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刑務所の医療行為に関する要望

カテゴリー:意見

福岡刑務所長 殿
2005年6月7日
福岡県弁護士会 会長 川副正敏
同人権擁護委員会 委員長 小宮和彦
貴所所属の法務技官医師Y氏は、申立人X氏からの胸のしこりの症状の主張について、X氏に対して、問診及び触診のみしか行わずに女性化乳房との診断をしただけで、超音波検査、乳房撮影あるいは生検(病理細胞検査)や血液検査など、その原因究明のために必要な検査をせず、さらに、その後X氏から受診希望があったにかかわらず、何ら医療行為を行っていません。\n このような診察態度は、国が被収容者に対して負う一般社会の医療水準と同程度の医療を提供する義務に反しており、X氏の人権を侵害するものと言わざるを得ません。
つきましては、貴所におかれては、今後、X氏はもちろんのこと、すべての被収容者に対し、必要な医療行為を尽くして、一般社会の医療水準と同程度の医療を提供されるよう、要望致します。
以 上

会 務 報 告

カテゴリー:副会長日記

副会長 三 浦 邦 俊
 県弁総会も終わって六月になり、今年は、薫風香るかのようなさわやかな季節が続いていたが、早々に梅雨入りとなってしまいました。会務の方は、快調ですよと申し上げたいところではありますが、二ヶ月経過して、担当委員会や、弁護士会全体の動きが漸くつかめてきました。特に司法改革の実行段階と言われ、日弁総会でも、司法改革実行宣言なるものが、決議されるゆえんが理解出来たところで、自ら担当する委員会の役割を考えると、多少のめまいを覚えながらも、これから秋にかけて、具体的な企画を考えなければならないと身を引締めるところと、半分ボヤキも出るような六月であります。\n 全体の状況から申し上げれば、今年の目玉といわれる日本司法支援センターと裁判員制度問題に関して、前者は、関連する委員会を集合させた支援センターの委員会で活発な議論が行われた結果、単位会の意見集約としては、相当なものが出来あがりそうで、やれやれという雰囲気ではありますが、他方、司法支援センターにどのような内容のものを盛り込んでいくかという点は、これから、何年にも渡って議論を戦わせなければならず、その中で、弁護士及び弁護士会が、どのような役割を果たせるのかという点が、絶えず検証されなければならないと思われ、七月には、扶助協会の担当者研究会も控えています。\n 他方で、平成二一年五月から実施予定の裁判員制度に関しては、国民に開かれた司法をという点を標榜した弁護士会は、刑事裁判に対する国民参加の意義を広く国民に広報していく責務を担っています。この点で、弁護士会は、残念ながら立ち遅れているといわざるを得ない面がありますので、第一に、県弁護士会のホームページに裁判員制度を広報する記事の掲載を計画しています。第二に、企業や、公民館の集まり、学校等の団体に対して、裁判員制度の説明をする制度を作り、実際に出前の講演等を実施することを企画する予\定です。第三に、国民向けには、刑事弁護は何故必要であるのか、何故、刑事手続に国民の参加が必要なのかなどという点を判りやすく説明する必要もあります。第四に、具体的に裁判員となる人には、無罪の推定、伝聞証拠の排除など、刑事司法に関する原則の説明も必要となってきます。さらに国民向けの広報を広く捉えると、これも法教育という概念に入れようという動きもあり、学校等にも、積極的に働きかける必要もあるのではないかという議論も出てきています。現在の限られた会員数と各会員が会務に割ける時間に照らすと、国民から期待されている役割を果たしていけるのかという点が、そもそも、問題とされるような状態であるのかもしれませんが、これから、相当精力を注いで、創意工夫をしていかなければならないと思っています。具体的には、裁判員制度実現本部、刑事弁護委員会などが議論の中心になるかと思われますが、今秋には、手始めにシンポの企画をすることを検討しています。弁護士、弁護士会の力量が問われる場面ですので、各会員には、関心を持ってもらいたいと思います。
 他方、本年九月一六日には、アクロス天神で、「高齢者障害者権利擁護の集い」のシンポジウムが開催される予定ですが、この関係で、福岡県、福岡市、北九州市等の福祉関係の方々も参加されての関係諸団体連絡会が、毎月、弁護士会で開催されています。一〇年ほど前から、北九州市から始まった高齢者、障害者関係の委員会活動ですが、今では、委員会活動の成果で、弁護士推薦委員会にかかる推薦案件中で、福祉関係の委員の推薦が相当数を占めるなど、この方面における弁護士会の活動実績は高く評価されており、シンポには、福祉関係の行政の職員の方が多数参加されると思われます。実行委員会は、アクロスを満席にすることを目標に準備を進めてありますが、シンポには、県知事、福岡市長も来賓として挨拶されることが予\定されております。
 執行部としては、裁判員制度の関係でも、着実な成果をあげたいと考えております。
 以上とは全く関係ない話ですが、四月に挨拶廻りをおこなって感じたことは、「弁護士」というのは、やはり結構使える業種であることでした。この点は、二つの意味があります。一つは、弁護士業務として、まだまだ未開拓の分野がありはしないかという点です。例えば、領事館関係を廻っても、貿易関係の相談があるなどの話を聞いたりしましたが、弁護士業務の拡大に向けて検討すべき点があるのではないかと感じました。この点は、業務委員会と連携を取って、何らかの成果に結び付けられないかと考えている次第ですが、本年度に、形に出来なくても、継続して検討されるべき点であると思われます。二つ目は、「行列のできる法律相談所」というテレビ番組の影響でしょうか、マスコミ的には、弁護士に、番組に出演してもらいたいというニーズが結構\あるという点でした。この点は、既に、若手の会員の方に、声をかけたりしていますが、尻込みをせず、チャレンジして欲しいと思っています。昨年の担当副会長よりは、押しが強いと思いますので、声がかかったら、宜しくお願いしたいと存じます。
 勝手に自らの担当分野のみの雑感を記したようになりましたが、本年度執行部の二ヶ月を振り返ると、川副執行部は、会長の強力なリーダーシップのもとに、順調に滑り出しております。既に、会務全般に関する議論をするため、五月二九日には、一日の合宿をこなして、各役員が、担当すべき分野の課題の確認をしました。果たして、この調子で、一年を乗り切ることが出来るかという点については、各役員それぞれの努力にもかかるものですが、山積する課題にめげないだけのチームワークは、既に、確立されているものと思われます。検討結果を、会務に反映させるために、七月頃には、委員長会議等を開催することを予定しています。

会 長 日 記

カテゴリー:会長日記

会 長  川 副 正 敏
一 各種団体の総会行事
 例年五、六月は、当会や日弁連だけでなく、各種団体の年次総会の季節。業際ネットワーク参加組織(司法書士会、土地家屋調査士会、公認会計士協会、税理士会、行政書士会、社会保険労務士会、弁理士会)のほか、調停協会、人権擁護委員会連合会、宅地建物取引業協会、福岡BBS会(付保護観察少年の支援団体)等々、多くの団体から来賓出席の案内が来ます。主催者の役員や他の来賓諸氏など、各界の指導的立場の方々との面談を通じて、弁護士会を大いに宣伝する機会と考え、最優先で出席するようにしています。
 これらの会合では、祝辞などの公式挨拶だけでなく、司法制度改革をめぐる諸問題の中から、それぞれの団体に関連する話題を取り上げ、懇談かたがた意見交換をすることに努めてきました。
二 日弁連定期総会での討論
 五月二七日、日弁連の第五六回定期総会が開催されました。この総会での重要議題は「司法改革実行宣言」(全文は日弁連総会資料として配付済)であり、圧倒的多数で可決されました。
 私は、以下のような賛成討論をしました。
 一七世紀のフランスのモラリスト、ラ・フォンテーヌの言葉に、「議論するだけなら議員は大勢いる。実行が問題となるとだれもいなくなる」というのがあるそうです。
 それは、今私たちがとるべき態度ではないと思います。
 私たちは、「市民と手を携え、分かりやすく、利用しやすい、頼りになる司法を実現する」という旗を掲げ、一九九〇年の第一次司法改革宣言から数えると一五年の歳月をかけ、内外の厳しい議論や様々の勢力との確執を繰り返しながら、戦後改革に次ぐ困難な司法改革運動を展開してきました。
 その結果、昨年末までにほぼその骨格ができあがった制度の多くは、国民の参加による透明で公正な、隅々まで法の支配が貫かれる社会を築くという私たちの理念を実現する上で、もとより完全なものではないにせよ、少なくとも大きな橋頭堡を築いたものだと考えます。
 他方で、今次改革の目玉ともいうべき裁判員制度や被疑者国選弁護制度を始めとする刑事司法改革分野においては、いわゆる人質司法や調書裁判の打破、捜査過程の可視化等々、積み残された大きな課題が山積しています。
 司法支援センターについても同様です。法に掲げられた事業は、私たちが法律扶助協会とともに、これまで実践してきた様々な権利擁護活動の延長線上のものであって、長年にわたる運動の成果と評価できると思います。しかし、犯罪被害者救済制度や過疎地対策などに見られるように、対象事業の種類や内容の点で、なお十分でないところがあるといわざるをえず、その組織と財政の規模を含めて、解決すべき難しい問題も少なくありません。\n また、センターの運営面では、弁護士会の主導性や個々の弁護活動の自主性・独立性を確保するための制度的担保をどうするのか、いわゆる自主事業の委託化の是非とその場合の展望をどう考え、いかに対処すべきかなど、焦眉の急を要する重要な課題が横たわっています。
 しかし、そのことのゆえに、私たちが刑事弁護や法律扶助の公益的活動から離れ、あるいは、司法支援センターへの参加を回避するなど、制度の実行・実践に少しでも手を緩めるようなことがあれば、それこそ、一六年前にわが九州・福岡から始めた当番弁護士活動など、これまでに私たちが営々と積み重ねてきた努力は水泡に帰するだけではなく、かえって市民の信頼を根底から失うことになりかねないと思います。
 私たちは、この司法改革運動の出発点がそうであったように、今こそ、現場での地道な実践活動を積み重ねることを通じ、広範な市民の信頼を勝ち得て、実践の中から改革を発想し、市民とともに運動を作り上げてきたという原点に立ち返ることが必要です。新たな制度を私たちの血肉とした上で、さらなる改革に向け、ここに指摘されている諸課題に全力で取り組んでいかなければなりません。
 そのようなときに当たり、この宣言を発することは、司法改革の実行に向けた日弁連の結集力と不退転の決意を会の内外に表明し、その存在感と主導性を一層大きなものにすることに資するものだと考えます。\n 以上の理由により、私は本宣言案に賛成いたします。

諫早湾干拓事業差止仮処分事件の許可抗告決定に関する会長声明

カテゴリー:声明

平成17年(2005年)7月13日
福岡県弁護士会 会長 川副正敏
 当会は,諫早湾干拓事業の問題につき,有明海沿岸の属する4県のうちの1つの地元単位会として,日本弁護士連合会や九州弁護士会連合会が行う調査やシンポジウムにつき重要な役割を果たすとともに,福岡県有明海漁業協同組合連合会をはじめ,個別の漁業者や周辺業者に対して被害調査を行い,有明海の漁業者の全体が,今や廃業の危機に陥っていることを明らかにした。
 しかしながら,去る5月16日,福岡高等裁判所は,事業と漁業被害との法的関連性を否定して,佐賀地方裁判所の仮処分決定を取り消し,工事差止めを求めた有明海沿岸の漁業者らの申立てを却下した。\n 日本弁護士連合会は,6月9日付けの会長声明において,この高裁決定が事業と漁業被害との法的因果関係の認定につき,自然科学的な証明まで要求する判断手法をとったことについて,遺憾の意を表明するとともに,国に対して中・長期開門調査の実施を要求した。\nこの決定につき,漁業者らが申し立てた許可抗告に対して,6月27日,福岡高裁は上記因果関係の論点について,これを許可する決定を行った。\n 当会がこれまで行った被害に関する調査からは,ノリ養殖の被害には地域差があること,ノリ養殖には漁業者の努力という要素が入るためノリの販売枚数だけでは被害の程度が推し測れないこと,大牟田地区の被害が深刻で共販組合を維持できなくなったことなどが明らかとなっている。これらの調査結果を踏まえると,福岡高裁が「昭和54年から平成16年までの有明海沿岸4県のノリ養殖の生産量の推移からは,現在のところ,ノリ養殖の生産量自体の減少を認めることはできない」としてノリ養殖の被害をノリ養殖の生産枚数だけの検討で否定した判断には強い違和感を覚えるものである。
 そして,農林水産省有明海ノリ不作等対策関係調査検討委員会が提言し,さらに前記日弁連会長声明でも提言されている,中・長期開門調査は,漁業被害を改善するための方策を検討するうえで,現時点で採りうる唯一の手段であると考えられることから,国に対し,早急に中・長期開門調査を実施するよう求めるものである。

「日本司法支援センターについて」

カテゴリー:副会長日記

副会長 古 賀 和 孝
 昨年度、当会に日本司法支援センター対策本部が設置され、本年度は私が担当しております。そこで、今回はこのセンター業務に関する当会の取り組み状況についてお知らせいたします。
 司法支援センターは総合法律支援法に根拠を有し、来年四月に独立行政法人として設立され一〇月から業務開始となります。司法支援センターの業務は、司法的解決のための情報提供、扶助相談・援助などの扶助事業、国選弁護、犯罪被害者救済のための情報提供、司法過疎地域対策となっています(法第三〇条)。実際には、司法支援センターの地方事務所を中心に業務が実施されます。この地方事務所の設置については、地域の実情などを考慮し設置するものとされておりますところ、当会では福岡部会と北九州部会に地方事務所を、筑後部会、筑豊部会に支所をおくことを法務省、日弁連に申し入れています。地方事務所、支所は地域での中心的な活動をおこなう拠点となることから、今後もねばり強く働きかけを続けていく方針です。\n 対策本部では、地方事務所、支所を具体的にどのように作り上げていくのかが最大の問題であることから、今年度、対策本部を地方事務所の設置等のあり方に関する部会、刑事弁護活動に関する部会、少年付添人活動に関する部会、民事扶助に関する部会、犯罪被害者救済など自主事業に関する部会に分け、予算獲得のための具体的な申\し入れをすべく諸費用の算出を当面の課題と位置づけ協議を進めております。日本司法支援センターが法務省の所管であることから予算の措置は法務省から財務省への予\算要求という経路を辿ります。法務省から財務省への概算要求が八月におこなわれますので、法務省が予算の作成に入る六月をめどに当会より法務省に対し、福岡県で司法支援センターを立ち上げ運営を開始するには、一体いくらの費用がかかるのかの具体的な要求をすることにしております。\n 現在、当会本部委員の英知を結集して、詳細な予算要求書を作成しているところです。\n 具体的な作業を照会しますと、まず、地方事務所、支所の設置、扶助事業については、地域の実情を考慮し、業務をおこなう場所の選定、取得費用(賃貸を含む)、職員の人数、相談ブースなど内装費用、それに最も関心が集まる弁護士報酬といった費用の積算を行う作業に入っています。各部会の関係委員、法律扶助協会で活躍されている委員の全面的な協力を得て作業をおこなっているところです。
 国選弁護活動については、業務開始後、予想される国選弁護士の必要数の検討や、国選弁護報酬についての要望、国選弁護事件の運営と弁護活動の独立など実務的、理念的な問題の検討をしております。平成二一年までに実現する必要的被疑者国選弁護制度を見越し、当番弁護士活動との連携や、被疑者国選弁護制度の対象とならない被疑者弁護をいかにするかなど困難な問題が山積しております。\n会員の協力なくしてこの制度の運営は難しく、担当委員が腐心されているところです。
 少年付添事件については、重要案件につき国選付添人制度が本来業務として実現される見込みです。この問題については、扶助事業との関連で司法支援センターに移管されない空白部分が自主事業として残ります。全件付添という当会の画期的取り組みをどのようにして維持発展させるか、子どもの権利委員会の委員に検討してもらっています。
 犯罪被害者救済については、本来業務が情報の提供にとどまることから、救済のための弁護活動を如何に運営していくのか、扶助事業の一環として本来業務とすることはできないのかなど、難しい論点の検討をしていただいております。
 執行部では、今後順次、日本支援センターに関する情報提供をおこなっていく予定です。

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