法律相談センター検索 弁護士検索
アーカイブ

少年に関する実名報道へ抗議する会長声明

カテゴリー:声明

1 週刊新潮による実名報道
 「週刊新潮」は、平成27年3月5日号において、神奈川県川崎市で発生した事件について、主犯格と見られる18歳の少年被疑者の実名と顔写真を掲載している。同誌は、2月5日号、2月12日号においても、本年1月27日に愛知県名古屋市で発生した事件に関して、少年被疑者の実名を挙げたうえ、顔写真を掲載しており、同誌による実名報道は常態化している。
 このような報道は、少年について「氏名、年齢、住居、容ぼう等によりその者が当該事件の本人であることを推知することができるような記事又は写真」の掲載を禁じている少年法第61条に明白に違反するものである。
2 推知報道禁止の趣旨
(1) 少年法第61条が、少年について個人を特定する犯罪報道を規制した趣旨は、少年の名誉・プライバシーを保護するだけにとどまらず、少年が可塑性に富む存在であることに鑑み、少年の更生を妨げることになる社会の偏見を助長することを防ぐことを目的とするものである。
 実名や顔写真を掲載することにより、少年に否定的な烙印を押すことは、少年の社会的断絶をもたらし、本来、少年が有している更生への可能性を奪ってしまうことにもなりかねない。  
(2) このような少年事件に関する報道規制は、国際的な流れであり、少年へのラベリングを防ぐために報道に一定の規制をかける必要があることは共通認識となっている(児童の権利条約第16条及び40条2項(ⅶ)、少年司法運営に関する国連最低基準規則(北京ルールズ)8条)。
3 実名報道の弊害
 少年被疑者の顔写真を掲載し、実名を挙げることは、単に一般大衆の興味本位の関心を満足させるだけの商業主義的な行為である。
このような報道は、事案の真相究明にまったく役に立たなばかりか、偏見を助長し、法律が予定しない私的制裁に類するものであり、少年の更生を大きく妨げるものといえる。
4 まとめ
 当会としては、新潮社を対し、少年法61条及び児童の権利条約等に違反し、少年の人権を侵害するこのような報道を繰り返さないことを強く求める。
                    2015年(平成27年)3月19日
                            福岡県弁護士会
                            会 長 三浦 邦俊

接見室内での写真撮影に関する国家賠償請求訴訟判決についての会長声明

カテゴリー:声明

 2015(平成27)年2月26日、福岡地方裁判所小倉支部第3民事部は、拘置所内において、弁護人が接見室内でした写真撮影に関する国家賠償請求事件につき、極めて不当な判決を言い渡した。弁護団は、本日、同判決に対して控訴を申し立てた。
 本件は、当時弁護人であった原告が、小倉拘置支所の接見室内で被告人と面会した際、被告人から、「拘置支所職員から暴行を受け、顔面を負傷したので、怪我を証拠に残してほしい」との訴えを受け、負傷状況を証拠化する目的で、携帯電話のカメラ機能を用いて写真撮影したところ、撮影した写真データを消去することを拘置支所職員らに強制された事案である。
 判決には、多くの問題が存するが、なにより接見を弁護人等と身体を拘束された被疑者・被告人(以下「被疑者等」という。)との意思疎通に限定し、写真撮影は接見交通権に含まれないと断じた点に重大な問題がある。
 いうまでもなく、憲法及び刑事訴訟法39条1項の保障する接見交通権は、被疑者等が弁護人から助言を受け、有効な防御権を行使するために不可欠な権利である。
 この接見交通権の意義に照らせば、接見の際に得られた情報を記録化することも接見の一環であり、接見時における写真撮影は、接見時の被疑者等に関する情報の取得・記録行為にほかならず、その意味で接見時にメモを作成することと本質的な差異はない。接見で得た情報の記録化を否定することは、情報の取得行為を否定することに等しく、被疑者等の弁護人依頼権という憲法上の権利を危うくしかねないものである。実務上も被疑者等との接見の際に写真撮影や録音・録画が行えなければ、接見における情報収集及び記録化を前提とする公判廷等への顕出が極めて制限される結果となり、被疑者等や弁護人の防御権は大きく制約されることとなる。ましてや、接見室への通信・撮影機器の持ち込みを一律に禁止することには何ら合理性はないと言うべきである。
 判決は、弁護人等が情報を記録することを弁護活動のひとつとして重要なものとしつつも、刑事施設の規律・秩序を根拠として制約が認められるとした。しかしながら、被疑者等が、弁護人の実質的な援助を受けて初めて、当事者が対等であるという前提が整い、刑事手続は公正なものといえるのである。
 ところが、判決は、弁護人等が情報を記録することが、規律・秩序の維持にどのような問題を生じるのかについて、何ら検討を加えていないばかりか、刑事訴訟の基本構造を踏まえたものとは到底言いがたく、弁護活動の重要性を軽視する姿勢は顕著と言わざるを得ない。
 当会は、被疑者等の実質的な弁護を受ける権利の保障を実現するため、写真撮影が、接見交通権に含まれるものであることを改めて表明するものである。
                    2015年(平成27年)3月9日
                    福岡県弁護士会 会長 三 浦 邦 俊

産業構造審議会商務流通情報分科会割賦販売小委員会中間的な論点整理に対する意見書

カテゴリー:意見

2015年(平成27年)1月26日
福岡県弁護士会 会長 三浦邦俊
第1 意見の趣旨
1 加盟店契約会社(アクワイアラー)及び決済代行業者の加盟店調査義務の内容として、苦情発生時の調査義務の内容を具体的に定めるべきである。
2 マンスリークリア取引のカード発行会社(イシュアー)にも、消費者の苦情発生時の適切処理義務を認めるべきである。
3 マンスリークリア取引について、販売業者に主張できる事由をクレジット会社に対抗できる抗弁接続規定を適用すべきである。
第2 意見の理由
1 現在のクレジットカードを使った取引では、翌月一回払い(以下「マンスリークリア取引」という。)が大半を占めている。また、カード発行会社(以下「イシュアー」という。)と加盟店契約会社(以下「アクワイアラー」という。)の間に決済代行業者が介在する決済方法が増えており、この場合にはイシュアーがカード利用加盟店を直接管理できない仕組みとなっている。
このような状況のなかで、いわゆるサクラサイトなどの悪質なサイト業者が、マンスリークリア取引を使い、決済代行会社を介在させて決済させる方法を使って、被害を発生させている事例が当県においても多数見受けられるところとなっている。
2 このような被害発生状況をうけて、経済産業省産業構造審議会商務流通情報分科会割賦販売小委員会による「中間的な論点整理」では、加盟店契約を締結するアクワイアラー及び決済代行業者(以下「アクワイアラー等」という。)に対し、マンスリークリア取引及び包括クレジット取引を含めて、国内の加盟店との取引を対象とする場合は登録制及び加盟店調査義務等の法規制を課す方針を示しており、この点は賛成すべきところである。
しかし、アクワイアラー等の加盟店調査義務の内容が曖昧なものとなっている。これでは、実際に苦情が発生した場合に、その調査が十分に行われず、悪質な加盟店を排除することができないおそれがある。苦情発生時の調査義務の要件及び内容は具体的に定めるべきである。
3 また、「中間的な論点整理」では、マンスリークリア取引のイシュアーに対しては、顧客の苦情が寄せられた場合にアクワイアラーに情報提供する仕組みを検討する方針を示すにとどまっている。
先に示したような悪質なサイト業者の被害事例でもそうであるが、イシュアーは、消費者から販売業者との取引について苦情申立を受けた場合に、決済代行業者は加盟店ではないから確認できないなどとして、イシュアー側でアクワイアラーを通じて販売実態の調査をしようとする姿勢が見られないのが現状である。
イシュアーは、決済代行業者が入ることによってクレジットシステムを利用できる取引を拡大し、利益を受ける立場にある。現在、包括クレジット取引については、不適正取引排除義務の一環として、イシュアーに対する顧客の苦情発生時に苦情の適切かつ迅速な処理のため必要な措置を講じる義務(適切措置義務・割賦販売法第30条の5の2)が規定されている。イシュアーのクレジットシステムにおける地位やクレジット取引の構造上の特徴は、包括クレジット取引とマンスリークリア取引で異なるものではない。
そのため、情報提供というだけではなく、イシュアーを不適正取引排除義務の主体として位置付けた上で、マンスリークリア取引においても、イシュアーに対し、苦情発生時の適切措置義務を課すべきである。
4 さらに、クレジットを利用した取引における悪質な加盟店の排除と消費者被害救済の実効性を確保していくためには、不適正な販売行為によるリスクを消費者が負担するのではなく、イシュアーが負担する民事的ルール、すなわち抗弁接続制度を規定する必要がある。
近年のクレジットカードは、マンスリークリア取引と包括クレジット取引の機能を併用するカードがほとんどであるが、代金決済時にマンスリークリア方式を選択した後に、リボルビング方式(包括クレジット取引)を選択できるカードが多数を占めている。このような現状においては、包括クレジット取引とマンスリークリア取引で、消費者保護の内容に格差を設ける合理性は認められない。
したがって、マンスリークリア取引においても、抗弁接続規定を適用すべきである。
以 上

改めて特定秘密保護法の廃止を求める会長声明

カテゴリー:声明

本日、特定秘密の保護に関する法律(以下「本法」という。)が施行された。
 当会は、本法の法案段階から、同法の成立に反対し廃止を求める旨の会長声明を三度にわたり発表した。また、本法の問題点を市民と共に考えるシンポジウムを三度開催し、そのほか多数回に及ぶ街頭宣伝活動を展開してきた。
 そもそも、国が扱う情報は、最終的には国民の財産として国民に公表・公開されるべきものであると考える。ところが、本法は、①行政機関が秘密指定できる情報の範囲を広範かつ曖昧にしている点、②第三者による実効的なチェック体制を備えていない点、③それどころか、チェックをしようとする国民、国会議員、報道関係者などを重罰規定によって牽制する点で、およそ情報公開の理念に逆行するものとなっている。
 そのため、当会は、本法によって、主権者である国民が正しい意思決定を行うために必要な情報にアクセスできなくなり、国民の知る権利を侵害し、民主主義の根幹の破壊に繋がることが懸念されるとして、上記の各活動を展開してきたものである。なお、同様の懸念は、本法に関して、2014年7月26日に国際人権(自由権)規約委員会から日本政府に対して出された勧告意見中でも表明されている。
 そして、これらの懸念は、本法に関する「施行令」や「特定秘密の指定及びその解除並びに適正評価の実施に関し統一的な運用を図るための基準」等によっても、何ら払しょくされていない。
 また、政府は、本法の制定過程において、罰則強化や人的管理を内容とする立法の必要性について主権者たる国民に対して十分な説明をしていない。そのため、本法に関しては、国民的な議論が尽くされたとは到底言えず、これでは主権者たる国民の信認を得たものとはおよそ評価できない。
 従って、当会は、政府に対して、改めて本法を廃止し、制度の必要性や内容について、あらためて一から国民的な議論を行うことを強く求める。併せて、当会は、引き続き本法の廃止のための活動を行っていく所存である。
                                   以上
                   2014年(平成26年)12月10日
                      福岡県弁護士会 会長 三浦邦俊

福岡刑務所尿道カテーテル事件控訴審判決に対する会長声明

カテゴリー:声明

2014年(平成26年)9月19日、福岡高等裁判所は、2010年(平成22年)4月当時福岡刑務所の受刑者であった控訴人が、腰痛の訴えに対して尿道カテーテルを挿入・留置されたことを理由として国に損害賠償を求めた裁判において、国に慰謝料等の支払いを命ずる判決を言い渡した。
一審の福岡地方裁判所は、強い腰痛の訴え等当時の状況に照らし、一時的安静・転倒防止のために尿道カテーテルを挿入・留置した医師の判断には合理性があるとして請求を棄却していたが、このたびの控訴審判決は、刑事施設内における医療も、社会一般の医療水準に照らして適切なものであるべきことを前提として、①医師の腰痛に対する診療が医療水準にしたがったものとはいえないこと、②本件は尿道カテーテル使用に関するCDCガイドラインの適応条件を充たさないこと、③福岡刑務所以外の刑事施設では腰痛患者に対して尿道カテーテルを使用することなく他の方法で対応していることを指摘し、一審判決を取り消し、本件カテーテル使用の違法性を認めたものである。
当会は、福岡刑務所における本件同様のカテーテル使用につき、控訴人を含む福岡刑務所内の受刑者6名からの人権侵犯救済申し立てを受け、2010年(平成22年)9月、福岡刑務所長に対し、腰痛患者に対する尿道カテーテル留置が憲法13条及び刑事被収容者処遇法56条に違反する重大な人権侵害であり、この侵害行為に関与した医師らに厳正な措置を採るとともに再発の防止を徹底すべき旨の警告を、また法務大臣に対し、刑事収容施設内における診療体制の強化やそれに必要な予算の構築も含めた適切な再発防止策を講ずべき旨の勧告を発している。
福岡刑務所は、当会の警告に対して、「医療措置に問題なし」とコメントし、国は本件訴訟においても尿道カテーテル使用の正当性を主張し続けてきた。今回の福岡高裁判決はそのような考え方に理由がないことを明らかにしたものであり、刑事施設被収容者の基本的人権の擁護の観点から高い評価に値する。
国に対しては、この高裁判決を重く受け止め、自ら非を認めて上告を断念するとともに、改めて、当会の警告及び勧告に沿った再発防止策を実現するよう強く求めるものである。
                         
                    2014年(平成26年)10月1日
                              福岡県弁護士会
                             会長 三浦 邦俊

福岡県弁護士会 〒810-0044 福岡市中央区六本松4丁目2番5号 TEL:092-741-6416

Copyright©2011-2025 FukuokakenBengoshikai. All rights reserved.