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最高裁判決を待つことなく、直ちに、すべての人にとって平等な婚姻制度の実現を求める会長声明

1 同性間の婚姻ができない現在の婚姻に関する民法及び戸籍法の諸規定(以下「本件諸規定」という。)の違憲性を問う一連の訴訟の中の東京二次訴訟控訴審において、2025年(令和7年)11月28日、東京高等裁判所は、 本件諸規定は、憲法24条1項、2項及び14条1項のいずれにも違反しないとの合憲判断を下した(以下「東京二次高裁判決」という。)。

2 一連の訴訟においては、最初の判決である札幌地裁で違憲判断が示された(2021年(令和3年)3月17日)後、大阪地裁が合憲判断を下した(2022年(令和4年)6月20日)。しかしその後は、東京地裁(一次・二次)・福岡地裁が違憲状態の判断、名古屋地裁及び高裁段階では札幌・東京(一次)・名古屋・大阪・福岡高裁がいずれも違憲の判断を下していた。

  当会は、2019年(令和元年)5月29日の「すべての人にとって平等な婚姻制度の実現を求める決議」において、憲法13条、14条、24条や国際人権自由権規約により、同性カップルには婚姻の自由が保障され、また性的少数者であることを理由に差別されないこととされているのだから、国は公権力やその他の権力から性的少数者が社会的存在として排除を受けるおそれなく、人生において重要な婚姻制度を利用できる社会を作る義務があること、しかし現状は同性間における婚姻は制度として認められておらず、平等原則に抵触する不合理な差別が継続していることを明らかにした。その後も、一連の訴訟の判決が出される度に会長声明を発し、政府・国会に対し、同性間の婚姻制度を早急に整備することを改めて求めてきた。

  また、日本弁護士連合会は、2019年(令和元年)7月18日の「同性の当事者による婚姻に関する意見書」において、同性婚が認められないことは、性的指向が同性に向く人々の婚姻の自由を侵害し、法の下の平等に違反するものであり、憲法13条、14条に照らし重大な人権侵害である旨を述べていたところ、さらに、去る2025年(令和7年)12月12日、長崎市で開催された人権擁護大会において、「当事者の性別にかかわりなく婚姻を可能とする民法等の改正を求める決議」を採択し、改めて、本件諸規定の取扱いが平等原則に違反し、個人の尊厳を損なうものであることを指摘して、速やかに本件諸規定を改正することを求めている。

  東京二次高裁判決は、本件諸規定について、「一の夫婦とその間の子」の結合体を、社会の基礎的な構成単位となる基本的な家族の姿として想定し、夫婦が夫婦としてどうあるべきかという観点のみならず、その間に生まれてくる子の父母としてどうあるべきかという観点から、婚姻の具体的な要件及び効果を定めている、とし、その合理性を重視する一方、現実に、同性のカップルが存在し、異性カップルの夫婦と同様の社会的実態を持って生活している点や、子の養育をしている点、それにもかかわらずこれらを保護する法的効果を得ることができない点、家族としての公的承認を受けることができない点等の不合理に光を当てることなく判断をしている。このような判断は、上記の、これまでの違憲判決の積み重ねや、当会・日本弁護士連合会の見解等からして、到底受け入れられるものではない。

3 もっとも、東京二次高裁判決は、政府・国会において、同性間の婚姻制度を整備する必要がないと免責を与えるものではない点に留意しなければならない。

  すなわち、東京二次高裁判決も、国会の立法裁量を重視し、現時点において、本件諸規定が違憲とは言えないと判断したのみであり、同性カップルに法的保護は必要ない、国会において何ら立法を行わなくても良い、などと述べたものでは、全くない。それどころか、東京二次高裁判決においても、「我が国における立法の検討状況をみると、法律婚制度については、社会状況の変化を踏まえた改正が随時行われる一方で、同性の者同士に係る家族に関する法制度については、少なくとも約10年前から、政府において、国会等で慎重な検討を要すると政府が答弁等をしながら、その慎重な検討を開始したことをうかがわせる証拠がなく、国会においては、法律案が提出されても、審議が開始されないという状況にある。このことからは、かえってその慎重な検討は開始されていないこともうかがわれるのであって、その検討状況は、客観的にみて、控訴人らが性自認等に従った法制度上の取扱いを受けるという人格的存在と結びついた重要な法的利益が十分に尊重されているとは評し難い状況にある。」と指摘され、遅々として進まないどころか、一向に実質的検討すら行おうとしない政府や、審議にすら入れない国会の対応が批判されており、さらに、「人が性自認等に従った法令上の取扱いを受けることは、人の人格的生存と結びついた重要な法的利益であるから、このままの状況が続けば、憲法13条、14条1項との関係で憲法違反の問題を生じることが避けられない」とも明言されている。

  同性のカップルの権利・利益が尊重されていない現状を指摘する東京二次高裁判決の趣旨に照らせば、むしろ、政府・国会において、速やかに同性間の婚姻制度を整備しなければならないはずである。

4 しかるに、本判決を受け、木原稔官房長官は、「国の主張が認められた」と評価したと報道されている。これまで政府は、複数の違憲判決に対し、同性婚の制定は「極めて慎重な検討を要する」とか、同種訴訟や上級審の判断を「注視したい」などと消極的なコメントを発してきていたが、合憲判決に対しては評価のコメントを出すというのは、上記で指摘した、政府が今なすべき役割について、全く無理解であると言わざるを得ない。

  一連の訴訟は、いずれも最高裁に上告中であり、このまま推移すれば、遠からぬ将来、最高裁の判決が出される。当会は、その判決は、東京二次高裁判決を除き、5つの高裁が一致して違憲と判断した重みを踏まえ、個人の尊厳を何より重視した、明確な違憲判断となることを強く期待している。

  しかし、政府・国会においては、その最高裁判決をただ待つのみという態度は、到底許されるものではない。東京二次高裁判決を評価するというのであれば、同判決が指摘する「性自認等に従った法制度上の取扱いを受けるという人格的存在と結びついた重要な法的利益が十分に尊重されているとは評し難い状況」を速やかに改善し、同性婚の法整備を行わなければならない。

5 当会は、改めて、同性間の婚姻ができない本件諸規定は憲法13条、14条、24条に違反するものであることを指摘し、政府・国会に対し、最高裁判決を待つことなく、直ちに、同性間の婚姻制度を整備することを求める。

 当会は今後も、性的少数者を含めたすべての人にとって平等な婚姻制度の実現に向け、努力していく所存である。

以 上

                  2026年(令和8年)1月7日

             福岡県弁護士会      

会 長   上 田 英 友

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