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国選弁護制度の基礎報酬及び各種弁護費用の抜本的改善を求める会長声明

当会は、日本で初めて待機制の当番弁護士制度を導入し、いつでも、誰でも、弁護人にアクセスできる社会を目指し、被疑者・被告人の権利を守るため、刑事弁護の最前線を切り拓いてきた。その精神は、今日に至るまで当会の根幹を成し、全国でも高い国選弁護登録率として結実している。

しかし今、国選弁護制度はその持続可能性が揺らぐ重大な局面に直面している。

国選弁護制度は、被疑者・被告人の権利擁護のために必要不可欠な憲法上の制度である。現在、刑事事件の約9割は国選弁護人が担っており、日本の刑事弁護は国選弁護制度により支えられているといっても過言ではない。それにもかかわらず、国選弁護人の活動を支えるべき報酬体系は、その重要な責務と実態を反映しているとは到底いえない。

このような状況を踏まえ、日本弁護士連合会では、当番弁護士制度のほか、取調べ立会いの援助制度、障害者等に対する刑事弁護費用援助制度などを独自予算で創設し、さらに当会でも独自に、身体拘束解放後の被疑者弁護援助制度を創設するなど、被疑者・被告人が費用負担の心配なく高度化する刑事弁護活動を享受できる体制の拡充に注力してきた。しかしながら、無罪推定の原則が憲法上保障される日本において、これらの諸制度は、本来、国費で賄われるべきものである。

現在の国選弁護報酬は、昨今の急激な物価高、社会全体における賃上げの要請等を反映していないだけではなく、スマートフォンの普及等に伴うデジタル証拠の激増により、メッセージアプリを用いた事件関係者間の膨大なやり取りの精査が必要になるなど、弁護活動に必要な労力が飛躍的に増大しているにもかかわらず、その実態が基礎報酬に全く反映されていない。

国選弁護にかかる各種弁護費用に関しても、謄写費用、交通費などの実費が一部しか支給されず、弁護活動に要した費用が全額補償される仕組みになっていない。

また、佐賀県警察科学捜査研究所の職員によるDNA鑑定、神奈川県警による証拠の捏造等、捜査機関による不正行為は未だになくなっておらず、捜査機関側の作成した証拠の信用性を争うべき事案は少なくない。過去の多くの冤罪事件においても、弁護側が提出した科学的鑑定等が無罪主張の柱となってきた。しかしながら、日本弁護士連合会及び当会において、私的鑑定等の費用援助制度を設け、弁護活動に一定の援助費用が支払われているとはいえ、現行の国選弁護制度では、鑑定費用をはじめ、本来行われるべき多くの弁護活動に対する費用が賄われず、適切な弁護活動を行う上で重大な支障を来している。冤罪防止の観点からも、国選弁護制度における費用の整備は喫緊の課題である。

国選弁護業務のための予算は160億円前後と極めて僅少であり、100兆円規模の国家予算に占める割合は年々低下している。人権保障の経済的基盤の拡充は立ち遅れていると言わざるを得ない。

よって、当会は、被疑者・被告人の権利擁護と公正な刑事司法制度の実現のため、国会、法務省、財務省等に対し、国選弁護制度の基礎報酬及び各種弁護費用の抜本的改善を強く求めるものである。

以上

2026年(令和8年)3月17日

福岡県弁護士会 会長 上 田 英 友

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