び消費者委員会設置法の附則並びに衆議院と参議院の附帯決議で,今後の検討課題とされた、地方消費者行政の充実のために多くの弁護士が相談員の方々とともによりよい解決に向けて努力すること,市民の手による消費者被害の防止のための重要な制度である適格消費者団体の福岡県での設立を支援すること,悪質業者が得ている違法な利益を被害者に回復させることなどの課題について,消費者の権利擁護の立場から積極的に努力を続けていく所存です。
2009年(平成21年)6月4日
福岡県弁護士会
会 長  池永 満

声明(裁判員制度実施・被疑者国選拡大について)

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                会 長 声 明
1 はじめに
  本日、裁判員裁判制度が施行されるとともに、被疑者国選弁護人制度の対象事件枠が大幅に拡大されました。このような刑事司法制度改革の節目にあたって、当会は次のとおり決意を表明します。
2 裁判員裁判の実施にあたって
  主権者である国民が参加する裁判員裁判の審理は、従前、「調書裁判」と批判されてきた事態を脱却して、直接主義・口頭主義・当事者主義に基づく公判中心の裁判を実現する、刑事司法制度改革の契機となるものです。
裁判員裁判が実施されるまでの間に、公判前整理手続における検察官手持証拠開示が拡大されるなどの変化も生じていますが、取調全過程の録画による可視化が実現していないことや集中審理に対応しうるように保釈を原則とする制度的確立がなされていないことなど多くの重大な課題が残っていますので、引き続き被告人の権利擁護のため最大限の努力をしていく必要があります。
  当会は、日本弁護士連合会と連携して、裁判員裁判に対応できる弁護技術を研究し、会員に対する研修にも取り組んできましたが、今後も裁判員裁判における弁護人としての経験交流を行うなど会員の研修を強化し、被告人の権利擁護のためにより一層努力する所存です。
また、裁判員裁判の運用状況について一般市民と当会会員によるモニター制度を実施するなどして情報収集をすすめながら、実際に進められている裁判員裁判の検証を行うとともに、裁判員制度の改革及び運用改善に向けた提言を行う所存です。
3 被疑者国選弁護拡大について
  被疑者国選弁護の抜本的拡大は、刑事手続における被疑者の権利を充分に保障する基本的条件を整えるものであり、捜査の改革を推進する役割をも有するものです。
この制度は、当会が1990年12月に全国に先駆けて当番弁護士制度をスタートさせ、その後、全国の弁護士会が法律扶助協会(現・日本司法支援センター)と連携して弁護士費用がなくても弁護士に依頼できる被疑者弁護援助制度を実施し推進してきた到達点を示すものです。
  当会は、当番弁護士制度をスタートさせて以来どのような地域においても全ての被疑者が弁護人選任の機会を得られるよう、弁護士が少ない筑豊地区へ福岡や北九州地区から弁護士を派遣したり、国選弁護人登録者の拡大などに取り組んできましたが、この制度が被疑者の権利を保障するとともに充実した刑事裁判を実現する前提となることから、当会会員がより一層充実した弁護活動を行えるよう環境整備に力を尽くす所存です。
               2009年5月21日
                    福岡県弁護士会
                       会  長  池   永    満

ストリートビューサービスの中止を求める声明

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                  2008年(平成20年)12月1日
                 福岡県弁護士会 会 長 田 邉 宜 克
 
 本年8月5日から、Google(グーグル)社は、「Street View(ストリートビュー)」機能サービスの提供を開始した。
 これは、東京、大阪など12都市について、グーグル社のホームページ上で、地図の道路上のある地点を指すと、同社が撮影専用自動車で移動しながら撮影したその地点での360度の画像が見える機能で、主要道路に限らず、住宅街の狭い道路をも対象とした広範囲の画像が撮影・公表されている。そのような撮影を意識しない多数の市民が写っており、中には、ラブホテルに入る寸前のカップル、立ち小便をしている男性、路上でキスをする学生等も含まれていた。
 これらは、原則として正面の顔画像はぼかしがかかっているものの、撮影場所が明確に特定できるため、対象者を知っている人には、対象者の特定が可能である。また、顔にぼかしがかけられていない人の画像も散見されるほか、カメラの位置が歩行者の視点より約1メートルも高いため、通常であれば塀によって遮られる民家の中をのぞき見る形式の画像も散見される。
 しかし、わが国においては、公道での様子であっても、個人の私生活上の自由の一つとして、何人も、その承諾なしに、みだりにその容ぼう・姿態を撮影されない自由(プライバシー権の一種である肖像権)を有する(最判昭44.12.24,京都府学連事件判決、東京地判平7.9.27等)。
グーグル社の行為には、撮影の場面において?都市のほぼ全域にわたる広範かつ無限定の多数の市民の肖像を根こそぎ撮影していること、?高い位置からの撮影のため、撮影対象が家屋内にも及んでいること、?事前に公表目的での撮影を行うことを説明していないこと、また、公表の場面において、?問題のある画像を事前に個別チェックしていないこと、?テレビのニュース番組等のように一時的・背景的に映像が流れる場合と異なり、撮影場所が特定できる状態で長期間画像がさらされること、?電子データの特性上、画像が容易かつ半永久的に第三者により2次利用されうるという問題点がある。これらの点を、グーグル社のホームページ自体がきわめて多数の市民の目にさらされる強力な媒体であることと考え合わせれば、プライバシー権侵害の程度は大きい。
これに対し、ストリートビューは、遠隔地の画像が簡単に見られるという便益をもたらすものの、このような多数の市民に対するプライバシー権侵害を強いても仕方がないといえるほどの対立利益があるとは言えない。
 ユーザーの申告によって後から削除する仕組みによっても、すべての被害者が問題画像に気づく保証はなく、また、削除されたとしても2次利用の被害があり得るし、最初からプライバシー権侵害がなかったことにはならない。
グーグル社は、上記?〜?の問題点の抜本的解決を早急に図るべきであり、それができない場合には、このような画像の収集及びサービスの提供を中止するよう強く求める。

伊藤和也さん殺害に対する抗議声明

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                      2008(平成20)年9月2日
伊藤和也さん殺害に対する抗議声明
福岡県弁護士会
会 長 田 邉 宜 克
 福岡市に本拠を置く「ペシャワール会」スタッフ伊藤和也さんが,拉致され,その後,殺害された。
 福岡県弁護士会では,5月23日,憲法9条と国際貢献を考えるシンポジウムを開催し,「ペシャワール会」現地代表の中村哲医師にご講演いただいたばかりである。中村医師によれば,日本が過去半世紀以上にわたって一度も海外で軍事行動を起こしていないという歴史的な事実が,アフガニスタンの住民に良好な対日感情を育み,日本人であるがゆえ,身体・生命が守られ,無事,活動を進めることができたとのことであった。その体験談から,我々は、日本国憲法の平和主義が,民間の人道支援活動を実質的に支える意義をも有することを改めて認識することができた。
 伊藤さんは,ペシャワール会現地スタッフとして,献身的に農業技術支援に取り組み,アフガニスタンの多くの民衆から,感謝と尊敬を集めていたとのことである。
 伊藤さん殺害の実行犯やその動機の詳細は未だ明らかではない。しかし,いかなる動機であれ,尊い人命を奪う卑劣な行為を許すことはできない。
 福岡県弁護士会は,伊藤さんの献身的な活動とその実績に対し,深い敬意を表し,謹んで哀悼の意を表するとともに,伊藤さんを殺害した卑劣な行為に強く抗議する。そして,伊藤さんの遺志に報い,民間の人道支援活動を支えるためにも,日本政府に対し,日本国憲法の平和主義を全世界にアピールする活動を推進するよう強く求めるものである。
以 上

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