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消費者行政の一元化と地方の相談体制強化を求める会長声明

カテゴリー:声明

 近年,こんにゃくゼリーによる窒息死事故や「船場吉兆」による一連の食品偽装表示事件が発覚し,また輸入冷凍餃子への毒物混入事件等により食品の安全・表示分野に対する消費者の信頼は著しく損なわれ,深刻な社会不安が広がった。また,ガス湯沸かし器一酸化炭素中毒事件,シュレッダーによる指切断事件,住宅の耐震構造偽装事件により,製品や住宅の安全性が大きな問題となった。更に,取引分野においても,年々巧妙化する振り込め詐欺,サラ金の違法取立,次々販売・モニター商法等に代表される悪質商法被害,英会話教室NOVAや福岡県に本店を置く株式会社エフエーシーの破産手続の開始等による消費者トラブルなど,多種多様な消費者被害が次々と発生ないし顕在化している。これに対し,従来の産業・業界別の縦割行政では,業界の育成を第一義としており消費者被害への対応が後手に回っている上に,それぞれの管轄と法的手続が複雑に分岐・錯綜しているために,これらの消費者被害の発生防止や被害救済の面において不十分である。
 一方,各地の消費生活センターなど地方自治体の相談窓口による相談・あっせん解決は,消費者にとって身近で頼りになる被害救済手段として重要である。ところが,自治体の地方消費者行政予算は,ピーク時の1995年度には全国200億円(都道府県127億円)であったものが2007年度は108億円(都道府県46億円)に落ち込むなど年々削減されており,地方の相談窓口は,十分な相談体制がとれない,あっせん率が低下している,被害救済委員会が機能していないなど,多くの問題を抱えている。
 地方自治体における法律相談関連予算の規模も拡大することは望めない状況にある。
 また,各消費生活センターにおいても,人件費削減のために相談員の有期雇用化が進み,そのため経験を積んだ相談員が退職していく上に,相談員の研修費用が削減されており,相談のノウハウの承継が困難となっている。
 このような状況下において,2007年10月,福田康夫内閣総理大臣は,就任直後の所信表明演説において「生産第一という思考から,国民の安全・安心を重視し真に消費者や生活者の視点に立った行政に発想を転換し,消費者保護のために行政機能の強化に取り組む」と述べ,2008年1月18日の第169回通常国会での施政方針演説では「各省庁縦割りになっている消費者行政を統一的・一元的に推進するための強い権限をもつ新組織を発足させ併せて消費者行政担当大臣を常設する。新組織は国民の意見や苦情の窓口となり,政策に直結させ,消費者を主役とする政府の舵取り役になるものとする」旨表明した。
 これを受けて自民党消費者問題調査会は,本年3月19日,「産業育成官庁から独立し,消費者・生活者目線で他省庁に指令を出す『消費者庁』の新設(強い監督権限)」,「地方消費者行政の充実」,「違法収益のはく奪」,「相談窓口の一元化」などを骨子とする最終取りまとめを行なった。また,民主党も消費者庁の創設に加えて,消費者保護官(オンブズパーソン)構想を提言するなど,野党各党も検討を進めている。3月27日には国民生活審議会総合企画部会が部会報告において消費者・生活者を主役とした行政への転換を提言し,4月2日には政府の消費者行政推進会議が発足した。
福田康夫内閣総理大臣は,本年4月23日,消費者行政推進会議において,「消費者を主役とする『政府の舵取り役』としての消費者庁(仮称)を来年度から発足させる」との意向を明らかにし,消費者に身近な問題を取り扱う法律は消費者庁に移管することや,地方消費者行政の強化を打ち出した。そして,消費者行政推進会議は,本年6月13日に,消費者に身近な30の法律を主管或いは共管することを明記したほか,消費者庁の果たす役割として,所管庁に対する指示・勧告権限など縦割り・すき間行政の弊害に対し迅速に対応するための諸権限や新規立法権限を持つ,司令塔の役割を求める最終報告を取りまとめたところである。
 当会は,この方針を高く評価するものである。消費者が主役の実効性ある制度とするためには,新組織に消費者行政を一元化し,十分な権限を与えるとともに,都道府県・市町村など消費者に身近な地方相談窓口において,人的及び物的体制を十分に確保することが必要である。よって,当会は以下のような新組織や制度の創設を強く求める。
1.新組織が消費者政策の企画・立案を行なうとともに,消費者被害が多発する主要な分野については事業者に対する規制監督権限を直接行使できるよう,関係法の所管を新組織に移管し,かつ縦割りを排除した横断的・一元的な規制監督権限を付与すること。
2.新組織が消費者の権利擁護の理念の下にその責任を果たせるよう,消費者団体に新組織に対する調査・勧告権限発動を求める申立権を付与し,新組織の運営に消費者が参加し監督することが可能な組織とすること。
3.新組織に消費者・事業者・公益通報者等からの被害関連情報を一元的に集約し,調査・分析・公表する権限を与えた上,この権限に実効性を持たせるため,被害の原因究明等のための機関を設置すること。
4.消費者行政は地方自治そのものであるという視点に立った上で,消費者の苦情相談が地方自治体の消費者生活相談窓口で適切に助言・あっせん等により解決されるよう,地方の相談体制の充実,情報の集約と発信,国と地方の連携等の施策を強力に推進できるような制度・体制を構築し,そのために必要な予算を国の責任で確保すること。
5.新組織ないし関係省庁が調査把握した情報に基づき,違法収益の機動的な凍結及びはく奪を行ない,適正な手続のもとで被害者に分配する制度を導入すること。
2008年6月16日
                           福岡県弁護士会     
                              会長  田邉宜克

福岡県弁護士会会長日記

カテゴリー:会長日記

                      会 長 田 邉 宜 克(31期)
はじめに
当会の抱えている課題や活動内容を会員の皆さんにお知らせするため、本年度も会長日記を毎月執筆掲載することにしました。
本年度1年間、宜しくお願いいたします。
就任挨拶回り−どこを
正副会長及び事務局長4、5名で、3月24日から4月11日まで、3週間にわたって福岡県内160か所を「弁護士会役員就任挨拶」で回りました。訪問先は、県内の裁判所・検察庁・法務省連施設、関連専門職団体、県や福岡市・北九州市はもとより、西は二丈町、東は豊前市、南は大牟田市まで当会と関連のある自治体、マスコミ各社、九州電力その他の地域企業や商工会議所、連合等々の労働組合、福祉関連団体、各政党、大学・ロースクール、各地域の医師会等々です。また、折角訪問するのですから、自治体の首長・社長・総長等のトップの方とお話しすることを原則としました。
就任挨拶回り−何を
挨拶回りの目的は、各界の方々に弁護士会が多様な公益活動を行っていることを知っていただくことです。特に、弁護士会の市民サービス部門(法律相談センター・多重債務・交通事故・高齢者「あいゆう」等々)の活動をお知らせし、チケット制等制度の利用と、内外への広報方をお願いしました。
併せて、裁判員制度への理解を求め、かつ、取調の全過程可視化実現要求署名への協力をお願いしました。ほとんど全ての訪問先で可視化の署名協力を要請し、県警4課出身の方々が陣取っておられる暴追センターでも、びびりつつも趣旨をお話し、チラシと署名用紙を受けとっていただきましたし、自民党県本部でも賛意を表していただき、現在、訪問先からの署名が当会に届けられています。
また、高齢者虐待対応チーム制度についてもお話ししましたが、積極的な反応を得られた自治体もいくつかありました。
毎日続けて多くの方々と面談することは、大いに疲れることは事実ですが、各界のトップに直接お会いすること自体が弁護士会にとって一つの財産になるのだと思いました。
来年5月21日裁判員法施行決定
1年後に裁判員法が施行され、被疑者国選対象事件の範囲が10倍に拡大します。当会は、これまでの刑事弁護等委員会、裁判員制度実施本部の活動をより充実させていくとともに、拡大する被疑者国選の制度を担うに十分な国選弁護人を確保するため、新に国選弁護対応体制確立推進本部を設置し、一人でも多くの会員に被疑者国選名簿への登録をお願いする具体的取り組みを進めて行きます。
また、この制度実施を踏まえて、司法支援センターとの連携も更に深めて行く必要があり、北九州支部のみならず、法テラス福岡事務所本体へのスタッフ弁護士配点についても、会内での議論を深めていく時期に来ています。
更に、取調の全過程の可視化(録画の義務付)を求める署名を5月までに目標の1万名を超えて集める必要があります。無論、執行部や刑事弁護等委員会を中心に活動しますが、会員の皆さんが一人10名ずつ集めていただければ、それだけで7,500名になるのです。是非とも積極的にご協力下さるようお願いいたします。
拠点事務所の説明会&面接実施
4月12日に弁護士法人あさかぜ基金法律事務所の入所希望者に対する説明会を行い、同月19日に面接を行いました。いよいよ今年の秋の開設に向けて第一歩を踏み出したことになります。説明会では、八代ひまわりの長先生と法テラス壱岐の浦崎先生に仕事の実状・過疎地の弁護士のやり甲斐・問題点等を具体的にお話しいただき、地域に弁護士が常駐することの重要性を再認識しました。また、「法テラスのスタッフ弁護士の重要な役割は利用者の為に法テラス本部と戦うことである。」、「都市公設スタッフの役割は、国選や扶助事件の処理に止まらず、収益性を考えずに事件に取り組めることや公の組織であるが故の行政との連携の取りやすさ等、その特性を活かして自ら考え、模索し、作り出して行くことができる。」との浦崎先生のご発言は、とても重要だと思いました。

より良い刑事裁判の実現を目指して

カテゴリー:宣言

2009年(平成21年)5月21日には、裁判員裁判が開始され、被疑者国選制度が大幅に拡大されます。この大きな変わり目を間近に控え、当会は、誤判を防ぐ、より良い刑事裁判の実現をめざして5つの決意を宣言します。
1 刑事裁判の基本的なルールの普及に努めます。
 刑事裁判は、無実の市民を罰しないために、無罪の推定、証明責任の原則(検察官に犯罪事実の証明責任があること)、合理的な疑いを残さない程度の証明、証拠裁判主義など基本的なルールに基づいて行われます。刑事裁判の判断の基準は、証拠に基づき良識に照らして考えたとき、検察官の言い分が合理的な疑いを挟まない程度に信用できるか否かにつきるのです。
市民のみなさんが、裁判員として参加されることで、これらの基本的なルールに忠実なより良い裁判が実現することが期待されています。
そのため、当会は、刑事裁判の基本的なルールを市民のみなさんに広くご理解いただけるよう、その普及に努めます。
2 「人質司法」を解消するため勾留および保釈について運用や制度の改革を求めていきます。
 わが国では、志布志事件(鹿児島県議会議員公職選挙法違反事件)など否認を貫いた被告人は、保釈も認められず長期にわたる身体拘束を受けることが一般ですし、起訴事実を認めていても、第1回公判前の保釈は極めて困難な実情にあります。このような取扱は無罪推定の原則にも反するものです。
 このような「人質司法」は被疑者・被告人に虚偽の自白をさせる元凶で、冤罪、誤判を招く温床になっており、その改善は今後も極めて重要かつ緊急な課題です。
殊に、公判前に争点を整理してから集中した審理を行うという裁判員裁判を実施するにあたっては、誤判を防ぎ、充実した審理が行えるようにするために、被告人と弁護人が十分に打ち合わせをする機会をよりいっそう保障されることが必要となります。
そこで当会は、この「人質司法」を解消するために、勾留および保釈について運用や制度の改革を求めていきます。
3 違法不当な取調べをなくすため取調べの全面的な可視化(取調べの全過程の録画)を求める運動を実行します。
 現在、捜査機関の取調べは密室(取調室)で行われています。これまでの裁判では被告人の自白調書が重要な証拠にされていたため、捜査機関の長時間の身体拘束状態での取調べや、脅迫・利益誘導・暴力を用いた取調べが行われるなど違法・不当な取調べを助長する結果ともなっていました。そしてこのような取調べによって虚偽の自白による冤罪も数多く生じています。
 このような違法な取調べをなくすためには、取調べの全過程を録画するという「取調べの可視化」の実現が必要です。
 取調べ可視化によって違法な取調べを防ぎ、虚偽の自白を防止する制度を作ることは、自白の任意性や信用性をめぐって審理が長期化することを防ぎ、裁判員に過重な負担をかけることを防ぐことにもなり、裁判員裁判の実施にとっても不可欠となります。
 現在、検察庁などで行われている取調べの一部の録画では、録画時以外になされた違法な取調べを明らかにできないばかりか、捜査官に都合のよい部分のみが録画されるおそれがあり、かえって嘘の自白の信用性を高めてしまう結果となりかねません。
 当会は、取調べの全面的可視化実現に向けて精力的に取り組んでいきます。
4 裁判員裁判の課題を検討し、その適切な制度運用を求める活動に努めます。
 裁判員裁判は、市民の良識を刑事裁判に反映させるものであり、また公判中心主義の裁判(見て聞いて分かる裁判)を実現する重要な契機となります。このことから、誤判の防止に役立つ可能性をもっている制度ですが、裁判員の負担を減らすことを過度に強調するならば、本来必要な被告人・弁護人の立証活動までが制約され、かえって誤判を招く事態にもつながりかねない制度になってしまいます。
 現在、準備が進められている裁判員裁判には、弁護人の選任のあり方、公判前整理手続のあり方、裁判員選任のあり方、裁判員に対する説示のあり方、審理のあり方、評議のあり方、事後検証のあり方など、検討されなければならない基本的な課題があります。
 当会は、これらの課題を検討し、その課題を克服して裁判員裁判の適切な制度運用がなされるように求める活動に努めます。
5 制度改革に対応する弁護態勢を確立します。
 裁判員裁判では、公判前整理手続、連日開廷での集中した審理が予定され、弁護人には、短期間に集中的に充実した弁護活動をすることが求められています。その責任を全うするためには、一部の弁護士に負担が偏ることなく多くの弁護士が、この裁判員裁判の刑事弁護を担う必要があります。
 この裁判員裁判や被疑者国選弁護事件の拡大に対応するために、是非とも被疑者国選弁護登録者を拡大する必要があります。
 そこで、当会は、多くの弁護士が国選弁護登録をするように会員に働きかけをするとともに、現行の国選弁護制度が抱える課題の改善を、最高裁や法務省、政府に求めていきます。
 また、裁判員裁判を真に「刑事裁判に市民の健全な良識を反映させるための制度」にするためには、その手続内容が、市民にわかりやすいものでなければなりません。われわれ弁護士も、わかりやすい裁判を実現するための提言や弁護活動のあり方についての研究、研修、実践に励みます。
2008年(平成20年)5月22日
              福岡県弁護士会 会長 田邉 宜克

九弁連あさかぜ基金法律事務所を成功させ、九州内の弁護士過疎・偏在を解消しよう

カテゴリー:宣言

九州弁護士会連合会は、九州内の弁護士過疎・偏在を解消するために弁護士法人あさかぜ基金法律事務所を開設し、その充実・発展を本年度の最重点課題としている。当会は、このあさかぜ基金法律事務所に対して技術的支援を尽くすことにより、その維持・運営に責任を負うものである。
 当会は、これまで福岡県内における市民に対する司法サービスの充実のために法律相談センターの積極的展開を図り、会員に対しても普段の働きかけを行ってきた。その成果として目下20箇所に及ぶ法律相談センターを開設し、その利用者は年々増大し、弁護士にとっても若手会員の生活基盤の確立に大きく寄与しているところとなっている。
 ところが、県外の九州内に目を転じるならば、まだまだ弁護士の少ない地域が目につく。たとえば、日弁連ひまわり基金法律事務所については、これまで東京などから若手弁護士が派遣されてきたが、九州内の弁護士過疎・偏在の解消のためには、やはり地元である九州・沖縄の弁護士会が起ちあがる必要がある。
 当会は、これまでも日弁連や九弁連とともに司法過疎の解消に取り組んできたところであるが、法曹人口が増大するという条件のなかで、さらに取り組みを強化することが求められている。
 あさかぜ基金法律事務所は当会が日常的に支えることになっており、毎年4人の弁護士を受け入れ、指導担当弁護士のもとで弁護士として必要な専門的技量および弁護士倫理を実践的に体得し、原則として1年6ヶ月後には九州各地の弁護士過疎・偏在地域へ送り出すことを目ざしている。
 当会は、全力をあげてその成功に責任をもち、取り組むものである。
2008年(平成20年)5月22日
               福岡県弁護士会  会長 田邉 宜克

福岡県弁護士会会長日記

カテゴリー:会長日記

                     前会長 福 島 康 夫(30期)
1 北九州引野口事件無罪判決確定
ひどい話である。話してもいない代用監獄の同房者が殺人、非現住建造物放火の犯行状況を告白するのを聞いたと供述したばかりに起訴され、求刑は18年だったとの事である。結局、小倉支部で無罪判決が下され確定した。冤罪がまた明らかになった。被告人本人は取調で一貫して否認をしていたが、本人から犯行告白を聞いたという同房者の供述が重視されて起訴されてしまったのである。代用監獄は違法捜査の温床だという言葉が生きている。違法捜査を起こしやすい制度は制度自体を廃止しなければならない。それにしても、1審で無罪が確定した際、元被告人の片岸さんが、うれしいというよりも腹が立つといわれていたことが心に残る。取調べの全過程の録画、代用監獄の廃止、いずれも私たち弁護士が世間に訴えていかなければならないことを再確認した。
田邊弁護団長をはじめとする北九州部会の弁護団のご苦労と重圧はいかばかりであったろう。最大限の敬意を表したい。
2 九弁連のあさかぜ基金法律事務所設置
3月21日の臨時総会で九弁連が設置主体となる「あさかぜ基金法律事務所」を福岡市に設置すること、および当会が技術的支援をすることが決定された。執行部として最後の大きな審議案件となったが、臨時総会でこの「あさかぜ基金法律事務所」が暖かい目で迎えられたことにホッとしている。これで九弁連の過疎偏在問題は解決に向けて大きく動きだした。まさに九弁連は一つになったと思う。何としてでも成功させなければならない。次年度の執行部の大きな課題である。今後暖かい目でこの「あさかぜ基金法律事務所」が成功するよう絶大な支援をお願いしたい。
3 裁判員裁判に向けて
裁判員裁判の実施まで1年と迫ってきた。最近毎日のように無罪判決の新聞報道に接するが、たまたまとは思われない。その理由として最近、裁判官が緊張感をもって審理に臨んでいるということではないだろうか。私たちはこれまで一般の市民にわかってもらうために無罪推定の原則をどう説明したらよいか突き詰めて考えたことがあっただろうか。裁判員裁判は模擬裁判をしている中で裁判官、検察官、弁護士それぞれに刑事裁判の原点に立ち返らせる効果を与えていると思う。
4 研修の充実に向けて
重要な法律の改正が毎年毎年行われている。めまぐるしい速さで世の中が変わっている。改正されるたびに法律書を買うと事務所の本棚は大変である。かといって、古い法律書に頼って執務をして懲戒になればもっと大変である。法曹の質の問題は新人ばかりではない。経験者に対する研修も含んでいる。
ところで、昨年1月から新61期修習生83名が当会で修習中である。今度の修習生の特徴は修習期間が1年。全員法科大学院出身で即実務修習に入り前期修習がない。そのため、研修所の教官の方が巡回して起案講評等を行っている。各実務庁の修習期間は2ヶ月しかなく、これでは刑事弁護を最初から最後まで修習できないことになる。これで1年後に弁護士として刑事弁護を1人でさせることには不安があるのは私だけではないであろう。
2月の理事会で新人弁護士の研修の意味でベテラン弁護士が一緒に刑事弁護ができるようにするため複数選任の制度を作るべきではないかということが問題になった。現在の制度設計では研修のための複数選任制度は認められていないが、早急に検討すべき課題である。修習期間の短縮をカバーするためには修習内容の工夫は勿論新人弁護士時代のOn the job trainingしかない。修習委員会と研修委員会の一層の工夫をお願いしたい。
5 皆さんに感謝 
この日記もいよいよ今回が最後である。前年度から引き継いで、毎月その時々の弁護士会の動きをお知らせしてきたが、最後まで続けて来れてホッとしている。原稿の締め切り日を過ぎてもまだ出せない私を、懲りずに督促していただいた広報委員会の委員各位にお詫びと共に感謝したい。
それにしても、この1年間は本当に目まぐるしかった。多重債務相談の無料化実施、これに伴うテレビ・ラジオの広報から始まり、会員の熱意と団結で様々な活動を行った。司法シンポ、民暴拡大協議会といった全国規模のシンポジウムが2つ、それ以外に7つのシンポを行った(憲法、消費者、人権、可視化、子ども、民暴 中小企業)。常議員会で決議した会長声明、意見書は50近くに達しようとしている。会員1人1人の皆さんの大いなる活動の成果である。当会の活動は衰えるところを知らないようである。
1年間、何とか任務を全うできたのも、会員の皆さんのご支援ご協力のお陰である。本当に感謝したい。
この福岡県弁護士会会長日記も次号から田邊次期会長にバトンタッチをすることになる。次年度もよろしくお願いしたい。
最後にあたって、私の最近の好きな言葉でこの日記を締めくくりたい。
「夢なくして計画なし。
計画なくして実行なし。
実行なくして成果なし。」

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