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要請書~福岡家裁小倉支部に非常勤裁判官制度の実施を~

カテゴリー:要請書


日本弁護士連合会
会長 山岸憲司 殿
  
要 請 書 
~福岡家裁小倉支部に非常勤裁判官制度の実施を~
               
第1 要請の趣旨
 当会は、日本弁護士連合会(以下「日弁連」という。)に対し、日弁連においては、非常勤裁判制度の実施庁の拡大及び非常勤裁判官の待遇の改善に向けてより一層その実現に取り組むと共に、福岡家庭裁判所小倉支部において非常勤裁判官制度が実施されるよう最高裁判所に申し入れることを要請する。
第2 要望の理由
 1 弁護士が弁護士としての身分をもったまま、民事調停及び家事調停に関し、裁判官と同等の権限をもって調停手続きを主宰する、いわゆる非常勤裁判官制度は、2004年1月に開始された。
   同制度は、①常勤裁判官への任官促進と、②調停の充実活性化を目的とするもので、発足当初は、東京、大阪、横浜、名古屋、京都、福岡、及び札幌(東京及び大阪は、地裁、簡裁及び家裁。東京及び大阪以外は簡裁)で導入されたが、その後漸次実施庁は拡大され、2006年10月には小倉簡裁及び福岡家裁でも実施されるようになった。2012年4月現在、実施庁は、全国で2地裁、16簡裁、及び12家裁、以上合計30の裁判所に及び、108名の弁護士が非常勤裁判官としてその職務に従事している。
   同制度は、調停成立率の向上、当事者の納得度の向上など、調停制度の充実と活性化に大きく寄与していると高く評価され、非常勤裁判官経験者へのアンケート等では、「非常勤裁判官の経験は何物にも代え難い貴重な経験である」、「調停が成立したときには弁護士と違った充実感がある」など、極めて有意義な制度であるとの意見が多数あると報告されている。
 2 しかしながら、非常勤裁判官制度の実施庁は、前記のように一部のみに限定されており、このことは、非常勤裁判官の待遇が十分でない点とともに制度の重要な問題点として指摘されている。
   こうした中、2011年8月には和歌山県弁護士会が、同年9月には奈良県弁護士会が、それぞれ「県下において未実施の非常勤裁判官制度が実施されるように取り組まれたい」との要請文書を日弁連に提出し、これを受け、日弁連は全国の単位会に対し、同年12月9日付けで、管轄内の裁判所が非常勤裁判官の実施庁となることの検討を要請した。その結果、福島県弁護士会が2012年2月1日実施庁として手を挙げた。
 3 当会内において非常勤裁判官制度は、福岡簡裁、福岡家裁(本庁)の外、小倉簡裁においては実施されているものの、福岡家裁小倉支部においては実施されていない。
   福岡家裁小倉支部の事件数は、司法制度統計によれば、2010年度において1300件であり、全国的にみても本庁と遜色ないほどに多く、一方、当会北九州部会の弁護士数は、2012年7月1日現在で156人であり、非常勤裁判官を安定的に供給するに足りる員数であると言える。
   そこで、本年6月当会北九州部会において、同部会所属の弁護士に対し、福岡家裁小倉支部にて非常勤裁判官制度を実施することについてアンケートを実施したところ、これを肯定する意見が殆どであり、かつ同制度が実施された場合、非常勤裁判官に応募する意向のある弁護士が少なからずいることが確認された。
4 ここにおいて、当会は、常勤裁判官への任官の促進、及び調停の充実活性化は、全国で実現されるべきものであるから、実施庁が出来るだけ拡大されることが望ましいとの点を改めて認識し、福岡家裁小倉支部において非常勤裁判官制度が実施されることを希望する。
あわせて、制度発足当初から、非常勤裁判官の待遇が十分でないとの指摘があることから、その改善に向けて、日弁連がより一層努力することを要望する。
よって、第1記載のとおり要請する次第である。 
以上
                           福岡県弁護士会
                           会 長  古 賀 和 孝
                                   

当会元会員の実刑判決についての会長談話

カテゴリー:会長談話

会長談話
当会元会員高橋浩文が、本日、被害額約4億6000万円に上る詐欺、業務上横領罪にて懲役14年の実刑判決を受けたことは、誠に遺憾というほかありません。市民の権利擁護と社会正義の実現を使命とする弁護士が、こともあろうに、依頼者を欺き、多額の被害を与えたことは、慚愧に堪えません。
当会は、市民の弁護士、弁護士会に寄せる信頼を回復すべく、改めて全ての会員に対して弁護士に課せられた使命の自覚を促すとともに、不祥事防止策を早急に講じる所存です。
                      
                        2012年(平成24年)10月11日
                     福岡県弁護士会会長 古 賀 和 孝

会長日記

カテゴリー:会長日記

平成24年度福岡県弁護士会  会 長  古 賀 和 孝(38期)
 9月に入ったとはいうものの天晴れと言う他ない残暑が続いています。しかも予定された計画停電は実施されていないものの、折からの節電要請で冷房もこれまでよりずっと抑制されておりますので、暑がりの私にとっては、正に、試練の日々です。
 さて、7月19日、20日と北海道弁護士会連合会の定期大会に、九弁連副理事長として出席しました。北の大地はその名の通り、どこまでも広大で緑に満ち満ちており、冷涼そのものでした。今回、道弁連では、「北海道は、広大な面積の中に海洋・平野・山地・河川等多様で豊かな自然環境を有するとともに、第1次産業も盛んであって、再生可能エネルギーのポテンシャルも極めて大きい。また、再生可能エネルギーの地産地消が実現した場合には、地場産業や雇用の創出等といった、副次的効果も認められる。」として、「再生可能エネルギー及び省エネルギーの推進に向けた取組みに関する宣言」が採択されております。昨年の東日本大震災と同時に発生した原発事故を契機として代替エネルギーに関する議論が広く国中で沸き起こっていることや、過疎化が進む現状への危機感から、誠に時機に適った宣言ということができます。北海道を九州と読み替えれば、概ね、地域特性は近似していますので、益々親和性を感じました。
 午後からの大会に先立ち、午前中開催された「再生可能エネルギーに関するシンポジウム」は、地域活性化、経済効果、雇用創設と言った、日常の生活に直結する観点からの報告で大変興味深いものがありました。ドイツ視察を行った札幌弁護士会の若手会員からは、風力発電事業を共同出資でおこない配当や保守作業に従事して賃金を得ている、あるドイツの村人の詳細な報告がありました。また、別の報告者からは、北海道内の温泉施設を持った公共施設の電力供給を、全て木材チップ発電に転換したことで、木材伐採のためのルート開設、伐採事業、木材チップ製造、保管、輸送、発電設備保守などの全ての過程で雇用が創出され、これによって町内に環流する資金量は、油代などの町外流出を含む重油ボイラー発電時代の環流資金量と比較して、赤字から大幅な黒字となったとの報告がなされたときには、会場内の参加者からどよめきが起こるほどのインパクトがありました。木材チップ発電というと、電力の生産量の観点から、正直なところちゃちな印象がありましたが、なんとなんと、経済面でも雇用面でも過疎化対策の面でも、大きな成果を上げていることを知り、感心した次第です。
 わずか2日間の札幌滞在でしたが、森林資源豊かな北海道ならではの再生可能エネルギーの利用実例を知るだけではなく、目標を持って地道に研究を行い、実践をしていく姿にも感銘を受け、北海道と同じ位に、広く、豊かになったように感じました。

死刑執行に関する会長声明

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死刑執行に関する会長声明
1 本日,福岡及び仙台の各拘置所において、それぞれ1名の死刑確定者に対して死刑が執行された。
  本年8月3日に2名の死刑執行がなされたばかりであり、2ヶ月連続での死刑執行が強行されたことになる。
2 我が国では,過去において,4つの死刑確定事件(いわゆる免田事件,財田川事件,松山事件,島田事件)について再審無罪が確定している。また,2010年(平成22年)3月には足利事件について,2011年(平成23年)5月には布川事件について,いずれも無期懲役刑が確定した受刑者に対する再審無罪判決が言い渡されている。これらの過去の実例が示すとおり,死刑判決を含む重大事件において誤判の可能性が存在することは客観的な事実である。
  そして、今回死刑が執行された内、福岡拘置所の死刑確定者は、一審・控訴審では強盗殺人罪の成立を争っていたのであり、39歳という年齢や2009年(平成21年)4月の死刑確定から3年半も経っていないことを考慮すれば、冤罪・誤判の観点からも極めて問題のある死刑執行であると言わざるを得ない。
3 しかも,我が国の死刑確定者は,国際人権(自由権)規約,国連決議に違反した状態におかれているというべきであり,特に,過酷な面会・通信の制限は,死刑確定者の再審請求,恩赦出願などの権利行使にとって大きな妨げとなっている。この間,2007年(平成19年),刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律が施行されたが,未だに死刑確定者と再審弁護人との接見に施設職員の立ち会いが付されるなど,死刑確定者の権利行使が十分に保障されているとは言い難く,このような状況の下で死刑が執行されることには大きな問題があるといわなければならない。
4 日本弁護士連合会は,本年6月18日、滝実法務大臣に対し、「死刑制度の廃止について全社会的議論を開始し、死刑の執行を停止するとともに、死刑えん罪事件を未然に防ぐ措置を直ちに講じることを求める要望書」を提出して、国に対し、直ちに死刑の廃止について全社会的な議論を開始し、その議論の間、死刑の執行を停止することを改めて求めたところであった。
  そして、本年8月3日に死刑執行がなされた際も、日弁連及び当会は、死刑執行に強く抗議するとともに、一切の死刑執行を停止するよう求めていたのであり、この要請を無視した今回の執行は到底容認できない。
5 当会としては改めて政府に対し強く抗議の意思を表明するとともに,今後,死刑制度の存廃を含む抜本的な検討がなされ,それに基づいた施策が実施されるまで,一切の死刑執行を停止することを強く要請するものである。
                    2012年(平成24年)9月27日
                    福岡県弁護士会会長 古 賀 和 孝

発達障がいのある被告人による実姉刺殺事件の大阪地裁判決に関する会長談話

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発達障がいのある被告人による実姉刺殺事件の
大阪地裁判決に関する会長談話


 本年7月30日、大阪地方裁判所は、発達障がいがある男性が実姉を刺殺した殺人被告事件において、被告人に対し、検察官の求刑(懲役16年)を上回る懲役20年の判決を言い渡した。
 同判決は、犯行に至る経緯や動機について、被告人に、発達障がいの一種であるアスペルガー症候群の影響があったとし、被告人が十分に反省する態度をしめすことができないことには同症候群の影響があり、通常人と同様の倫理的非難を加えることはできないとしながら、他方、十分な反省のないまま被告人が社会復帰すれば、そのころ被告人と接点を持つ者の中で、被告人の意に沿わない者に対して、被告人が同様の犯行に及ぶことが心配されるとし、社会内で被告人の同症候群に対応できる受け皿が何ら用意されていないし、その見込みもないという現状の下では再犯のおそれが更に強く心配され、被告人に対しては、許される限り長期間刑務所に収容することで内省を深めさせる必要があり、そうすることが社会秩序の維持にも資するとして、有期懲役刑の上限にあたる刑を言い渡したものである。
 しかし、同判決には看過できない以下の問題点がある。
 第1は、同判決は、刑法の理念である責任主義に反している点である。人が同症候群を有することは、その人の責任ではない。同判決が、通常人と同様の倫理的非難を加えることはできないと認めるとおり、同症候群の影響は、刑を減じる方向に働くべき事情である。にもかかわらず同判決は、同症候群の影響をもって再犯のおそれを強調し、逆に刑を加重しており、責任主義に反していている。被告人に対し、許される限り長期間刑務所に収容することで内省を深めさせる必要があり、そうすることが社会秩序の維持に資するという発想は、保安処分につながるものであり、到底許されるものではない。
 第2は、同判決が、同症候群の障がい特性に対する無理解に基づいている点である。同症候群を有する人は、社会的なコミュニケーション力や、相手の気持ち・場の雰囲気を読み取る力が弱く、限定した興味に対するこだわりが強い、といった特性を有しているが、同症候群が危険であるとか、直接犯罪に結び付くといったことは決してない。むしろ同症候群を有する人は、これらの特性を周囲に理解してもらえず、ストレスに苦しみながら真面目に生活している人が多く、十分な支援があれば、逸脱行動を取ることは稀である。
 本件において被告人の再犯防止に必要なことは、障がい特性に応じた十分な支援を受けさせることである。わが国の刑務所では、同症候群を含む発達障がいに対する支援体制は乏しく、長期間刑務所に収容しても、その効果を期待することはできない。
 同判決は、障がい特性に対する無理解により、被告人に対する再犯防止への道筋を誤っており、同判決が、同症候群に対する社会の偏見や差別を助長することを深く懸念するものである。
 第3は、同判決が、同症候群を含む発達障がいに対する法的・社会的状況について明らかに誤った認識を有している点である。発達障がいを有する人に対しては、2005年(平成17年)に発達障害者支援法が施行され、発達障がいを有する人の自立及び社会参加に資するようその生活全般にわたる支援を図ることが社会全体の責務とされ、都道府県及び政令指定都市において発達障害者支援センターが設置されている。また厚生労働省においても、障がいにより福祉的な支援を必要とする矯正施設退所者について、退所後直ちに福祉サービス等につなげるために「地域生活定着支援センター」が各都道府県に開設されるなど、目下、諸施策が立案・実施されているところである。
 同判決が、社会内で被告人の同症候群に対応できる受け皿が何ら用意されていないし、その見込みもない、という認識は明らかに誤っており、その誤った認識から、被告人を許される限り長期間刑務所に収容すべきとすることもまた、明らかに誤っている。
 司法を担う裁判所が判決において、このような誤った認識を示すことは、同症候群をはじめとする発達障がいを有する人に対する社会的偏見や差別を助長するものであって到底看過できない。
 当会は、同判決が有する重大な問題点を指摘するとともに、広く社会に対し、障がい特性や、障がい者を取り巻く法的・社会的状況等を正しく理解することを求める。

2012年(平成24年)9月25日
福岡県弁護士会会長 古 賀 和 孝

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