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個人情報保護条例案のご案内

カテゴリー:意見

 2004年5月25日   福岡県弁護士会 会長 前田 豊
 平成14年8月5日に住民基本台帳ネットワークシステム(以下「住基ネット」と略。)が稼働を開始しました。この住基ネットに関しては,関係各方面から個人情報保護についての懸念が表明されていたことから,所要の措置として万全の個人情報保護法が整備されることが稼働の前提とされていました。しかし,現実にはその整備がなされないまま稼働されている状況です。\n ところで,住基ネット問題はもとより,今日的な情報化社会における個人情報を巡る様々な問題に鑑みるなら,地方自治体レベルでも個人情報保護条例の整備が問われることは言うまでもありません。
 そこで,平成14年10月,人権擁護委員会住基ネット小委員会では,福岡県下の市町村に対して個人情報保護条例の整備状況に関するアンケート調査を実施しました。その結果,個人情報保護条例を整備していない自治体が約3割存在していることが判明しました。また同条例は存在しているけれども,その内容は不十分といわざるを得ないという自治体もありました。\n その結果を踏まえて,当小委員会で個人情報保護条例案及び住基ネットに係る個人情報保護の条例案を作成し,各自治体の制定作業ないし改正作業の参考にして頂きたいと考えた次第です。
 なお,これらの条例案は平成15年2月14日に福岡県下の全自治体に送付しています。

在監者の人権保障のために刑務所・拘置所の抜本的改革を求める決議

カテゴリー:決議

 2004年5月25日   福岡県弁護士会 会長 前田 豊
 名古屋刑務所において発生した複数の刑務官による在監者に対する特別公務員暴行陵虐致死傷事件を契機に、同種の事件が他の複数の刑務所・拘置所に及んでいることが明らかになってきた。日本弁護士連合会が本年3月に実施した「刑務所・拘置所110番」によっても、革手錠・保護房を使用した在監者に対する人権侵害が全国的に広がっていることが明らかになった。
 当会にも、近年、刑務所・拘置所を人権侵害者とする在監者からの人権救済申立が急増している。ちなみに、2002年度(2002年4月1日〜2003年3月31日)の当会に対する人権救済申立件数は46件であったが、そのうち31件(67%)が刑務所・拘置所を侵害者とする申\立であった。
 当会に対する申立の内容は、医療、懲罰、信書発信、昼夜間独居拘禁、刑務官による暴\行・拷問に関するものなど多岐にわたっている。なかには、必要性がないにもかかわらず在監者を革手錠で緊縛し保護房に23時間以上拘禁したという事案もあった。
 刑務所・拘置所における人権侵害は、いわば密室で行われ、客観性のある目撃証人なども得難いため、人権救済申立事件の調査は事実認定で困難を極めることがほとんどである。このような困難な条件の中で、当会はこれまで問題のある事案について、刑務所・拘置所に警告・勧告・要望を発してきた。\n ちなみに、その数は2000年はじめから今日まで7件になっている。
 しかし、残念ながら、当会のそうした処置に対し、刑務所・拘置所側からの改善されたとの報告を受けたことはなく、相変わらず同種の人権侵害を受けたとの申立が当会になされている。\n
 こうした状況は、根本的には、在監者の人権を保障するための法や制度が確立されていないことに加え、全国の拘禁施設が不十分な施設と人員で過剰な在監者への対応を強いられていることによって起きていると思われる。\n また、拘置所に医師が常駐せず、医療刑務所における医療費の額が極めて貧弱であることも、在監者の生命と健康を危うくする原因となっている。
 日本弁護士連合会は、1982年、「刑事被拘禁者のための処遇に関する法律案」を示し、国際人権基準に合致した監獄法の全面改正を求めてきた。又、当会は、かねてより、警告・勧告等を通して行刑の改善を申し入れてきた。\n
 以上をふまえて当会は、政府が在監者の人権を守るための法と制度を確立する施策に積極的に取り組むとともに、必要かつ十分な予\算的措置をとって、拘禁施設における施設の充実と刑務官の抜本的増員を図って現場で働く刑務官の負担を軽減すること、拘置所・刑務所・医療刑務所における医療体制の充実並びに医療部門の所管を法務省から厚生労働省に移管することが必要不可欠と考え、政府に対し、一刻も早くそのような積極的措置をとるよう求める。
 また当会は、各拘禁施設が、在監者の外部交通権を保障し、懲罰対象者の権利行使を保障し、革手錠の廃止と保護房の濫用抑制、在監者の裁判を受ける権利の保障、在監者の不服申立に関する相談・調査に来た面会者との面会においては立会いをせず、また両者のやりとりに関する信書の検閲をしないことなどの改善を求める。\n

法科大学院における経済支援に関する決議

カテゴリー:決議

 2004年5月25日   福岡県弁護士会 会長 前田 豊
 「法科大学院の教育と司法試験法との連携等に関する法律」は、質・量ともに豊かな法曹があらゆる場所で活躍し、社会の隅々にまで法の支配を行きわたらせるため、法科大学院を法曹の養成のための中核的な教育機関と位置付け、そのための施策実施に必要な財政的措置を取るべきことを国の責務として明記した。
 ところで、日弁連が本年1月10日から24日に行った法曹志望者に対するアンケートの結果、奨学金等の貸与制度がない場合には、法科大学院の授業料が年間100万円を超えると志望者の5割が法科大学院進学を断念すること、そのような制度があっても年間授業料が200万円とした場合には、奨学金貸与額が年間200万円であったとしても3分の1の志望者が進学を断念することがわかった。
 法科大学院進学希望者が経済的な理由で進学を断念することがないようにするために、また法科大学院に様々なバックグランドを持った学生が入学して法科大学院ひいては法曹の多様性を保持するために、法科大学院に関する財政支援が不可欠である。
 よって、政府ならびに文科省、法務省及び各政党に対し以下の事項を要望する。
 法科大学院に対し、その年間授業料を100万円以下にできるように運営 助成金・交付金を充実すること。
 公的奨学金制度の充実、及び政府保証ローン創設などによる民間金融機関 による教育ローンの充実を図ること。

公的付添人制度の実現を求める決議

カテゴリー:決議

 2004年5月25日   福岡県弁護士会 会長 前田 豊
 現在司法制度改革推進本部において、公的刑事弁護制度の導入及び整備について検討がなされ、同時に、少年審判手続における国費による少年の付添人制度(公的付添人制度)の導入についても検討がなされている。
 福岡県弁護士会は、当番弁護士制度発足以来、逮捕された少年にはできるだけ当番弁護士を派遣し援助を行ってきたが、さらに、2001年2月1日、日弁連及び法律扶助協会からの資金援助に加えて、会員から特別会費を徴収するなどの自助努力により、付添人の選任を希望する少年全員に対して付添人を選任するという「全件付添人制度」を発足させ、今日まで実施してきた。
 そして、福岡家庭裁判所の理解と協力を得て、2002年には、観護措置を受けた少年の54%(家裁送致時に弁護人がいたケースを含む)の少年に付添人が選任された。この割合は、福岡家庭裁判所本庁に限れば84%に及ぶ。
 付添人に選任された弁護士は、非行事実の存否に争いがある場合には非行事実が存在しないことを証明するための活動を行い、非行事実の存在に争いがない場合においては少年の立ち直りのために必要な様々な活動をしてきた。
 後者の場合、付添人は、少年に被害者の気持ちや被害者の現状を知らせ、少年が行った非行による重大な結果を認識させ、被害弁償を試み、親子の関係の修復を試み、少年が学校や職場に復帰できる環境を整えるなどして、少年が自らの力により立ち直るためのあらゆる援助、努力をしてきた。そして、多くの事件において、付添人がいたからこそ少年が更生できたり、あるいは
被害弁償ができて被害者の感情も宥和されるなどの実績をあげてきた。
 福岡県弁護士会は、これまでの実績を踏まえて、今後もこの全件付添人制度を継続して実施し、さらに充実させる所存である。
 しかし、全国のすべての少年に対し、付添人の選任を希望すれば付添人を選任することができるという制度を実施するためには、公的付添人制度が不可欠である。
 非行を犯した少年が一人でも多く立ち直ることは、当該少年にとって必要であるだけでなく、非行及び犯罪をこの国から減少させ、国民の安全を図るうえでも極めて有益であり、ここに国費を投入することは、われわれ大人の責務であると考える。
 よって、早急に公的付添人制度を発足させ、充実させることを求める。

自衛隊のイラクからの即時撤退を求める会長声明

カテゴリー:声明

福岡県弁護士会 会長  松? 隆
 平成16年(2004年)4月20日
 当会は、2003年12月2日、常議員会決議に基づき会長声明で自衛隊のイラク派遣に強く反対する意見を表明した。\n (1)イラク特措法は、一連の有事立法とあいまって、イラクにおける自衛隊の武力行使に繋がるものであり、憲法に違反するおそれが極めて大きいものであること、(2)第二次世界大戦後、国際社会は戦争を違法とし、国連憲章が容認しない武力行使は承認しないという原則を確立した。この原則の侵害を許せば、むき出しの暴力によって支配される社会が出現し、世界中で暴\力の応酬、憎悪の連鎖が生じるおそれがある。日本国憲法は、この国際社会の原則をふまえて、国際紛争の解決手段としての武力行使を放棄したのである。わが国によるイラク復興支援は、国連憲章の原則と憲法の平和原則に従ってなされなければならないが、自衛隊のイラク派遣はその原則に違反する疑いが極めて大きいこと、(3)イラクは未だ戦争状態にあり、その全土が戦闘地域であること等を理由としたものであった。
 いまや、暴力の応酬、憎悪の連鎖という危惧は正に現実のものとなっている。また、イラクはその全土が戦闘地域で、イラクに安全な非戦闘地域が存在しないことはいっそう明らかとなった。戦闘は激化し、米軍等の占領軍に限らず、一般の市民や子どもを含むイラク国民の死傷者が多数生じている。本年4月7日にはサマワの自衛隊駐屯地近くに迫撃砲弾が着弾し、4月17日にはサマワのオランダ軍とイラク人との間で銃撃戦も発生し、派遣された自衛隊が野外作業を中止して宿営地周辺にとどまらざるを得ない状況も生じている。民間の日本人5名が武装勢力に拘束されると言う許し難い事件が生じたが、日本人にとどまらず各国の民間人等が拘束される等の事態が続出している。状況の悪化により、自衛隊が、憲法違反の「武力による威嚇または武力行使」に至る危険性はますます高まっており、自衛隊の派遣は、「非戦闘地域における人道支援」というイラク特措法の要件を満たしていない。\n よって、当会はあらためて、日本国政府が「国連憲章の原則と憲法の平和原則」に従い、自衛隊のイラク派遣を即時中止し撤退させること、を強く求める。

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