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出資法の上限金利の引き下げ等を求める会長声明

カテゴリー:声明

声 明 の 趣 旨
 当会は2007(平成19)年1月までに見直しが予定されている貸金業規制法及び出資法の上限金利のあり方について、以下の点を強く求めるとともに、当会として、今後とも多重債務問題の解決のために全力を傾けることを宣言する。
1.出資法の上限金利年29.2%を、少なくとも利息制限法所定の年15ないし20%の制限金利まで引き下げること。
2.貸金業規制法43条のみなし弁済規定を廃止すること
3.出資法の日賦貸金業、電話担保に認められている年54.75%の特例金利を廃止すること
  声 明 の 理 由
 2007(平成19)年1月を目処に行うとされている貸金業制度・出資の受け入れ・預り金及び金利等の取締に関する法律(以下「出資法」という)の上限金利の見直しのための法案が国会に上程される見通しとなっている。2003年(平成15)7月に成立したいわゆるヤミ金対策法(貸金業規制法と出資法の改正法)において2007(平成19)年1月までに貸金業制度及び出資法の上限金利の見直しを行うとの付帯決議がなされたことを背景としている。金融庁においては、昨2005年7月に貸金業制度等に関する懇談会が発足し、現在、金利の見直し等のための検討が行われているところである。
 これに対し貸金業業界は現在、出資法の上限金利を2004(平成16)年6月改正前の40.004%に戻すこと、貸金業規制法43条のみなし弁済規定の要件緩和、同法17条書面、18条書面のIT化(電子メール等の電子的手段によっても交付を認めて、みなし弁済の適用を容易にしようとするもの)等を求めて、国会への要請に力を注ぎ、消費者金融サービス学会に研究費などを提供して上限金利の自由化ないし引き上げを狙っている。殊に、最高裁で平成16年2月20日、みなし弁済規定についての厳格解釈の判断が示された以降、貸金業界は立法によるみなし弁済規定の復活のため、自民党や民主党等の政党に対する働きかけを強めている。また、日本には、GE、CFJ等アメリカ資本の貸金業者も進出しているが、アメリカ政府の対日要求である規制改革要望書の中では、政府に対して貸金業についての書面要件をIT書面に代えることを要求している。
 わが国の大多数の消費者金融は、利息制限法超過の金利で営業を行っているが、その借主は、消費者金融系の信用情報センターの登録件数から考えて全国で約2千万人にも達し、日本の就業人口の3~4人に1人が利用していることになる。ほとんどの借主が、消費者金融の貸付金利年25〜29.2%が暴利行為を規制する利息制限法に違反し、支払う必要のない金利であることを理解しないまま、借り入れし支払いを継続している。業界の発表でも、平均借入期間6.5年、利用者の3割が10年以上利用しているとされている。我々の経験的な理解によれば、利息制限法により再計算をすると6年程度でほとんど残債は残らず、さらに10年継続して利用した場合、ほとんどが過払いになっていると考えられるので、2千万人の3割600万人が支払い義務のない「貸付金」の返済を強要されていることになる。しかもその高利の返済のために、多くの多重債務者が生み出されており、その結果、極めて深刻な事態が発生している。
 ここ3年、自己破産の申立件数は20万件を超え、過去5年で約100万人が自己破産の手続きを取っていて、さらに破産予備軍も200万人にも及ぶと言われている。多重債務を原因とした失業や家庭崩壊や失踪は後を絶たず、更には多重債務による経済苦、生活苦による自殺も多発し、2004(平成16)年には全国で約8千人にも達し、交通事故の死者を上回っている。また、一家無理心中や凶悪な犯罪等も発生している。その上、多重債務者の多くが家賃や固定資産税や国民健康保険料等を滞納しており、自治体財政にも悪影響を及ぼし、保険証がなく医療を受けられない状況や、ホームレスを生み出す等、法治国家である日本において不正義が蔓延している。これらの被害の救済と根絶のためには、現行の出資法・貸金業規制法の改正が不可欠である。
出資法の上限金利は現在年29.2%と定められている。これは超低金利政策が長期間継続されていることに照らすと極めて高い。したがって、これを少なくとも利息制限法所定の年15ないし20%の制限金利にまで引き下げることが必要である(利息制限法所定の利率の引き下げも検討が必要であろう)。
 また多重債務問題の根元にあるのが、利息制限法と出資法のすき間(いわゆるグレーゾーン)を容認する貸金業規制法43条のみなし弁済規定であることは論を待たない。多くの者が支払う必要のない金利であることを理解しないまま、借り入れし支払いを継続して経済的破綻に追い込まれているのである。したがって、これを直ちに廃止することが必要である。
 さらに、出資法で日賦貸金業・電話担保に認められている年54.75%の特例金利についても、かかる立法を基礎づける社会的事実(立法事実)が無いばかりか、この規定が多大なる社会的弊害を生み出していることに鑑みると、これを直ちに廃止することが不可欠である。
 日弁連及び九州弁護士会連合会は、これまで何度も高金利被害を根絶するために、出資法の上限金利を利息制限法まで引き下げること等を求めてきた。最高裁判所において、昨年7月には取引履歴の開示義務が肯定され、12月にはリボルビング方式のみなし弁済の適用が否定され、本年1月13日及び1月19日、期限の利益の喪失約款が利息制限法超過利息の支払を事実上強制しているとして、みなし弁済を否定する判決が下され、更には1月24日、九州で顕著な被害が出ている日賦貸金業者に対する特例金利の適用を事実上否定する判決が出されるなど、司法の分野においては、高金利を否定する判決が相次いで出されている。これを立法及び行政に活かすべきことは、法律制度の改善及び進歩を目的とする弁護士及び弁護士会の責務であると言わなければならない。
 そのためには、人権の擁護と社会正義の実現を目的とする弁護士会が強力な運動によって出資法の上限金利を利息制限法まで引き下げる運動を展開していく必要がある。現在の状況は、弁護士および弁護士会が国民運動を起こさない限り、金利規制の緩和の大きな流れを押しとどめることは不可能である。
 よって、頭書のとおり声明する。
2006(平成18)年3月10日
福岡県弁護士会
   会 長 川  副  正  敏

弁護士に対する「疑わしい取引」の報告義務の立法化に反対する声明

カテゴリー:声明

2006(平成18)年1月18日
 福岡県弁護士会 会 長  川 副 正 敏
政府の「国際組織犯罪等・国際テロ対策推進本部」は、2005(平成17)年11月17日、資金洗浄(マネー・ロンダリング)及びテロ資金対策の一環として、2006(平成18)年中にいわゆるゲートキーパー規制の法律案を作成して、2007(平成19)年の通常国会に提出することを決定した。
しかしながら、弁護士に対するゲートキーパー規制制度の本質は、下記のとおり、依頼者の秘密情報を密告する捜査機関の手先としての役割を弁護士に担わせるものにほかならない。それは、健全な弁護士制度とこれを不可欠とする司法制度への信頼を根底から覆すものであって、国民の基本的人権保障を著しく危うくし、民主主義社会の維持及び発展にとって、得ようとする成果に比して失うものが余りにも大きいというべきである。
当会としても、マネー・ロンダリング対策の重要性を一般的に否定するものではないが、今回の政府決定は到底容認できず、この問題についての国民の理解を得る努力を尽くしつつ、日弁連及び他の弁護士会とともに反対運動を展開していくことを表明する。

ゲートキーパー規制とは、犯罪収益やテロ資金の移動に利用されうる一定の取引の代理人や助言者として、これらに関与する弁護士や会計士等の専門家を取引のゲートキーパー(門番役)にし、マネー・ロンダリングやテロ資金の移動を見張らせ、政府の金融情報機関(略称「FIU」)に対してその疑いのある取引の報告をさせることにより、これらの犯罪行為を抑止しようとする制度である。これは、先進8カ国(G8)から委ねられた「金融活動作業部会」(OECD内に事務局を置く政府間組織。略称「FATF」)がOECD加盟国を中心とする31の国・地域等に対して行った勧告で、その実施を求めているものである。
政府は2004(平成16)年12月、このFATF勧告の完全実施を方針とする「テロの未然防止に関する行動計画」を策定したが、今回の決定はこれを具体化するものである。
しかし、弁護士に対して、刑事罰その他の制裁を背景として、依頼者の「疑わしい取引」に関する情報を政府当局に報告する義務を課すという制度は、守秘義務と公権力からの独立を不可欠とする弁護士職の本質とは到底相容れないものである。それゆえに、日本を含む関係各国の弁護士・弁護士会は一致してその導入に強く反対してきた。現に、FATFの有力な加盟国であるアメリカでは未だ立法化されておらず、その動きも見られない。また、カナダでは弁護士会が起こした違憲訴訟によって、マネー・ロンダリング法の弁護士への適用が見送られ、ベルギーやポーランドでも違憲訴訟が提起されている。
弁護士という職業の中核的価値は、単に法律に関する専門知識を有するというだけではなく、公権力から独立して依頼者の人権と法的利益を擁護することにある。その職責を全うするため、弁護士は、依頼者に対して、職務上知りえた依頼者の秘密を保持する義務があり、これは国家機関を含む第三者に対する関係では、重要な権利でもある。
弁護士に厳格な守秘義務があり、かつそれが法的に保障されているからこそ、依頼者は弁護士にすべての情報を包み隠さず開示することができる。そして、そのような依頼者の全面的な情報開示があってはじめて、弁護士は効果的にその任務を遂行することができるのであり、すべてを打ち明けてもらうことで依頼者に合法的な行動をするよう指導することができる。これを依頼者である市民の立場から見ると、秘密のうちに弁護士に相談し、適切な法的アドバイスを受ける権利を有しているということにほかならない。それは弁護士としての依頼人に対する重大な職責であって、このことは、1990年12月に行われた国連の第45回総会決議『弁護士の役割に関する基本原則』の中でも、「完全に秘密を保障された相談において、適切な方法で依頼人を援助し、彼と彼らの利益を守るための法的行為を行うこと」をもって、弁護人の依頼人に対する義務である旨を述べているところである(同原則8項、13項等)。
しかるに、弁護士に対する「疑わしい取引」の通報義務制度の下では、「疑わしい」という多分に主観的な要件に基づいて、弁護士は依頼者を裏切ってまでも密告せざるをえないことになる。そうなれば、依頼者は胸襟を開いて弁護士に相談することはできず、依頼者の弁護士に対する信頼を損ない、弁護士職の存立基盤を突き崩し、ひいては市民の弁護士へのアクセスを著しく阻害するという事態を引き起こす可能性が大きい。
その意味で、弁護士の守秘義務と公権力からの独立性保障は、弁護士自身の職業的利益というよりは、市民が弁護士から適切な法的助言ないし援助を得るのを確保するためのものであって、法の支配を実現するうえで必須の制度である。
また、FATF勧告は、「疑わしい取引」に関する情報が「弁護士の職業上の守秘義務又は法律専門家の秘匿特権に服する状況下において得られたものである場合」には、届出を行うことを義務づけられないとしている。しかし、その具体的な適用範囲を明確に画することは極めて困難であって、前記の「疑わしい」との要件該当性の判断と合わせて、まさに、「疑わしきは依頼者の不利益に」なるような密告を余儀なくされることになる。
加えて、今回の政府決定では、報告先としての金融情報機関(FIU)について、従来金融庁としていたものを警察庁に移管することとした。しかし、弁護士は刑事弁護活動等を通じて、捜査ないし治安・警備機関としての警察と時に厳しく対峙することをその職責上不可避としている。そのような弁護士をして、ほかならぬ警察に「疑わしい取引」の密告をさせるというのは、弁護士・弁護士会の存立基盤である公権力からの独立性を構造的に脆弱化して、国民の信頼を失わせ、弁護士制度の根幹を大きく揺るがすものである。
以 上

少年非行と付添人活動

カテゴリー:会長日記

会 長 川 副 正 敏
 福岡県弁護士会では2001(平成13)年2月に少年身柄事件全件付添人制度を発足させ、以来5年近く経過しました。
 これは、非行事件を起こしたとして観護措置(身柄拘束)を受けた少年に対し、費用負担ができなくても、弁護士が付添人に就いて家庭裁判所の少年審判手続に関与し、正しい非行事実の認定と少年の真の更生に向けた適切な処遇を実現するために活動するもので、日本で初めての制度でした。
 現在、福岡県弁護士会では361名の会員がこの活動にたずさわっており、付添人選任数は年間900件前後の全観護措置件数の約70%にのぼるなど、ほぼ定着しています。他の弁護士会でも逐次同様の制度が導入されてきており、着実に全国的な広がりを見せています。現在検討されている少年法改正案にも、一部の事件に限定されてはいますが、国選付添人制度が取り入れられるに至りました。
 成人が起訴された場合は、国選弁護人が選任されてその法的援助を受けられるのに対し、発達途上にあって、可塑性に富み、成人よりも防御能力が劣る少年について、当然に弁護士が付添人に選任される法制度が用意されていないのは均衡を失しており、人権制約をするには適正手続の保障が不可欠であるとの憲法上の原則にもとるのではないのか。私たちが手弁当でこの制度を始めたのは、このような問題意識に基づくものでした。
 また、非行事件を起こした少年に寄り添い、非行に陥った原因を彼らと一緒に探求し、その自覚と反省、被害者への謝罪の念を醸成して、更生の意欲をうながし、環境調整を図るうえでも、弁護士が付添人となって活動することに大きな意義があると考え、現に実践しています。
 私も付添人活動をするときは、河合隼雄著『心の処方箋』の中の次の一節をいつも想起するようにしています。
 一番大切なことは、この少年を取り巻くすべての人がこの子に回復不能な非行少年というレッテルを貼っているとき、「果たしてそうだろうか」、「非行少年とはいったい何だろう」というような気持をもって、この少年に対することなのである。
 近時、少年による重大事件が起こるたびに、その厳罰化が叫ばれ、今次の少年法改正案でも、14歳未満の子どもに対する少年院送致の導入や触法少年等に対する警察官の調査権限の法定化などが盛り込まれています。
 しかし、1990年の第8回犯罪防止及び犯罪者処遇に関する国連会議で採択された「少年非行予防のための国連ガイドライン」(リヤド・ガイドライン)が述べているように、少年非行防止のためには、家庭、学校や地域において、子どもの人権を尊重した教育と福祉的アプローチが重視されるべきだとの基本的視点が忘れられてはなりません。その意味で、この少年法改正案には大いに疑問があると言わざるをえません。
 少年事件付添人制度は、「少年の健全な育成を期する」という少年法の理念を現実的に意味のあるものとして生かすことに寄与し、このことがひいては少年非行を減らし、その深刻化を防ぐ道でもあると思います。
福岡県更生保護協会『福岡更生保護』第728号(平成17年12月1日)より

会 務 報 告

カテゴリー:副会長日記

副会長 三 浦 邦 俊
 会務報告も三回目、この記事が会内に配布されるときは、忘年会シーズンも真っ盛りという時期であろうと思われます。執筆時期は、平成一七年一〇月初め、夏も終わり、秋の足音が云々という挨拶をすべき頃ともいえるが、会務は正に正念場、これからクライマックスとも言える時期に差し掛かっています。
 秋の行事の多さと、今後のことまで考えると、現在の弁護士会の活動を維持、発展させていこうとすると、現在のシステムでは、対応できなくなっているのではないかという気がします。
 本年度の目玉は、司法支援センター問題と、裁判員制度に対する対応といわれておりましたが、前者については、予算要求に向けての種々の活動が一応終わり、八月三〇日には、九弁連と日弁連の主催で、アクロス福岡で、公的弁護士制度に対応と態勢強化のための意見交換会が実施されました。ところが、九月に入った途端に、裁判員制度の広報活動が三庁合同でおこなわれることになり、そのための連絡協議会が九月一日に発足し、九月二六日に、三庁合同の記者会見、同二七日には裁判員制度模擬裁判、一〇月一日は裁判員フォーラムの開催、同四日及び六日には街頭におけるビラ撒きなどを三庁合同でおこないました。このための準備の打合せの回数も、相当回に上りました。
 裁判員の関係では、一一月一六日には、弁護士会が中心となって裁判員シンポを企画しているところですが、これ以外にも、九月一六日には、高齢者・障害者のシンポジウムと専門職団体の定期総会、九月一七日には取調可視化のシンポジウム、九月二二日には第九回の全国仲裁センター連絡協議会、一〇月七日は金沢市での業務改革シンポジウムなどにも参加し、台湾の裁判官との交流会なども実施しました。今後も、各弁連大会、人権シンポ、釜山弁護士会との交流会などの行事が目白押しの中、種々の課題の処理をおこなっていくことになりますが、担当委員会への出席に関しては、いろんな行事とぶつかってしまう関係で、皆勤賞にはほど遠い状態であり、頼りは、委員会メーリングリストと議事録という状態にあります。各副会長が、担当する委員会の数が多くなり過ぎていることと、それぞれの委員会の活動が活発であるか、あるいは、問題を多く抱えていることが原因ですが、息つく暇もない有様です。しかし、自分の仕事をおこなっているときには味わえない体験の連続で、精神的に参ったり、焦るような場面はなく、案外、執行部ライフをエンジョイしているのかもしれません。某会長経験者から、「権力の座にすわる気分も悪くなかろうが」などとからかわれても、気にすることなく会務を消化しております。会館に居る時間が長くなればなるほど、また、メーリングリストを眺めている時間が長くなれば長くなるほど、福岡県弁護士会の従来からのシステムの粗に気がついてしまいます。アーッと言いながら、また、仕事が増えたと思いますが、気がついた者が処理をしなければ、数年は改善されないと思うと、どうしても今年中にという自虐的気分になり、益々、仕事が増えるという悪循環?に陥ってしまいます。
 唯一、神経を使うことは、市民からの会員に対する苦情を取扱う市民窓口を担当するときです。苦情のうちの大部分は、苦情を入れられる市民側に問題があるケースですが、明らかに弁護士側に問題があると思われる事案もあり、懲戒請求書の用紙を交付せざるを得ないケースもあります。他方、懲戒や紛議までに至らないにしても、法律相談を受けた弁護士の態度が横柄だった、相談中あくびをされた、相談中、腕組みをして、相談者の顔を見ようとしなかったなどという苦情もあり、窓口担当者としては、「申し訳ありません。」、「会員に周知するように指導します。」などと謝る場合もあります。この辺りは、マナーの問題であるわけですので、会員の皆様は、充分ご注意して頂くよう改めてお願い申し上げます。
 担当する委員会関連で、今年から試験的にでも実施してみようということになった点が、全会員を対象としたメーリングリストの開設です。今秋は三回にわたって全員協議会が実施されることから、会内議論の場として、実際の協議会の場以外に、設置してみるということにしたものです。ホームページ委員会では、従来から全会員を対象とするメーリングリストを開設すべきであるとの議論があったものですが、余計なメールが大量に入ることを嫌う会員もある等の理由で実施されていなかったものです。全員協議会については、従来から参加者が少なくなっている傾向と、日程が合わないという苦情があったものですが、これを一挙に解決するということが出来るかと思います。この点、ホリエモンのライブドアなど、全社員を対象とするメーリングリストを活用している企業は少なくないと思われ、弁護士会としても、メーリングリストの活用を図っていくことで、会内の情報伝達をスムーズに出来る等の効用があると思われます。一度、実験してみて今後の活用方法を考えたいと思います。
 会務の様子を報告申し上げれば、右の通りですが、他方で、健康第一と考え、個人的には、今年は、これまでになく休日にゴルフに行く回数が増えております。会長以下、他の役員も、山登り等で、体力をつけて、残りの任期を乗り切ろうとしており、まずは、執行部全員、元気で執務をおこなっております。

会 長 日 記 〜東京から金沢へ〜

カテゴリー:会長日記

会 長 川 副 正 敏
一 東京〜未決等拘禁制度改革に向けて
 一〇月五日、日弁連の刑事拘禁制度改革実現本部の全体会議が開催され、地方本部長として出席しました。会議では、九月一六日に出された『未決等拘禁制度の抜本的改革を目指す日弁連の提言』(日弁連ホームページの日弁連の活動↓主張・提言↓意見書等に掲載。以下「日弁連提言」という)の確認をしたうえで、今後の運動の進め方などについて討議をしました。
 今年五月一八日、刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律が成立しました。これは、長年の懸案であった監獄法改正問題のうち、刑事施設及び受刑者の処遇に関する規定についての改正をしたものです。そして、この改正で積み残しになった代用監獄問題を含む未決拘禁者と死刑確定者については、来年の通常国会での法案上程を目途に、現在日弁連・法務省・警察庁の三者間で協議が重ねられており、日弁連提言もここで議論されることになります。
 提言の要点は次のとおりです。
1 未決拘禁制度の基本的なあり方は、あくまでも無罪推定原則を生かし、これを保障する内容でなければならず、市民としての生活保障、訴訟当事者としての防御権確保が最大限図られるべきである。また、裁判員制度・連日的開廷の実施に伴い、弁護人の接見交通に対する障害を除去する。
2 警察留置場を勾留場所とする代用監獄制度は冤罪と人権侵害の温床であり、国際人権法上もその存続は到底許されない。したがって、これを廃止することを確認したうえで、全面的廃止に向けた確かな道筋・方法を明確にする。
3 弁護人の秘密交通権確保に留意しながら外部交通の拡充を図るべく、電話やファクシミリの使用を導入する。
4 拘置所を含めて夜間・休日接見を原則として認める。
5 長時間・深夜の取調禁止を法律上明記する、未決拘禁者に対する懲罰制度を原則としてなくす、自己労作・教育の機会を保障する、冷暖房を完備するなど、人権侵害を防止し、市民としての生活を保障するための方策を導入する。
6 死刑確定者について、「心情の安定」を理由とする現状の非人道的な処遇を抜本的に改め、人間としての尊厳を尊重した取扱を確立する。例えば、外部交通・図書閲読・差入を原則的に自由とし、他の被収容者との接触を認め、死刑執行の事前告知を行うなどの規定を設ける。
 以上のような提言に対して、法務省・警察庁側の態度は極めて固く、基本的には現状維持の方針であって、ことに最大の争点である代用監獄問題については、これを廃止するどころか、この機会にむしろ恒久化しようとの意向を示しているところです。
 衆議院で圧倒的多数の与党が出現した現在の国会情勢の下で、日弁連の提言を実現するのは容易なことではないと言わざるをえません。しかし、代用監獄廃止を中心とした未決拘禁制度の抜本的改革は、私たちの悲願であり、刑事司法改革の基礎に位置づけられるものです。それは、現在ホットな課題となっている取調全過程の録音・録画の導入と、いわば車の両輪として取り組んでいかなければならないと思います。
 日弁連は一九八二(昭和五七)年から一九九〇(平成二)年にかけて、広範な市民をも巻き込んで、その総力を挙げて拘禁二法反対運動を展開し、これを廃案に追い込みました。このような歴史そのものをご存じでない若い会員も増えた今日、改めてこの問題の重要性に対する共通認識を確立し、今後の立法化作業に向けた対応体制を強化しなければなりません。
 執行部としても、刑事弁護等委員会や刑事法制委員会を中心として、遺漏なき対処をしていく所存です。
 会員各位におかれましては、この機会に日弁連提言及び『自由と正義』九月号の特集「二一世紀の行刑改革」にぜひ目を通され、現時点における問題の所在を改めて確認され、ご意見をお寄せください。
二 金沢〜業務改革シンポに参加して
 一〇月五日の東京・日弁連会館での会議を終えた足で、翌六日には金沢に入り、七日朝から開催された日弁連の弁護士業務改革シンポジウムに出席しました。その内容については別稿で報告されると思いますので、若干の感想を記すことにします。
 今回のシンポは「司法改革と弁護士業務〜弁護士の大幅増員時代を迎えて」と題して、第一「地域の特性に応じた法律事務所の多様な展開」、第二「新たな挑戦に向けて」、第三「ここまで来た司法IT化の波」の三つの分科会が行われ、私は第二分科会に参加しました。
 そこでは、「弁護士業務の新領域を探る」との副題の下に、最近の各種業務領域の盛衰とその要因に関する分析、アメリカの一〇人未満の法律事務所の実情報告などに基づき、特色ある業務分野、例えば交通事故事件、スポーツ法、弁護士取締役、株主代表訴訟、債務整理・倒産処理、包括外部監査、エンターテインメント業界(映画、音楽、出版業界等)、コンプライアンス委員会・企業倫理委員会、敵対的買収などをめぐる現況と展望が提示されました。
 これらを踏まえ、当面の具体的方策として、?弁護士に関する業務規制緩和と権限強化、?日弁連における立法支援センター設置、?民事訴訟の活性化に向けた抜本的改革(民事陪審、懲罰的損害賠償制度など)、?交通事故訴訟などの既存分野の再開発のための日弁連による改革モデルの提示といった「新規業務開発五カ年計画(要綱)」が提言されました。
 弁護士大幅増員時代における業務基盤に対する不安感が漂う中で、新たな業務開拓に向けた弁護士会としての組織的対応が強く求められており、未だ十分とは言えないものの、その端緒を示すものとして、大変に興味深いものがありました。
 当会では、刑事弁護等委員会における刑事弁護実務に関する情報交換、倒産支援センターのメーリングリストでのノウハウのやり取り、高齢者・障害者支援における行政等との連携、交通事故被害者救済センターによる交通事故事件の掘り起こし、行政問題委員会による定期的一一〇番活動、犯罪被害者支援など、さまざまの分野で人権擁護活動とも結合しながら、業務拡充策を展開してきました。これらを「業務開発」という観点からさらに充実させるのはもちろんのこと、シンポで提言された業務分野のほか、信託、地方自治体の私債権処理、第三セクター問題等々、新たな分野に関して、会員だけではなく、会外の関係者・専門家との共同研究を立ち上げるなどして、我々のウイングを大きく拡げていく取り組みを深化させるべきだと痛感しました。この面では、若手会員からの創意に満ちた提案と積極的な行動を大いに期待します。
 目まぐるしく駆けずり回る日々の中で、合間を見て散策した秋の兼六園と武家屋敷跡の風情にほっと一息をつく思いでした。
 このシンポジウムの運営委員として尽力された当会の山出和幸・加藤哲夫両会員に心より感謝いたします。

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