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会務報告〜日本司法支援センターの民事対応態勢について

カテゴリー:副会長日記

副会長  作 間  功
 平成18年は、長年にわたって議論されてきた司法改革の実行の年であることは言うまでもありません。ここでは私の担当の司法支援センターの民事関係についてご報告します。
1.日本司法支援センターに関する実務担当者会議(民事対応態勢)の開催
 これまで刑事弁護対応態勢が主に議論されてきましたが、民事関係について7月11日、日弁連にて全国的な協議会(「実務担当者会議」)が日弁連クレオにて開催されました。しかし、問題はまだ山積です。
 第1は、コールセンターに関してです。コールセンターとは、全国からの電話による問い合わせについて司法支援センターが東京にて一括して対応し、相談機関の紹介などの情報の提供業務を実施することをいいます。
 「法律相談はしない」というのが建前です。電話のオペレーターは弁護士ではありませんので、当然です。しかし、一言で終わるようなものまで一切相談は駄目だというのでは、市民からのニーズにこたえられないとのことで、「一般的な法制度」の説明はする、そのため弁護士をスーパーバイザーとして配置する、また、「FAQ」とよばれる「良くある質問と答え」をマニュアルとしてオペレーターに配布して対応してもらうとのことでした。しかし、「一般的な法制度」と「法律相談」の区別は困難です。弁護士会としては、さらにこうした司法支援センターの対応が弁護士会・弁護士による相談業務にどのような影響が出るかも気を配る必要があるように思います。
 次に、オペレーターはマニュアルに従い、「適切な相談先」を紹介するわけですが、そのマニュアルは適正なものでなければなりません。会議では「『土地収用についての不服申立』について、紹介先を弁護士会とともに司法書士会としているが、この問題は司法書士では無理である」という指摘がなされ、日弁連も関与している司法支援センター作成のFAQについての疑問が呈されました。
 さらに、オペレーターは適切な対応をしなければなりませんので、そのための会話マニュアル(「トークスクリプト」と呼んでいます)が用意されるとのことですが、「適切な相談先」を紹介するにいたるまでの会話の流れの中で、弁護士と司法書士との振り分けをどうするかという点で大きな問題を孕んでおり(先に試行された茨城では、司法書士会が「無料」をうたい、相談者の多くが司法書士会に流れたとのことでした)、円滑な運営に向けての調整が重要な課題となります。
 10月2日の「法テラス」オープンまで時間がありません。さらに議論を詰めて、より良い制度にしていく必要があります。
2.司法支援センター福岡地方事務所に対する申入れについて
 日弁連は、日本司法支援センターに対し、6月15日、日本司法支援センターにおける情報提供業務(上記のコールセンターのことです)に関し、要旨、日本司法支援センターは公的性格をもつことから法に違反する疑いのある運営をしてはならず、また相談者がたらい回しにされるような事態は厳に避けなければならないとの観点から、日本司法支援センターにおける情報提供業務において、利用者に弁護士以外の隣接法律専門職団体を紹介する際、当該隣接法律専門職者が法律上取扱うことのできる職務範囲を明確にした上、その枠内でなされるべきであるという考えに立ち、相談機関を紹介する段階において隣接法律専門職者の職務範囲に入るかどうか明らかでない場合には、当該隣接法律専門職団体を紹介することのないようにされたいという申入れをしました。
 上記要請は、情報提供業務に関するものですが、上記要請の趣旨は地方事務所が実施する法律相談業務(いわゆる扶助相談のこと。扶助協会時代は弁護士による相談のみが実施されていました)においても妥当するものと考えられるため、当会は、福岡地方事務所に対し、福岡地方事務所において隣接法律専門職者による法律相談を実施する場合には、当該隣接法律専門職者が法律上取り扱うことができない相談、及び法律上取り扱うことができるかどうか不明確な相談を隣接法律専門職者において実施することがないよう十分配慮し、もって、法律相談業務の適正な運営を行なっていただくよう要請しました。

福岡県弁会長日記〜6月中旬から7月中旬の会務活動

カテゴリー:会長日記

会 長  羽田野 節 夫
1.6月中旬より、第60期司法修習生を迎えて!
去る6月23日、第60期司法修習生(103人の修習生合同開始式が開催された。
従来60人位だった修習生がついに100人の大台を超えた。
福岡地裁簑田所長、福岡地検絹川検事正についで、福岡県弁会長として概略次のような話をした。
(1) 諸君のこれからの1年数ヶ月は、まさに実務修習という習いごとをする時期である。
習いごとと言えば、世阿弥が開いた「能」という芸能の世界で「守」「破」「離」という言葉がある。
・守は、型を守ること
・破は、型を破ること
・離は、型から離れて、独自の境地を作ること
今、諸君は、「守、破、離」の守の時を過していることとなる。
守の型を守るということは、我々法律の世界で言えば、基本となる原理原則をしっかりマスターすることである。そのためには、最初が肝心。人との接し方、礼儀作法が大切です。我々法曹、とりわけ弁護士は、人との信頼関係を構築して、初めて、有利不利を問わず全ての事実を明らかにしてもらえることとなる。初対面の方に、無礼、無作法に及んだり、尊大に振舞えば、依頼者との信頼関係が築けない。どうか礼儀を弁えることを肝に銘じて欲しい。
(2) 何事にも好奇心を持つことが大切。
昔、私共が学生時代に、「ベトナムに平和を市民連合」の代表者だった作家の小田実氏は、若い頃、「何でも見てやろう」という気持でいろんなことに好奇心をかきたて、それが肥やしになったとのことでした。
(3) 最後に、諸君は「何故法曹になりたいのか」という動機付け(モチベーション)を今一度考えなおして欲しい。そのモチベーションを高めて、高い志を持続させることが、諸君を大成させることとなる。
その後、7月7日、当会主催の修習開始式を経て、修習生歓迎会を開催したところ、総勢200人を超える会員らが集まり、盛況だったが、個々の修習生の顔が見えなくなる嫌いがある。
2.裁判員模擬裁判を傍聴!
(1) 7月1日(土)、福岡のロースクール生を対象とした裁判員模擬裁判が福岡高裁裁判官を中心として開かれた。なるべく多数の裁判員に関与させる趣旨で、裁判の合議体を三班作り、各々裁判長を高裁の刑事部総括が勤めた。事案は、これまでも何度か題材となった、スナック入口前の殺人未遂事件。橋山弁護人の活躍も空しく、三班とも有罪となった。終了後の座談会の席上、ロースクール生に対し「裁判員になれと言われたらなりたいですか?」との質問に15人中13人が「なりたくない」と答えたため、龍岡高裁長官はショックを受けたと感想を述べておられた。
(2) 7月4日(火)〜6日(木)と三庁合同の裁判員模擬裁判が新しい事件(共犯者による強盗傷害事件)によって実施された。弁護人役は3人。安武雄一郎会員と中原昌孝会員(新人)と裁判官による3人の弁護体制だった。
事案は、刑訴法321条1項2号書面の所謂、特信性が問題となる事案で、裁判員には少し難しかったと思われる。安武主任弁護人の無罪主張は、前掲書面が採用された時点で終えた。
終了後の座談会では、裁判員の服装が問題となり、裁判終了後、裁判員の顔が特定されないためにも裁判員用の何らかの法衣があった方が良いのではとの意見が出されていたのが印象的である。
3.健康がなにより!
会務活動は、膨大な資料に眼を通す必要があり、勢い、読み残しを資料としてカバンに詰め込み、事務所と会館を往来する。資料が多くなるにつれカバンも大きくふくらみ重くなる。重いカバンを持って私の事務所から会館まで往復するのが苦痛となり、ついつい車で通勤することとなり、運動不足となる。夕方は、何かと、やれ歓迎会だ、懇親会だと宴会が重なり、ついつい度が過ぎて健康を害する悪循環を積み重ねる。
この原稿を書いている頃(7月10日夕方頃)、訃報を受け、衝撃が走った。日弁連事務次長の矢澤昌司弁護士(41期)が享年49歳の若さで、くも膜下出血で逝去された。あまりにも痛ましく悲しい知らせである。同氏は、木上勝征先生の下で勤務され、修習時代を含め5年間福岡にいたので、存知あげていただけに悲しみは大きい。今年5月26日岡山で開催された日弁連定期大会での活躍振りが眼に焼き付いている。また、6月上旬頃に御逝去された吉田保徳先生(享年66歳)も一人娘を残して旅立たれてさぞかし無念だったでしょう。
いずれにしても、健康のありがたさを思い知らされる。不健康のスパイラル生活を送っている私自身、矢澤先生や吉田先生の死を無駄にしてはならないと自覚する。 合掌

例外なき金利規制を政府に強く求める会長声明

カテゴリー:声明

平成18年9月1日
福岡県弁護士会 会長 羽 田 野 節 夫
多様な現在の貧困の原因のうち,高金利が貧困問題の重大な原因であることがかねてから指摘されていた。すなわち,1962年に米国で発表された消費者利益保護に関するケネディ教書において,「消費者の所得を増加させようと努力するよりも,同じ努力をするのならば,消費者の所得をできるかぎり有効に使う努力の方が,多くの家庭の福祉の増進に大きく寄与することができる」とされているとおり,消費者の利益を保護するためには,家計にとって完全な冗費である高金利の支払いを許容し続けるべきではない。ところが,我が国は,未だ高金利を認めているために,2000万人にも及ぶサラ金・クレジット利用者の日々の生活・生存が危機に直面し、経済苦を理由とする自殺者が年間8000人とも言われる事態にあること,国民の健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を保障すべき生活保護行政においても,高金利を原因とする多重債務問題が大きな問題を投げかけていることを認識できる。
政府与党は、平成18年7月6日、「貸金業制度等の改革に関する基本的考え方」をまとめたが、その内容は、少額短期の貸付や事業者に対する貸付につき特例金利を認める余地を残しているなど、未だ極めて不十分な内容であると言わざるを得ない。
その後金融庁は、貸付金利の上限を引き下げるのに併せ、少額短期の貸し付けについては、上限金利の上乗せを認める方向で検討に入ったと報道されている。当会は、断固としてこれに反対し、改めて社会的・経済的弱者の生存権の保障・救済という観点に立ち、以下の内容を含む例外なき金利規制を政府に強く求めるとともに、今後、多重債務問題に苦しむ市民を行政・司法といった枠にとらわれず,できるだけ広く救済していくために最大限の努力を尽くすことを誓い、ここに声明する。
1.出資法の上限金利年29.2%を、利息制限法で定める年15%から20%の制限金利まで引き下げること。
2.貸金業の規制等に関する法律第43条(みなし弁済)を撤廃すること。
3.「日賦貸金業者及び電話担保金融に対する特例金利」を直ちに廃止すること。
4.少額短期の貸付や事業者に対する貸付も含め全ての貸付について特例金利を認めないこと。
5.保証料・振込手数料については、利息概念に含めること。

福岡県弁会長日記

カテゴリー:会長日記

会 長  羽田野 節 夫
5月24日(水) =定期総会で執行部原案承認=
 会長職を拝命以来、2ヶ月を経過し、7月号の月報が発刊される頃には3ヶ月を経過することとなります。
 執行部にとって5月に開催される定期総会は、執行部発足後最大の難関です。
 去る5月24日(水)ホテルオークラ福岡で開催されました。本人出席は75名でしたが、例年の参加人数(約50名位)より多くの会員に御出席戴きありがとう存じます。
 席上、執行部の最前列に座し、眼光鋭く資料を見詰める高木茂会員による手厳しい発言は、執行部を緊張させ且つ、会場の雰囲気を張り詰めたものにさせるに充分なものでした。高木会員の真剣な発言が、定期総会を格調高いものにして戴いたと執行部一同有難く思っています。会場も従来と異なり、地下鉄沿線のホテルとした工夫により、交通アクセスが容易で会員も出席し易かったのではないかと思っています。総会では、執行部原案が無事、満場一致で承認されました。
=川邊康晴様の記念講演
  「業務に役立つ元気の出る話」=

今回の試みとして、会員にとって「業務に役立つ元気の出る話」をしてもらおうと、定期総会後、役員就任披露パーティーまでの約1時間を、アライアンス・パワー(企業・業務提携)を提唱する川邊康晴様による役員就任記念講演を実施しました。この内容の詳細は別稿に譲るとして、川邊講師の講演により、勇気を得た会員も多かったと思います。
 会場には85名の会員が参加し、増永副会長をコーディネーターとして、進行されました。
=役員就任披露パーティー=
 福岡高等裁判所長官龍岡資晃様や、福岡高等検察庁佐藤賢一様、福岡市長山崎広太郎様外福岡県弁護士会と関係の深い、各界各層の方々約160名、県弁会員124名の参加の下、盛大に恒例の役員就任披露パーティーを開催することができました。
 主任・幹事の諸君や古賀業務事務局長の発案によるパワーポイントを使用しての会長のあいさつは、大概好評でした。
 当日、ごあいさつした話の概要を月報に掲載しますので、参加されなかった会員には、私が内外に示したメッセージを御高覧下さい。
=5月26日(金) 岡山にて日弁連定期総会開催=
 定期総会において、予算決算案が承認され、1つの宣言と3つの日弁連会長声明が可決承認されました。
 弁護士による依頼者密告制度法案(ゲートキーパー問題)に対し、私は、日弁の会長声明は、警察庁に対する密告制度に反対しているが、申告の対象が金融庁に変わった場合はどう対応するのか、福岡県弁は、「警察庁は元より、いかなる国家機関に対しても密告することを反対する」との対応をしているが、日弁もそうすべきではないかと問い詰めました。
 しかし、担当の松坂副会長は、「そんなことは全く想定していないし、想定できない」と紋切型の答弁であって失望感は否めません。
 福岡県弁や、日弁連の定期総会が終了し、新執行部は定期総会で示した課題と私自身が示した所信表明の実現のために、そして、会員の皆様に去来する将来の不安を除去するために、いよいよ、本格的な活動を具体的に開始しています。
=6月3日、4日 執行部合宿=
 6月3〜4日、執行部合宿を実施し、執行部一同は自らの足下を見直しています。
 先ずは、司法支援センターにおける、刑事対応、民事対応、態勢の問題点を検討し、07年問題といわれる「会員の大幅増員問題」について、真剣に議論し、近々、その具体的な対策を提案する所存です。

会務報告〜執行部の7不思議〜

カテゴリー:副会長日記

副会長  増永 弘
 会務報告です。真面目な記事ばかりなので、執行部が連日どのような活動をしているのか、実態が明らかになる話(勿論、笑い話です)をしておきましょう。
1 採点の怪
 執行部員やその関与する長時間の会議は、日常的に少しでも場をなごませようと、会長は駄洒落を良く言います。S副会長が採点し、「ウーン。15点」。しかし、会長は動じません。「エッ。15点もくれるの!」S副会長は100点満点で採点したのに、会長は10点満点で、満点以上の点をもらえたと思っている。司法改革の荒波にもまれ、いろいろな意見も続出の現在の会務。駄洒落をいう余裕があり、しかも、これくらい打たれ強い人でなければ、会長職は勤まらないと、しきり感心する他の執行部員なのでした。
2 深夜の怪
 執行部は泊り込んでの合宿もします。合宿での議論に疲れ、眠りにつけないK事務局長。疲れをいやそうと、少し散歩をして部屋に戻ると、真っ暗な部屋の布団の上で独り言を言い続けるM副会長。「あの人、精神不安定だと思っていたら、やっぱりイッていたのか。ヤバイ。早く寝てしまおう」とK事務局長。次の日の朝、M副会長の隣の布団だった会長にK事務局長はおそるおそる「昨晩、M先生、独り言を言い続けていませんでした」と尋ねた。「アレ。僕の声も聞こえなかった?昨晩は議論の残りなんかを、M君と布団の中でずっと話しよったとよ」と会長。独り言ではなかったと、ほっと胸をなでおろすK事務局長なのでした。
3 境界紛争の怪
 執行部室の各机は全部つながっており、ボーダーレスです。その上に各委員会、各単位会、会務などの決裁文書が、処理しても処理しても山のように積み重なっていきます。ちょっと油断すると、机の上は書類の山。多数の重要委員会を抱えるK副会長の机の書類の山が崩落すると、必然的にM副会長の机になだれ込みます。M副会長「ヒエー。書類に埋もれてしまう。境界侵犯だー」。このように今日も誰かの書類の山が隣の机を侵食している。それくらいの書類と格闘している執行部員なのです。
4 時間の怪
 筑後、北九州選出の副会長は、福岡の会館まで出てくるだけでも多大な負担になります。いつも3分だけ時間に遅れることが多いH副会長。執行部員の噂によれば、実は正確に時間を読んで赤坂駅で降りている。そこから走れば時間どおり。ところが途中で走り疲れて歩いてしまい、ほんのわずか3分だけ遅れることが多くなってしまうのだというのです。自分が小倉や久留米から来るとなると、こんな時間の遅れではすまないだろうなと思う私なのでした。
5 本当の主の怪
 この手の話には、実は本当は裏の主がいてという話がつきものです。弁護士会にもいます。そうです、執行部を支えているのは実は有能なT事務局長、K事務局長の日夜の活動であることは、衆目の一致するところ。そして弁護士会を支えているのは各委員会と委員の皆さんです。執行部の一員となって、本当に痛感しました。
さて、7不思議の5つまで発表しましたが、ちょうど紙面も尽きました。これ以上暴露すると秘密漏洩と言うことで、私が百叩きにあってしまうので、ここらへんでやめておきましょう。
 とにもかくにも、今後も会員の皆さんにご協力をお願いするに当たり、執行部の日常の活動を、違った形でご紹介しました。

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