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裁判員裁判施行後1年を振り返って

カテゴリー:会長談話

裁判員裁判施行後1年を振り返って
          裁判員裁判施行後1年を振り返って
 昨年5月21日に裁判員裁判が施行されて1年が経過しました。  市民の皆様が刑事裁判に直接参加することによって、無罪推定などの刑事裁判の原則に忠実な「よりよい刑事裁判」が実現するとの観点から、当会は、司法への市民参加の意義を訴え続けてきました。  実際に、市民感覚が裁判に活かされていることは、判決の「量刑の理由」に現れています。従来は当然のように情状として斟酌されていた被害弁償の事実や被告人の年齢も、裁判員裁判では、なぜそれが量刑に影響するのかということが評議の場で議論され、裁判員の納得を得てはじめて量刑の理由として記載されているようです。このことによって、法律専門家にとって当たり前だった事実の評価、すなわち法律専門家の常識が、本当に常識といえるのかが、問い直されつつあります。  また、裁判員にとっては、裁判員裁判はおそらく一生に一度の体験です。実際の事件で、裁判員は、長い審理時間、集中し、真摯に裁判に参加していたと報告されています。裁判員のその集中力や、審理に対する意識の高さは、審理に緊張感を与えます。このことが、法律専門家の、ひとつひとつの裁判に対する意識を高め、内容の充実をもたらすことが期待されます。
一方、裁判員の負担軽減の要請の許に、審理時間の短縮、法廷に顕出する証拠の制限が強調されすぎているのではないか、という懸念が、実際に裁判員裁判を担当した弁護人から示されています。確かに、長時間の審理は、裁判員の負担となるでしょう。しかし、それを避けるために被告人の防御権を侵害するようなことになっては本末転倒です。また、判断に必要な証拠が不足している状態で、被告人の有罪、無罪や量刑について評議することは、むしろ裁判員にとって心理的な負担となり、かつ、評議に要する時間の負担も増す可能性があります。内容の充実した審理こそ、刑事裁判の本来あるべき姿であり、裁判員裁判の目指すところでもあります。当会としては、裁判員裁判において本当に充実した審理がなされているかを検証し、改善に努めていきたいと思います。
被告人の権利を擁護し、充実した審理を実現するために、弁護人の役割が重要であることは言うまでもありません。検察庁が裁判員裁判に組織的に対応し、その公判に複数の検察官が立会っていることに鑑みても、複数弁護人体制が必要不可欠です。この間、当会では、被告人国選事件ではほぼ全件で複数弁護人体制を実現して来たところであり、今後もこの方針を継続し、そのためのサポート体制も拡充強化する予定です。
 ただし、充実した審理を実現するためには、起訴される前の被疑者段階から弁護人が複数選任されることが必要不可欠です。しかし、刑事訴訟法上の障害等もあって、被疑者国選段階での複数弁護人は例外に止まっています。当会は、これまでも裁判所に被疑者段階での複数選任を要請して来ましたが、今後も積極的に求めていきます。  なお、当会は部会制をとっており福岡地裁久留米支部管轄地域には筑後部会、同飯塚支部管轄地域には飯塚部会があります。現在は、これらの支部管轄地区内で発生した裁判員裁判対象事件は、全て福岡地裁本庁に起訴されることになります。当会は、そのような事件については、やむを得ず、上記各部会と福岡部会が協力して弁護人を選任していますが、弁護人相互間や被告人との打ち合わせなどでの支障があることは否めません。また、筑後、筑豊地域の方が、裁判員候補者として福岡地裁本庁に呼出を受けている現状があります。これらの支部においても裁判員裁判が実施されるよう、裁判所の支部体制の整備を含めて、裁判所に要請していきたいと考えます。  さらに、未だに実現していない重大な課題として、自白偏重主義の撤廃、取調べの可視化(取調べの全過程の録音・録画)があります。志布志事件や足利事件などの冤罪事件では、捜査機関が虚偽の自白調書を作成していたことが明らかになっています。虚偽の自白調書により、市民が誤った判断をしないためにも、取調べの可視化が是非とも必要です。
当会は、被疑者・被告人の権利が十分保障された適正な刑事手続の実現を目指し、これらの課題の実現に引き続き全力を尽くします。
   本年度は、いよいよ否認事件や極刑求刑事件などの重大・困難事件が次々と審理にかかることが想定され、裁判員裁判の定着をはかる上での正念場を迎えます。  当会では、さらなるノウハウの蓄積、経験交流を通じて会員の弁護技術を研鑽するとともに、弁護人アンケート、市民モニター、弁護士モニター等の情報の分析、裁判員裁判検証運営協議会での議論等々を通じてその運用改善に努め、また、施行3年後の見直しに向けての取り組みを持続していく所存です。
                  2010年5月21日
                  福岡県弁護士会
                  会  長  市  丸  信  敏

民法(家族法)改正の早期実現を求める会長声明

カテゴリー:声明

民法(家族法)改正の早期実現を求める会長声明
1 選択的夫婦別姓制度等を盛り込んだ民法(家族法)改正案は、1996年(平成8年)に法制審議会において決定され、法務大臣に答申されているにもかかわらず、現在に至るも法律改正が実現していない。
この問題については、2009年8月には、国連の女性差別撤廃委員会が、第6回日本政府報告に対する最終見解において、家族法における差別的法規定の改正を最優先課題として早急な対策を講じることを厳しく勧告し、2年以内に詳細な報告を行うことを求めるに至っている。選択的夫婦別姓制度、再婚禁止期間の撤廃ないし短縮、非嫡出子の相続分差別の撤廃を内容とする家族法部分に関する民法改正は、以下に述べる通りいまや喫緊の課題である。
2 第一に、氏名は人格権の一内容を構成するものであって(最高裁昭和63年2月16日判決)、婚姻後も自己のアイデンティティとしての氏を継続して使用する権利は、憲法13条等に照らしても尊重されるべきである。それにもかかわらず、現行夫婦同姓制度により改姓を余儀なくされ(2008年人口動態統計によれば96.2%の夫婦が婚姻時に夫の氏を選択している)、職業上・社会生活上様々な不利益を被る者が多数存在し、その多くは女性である。こうした現状は、真の両性の平等と男女共同参画社会を実現する上で早急に解決される必要があり、選択的夫婦別姓制度が導入されるべきである。
第二に、女性にのみ課されている6か月間の再婚禁止期間は、父性の推定の重複を回避し、父子関係をめぐる紛争の発生を未然に防ぐことにあるとされるが、民法上、父性推定の重複は100日間しか生じ得ないうえ、そもそも科学技術の発達により、DNA鑑定等による父子関係の確定が容易になっている現在において、もはや再婚禁止期間を定める合理的根拠は失われている。同規定は、早期の結婚を希望する女性の男女平等(憲法14条1項)はもとより、同女性との婚姻を希望する男性をも含めた、結婚の自由(憲法24条)を侵害するものであり、速やかに撤廃されるべきである。
第三に、非嫡出子の相続分差別は、非嫡出子自身の意思や努力によってはいかんともしがたい事由により不利益な取り扱いを行うものであり、憲法13条、14条及び24条2項に反することは明らかである。最高裁判所においても違憲の疑いが繰り返し指摘されている。国際人権規約自由権規約、同社会権規約、子どもの権利条約等も、出生によるあらゆる差別を禁止しており、かかる差別規定は速やかに撤廃されるべきである。
3 以上、当会は、選択的夫婦別姓制度の導入、離婚後の女性の再婚禁止期間の撤廃ないし短縮及び非嫡出子の相続差別の撤廃に関する民法(家族法)の改正が、今通常国会において実現することを強く求めるものである。
2010年(平成22年)4月22日

福岡県弁護士会
会長 市 丸 信 敏

会長日記

カテゴリー:会長日記

平成22年度会 長 市 丸 信 敏(35期)
はじめに 「会長日記」執筆の命を受けました。元来、遅筆で、広報委員泣かせで恐縮ですが、一所懸命に責めを果たすように頑張ってみたいと思います(実は、早速、初回から大幅な期限遅れです。スミマセン!)。 今年度の重要課題については、先月号の月報(就任挨拶)で簡単ながらご披露させて頂き、また、先日も「2010(平成22)年度重点課題(執行部会務執行方針)」を会員の皆さまにお届けさせて頂いた次第ですので、会務に関するご報告は現時点ではそちらに譲らせて頂き(なお、ご高覧を頂きまして、執行部に対するご意見等、なんでも忌憚なくお寄せ頂きますようお願い致します。)、さしあたりは初心者マーク会長としての雑感を少し述べさせて頂きます。 バトンゾーン 任期が始まってまだ3週間ですが(4/21執筆時点)、すでに半年は優に過ぎたような気分です。この3月も終わりの頃、某副会長(当時はまだ「副会長予定者」)が某会合の挨拶で述べた「この2ヶ月が2年ほどにも感じます。考えてみれば、まだ任期も始まっていないのに…。」という絶句(?)に象徴されるように、準備期間も結構忙しいのです。挨拶回りの時に、弁護士会の役員の任期は全国的にも1年限りであることを弁明しますと、相手先は、大抵は驚かれたり、あきれられたりします。しかし、「1年が限界なんですよ。」と話しますと、「ハハーン」と大方は納得顔です。 私なりには、弁護士会執行部はトラックリレーの走者としてのイメージです。トラック1周を全力で駆け抜けて、次の走者にバトンリレーをする、無限にその繰り返しである、と。そうしますと、2月、3月の準備期間は、さしずめバトンゾーンです。このゾーンでバトンを受けてトップスピードまで持ってゆかねば、と自分に言い聞かせて準備にあたった積もりでした。…が、トップスピードどころか、駆け出してみますと、いかに足腰がか弱いかを早速に痛感しています。分からないことだらけです。そもそも、リレーに加わるまでのトレーニング不足が決定的に響いているようです。そんな訳で、謙遜ではなく、本当に他の執行部メンバーや常議員、各部会長、委員会の皆さん等々、会員の皆さんに支えて頂きながらの会務執行にならざるを得ませんので、どうかご支援の程を重ねてお願い致す次第です。 眠らない弁護士会 8年ぶりの執行部入りで感じていることのひとつに、弁護士会は眠らない、ということがあります。昔ですと、年度変わりの頃に委員会も一息つく、という感じでしたが、今では、すっかり様変わりをしています。いまや多くの委員会で利用されているMLでも、ほぼ24時間近くメールが飛び交っている感じがします(因みに、新執行部専用のMLだけでも、1月末頃に立ち上って以降の80日余でやりとりされたメールが早くも1200通を超えてしまいました)。 シンポジウムその他の行事が4月早々に予定されていたり、日弁連からの意見照会も年度をまたいで4月×日期限での回答を求めてくる等々。まして、この4月1日スタートした「中小企業法律支援センター」事業は、年度またぎ事業の最たるものでした。世の中全体が何かにつけスピードアップしており、日弁連や弁護士会自体が極めて短期日の即応を求められてきているこの時代、当会の常議員会も、やむなく年間23回の開催予定です(常議員の皆様、申し訳ありません)。 あいさつ廻りの苦しみと喜びと (あいさつ廻りの実態) 新執行部にとって、任期中(任期前を含めて)でもっとも忙しく肉体的にもつらいのは、おそらく、執行部立ち上げの準備と就任の挨拶回りが重なるこの時期です。今年度執行部は、初日(3月23日)の県知事、県警本部長などへの訪問から始まって、日程が許す限りは終日を費やして挨拶回りに努めてきました(実は、このスケジュールの調整に追われる井上・吉野の両事務局長がもっとも大変です!)。それでも常議員会の日や執行部会議の日、日弁連理事会出席で留守の日などは予定が組めず、結局、4月21日までの約1ヶ月間で延べ14、5日間ほどしか動けませんでした。しかも、4月に入ってからは第1回委員会が目白押しで始まり、その開始時刻までには会館に戻るように努めましたので、どうしても1日に回ることのできる訪問先数は限られてしまいます。 主な訪問先としては、裁判所・法務検察関係、自治体関係(首長さんや消費者センター)、社協など公的福祉団体、各種経済団体、金融機関、主要企業、政党、労働団体、マスコミ各社、専門職団体、法科大学院等々、約150~160箇所が目標です(4/21現在で140箇所程度の訪問を終えました)。今年は、訪問先を絞り込む作業の一方で、中小企業支援を重点課題に掲げさせて頂いておる関係上、各種中小企業団体や金融機関、各地の商工会議所等10箇所以上を新規の訪問先に加えました。その訪問先の示唆・紹介で新たな訪問先を加えたりしたことも幾度かありました。実は、訪問できていない大事なところがまだありますので、4月末頃までは追加して動き回ります。 (伝統の重み) 最近、幾人かの他会会長と話をする機会がありましたが、他会では、福岡県弁のようには挨拶回りをしていないところが多いようです。知る限りでは、ほとんどが法曹関係者先だけで済ませておられるようです。福岡が100数十箇所に回っていると話しますと一様にビックリされます。そして、名刺交換だけではなく、きちんと15分から20分程度(状況によって30分近く)は話をしている、と話しますと、2度ビックリされます。福岡のやり方が当然と思っておりましたので、他会の実情には、私こそビックリです。 挨拶回りでは、実は、当会の最近の重点活動などをレジュメやパンフレット類などを示しながら、さながらミニ・プレゼンテーションをさせて頂く時間が多くを占めています。当会で抱える委員会が55個に及び、沢山の会員が手分けして人権擁護その他多方面の市民向けリーガルサービス活動等を支えていることをアピールさせて頂きます。首長さん、会長・社長さん、会頭・専務さん、長官・所長・検事長・検事正さん等々、お会いさせて頂くみなさんは、実に誠実に耳を傾けて頂けます。そして、弁護士会に対してお世話になっていることの感謝を述べて頂き、あるいはこれからの期待を述べて頂き…。もちろん課題を頂いて帰ることもあれば、今後の連携強化に向けての有り難い糸口を頂くことも少なくありません。特に、今年は、中小企業支援活動についての今後の各団体等とのパイプ作り、連携について種蒔きができたと思っております。 当会が、日弁連でも、もちろん地元でも、活発な活動振りに高い評価を頂くことができているのも、これまで努力して来られた歴代執行部や本当に多く
の会員の皆様の尽力の成果であり、そして、日頃からの地元の各界各層、市民の皆さんの理解と支援があったからこそであることは言うまでもありません。この挨拶回りを通じて、弁護士会が本当にいろんなところで受け容れられ、支えられているのだということを痛感します。あいさつ廻りは、苦行ではありながらも、実は新執行部のメンバー一同にとって新鮮な感動の日々であり、そして、担うべき責任の重大さが身に染み入ってくる貴重な体験でもあるのです。 (役員就任披露宴にご協力を) 今年は、実は、挨拶回りに際して、来る5月25日の役員就任披露宴(会場:ホテルニューオータニ)の仮案内書をお渡しして参りました。この役員就任披露宴も、弁護士会のことを地元のいろんな方に広く知って頂くための大事な行事にほかなりません。できるだけ多方面から多くの人に足を運んで頂いて、弁護士会・弁護士と接して頂きたいと願ってのことです。どうか、会員の皆さまにおかれましても、当日の総会・記念講演会ともども、是非ともご参加を頂きますよう、最後のお願いです!(今からでも、お申し込みを受け付けます。) 穏やかな船出 さる4月15・16日の両日、日弁連で第1回の理事会が開催されました。注目の宇都宮新会長でしたが、冒頭の会務執行方針の説明を終えた時点で理事席(各会会長)からは拍手が湧きました。また、その後の議事も波乱なく進行し、温かい空気のもとで2日間の審議を無事に終えました。日弁連新執行部の具体的施策については今後順次に繰り出されてきます。当会としても、逐次、ご報告・ご相談を致しながら進みます。

会長日記

カテゴリー:会長日記

その12  <小さく生んだ器に、新たな酒が盛られることを期待して> 2月15日~3月14日
平成21年度 会 長 池 永   満(29期)
活動を集約しつつバトンを渡す 会長日記も12回目となり最終回を迎えました。(残る3月の半月分については、5月号掲載予定の退任挨拶で触れることになると思います。) 今回の日記期間は、初日(2月15日)に次期執行部への引継書の作成を完了するための執行部会議を開催し、2月21日には執行部各位が分担執筆し冨山総務事務局長が編綴した190ページに及ぶ引継書(門外不出、執行部限りの「平成22年度用福岡県弁護士会会務マニュアル」)を手渡しての引継会議(第1回)と懇親会、2月23日は次期執行部のため県弁各委員会の今年度の到達点と次年度の課題を報告することを主目的とした第4回委員長会議の開催、3月6日は県弁職員の皆さんの1年間のご苦労に感謝して慰労するとともに次期執行部の紹介を兼ねての懇親交流会、そして3月13~14日、大丸別荘で開催された横浜弁護士会、愛知県弁護士会と当会との現・次期執行部メンバーが勢揃いしての3会交流会を前にして13日午前中一杯使っての引継会議(第2回)により執行部としての引継を完了させる期間となりました。 と同時に、この期間は、今期執行部がその実現のために関連委員会の皆さんとともに1年を通じて努力してきた諸課題を総達成して活動を終局させるとともに、次年度執行部における活動の円滑なスタートを支援するための土台を築くという、最後まで「死に体」内閣になれないという過酷さを抱えつつも極めて充足感に満ちた時期ともなりました。   大連市律師協会との交流提携協定を調印 2月26日~28日、張耀東会長を始めとする大連市律師協会代表団18名が来福し、両会の「交流に関する合意書」を調印しました。代表団を歓迎しての記念行事等の詳細については別項記事に委ねますが、北九州で開いた前夜懇親会には北橋北九州市長が、調印式後の記念祝賀会には吉田福岡市長、郭中国総領事館首席領事ら多数のご来賓に出席いただき、また、多くの会員の皆さんが多忙の中、ご参集いただき成功のために尽力いただきましたことに心から感謝申し上げます。 とりわけ両会の調印式と記念祝賀会に、当会との交流提携協定を締結してから満20年が経過する釜山地方弁護士会の代表(2名)に参加いただいて、一衣帯水の間柄である日本・中国・韓国の3国において活動する弁護士会が、国際的な3会交流をスタートさせることにつき、互いに賛意を表明しあったことは極めて重要な意義があることだと思います。次年度は6月と11月に釜山地方弁護士会との間で交流協定20周年記念行事が計画されており、そのいずれかで3会交流を実現できればすばらしいことです。 なお私が記念祝賀会で行った挨拶は後掲のとおりです。 「パパ・ママ弁護士支援」の会費免除制度を創設 ~4月1日から適用へ 朝日新聞で標記の呼び名がつけられた「育児期間中の会費免除規程」が3月11日の臨時総会で採択されました。その実施規則も同日の常議員会で承認されました。1歳未満の子供さんを抱えている会員(男性女性を問いません)が、1月平均で週あたり35時間未満まで就業時間を削減しながら育児に励む場合に、その支援のために会費等を免除する制度です。その申請方法や免除される会費等の範囲等については別途詳細に連絡していますが、当初女性会員のみに対する会費免除提案から出発したものが、両性の平等委員会を中心とする会内討議の中で、男女が共同して育児にあたることを支援するという思想に基づいた会費免除制度として結実できたことに深い感慨を覚えるとともに、男女共同参画時代の弁護士会づくりという観点からも一歩を踏み出すことができたのではないかと喜んでいます。 新規登録弁護士への「指導弁護士制度」を会則に明記 ~新62期以降の新人全員に「主任指導弁護士」を選任します。 3月11日の臨時総会において「会員研修規程」の改正が採択されました。改正点は、新規登録弁護士が研修に励むように援助する「指導弁護士」を配置する制度を会則上明記したことです。 指導弁護士の選任方法等については、同日の常議員会で採択された「新規登録弁護士研修規則改正案」で定められていますが、従前、新規登録弁護士に義務付けられていた個別研修を支援するための個別指導弁護士とは別に、やはり研修が義務付けられている集合研修や会務研修等を含め、1年間を通して新規登録弁護士の研修への参加等を指導援助する役割を持つ「主任指導弁護士」を新規登録弁護士の全員を対象として選任配置することにしたものです。 主任指導弁護士は、事務所に就職している会員については、原則として新規登録弁護士を雇用している弁護士や先輩弁護士が就任することになりますが、同一事務所内に適任者を確保できない場合や即独の会員に対しては会長が適切な主任指導弁護士を選任することとしています。なお、会長は指導弁護士の選任等に関する事務を新規登録弁護士が所属する部会の部会長に委託することができることとされています。 なお新規登録弁護士に対する1年間の研修内容の充実策については、現在、研修委員会を中心として司法修習委員会、法科大学院運営協力委員会を含めた関連委員会の協議会を開催して検討を進めています。また、研修の拡充に必要な予算を確保する方策として、3月11日の常議員会において「財務に関する規則」を改正して弁護士会の一般会計における勘定科目の中に「研修費」の中科目を新設するとともに、執行部において各部会が運営している相談センター会計の中から研修費の実質増額を支えるための一般会計への繰り入れ(600万円前後)を行う方向での予算協議を始めています。5月定期総会において協議の結果を反映した予算が採択され、当会における新人研修を含む会員研修計画を抜本的に拡充していく一歩が切り開かれることを期待しています。 弁護士会として初めて会員に対する義務的研修を定めた従前の会員研修規程は16年前の総会で制定されましたが、実は当時の研修委員会担当副会長であった私自身が起案したものです。会員研修規程に基づいて、会長は毎年「会員研修基本計画」を定めて周知するとともに、それを実行する体制を確立し、予算措置を講じることとされています。 会員研修規程が制定されて以降、研修委員会を中心とする関係者の努力の中で、会員研修自体は年々拡充してきましたが、その制度枠組みにはほとんど手を加えられず、前述のように勘定科目には「研修費」という費目すら設定されないままに推移していました。今回新規登録弁護士に対する研修体制の強化を検討する中で、会員研修規程の改正を総会に提案することになりましたが、何か不思議な因縁のようにも思えます。 地域に開かれた新会館建設への夢を語り合おう 3月12日
、九州大学が六本松跡地をURに売却する契約を締結したと新聞発表されました。法曹三者も、それぞれURとの間で、URが取得する六本松跡地への移転に関する協定を締結しています。新会館を建設するための準備を本格的に、かつ公然と進めることができる段階に入りました。 そうした中で当会の公害環境委員会が、「福岡県弁護士会の新会館建設に関する、地球温暖化防止対策の観点からの提言書」を執行部宛に提出しました。そこでは、・太陽光発電システムを導入すること、・無駄な空調や照明の使用を避けるために、会館自体を自然の風や太陽光等を利用しやすい構造とすること、・その他、二酸化炭素排出量削減の取組に配慮した構造とすること等が提言されています。 私も、提言書が指摘しているように「環境に配慮する弁護士会」を社会にアピールしていくという観点はもとより、弁護士会自身も地域社会を構成する一員として地球温暖化防止のための社会的責任を担うという立場に立って、ぜひともこの提言が生かされることを願っています。また他の委員会や会員におかれても、これから数10年にわたる弁護士活動の拠点となるべき新会館のあり方や備えるべき機能等に関して、多くの意見や希望を持たれているのではないかと思います。 もとより、そうした希望を生かそうとすれば、当然のことながら新会館建設費用の高額化を招き、短期的にはより多額の資金負担を会員にお願いしなければならないということにもなろうかと思いますので、そうした点も含めて、会内における積極的な検討を進めることが不可欠であろうと思います。 併せて考えなければいけないことは、地域に開かれた弁護士会として市民の信頼の中で活動してこそ、弁護士・弁護士会の将来があるとすれば、その活動拠点である新会館の建設に関しては、会内議論だけではなく、末長い隣人となる六本松地域の住民の方々との話し合いも必要不可欠ではないかと思います。その際にも今回の公害環境委員会の提言等をふまえた姿勢を確立しておくことは、地域住民の方達の理解をいただく上で一つのポイントになるのではないかと思われます。 私は、この提言書を常議員会に報告するとともに、新会館取得本部(本部長は会長です)において、なるべく早期に広く会内議論を巻き起こすための重要な討議資料として取り扱っていただけるよう次期会長に対して引継を行いました。 日弁連会長の年度内決定を喜ぶ 史上初の再投票となった日弁連会長選挙。3月10日の再投票でも決まらず、4月の再選挙必至かとの悲観的な予測を覆して、宇都宮健児弁護士が会員票において劇的な逆転勝利をおさめて当選されました。 今後の会務運営という点では、日弁連執行部内の調整はもとより、日弁連執行部と日弁連各委員会、あるいは日弁連と単位会等の間において、司法制度改革課題を推進していく上での方針上の調整など相当困難な事態が予測されますが、私は、日弁連のために、とにもかくにも年度内に決着がついて会長が選出されたこと自体を心から喜んでいる一人です。 いずれにしても、当会選出の田邉宣克日弁連副会長のご苦労が偲ばれますが、健康に留意されて御奮闘いただきますよう祈念しております。 (3月14日記)

全面的国選付添人制度の実現を求める会長声明

カテゴリー:声明

 当会は国に対し、できる限り速やかに、国選付添人制度の対象を拡大し、観護措置決定を受けたすべての少年に弁護士付添人を選任できるよう法改正を求めるものです。
                    記
1 弁護士は、少年審判手続において付添人という立場で、少年に対し必要な法的援助を行い裁判所の事実認定や処分決定が適正に行われるよう活動しています。
  それによって冤罪から少年を守るとともに、非行に至った少年に付き添い、少年に反省を促し、保護者や学校、職場との環境調整、被害弁償などの活動を通し、少年の更生に多くの成果をあげてきました。
2 しかし、実際に弁護士付添人が選任される例は少なく、弁護士付添人の選任率は、少年鑑別所に収容され審判を受ける少年の約40%、審判を受ける少年全体では約8.5%に過ぎませんでした(2008年度)。成人の刑事裁判では、約98.7%の被告人に弁護人が選任されていることと比べると、未成熟な少年に対する法的援助は極めて不十分な状況にありました。このような状況が生じている大きな原因には、少年審判における国選付添人制度の範囲が殺人や強盗などの重大事件に限定されていることがあります。
3 さらに、平成21年5月21日からは、被疑者段階の国選弁護制度の対象が窃盗や傷害などの事件にまで拡大されましたが、これにより、少年の場合には、捜査の段階では国選弁護人が選任されたにもかかわらず、家庭裁判所の審判になると国選付添人が選任されないという事態が生じうる状況となっており、制度上の矛盾は一層明らかです。
4 福岡県弁護士会は、2001年2月、全国に先駆け「全件付添人制度」を発足させました。この制度は、観護措置を受け、付添人の選任を希望する少年については、すべて弁護士会の責任において、弁護士付添人を選任するという制度です。そして、この制度は全国に広がり、多くの少年に、その更生を手助けする弁護士付添人が選任される方向へ発展してきました。
5 不幸にして非行に至った少年たちも、わが国の未来を担う少年たちです。こうした少年を社会から排除するのではなく、自力で社会生活を送ることのできるように成長を手助けする役割は、本来、国の責務です。そのためには、観護措置決定を受け身柄を拘束された、すべての少年たちに国が弁護士付添人を選任する制度が必要です。
  よって、上記のとおり速やかな法改正を求めるものです。
                     2010(平成22)年3月25日
                        福岡県弁護士会
                        会長 池 永 満

福岡県弁護士会 〒810-0044 福岡市中央区六本松4丁目2番5号 TEL:092-741-6416

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