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事務ガイドライン(第三分冊:金融会社関係)の一部改正(案)に対する意見書

カテゴリー:意見

金融庁監督局総務課金融会社室 御中
2005年9月1日
福岡県弁護士会 会長 川副正敏
金融庁が本年8月12日付けで公表し、意見募集を行っている「貸金業関係の事務ガイドライン(第三分冊:金融会社関係)」の一部改正について、当会は次のとおり意見を述べる。\n
(1)貸金業者の取引履歴開示義務の明確化
事務ガイドライン3-2-2において、貸金業の規制等に関する法律第13条第2項で禁止されている「偽りその他不正又は著しく不当な手段」に該当するおそれが大きい行為の事例を列挙しているところであるが、これに、顧客等の弁済計画の策定、債務整理その他の正当な理由に基づく取引履歴の開示請求に対してこれを拒否すること、を加える。

〔意見の趣旨〕
「貸金業者に取引履歴の開示義務があり、正当な理由に基づく開示請求を拒否した場合には行政処分の対象となり得ることを明確化する」との改正の趣旨には賛成する。
〔理由〕
本年7月19日、最高裁判所は、貸金業者が「貸金業法の適用を受ける金銭消費貸借契約の付随義務として、信義則上、保存している業務帳簿に基づいて取引履歴を開示すべき義務を負う」、との判断を示した(最高裁判所第三小法廷平成17年7月19日判決)。
このたび速やかにガイドラインを改正して貸金業者の取引履歴開示義務を明確化することは、まことに時宜に適った措置である。
ただし、上記の最高裁判決は、債務者が債務内容を正確に把握出来ない場合には、「弁済計画を立てることが困難になったり、過払金があるのにその返還を請求できないばかりか、更に弁済を求められてこれに応ずることを余儀なくされるなど、大きな不利益を被る」ことなどに鑑みて、取引履歴開示義務が存在するとの結論を導いている。
そうである以上、一部改正(案)のうち、事務ガイドライン3−2−2にいう取引履歴開示請求の「正当な理由」として「弁済計画の策定、債務整理」だけを例示し、「過払金の返還請求」について殊更に言及を避けているのは、不適切である。「過払金の返還請求」は,上記最高裁判所判決からも、取引履歴開示請求の正当理由のうちに含まれることは明かであり,これを明記すべきである。
(2)取引履歴開示請求の際の本人確認手続きの明確化
取引履歴の開示を求められた際の本人確認の方法として十分かつ適切であると考えられるものとして以下を例示する。\n1、顧客等自身が開示請求をする場合であって、金融機関等による顧客等の本人確認等及び預金口座等の不正な利用の防止に関する法律(以下「本人確認法」という。)に規定する方法による場合
2、顧客等の代理人が開示請求をする場合であって、以下イ〜ハの書類の全てを提示する場合
(イ)顧客等の本人確認のための書類(本人確認法施行規則に規定する本人確認書類(写しを含む。)であれば十分かつ適切である。)\n(ロ)顧客等の署名・捺印により代理人との間の委任関係を示す書類(債務整理についての委任関係が示されていること等により取引履歴開示請求についての委任関係が推認し得るものを含む。捺印は、イの書類が本人確認法施行規則に規定する本人確認書類(写しを含まない。)であれば、必ずしも印鑑登録された印鑑又は契約書に捺印された印鑑によらなくてもよい。)
(ハ)代理人の身分を証明する書類(弁護士、司法書士等が代理人である場合は、ロの書面において事務所の住所、電話番号等の連絡先が示されていればよい

〔意見の趣旨〕
「取引履歴の開示が求められた際の本人確認の手続」に関し、金融機関等による顧客等の本人確認及び預金口座等の不正な利用の防止に関する法律(以下「本人確認法」という。)が規定する確認方法を要求することには反対する。
上記最高裁判所判決の趣旨に従い,取引履歴の開示を求めることは顧客等の権利であって、本人確認の手続に伴う負担が顧客等(超過利息を元本充当すれば過払いになっている状態の者も含む)による開示請求権の行使を妨げることのないよう、貸金業者に対して注意を喚起すべきである。
〔理由〕
1 顧客等自身が開示請求をする場合
(1)本人確認法は、テロ及び組織犯罪等の悪質な犯罪行為に対する資金提供のために金融機関等の預金口座が不正利用されることを防止する(同法1条)目的で、厳格な本人確認の手続を定めた。
しかし、取引履歴開示請求や過払金返還請求が「テロ及び組織犯罪等の悪質な犯罪行為に対する資金提供のために」悪用されているという社会的事実は、およそ存在していない。
従って、規制の目的・対象がまったく異なる「本人確認法」の定める確認方法を,顧客自身からの開示請求につき必要とする理由は全く存在しない。
(2)他方、貸金業者が本人確認を十分に行わず取引履歴を第三者に開示し,これにより顧客や第三者等以外の権利が侵害されているというような弊害が生じているとの事実はない(現在の顧客情報が大量に盗まれているというトラブルとは別問題である)。従って、現在必要なのは、取引履歴開示に応じる際の本人確認手続の「厳格化」ではない。\n 現在起きているトラブルは、ごく一部の貸金業者が、「個人情報保護法に基づく本人確認手続」を藉口し、自らが一方的に定めた確認手続に応じなければ取引履歴開示ができないとして開示を事実上拒否しようと画策するという問題である。
(3)個人情報保護法は、個人情報取扱事業者が本人からの保有個人データの開示の求めに応ずる手続を定めることができる(同法25条1項、29条1項・3項・4項)とするが、「他の法令の規定により開示することとされている場合」(同法25条3項)を除外している。しかるに前掲最高裁判決は、取引履歴開示義務の法的根拠が信義則(民法1条2項)にあることを明らかにした。従って、個人情報保護法25条3項により、貸金業者が定めた本人確認の手続によって顧客等を一方的に拘束することはできず、この手続に応じないことをもって取引履歴開示請求を拒む正当理由とすることはできないこと明かである。
(4)なお個人情報保護法は、同法に基づき個人情報取扱事業者が開示等の求めに応じる手続を定め得る場合についても、「本人に過重な負担を課するものとならないよう配慮しなければならない」(同法29条4項)と定めている。個人情報保護法の存在が、自己に関する情報にアクセスする個人の権利を阻害する結果を招いてしまうのでは、本末転倒だからである。
(5)従って、現在必要なのは、取引履歴の開示請求権は顧客等の権利であって、本人確認手続を取引履歴開示を回避するための口実として利用してはならないことを「明確化」することである。そこで、顧客等からの取引履歴開示請求に応じる場合の本人確認の手続については、「顧客等に過重な負担を課することのないよう留意すべきこと」を明記すべきである。
2 顧客等の代理人が開示請求をする場合
(1)債務整理の実務においては、「債務者が債務の処理を弁護士に委託した旨の弁護士からの書面による通知」(貸金業規制法21条1項6号参照。以下、「受任通知書」という)が、債務者の代理人であることの十分かつ適切な確認資料である、とされてきた。実際、多くの貸金業者は、個人情報保護法が施行された現在においても、弁護士が作成名義人である「受任通知書」の送付をもって代理権確認の方法とすることを、従前通り異議なく認めている。\n 弁護士名の「受任通知書」を信頼したために貸金業者が不正な開示請求に応じてしまったというトラブルが発生しているとの事実はまったくない。したがって、あたかも弁護士と顧客等との委任関係の存在が疑われる状況が広く存在していることを前提とするかのように、厳格な手続を課するのは正当ではない。
また上記最高裁判所の判決の場合にも,弁護士が受任通知以上の,「本人確認手続」を行ったわけでもない。とすれば,本ガイドラインの改正は,最高裁判所判決に規定されていない,新たな除外事由を行政ガイドラインにより策定しようとするかのような意図を感じざるをえないものである。
(2)そもそも弁護士は、受任通知書で自らの氏名を明らかにした上で自ら不正な開示請求などを行ったりすれば、懲戒処分を受けるという重大なリスクを背負っているのである。
受任通知書に記名のある弁護士が本物の弁護士であるかどうかは、日本弁護士連合会のホームページの「弁護士情報検索」によって確認することができる。架空のニセ「弁護士」であれば、「該当情報が検索できない」として、直ちに明らかになる。実在の弁護士名を騙る第三者による不正請求の場合であっても、その者が表示する虚偽の事務所名や所在地を入力して検索すると、同様に「該当情報が検索できない」結果となる。\n(3)もしも顧客等が、代理人弁護士に対し、原本提示のため印鑑証明書・戸籍謄本・住民票の記載事項証明書等の原本を預けるか、または委任状に捺印する印鑑についての印鑑証明書を渡しておかなければならないとすれば、当然それらの申請費用が必要になる。債務整理を必要とする多重債務者はそもそも経済的に困窮している状態にあるから、それらの費用負担が履歴開示請求の意思を挫くことにもなりかねない。また債権者数に応じて何枚もの委任状に署名を求めるのは、迅速な事務処理が必要とされる債務整理の実情に合わない。また、開示請求のたびに業者に委任状を提出することは、業者のもとに、新たに大量の個人情報を蓄積させることになり、個人情報の保護に関して、新たな問題を発生させることにもなりかねない。\n しかも,業者は,本来当初の貸付の際に,顧客の本人確認に必要な書面を徴収して貸付業務を行っているのであり,更に取引履歴を開示する場合に再度かかる書面を要求する必要もない。
(4)以上により、弁護士が代理人として開示請求する場合については、「債務者が債務の処理を弁護士に委託した旨の弁護士からの書面による通知(FAXを含む)により十分かつ適切である」と例示すべきである。
以  上

共謀罪の新設に反対する声明

カテゴリー:声明

2005(平成17)年8月31日
福岡県弁護士会会長  川 副 正 敏
 「犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化に対処するために刑法等の一部を改正する法律案」(略称「刑法・組織犯罪処罰法等改正案」。以下「本法案」という)は、先に閉会した第162回国会では廃案となったが、政府は次期国会での成立を期しているとのことである。
 しかし、福岡県弁護士会は、以下の理由により、今後も、本法案第6条の2に規定されている、いわゆる共謀罪については、その立法化に対して、強く反対する。
1 本法案における共謀罪の概要は次のとおりである。
(1) 「長期4年以上の刑を定める犯罪」に関して、「団体の活動として」、「当該行為を実行するための組織により行われるものの遂行を共謀した者」は、2年以下の懲役又は禁固に処する。
(2) 「死刑又は無期もしくは10年以上の刑を定める犯罪」に関して、同様の遂行を共謀した者は、5年以下の懲役又は禁固に処する。
2 第一に、共謀罪は、犯罪の実行着手前の意思形成段階に過ぎない共謀それ自体を処罰の対象とするものであるが、この点は、法益侵害又はその危険性のある行為があって初めてこれを処罰するという、現行刑法の大原則である行為主義に真っ向から反している。
第二に、犯罪の合意そのものが処罰されることになり、ひいては思想、信条の自由、表現の自由、集会・結社の自由などの憲法上の基本的人権が重大な脅威にさらされることは避けられないといわなければならない。すなわち、共謀罪では、会話や電話、メール等の内容自体が犯罪を構\成することになるため、その内容を察知するのに盗聴捜査が拡大され、犯罪捜査に名を借りた国家による私的生活への介入に途を開く危険性が極めて高く、その結果、思想、信条、表現の自由に対する萎縮効果が発生することは、歴史上も明らかである。\n3 また、共謀罪は、長期4年以上の刑を定める犯罪に関する共謀を処罰しようとするものであるが、その結果、共謀罪が適用される罪名に関しては、政府答弁によればその総数は615種類にのぼることが明らかになっており、道路交通法などといった市民生活の隅々に及ぶ法律に規定されたおびただしい数の行為類型に関する「共謀」が処罰対象にされることになる。
その結果、例えば、市民団体がマンションの建設に反対するために工事現場で座り込みをすることを相談しただけでも、組織的威力業務妨害罪の共謀罪が成立する可能性すら否定できないものであり、これを口実とした警察の強制捜査が行おこなわれ、住民運動や労働運動の抑圧になりかねないという事態も危惧されている。\n4  本法案に関する政府の提案理由によれば、本法案は、2000(平成12)年10月に採択された「国際的な組織犯罪防止に関する国際連合条約」(以下「国連条約」という)の国内法化を図るためのものであると説明されている。しかし、本法案の共謀罪は、「越境性」や「組織犯罪性」を要件としていない結果、いわゆる越境的組織犯罪集団とは関係のない、国内の政党、市民団体、労働組合、企業等もすべて取締りの対象にすることができるようになってしまっている点でも、明らかに不当であるといわざるを得ない。政府は、国連条約の解釈上、越境性や、組織犯罪性は要件とされるべきではないという立場にたつものであるが、そもそも、条約上は、国内法化にあたって、これらの限定を付することは、何ら妨げないものであって、むしろ、テロ犯罪防止のための立法化を進めるという観点からは、これらの限定を付することが正しいといわなければならない。
5  当会は、国際的な組織犯罪、いわゆるテロ犯罪に対して国際的な協力体制を整備することの必要性を否定するものではない。
しかし、その国内法制化に藉口して、広範な市民の人権侵害が引き起こされる可能性があり、捜査機関の権限の不当な強化が行われかねない立法を許すことは、本末転倒であって、到底、容認することはできない。\n  よって、当会はその立法化に強く反対し、政府に対し、直ちにその立法化を最終的に断念するよう求めるものである。
以 上

覚せい剤後遺症(疑い)者の懲罰・処遇に関する警告及び勧告

カテゴリー:意見

福岡拘置所長 殿
2005年8月5日

福岡県弁護士会 会長 川副正敏
同人権擁護委員会 委員長 小宮和彦
1 警告について
申立人X氏は、貴所に勾留され、従前から覚せい剤後遺症の診断の下に投薬を受けていたところ、幻聴を自覚したために200・年・月・日午後・時・分ころ、貴所職員に投薬を申し出たが拒絶されました。その結果、申立人は、「薬を早よやらんかー。」等と房全体に響き渡る大声を発し、さらに職員の制止に従わず窓ガラスを殴打するなど、極度の興奮状態に至りました(以下「本件興奮状態」といいます)。
X氏の本件興奮状態に対し、貴所の懲罰審査会は200・年・月・日、それが同人の覚せい剤後遺症による自制困難な状態での行為でなかったかどうかについて十分に調査することなく軽屏禁7日の懲罰を科し、同日から執行しました。\n  しかし、覚せい剤後遺症による自制困難な行為に対して懲罰を科すことは、責任無能力者に刑事責任を問うことと同様に責任主義に対する重大な違反となります。ところが本件興奮状態は、X氏の幻聴という覚せい剤後遺症と時間的に接着して生じており、それ自体が覚せい剤後遺症であると疑うべき行為であったと認められます。そのような行為に対する懲罰の審査においては、それが覚せい剤後遺症による自制困難な行為ではなかったことが確認されなければ懲罰を科すことは許されません。
したがって、この点についての十分な調査、判断を経ないままX氏に懲罰を科したことは、適正手続に違反し、X氏の人権を侵犯したものといわざるを得ません。
つきましては、貴所におかれましては、懲罰審査においては、対象となる行為が精神病等による自制困難な状態での行為でないかどうかを十分に調査・判断され、精神病等による自制困難な状態での行為である場合には懲罰を科すことがないよう警告いたします。\n
2 勧告について
貴所は、200・年・月・日に貴所に移監された当初から勾留期間を通じて(一時的な保護房への収容期間を除く)、X氏を、第二種独居室に収容していました。貴所所長がX氏を第二種独居室に収容すると決定するに際しては、警察から覚せい剤後遺症による幻聴及び妄想等の精神症状があり精神病院通院歴もあるとの引継があったのみで、医師の診断はなされておらず、それ以上にX氏の具体的な自傷のおそれを認めるべき専門医の診断はなく、その他の具体的な自傷のおそれを認めるべき客観的な事情も認められていませんでした。
ところで、第二種独居室は、被収容者に突発的な異常行動による自傷のおそれが認められる場合において、綿密な動静観察によってこれを防止するために設置されているものです。しかるに、その設備・備品に照らし、同室はその居住性等において、一般の独居房に比して著しく劣っており、その被収容者にとっては、一般独居房に収容された者よりも著しい人権制約を受けることは否めません。
したがって、被収容者の第二種独居室への収容は実質上の不利益処分であって、かかる第二種独居室への収容の可否については、貴所所長の自由な裁量に委ねられるものではなく、収容時において被収容者について具体的な自傷のおそれが認められる場合に限るべきです。
ところが、X氏については、医師による具体的な自傷のおそれの診断はなく、その他に具体的な自傷のおそれを認めるべき特段の事情も確認されていません。にもかかわらずX氏を第二種独居室に収容したことは、適正手続に反し、貴所所長の裁量を逸脱した違法な収容であって、X氏に対する人権侵犯といわざるをえません。
つきましては、貴所におかれましては、第二種独居室への収容にあたっては、その対象となる被収容者について、単に病名等のみによるのではなく、精神科専門医の詳細な診断等を行った上で、現に具体的な自傷のおそれがあると判断された場合に限りなされるよう勧告いたします。
以 上

刑務所の医療行為に関する要望

カテゴリー:意見

福岡刑務所長 殿
2005年6月7日
福岡県弁護士会 会長 川副正敏
同人権擁護委員会 委員長 小宮和彦
貴所所属の法務技官医師Y氏は、申立人X氏からの胸のしこりの症状の主張について、X氏に対して、問診及び触診のみしか行わずに女性化乳房との診断をしただけで、超音波検査、乳房撮影あるいは生検(病理細胞検査)や血液検査など、その原因究明のために必要な検査をせず、さらに、その後X氏から受診希望があったにかかわらず、何ら医療行為を行っていません。\n このような診察態度は、国が被収容者に対して負う一般社会の医療水準と同程度の医療を提供する義務に反しており、X氏の人権を侵害するものと言わざるを得ません。
つきましては、貴所におかれては、今後、X氏はもちろんのこと、すべての被収容者に対し、必要な医療行為を尽くして、一般社会の医療水準と同程度の医療を提供されるよう、要望致します。
以 上

会 務 報 告

カテゴリー:副会長日記

副会長 三 浦 邦 俊
 県弁総会も終わって六月になり、今年は、薫風香るかのようなさわやかな季節が続いていたが、早々に梅雨入りとなってしまいました。会務の方は、快調ですよと申し上げたいところではありますが、二ヶ月経過して、担当委員会や、弁護士会全体の動きが漸くつかめてきました。特に司法改革の実行段階と言われ、日弁総会でも、司法改革実行宣言なるものが、決議されるゆえんが理解出来たところで、自ら担当する委員会の役割を考えると、多少のめまいを覚えながらも、これから秋にかけて、具体的な企画を考えなければならないと身を引締めるところと、半分ボヤキも出るような六月であります。\n 全体の状況から申し上げれば、今年の目玉といわれる日本司法支援センターと裁判員制度問題に関して、前者は、関連する委員会を集合させた支援センターの委員会で活発な議論が行われた結果、単位会の意見集約としては、相当なものが出来あがりそうで、やれやれという雰囲気ではありますが、他方、司法支援センターにどのような内容のものを盛り込んでいくかという点は、これから、何年にも渡って議論を戦わせなければならず、その中で、弁護士及び弁護士会が、どのような役割を果たせるのかという点が、絶えず検証されなければならないと思われ、七月には、扶助協会の担当者研究会も控えています。\n 他方で、平成二一年五月から実施予定の裁判員制度に関しては、国民に開かれた司法をという点を標榜した弁護士会は、刑事裁判に対する国民参加の意義を広く国民に広報していく責務を担っています。この点で、弁護士会は、残念ながら立ち遅れているといわざるを得ない面がありますので、第一に、県弁護士会のホームページに裁判員制度を広報する記事の掲載を計画しています。第二に、企業や、公民館の集まり、学校等の団体に対して、裁判員制度の説明をする制度を作り、実際に出前の講演等を実施することを企画する予\定です。第三に、国民向けには、刑事弁護は何故必要であるのか、何故、刑事手続に国民の参加が必要なのかなどという点を判りやすく説明する必要もあります。第四に、具体的に裁判員となる人には、無罪の推定、伝聞証拠の排除など、刑事司法に関する原則の説明も必要となってきます。さらに国民向けの広報を広く捉えると、これも法教育という概念に入れようという動きもあり、学校等にも、積極的に働きかける必要もあるのではないかという議論も出てきています。現在の限られた会員数と各会員が会務に割ける時間に照らすと、国民から期待されている役割を果たしていけるのかという点が、そもそも、問題とされるような状態であるのかもしれませんが、これから、相当精力を注いで、創意工夫をしていかなければならないと思っています。具体的には、裁判員制度実現本部、刑事弁護委員会などが議論の中心になるかと思われますが、今秋には、手始めにシンポの企画をすることを検討しています。弁護士、弁護士会の力量が問われる場面ですので、各会員には、関心を持ってもらいたいと思います。
 他方、本年九月一六日には、アクロス天神で、「高齢者障害者権利擁護の集い」のシンポジウムが開催される予定ですが、この関係で、福岡県、福岡市、北九州市等の福祉関係の方々も参加されての関係諸団体連絡会が、毎月、弁護士会で開催されています。一〇年ほど前から、北九州市から始まった高齢者、障害者関係の委員会活動ですが、今では、委員会活動の成果で、弁護士推薦委員会にかかる推薦案件中で、福祉関係の委員の推薦が相当数を占めるなど、この方面における弁護士会の活動実績は高く評価されており、シンポには、福祉関係の行政の職員の方が多数参加されると思われます。実行委員会は、アクロスを満席にすることを目標に準備を進めてありますが、シンポには、県知事、福岡市長も来賓として挨拶されることが予\定されております。
 執行部としては、裁判員制度の関係でも、着実な成果をあげたいと考えております。
 以上とは全く関係ない話ですが、四月に挨拶廻りをおこなって感じたことは、「弁護士」というのは、やはり結構使える業種であることでした。この点は、二つの意味があります。一つは、弁護士業務として、まだまだ未開拓の分野がありはしないかという点です。例えば、領事館関係を廻っても、貿易関係の相談があるなどの話を聞いたりしましたが、弁護士業務の拡大に向けて検討すべき点があるのではないかと感じました。この点は、業務委員会と連携を取って、何らかの成果に結び付けられないかと考えている次第ですが、本年度に、形に出来なくても、継続して検討されるべき点であると思われます。二つ目は、「行列のできる法律相談所」というテレビ番組の影響でしょうか、マスコミ的には、弁護士に、番組に出演してもらいたいというニーズが結構\あるという点でした。この点は、既に、若手の会員の方に、声をかけたりしていますが、尻込みをせず、チャレンジして欲しいと思っています。昨年の担当副会長よりは、押しが強いと思いますので、声がかかったら、宜しくお願いしたいと存じます。
 勝手に自らの担当分野のみの雑感を記したようになりましたが、本年度執行部の二ヶ月を振り返ると、川副執行部は、会長の強力なリーダーシップのもとに、順調に滑り出しております。既に、会務全般に関する議論をするため、五月二九日には、一日の合宿をこなして、各役員が、担当すべき分野の課題の確認をしました。果たして、この調子で、一年を乗り切ることが出来るかという点については、各役員それぞれの努力にもかかるものですが、山積する課題にめげないだけのチームワークは、既に、確立されているものと思われます。検討結果を、会務に反映させるために、七月頃には、委員長会議等を開催することを予定しています。

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