当会では、2017年(平成29年)3月22日の臨時総会において「福岡県弁護士会 男女共同参画基本計画~誰もが活躍できる開かれた弁護士会であるために」を決議しました。
当会では本計画に則り、弁護士会における男女共同参画の推進に取組みます。
福岡県弁護士会 男女共同参画基本計画~誰もが活躍できる開かれた弁護士会であるために(PDF)
2017年3月22日
2017年3月22日
当会では、2017年(平成29年)3月22日の臨時総会において「福岡県弁護士会 男女共同参画基本計画~誰もが活躍できる開かれた弁護士会であるために」を決議しました。
当会では本計画に則り、弁護士会における男女共同参画の推進に取組みます。
福岡県弁護士会 男女共同参画基本計画~誰もが活躍できる開かれた弁護士会であるために(PDF)
2016年12月13日
2016年12月2日に「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」が衆議院の内閣委員会で可決された。
当会は、2014年10月15日付けで「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」(いわゆる「カジノ解禁推進法案」)に反対する会長声明において、カジノが合法化されることにより、「暴力団員その他カジノ施設に対する関与が不適当な者の関与」、「犯罪の発生」、「風俗環境の悪化」、「青少年の健全育成への悪影響」、「入場者がカジノ施設を利用したことに伴い受ける悪影響」(カジノ解禁推進法案10条)などの問題が生じることを指摘していた。また、ギャンブル依存症は経済的破綻をもたらすのみならず、自らを死に追いやる危険性もある深刻な問題であること、カジノ解禁推進法案が成立すれば、刑事罰をもって賭博を禁止してきた立法趣旨が損なわれることなどを併せて指摘し、カジノ解禁推進法案に強く反対してきた。
そもそも賭博が刑罰をもって禁止されているのは(刑法185条、186条)、人の射幸心に付け込んで賭博を行わせることで、国民の勤労意欲を削ぎ、国民の健全な経済活動や勤労観念を阻害するからである。現行法制度の下、賭博を行うことができるのは特別法に基づいて許可を受けた公営団体のみとされているのは、上記のような危険性に鑑みてのことである。したがって、民間企業における賭博を認めるにあたっては、上記の危険性に対する具体的かつ十分な手当てが行われていなければならない。
しかしながら、カジノ解禁推進法案は、2013年12月に国会に提出されたものの実質的な議論が行われないまま2014年11月の衆議院解散に際して一旦廃案となり、その後、2015年4月に再提出されたものの1年半以上もの間全く審議されていなかったものが、2016年11月30日に急遽内閣委員会で審議入りをし、僅かその3日後には採決に至ったというものである。この経緯からも明らかなとおり、上記の危険性に対して慎重な議論がされたとは到底言えず、また、本法案について国民のコンセンサスを得たとも考えられない。
諸外国のカジノ事情の調査結果などを見ても、却ってカジノを設置した自治体周辺の人口が減少したり、IR型カジノの倒産が続くなど、カジノを設置したとしても、必ずしも期待していたほどの経済効果がもたらされないことが見て取れる。
我が国においては、ギャンブル依存からの脱却や暴力団その他の反社会的勢力の排除を支援して、国民が安心した生活を送り、健全な経済活動を行える環境を整えることこそが喫緊の課題となっているというべきである。
よって、当会は、カジノ解禁推進法案に改めて強く反対し、その廃案を求める。
2016年(平成28年)12月13日
福岡県弁護士会
会長 原田直子
2016年9月19日
2015年(平成27年)9月19日に平和安全法制整備法および国際平和支援法(以下併せて「安保法制」といいます。)が強行採決されてから1年が経過しました。
安保法制が容認した集団的自衛権の行使や後方支援の拡大および武器使用基準の緩和等は、自衛隊が海外で武力行為に至る危険性が高いものであり、日本国憲法前文及び第9条に定める恒久平和主義に反するものです。また、閣議決定による憲法解釈の変更、これに基づく法律の制定は、実質的に憲法を改変するものとして立憲主義に反します。
ところが、稲田防衛大臣は、南スーダンに国連平和維持活動(PKO)の部隊として派遣されている自衛隊の交替部隊として11月に派遣される部隊について、駆けつけ警護や宿営地の共同防護の訓練を始めることを表明しました。その後の報道によれば、現にこのような訓練が開始されています。自衛隊に駆けつけ警護の任務が付与され、武器使用権限が与えられれば、自衛隊員が現地住民を殺傷し、あるいは自衛隊員が殺傷されるという危険な事態に至るおそれが極めて高くなることは明白です。
政府は、このような危険をはらむ安保法制を適用・運用すべきではなく、同法は国会において即刻廃止されるべきです。
当会は、憲法違反の安保法制に基づく運用が始まることに対して強く反対するとともに、安保法制の廃止を求めて、引き続き市民とともに取り組む決意を改めて表明するものです。
2016年(平成28年)9月19日
福岡県弁護士会
会 長 原 田 直 子
2016年6月10日
「報道の独立性は重大な脅威に直面している。」これが、国連人権理事会に指名され、2016年4月に、「意見及び表現の自由」の公式調査を実施した特別報告者の日本の現状に対する評価である。
2016年2月8日、衆議院予算委員会で、高市早苗総務大臣は、野党議員が「憲法9条改正に反対する内容を相当の時間にわたって放送した場合、電波停止になる可能性があるのか」と質問したのに対し、「行政指導しても全く改善されず公共の電波を使って繰り返される場合、それに対して何の反応もしないと約束するわけにはいかない」と述べ、放送局が政治的な公平性を欠く放送を繰り返したと判断した場合、放送法4条違反を理由に、電波法76条に基づいて電波停止を命ずる可能性に言及した。
このような発言は、誤った法解釈に基づき、放送・報道機関の表現の自由を牽制し萎縮させるものであり、我が国の民主主義を根幹から揺るがしかねないものである。
国の主権者である国民が、自ら思考し、議論を重ね、政治的な意思決定をするにあたって、情報の自由な流通が確保されていることが重要であることは論を俟たない。それゆえ、憲法21条は、国民の「知る権利」を保障するとともに国民の表現の自由の実質的保障に必要不可欠である「報道の自由」を保障しているのである。
これを受けて、放送法第1条2号は、「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによって、放送による表現の自由を確保すること」を放送法の目的として規定した。
表現の自由は、一度侵害されれば民主制の過程で回復することが困難である。報道の自由との関係では、仮に政府から特定の立場に偏った報道を強いられると、国民は多様な見解に触れる機会を失うとともに、偏った報道を強いた政府を批判し制御するための情報源を失うことになる。主権者として政府を制御する側の国民が、情報を統制されることによって、立場が逆転することは、過去の歴史からも明らかである。
このように、憲法及び放送法全体の趣旨に照らせば、行政機関が主体となって、放送の内容を吟味・検討することは許されない。時の政府が、放送内容の「政治的公平性」を判断し、電波法76条などの罰則規定を用いて放送事業者を威嚇することで、放送事業者が萎縮してしまっては、国民の「知る権利」は形骸化してしまう。放送法4条が、放送事業者が自律するにあたって依るべきところの倫理規範であることは明らかである。総務大臣および現内閣は放送法4条を規制規範であると解釈しているが、それは、放送法はもちろん、憲法の理念にも反する。
このような誤った解釈を前提に、放送事業者に対し、電波法76条に基づき電波停止を命ずる可能性について言及することは、放送事業者だけでなく、情報を発信するあらゆるメディアに対して、報道の自由を萎縮させる事態に繋がりかねない。
国連人権理事会の特別報告者は、総務大臣の発言を、「メディアを制限する脅迫として合理的に認められる。」と評する。この評価は、政府の本当の関心が報道の内容やトーンにあるとの分析によるものである。2014年11月20日、自民党が、「選挙時の報道の公平性、中立性、正当性を保障するための要求」という手紙を放送ネットワークに送付した事実、また、アベノミクスに対する報道ステーションの報道内容を批判し、「公正で中立なプログラム」を要求する手紙を送付し、この中で放送法4条1項4号の基準を十分に考慮していないと述べている事実がこの分析を裏付ける。その上で、特別報告者は、放送法4条の廃止、そして、政府自らをメディア規制活動の外に置くことを勧告している。
以上のとおりであって、総務大臣発言は、憲法・放送法の趣旨に反し、かつ、国際基準に照らしても、メディアの独立性の重大な脅威となるものである。
よって、当弁護士会は、報道の自由を萎縮させ、国民の知る権利を侵害し立憲民主主義を損なう総務大臣の発言に強く抗議し撤回を求めるとともに、政府に対し報道・表現の自由への干渉・介入となり得るような行政指導や発言を行わないよう求める。
2016年(平成28年)6月10日
福岡県弁護士会
会長 原 田 直 子
2016年5月25日
当会は,憲法違反の安保法制を国会において直ちに廃止し,それまで同法制の運用を行わないことを求める。
2016年(平成28年)5月25日
福岡県弁護士会
「我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律」(平和安全法制整備法)及び「国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律」(国際平和支援法)(以下併せて「安保法制」という。)は,2015年7月16日に衆議院本会議で,また同年9月19日に参議院本会議でそれぞれ可決され,本年3月29日施行された。
当会は,安保法制が憲法違反であること,立憲主義に違背していることについて,これまでも繰り返し指摘してきたところである(「集団的自衛権の行使等を容認する閣議決定およびこれを具体化する法改正等に反対する決議」(2015年5月27日),「憲法違反の安保法制法案等の衆議院強行採決に抗議する会長声明」(同年7月16日),「憲法違反の安保法制法案の参議院における採決強行に抗議する会長声明」(同年9月19日)。)。
そして,当会のみならず,日本弁護士連合会,全国全ての単位弁護士会,九州弁護士会連合会ほか全国全てのブロック弁護士会連合会が同様に憲法違反の指摘をして安保法制の成立に反対してきた。
こうした反対の声は,国民の各界各層からも出され,とりわけ多数の憲法学者(2015年6月4日の衆議院憲法審査会では,与党推薦含む3名の憲法学者全員が安保法制につき憲法違反であると明言した。),歴代の内閣法制局長官,元長官を含む元最高裁判所判事らも憲法違反であるとの見解を表明してきた。
しかし,政府はこうした多くの国民世論や憲法専門家らの指摘を顧みることなく,安保法制を強行的に成立させ施行させたが,以下に述べるとおり,安保法制は憲法違反であり,立憲主義に違背することは明らかである。
したがって,安保法制は国会において直ちに廃止されるべきであり,また,廃止される以前においても,その運用が行われてはならない。
わが国憲法は,かつての侵略戦争によって国の内外におびただしい数の犠牲者と深刻な人権侵害をもたらしたことに対する痛切な反省の下,前文で「われらは,全世界の国民が,ひとしく恐怖と欠乏から免かれ,平和のうちに生存する権利を有することを確認する。」として平和的生存権を規定し,第9条1項で「日本国民は,正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し,国権の発動たる戦争と,武力による威嚇又は武力の行使は,国際紛争を解決する手段としては,永久にこれを放棄する。」として戦争の放棄を規定し,同条2項で「前項の目的を達するため,陸海空軍その他の戦力は,これを保持しない。国の交戦権は,これを認めない。」として戦力の不保持と交戦権の否認をそれぞれ規定した。
また,前文では,日本国民は「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し」「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して,われらの安全と生存を保持しようと決意した」として,非軍事の徹底した恒久平和主義を基本原理として定めた。
一方,冷戦構造の下,1954年に発足した自衛隊は,歴代内閣において,「自衛のための必要最小限度の実力」であって,「戦力(第9条2項)」にはあたらないから憲法9条2項に違反するものではないとされてきた。
仮に,自衛隊について,歴代内閣と同じ解釈に立つとしても,歴代内閣がこれまでも表明してきたとおり,自衛隊は「自衛のための必要最小限度の実力」にすぎないから,①武力行使を目的として他国領土への派遣(海外派兵)はできず,②自衛隊が武力行使を目的としていなくとも,他国軍の武力行使と一体化した活動はできず,③当然,自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を,自国が直接攻撃されていないにもかかわらず,実力をもって阻止する権利である集団的自衛権の行使も許されない(1981年5月29日政府答弁書)。
しかしながら,安保法制は,かような制約を超えて,①現に戦闘が行われている地域でなければ,戦闘地域であっても自衛隊が当該地域に赴いて他国軍の後方支援を行うことができるとして,自衛隊派遣の地理的場所的制約を外し,②当該後方支援の内容も,他国軍に対する弾薬の提供や発進準備中の爆撃機の給油等,いわゆる兵站活動にまで及ぶことを想定している。③さらには,国連PKOはもとより,いわゆる多国籍軍が行う治安維持活動(ISAF等)などにも,武器を携行した自衛隊を派遣し,自己防衛でなく任務遂行のための武器使用も許されるとした。そして,④一定の要件の下に,歴代内閣が戦後一貫して禁じてきた集団的自衛権の行使にまで踏み込んで自衛隊の活動範囲を拡げたのである。
こうした自衛隊の活動は,もはや「戦力」にあたらない「自衛のための必要最小限度の実力」行使をはるかに超え,他国軍の武力行使と一体化する危険を伴う活動であることは明らかであって,憲法第9条に明白に違反するといわなければならない。
立憲主義は,すべての国家権力の行使は,憲法に基づき,憲法に拘束されて,憲法の枠内で行われなければならないとする。
したがって,国家権力が勝手に憲法を変えたり,憲法を恣意的に解釈して憲法の本来もつ意味を変えることは許されず,憲法の変更は,憲法所定の改正手続き(憲法96条)によらなければならない。これは,憲法によって個人の自由・権利(個人の尊重)を確保するために,国家権力を制約することを目的とする,近代憲法の基本理念であり,日本国憲法の根本理念である。
すなわち,わが国憲法は,「すべて国民は,個人として尊重される」(13条)という最大の目標を実現するために,「最高法規」の章(第10章)で,憲法の最高法規性を定め(98条),その目的である基本的人権の永久・不可侵性を再確認するとともに(97条),その実現のために,国家権力の行使を担う公務員に国民の基本的人権を侵害しないよう,ことさら憲法尊重擁護義務を課した(99条)。
とりわけ,法律の制定・改廃や閣議決定の主体である国会議員ならびに国務大臣は,憲法を尊重擁護すべき義務を負っており,ましてや憲法の内容を,正規の改正手続に拠らず,法律の制定や,閣議決定による憲法解釈の変更によって改変するがごときは,かかる義務に正面から反するものであって許されないものである。
ところが,歴代内閣が戦後長きにわたって憲法上許されないとしてきた集団的自衛権の行使はもとより,他国の武力行使との一体化が避けられない戦闘地域における後方支援等,明らかに憲法違反の内容を含む安保法制を,憲法改正の手続もとらずに,強行的に成立させ,憲法第9条を実質的に改変するという暴挙に及ぶことは,立憲主義に真っ向から違背するものであって許されるものではない。
以上のとおり,憲法違反の安保法制は国会において直ちに廃止されなければならないものであるが,廃止以前においても運用が行われてはならないことは立憲主義の要請から当然のことである。
とりわけ,2011年11月以降,陸上自衛隊が南スーダンに派遣されているところ,政府は今後,安保法制に基づいて「駆け付け警護」任務を発令することを検討している。ところが2013年末以降,南スーダンは内戦状態に陥っているとされ,南スーダン政府軍と国連軍が紛争当事者となって戦闘行為が行われている状態にある。そうした中で,自衛隊に「駆け付け警護」任務が発令されれば,自衛隊が武力紛争に巻き込まれ,任務遂行を目的とした武器使用を行うことになれば,それ自体,他国軍の武力行使と一体化した活動に陥ることは必至である。
また,安保法制は自衛隊法95条の2を新設し,自衛隊の「防護」対象として,米軍を加えたが,これによって自衛隊が日常不断から米軍空母や戦闘機なども含めて防護することが任務とされた。このことは米軍に対する偶発的な攻撃を機に,自衛隊が戦闘行為に巻き込まれる危険性を高め,ひいては米軍の武力行使と一体化した活動に陥ることは必至であり,それがひいては集団的自衛権の発動に繋がる危険もあるといわなければならない。
このように,安保法制そのものの違憲性もさることながら,集団的自衛権の発動等の違憲状態が即座に引き起こされる切迫した状況にあることに鑑みれば,安保法制は直ちにその運用が停止されなければならないものである。
以上のとおりであるから,当会は,憲法違反の安保法制について,国会に対し,同法制を直ちに廃止すること,内閣に対し,同法制の廃止に至るまで,その運用を行わないことを強く求める。