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カテゴリー: 声明

死刑執行に関する会長声明

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1 本日,福岡拘置所において1名の死刑確定者に対して死刑が執行された。
この執行は,昨年12月から1年にも満たない期間の3回、5人目の死刑執行であり,裁判員制度の下で死刑が確定し,執行された2例目となるものである。
死刑制度の存廃について意見が分かれており、また,裁判員への負担が問題になっているにもかかわらず,国会においてほとんど議論されないまま,死刑の執行のみが行われ続けている。
2 国際社会において,死刑制度は,徐々に廃止へと向かっており,現在では国連加盟国の約3分の2が死刑を廃止又は停止をしている。そして,国連人権関連機関からは,日本を含む死刑存置国に対し,幾度となく死刑廃止に向けた行動を取ることを勧告され続けている。
このような中,日本弁護士連合会は,再審無罪となった事件(免田・財田川・松山・島田)や袴田事件再審決定に代表される誤判・冤罪の現実的危険性を踏まえ,また,いかなる者であろうとも変わり得ることを前提に社会内包摂を目指すべきことを主な理由として,本年,「死刑制度の廃止を含む刑罰制度全体の改革を求める宣言」を採択し,日本において国連犯罪防止刑事司法会議が開催される2020年までに死刑制度の廃止を目指すべきこと,また,代替刑として,刑の言渡し時に「仮釈放の可能性がない終身刑制度」,あるいは,現行の無期刑が仮釈放の開始時期を10年としている要件を加重し,仮釈放の開始期間を20年,25年等に延ばす「重無期刑制度」の導入の検討等を政府に求めたばかりである。
3 当会は,政府に対して,今回の死刑執行について強く抗議の意志を表明するとともに,早急に,死刑制度の廃止へ向けた検討がなされ,それに基づいた施策が実施されるまでの間,一切の死刑執行を停止することを強く要請するものである。
2016年(平成28年)11月11日
                 福岡県弁護士会会長  原 田 直 子

安保法制採択から1年を迎え、 改めて安保法制の運用・適用に反対し、廃止を求める会長声明

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2015年(平成27年)9月19日に平和安全法制整備法および国際平和支援法(以下併せて「安保法制」といいます。)が強行採決されてから1年が経過しました。
安保法制が容認した集団的自衛権の行使や後方支援の拡大および武器使用基準の緩和等は、自衛隊が海外で武力行為に至る危険性が高いものであり、日本国憲法前文及び第9条に定める恒久平和主義に反するものです。また、閣議決定による憲法解釈の変更、これに基づく法律の制定は、実質的に憲法を改変するものとして立憲主義に反します。

ところが、稲田防衛大臣は、南スーダンに国連平和維持活動(PKO)の部隊として派遣されている自衛隊の交替部隊として11月に派遣される部隊について、駆けつけ警護や宿営地の共同防護の訓練を始めることを表明しました。その後の報道によれば、現にこのような訓練が開始されています。自衛隊に駆けつけ警護の任務が付与され、武器使用権限が与えられれば、自衛隊員が現地住民を殺傷し、あるいは自衛隊員が殺傷されるという危険な事態に至るおそれが極めて高くなることは明白です。

政府は、このような危険をはらむ安保法制を適用・運用すべきではなく、同法は国会において即刻廃止されるべきです。

当会は、憲法違反の安保法制に基づく運用が始まることに対して強く反対するとともに、安保法制の廃止を求めて、引き続き市民とともに取り組む決意を改めて表明するものです。

2016年(平成28年)9月19日
福岡県弁護士会
会 長 原 田 直 子

生活保護受給者が受け取る震災義援金に対して収入認定についての適正な取扱いを求める会長声明

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 2016年(平成28年)4月に発生した熊本大分地震に関し,熊本県に集まった義援金について,すでに第1次配分,第2次配分が行われている。
一方,被災した生活保護受給者(以下,たんに「受給者」という。)の中には,義援金を受け取った場合にそれが「収入」とみなされ,生活保護費の減額,停止または廃止がなされるのではないかという懸念を抱くケースが出てくることが想定される。実際、東日本大震災の際には、そのような取扱が見られ問題とされたことがあった。
 しかしながら,義援金は,必ずしも生活保護法上の「収入」として当然に収入認定されるものではない。すなわち,厚生労働省は,地方自治体の保護担当係長に対し,平成28年4月27日付事務連絡において,「被災者の事情を考慮し,適切な保護の実施に当たるよう,特段の配慮」を求めるべく通達している。ここでいう「適切な保護の実施」とは,「東日本大震災による被災者の生活保護の取扱いについて(その3)」(平成23年5月2日付社援保発0502第2号)でも明記されているとおり,「当該被保護世帯の自立更生のために当てられる額」については収入認定しないこととし,当該自立更生計画の策定については,「被災者の被災状況や意向を十分に配慮し,一律・機械的な取扱いとならないようする」して,費目・金額を積み上げずに包括的に一定額を自立更生に充てられるものとして計上するなど,柔軟な取扱いを行うこととされている。そして,厚生労働省も本年5月の国会答弁において,収入認定除外のために生活保護利用者が提出する「自立更生計画」について,「義援金については詳細な記述を求めていない」と回答している。
 こうした国の方針に鑑みれば,今後,熊本県や各自治体においても,自立更生計画の策定や報告の時期,さらには疎明資料について,柔軟な運用を行うことが求められるというべきであり,厚生労働省も,国会において,「被災自治体が義援金の取り扱いを適切に運用するよう丁寧に周知したい」と答弁したとおり,当該周知を徹底すべきである。当会は,熊本県の隣県の弁護士会として,福岡県内に避難してきている方々の無料面談相談を実施し,熊本県弁護士会のバックアップとして無料電話相談を実施している。その相談内容は、住宅、労働、借金と多岐にわたり、被災者の方々の生活再建が容易でないことを示している。被災した受給者が安心して義援金を受け取り,生活の再建に活かすことができるよう,国に対して事務連絡の内容を改めて周知徹底するよう求めるとともに,関係各自治体に対し,職員への周知はもちろん,被災した受給者に対して義援金を硬直的に収入認定の対象にすることがないよう,柔軟な運用を行うことを求めるものである。
                                    以上
                     2016年(平成28年)7月22日
                      福岡県弁護士会 会長 原田 直子

放送規制問題に関する会長声明

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「報道の独立性は重大な脅威に直面している。」これが、国連人権理事会に指名され、2016年4月に、「意見及び表現の自由」の公式調査を実施した特別報告者の日本の現状に対する評価である。

2016年2月8日、衆議院予算委員会で、高市早苗総務大臣は、野党議員が「憲法9条改正に反対する内容を相当の時間にわたって放送した場合、電波停止になる可能性があるのか」と質問したのに対し、「行政指導しても全く改善されず公共の電波を使って繰り返される場合、それに対して何の反応もしないと約束するわけにはいかない」と述べ、放送局が政治的な公平性を欠く放送を繰り返したと判断した場合、放送法4条違反を理由に、電波法76条に基づいて電波停止を命ずる可能性に言及した。

このような発言は、誤った法解釈に基づき、放送・報道機関の表現の自由を牽制し萎縮させるものであり、我が国の民主主義を根幹から揺るがしかねないものである。

国の主権者である国民が、自ら思考し、議論を重ね、政治的な意思決定をするにあたって、情報の自由な流通が確保されていることが重要であることは論を俟たない。それゆえ、憲法21条は、国民の「知る権利」を保障するとともに国民の表現の自由の実質的保障に必要不可欠である「報道の自由」を保障しているのである。

これを受けて、放送法第1条2号は、「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによって、放送による表現の自由を確保すること」を放送法の目的として規定した。

表現の自由は、一度侵害されれば民主制の過程で回復することが困難である。報道の自由との関係では、仮に政府から特定の立場に偏った報道を強いられると、国民は多様な見解に触れる機会を失うとともに、偏った報道を強いた政府を批判し制御するための情報源を失うことになる。主権者として政府を制御する側の国民が、情報を統制されることによって、立場が逆転することは、過去の歴史からも明らかである。

このように、憲法及び放送法全体の趣旨に照らせば、行政機関が主体となって、放送の内容を吟味・検討することは許されない。時の政府が、放送内容の「政治的公平性」を判断し、電波法76条などの罰則規定を用いて放送事業者を威嚇することで、放送事業者が萎縮してしまっては、国民の「知る権利」は形骸化してしまう。放送法4条が、放送事業者が自律するにあたって依るべきところの倫理規範であることは明らかである。総務大臣および現内閣は放送法4条を規制規範であると解釈しているが、それは、放送法はもちろん、憲法の理念にも反する。

このような誤った解釈を前提に、放送事業者に対し、電波法76条に基づき電波停止を命ずる可能性について言及することは、放送事業者だけでなく、情報を発信するあらゆるメディアに対して、報道の自由を萎縮させる事態に繋がりかねない。

国連人権理事会の特別報告者は、総務大臣の発言を、「メディアを制限する脅迫として合理的に認められる。」と評する。この評価は、政府の本当の関心が報道の内容やトーンにあるとの分析によるものである。2014年11月20日、自民党が、「選挙時の報道の公平性、中立性、正当性を保障するための要求」という手紙を放送ネットワークに送付した事実、また、アベノミクスに対する報道ステーションの報道内容を批判し、「公正で中立なプログラム」を要求する手紙を送付し、この中で放送法4条1項4号の基準を十分に考慮していないと述べている事実がこの分析を裏付ける。その上で、特別報告者は、放送法4条の廃止、そして、政府自らをメディア規制活動の外に置くことを勧告している。

以上のとおりであって、総務大臣発言は、憲法・放送法の趣旨に反し、かつ、国際基準に照らしても、メディアの独立性の重大な脅威となるものである。

よって、当弁護士会は、報道の自由を萎縮させ、国民の知る権利を侵害し立憲民主主義を損なう総務大臣の発言に強く抗議し撤回を求めるとともに、政府に対し報道・表現の自由への干渉・介入となり得るような行政指導や発言を行わないよう求める。

2016年(平成28年)6月10日
福岡県弁護士会
会長 原 田 直 子

朝鮮学校に対する補助金停止に反対する会長声明

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1 自由民主党は、2016年2月7日、「北朝鮮による弾道ミサイル発射に対する緊急党声明」を出し、「朝鮮学校へ補助金を支出している地方公共団体に対し、公益性の有無を厳しく指摘し、全面停止を強く指導・助言すること。」を求めた。
  同年3月29日、文部科学大臣は、「北朝鮮と密接な関係を有する団体である朝鮮総聯が」朝鮮学校の「教育内容、人事及び財政に影響を及ぼしている」と指摘し、朝鮮学校68校に対し補助金を支出している28都道府県に対し、朝鮮学校のみを対象として、補助金の適正かつ透明性のある執行の確保を求める通知を発出した。
  文部科学大臣の本件通知は、形式的には、朝鮮学校に通う子どもたちに配慮する姿勢を示しながら、実質的には、外交問題と補助金交付を関連づけることにより、各地方自治体における補助金の停止を促すものであり、朝鮮学校に通う子どもたちの教育を受ける権利を侵害するものであると言わざるを得ない。
  2014年8月29日に公表された国連人種差別撤廃委員会の最終見解においても、日本国内で地方自治体による朝鮮学校に対する補助金の割当の継続的縮小あるいは停止が行われている現況について、日本政府が地方自治体に対し、朝鮮学校に対する補助金提供の再開あるいは維持を要請することを奨励しているところであり、本件通知は、これにも背馳するものである。
2 言うまでもなく、朝鮮学校に通う子どもたちにも、人として、自己の人格を完成、実現するために必要な学習をする固有の権利である学習権(憲法第13条、第26条1項)は勿論、児童の権利に関する条約第30条、国際人権規約A規約(「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(A規約)」)第13条、人種差別撤廃条約(「あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する条約」)などにより日本社会において民族教育を受ける権利が保障されている。
  地方自治体による補助金は、公立私立を問わず、学校に通う全ての子どもにかかる経済的負担の軽減を図ると同時に、子どもたちの学習権及び民族教育を受ける権利を実現するために重要な役割を果たしている。とりわけ、朝鮮学校は、第2次世界大戦後、日本での定住を余儀なくされた在日朝鮮人が、朝鮮民族の言葉や文化を後世に承継させるために設立され運営された私立学校であり、かかる歴史的経緯を踏まえ、長年にわたって補助金が交付されてきた事実を軽視してはならない。
  しかるに、朝鮮民主主義人民共和国に対する日本政府の外交政策と、朝鮮学校で学ぶ子どもの教育を受ける権利を結びつけ、補助金を削減・停止すれば、朝鮮学校に通う子どもたちだけが他の学校に通う子どもたちに比べて不利益な取扱いを受けることとなり、教育を受ける権利にかかわる法の下の平等(憲法第14条)に反するおそれが高いだけでなく、朝鮮学校に通う子どもたちの学習権を侵害することになることは明らかである。
3 福岡県には、学校法人福岡朝鮮学園が運営する4つの朝鮮学校が存在するが、小川洋福岡県知事は、本年4月12日の記者会見において、朝鮮学校に対する補助金支出につき、「補助金交付要綱に基づき、適正な執行に努めていきます。」と述べ、従前どおり支出を継続することを明らかにした。茨城県や名古屋市などが、朝鮮学校に対する補助金の減額や停止を検討するなか、福岡県知事の表明は、朝鮮学校に通う子どもたちの教育を受ける権利を擁護するものとして高く評価されるものである。
4 当会は、朝鮮学校に通う子どもたちが、日本社会における全ての子どもたちと同様に等しく教育を受ける権利を享受することができるよう、文部科学省に対して、本件通知の撤回を求めるとともに、福岡県以外の地方自治体に対しては、朝鮮学校に対する補助金の支出について、補助金交付の目的を踏まえ、上記憲法及び人権条約の趣旨に合致した運用を行うよう強く求めるものである。
                   2016年(平成28年)5月13日
                   福岡県弁護士会 会長 原 田 直 子

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