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男女平等及び性の多様性の尊重を実現する宣言

カテゴリー:宣言

私たちの住む社会は、さまざまな個性をもつ人々で構成されています。どの人もみな、個人として尊重され、自らの個性と能力を十分に発揮する機会が確保されなければならないことは、いうまでもありません。性別という枠を超えた人権尊重の必要性も指摘されはじめている現在、性の多様性を受け入れ、それぞれの個性を生かし活躍する社会という観点は非常に重要です。

かかる観点から、福岡県弁護士会は、真の男女平等の実現とともに、性別を問わず、全ての人々が、自分らしく、個性と能力を十分に発揮できる社会をめざして、みずからが総合的かつ統一的な取り組みを行うことが必要だと考えました。当会がこうした取り組みを行うことで、会内で会員が活動しやすい環境が整備されるだけでなく、社会における多様な人々の司法アクセスの確保や法的ニーズに応えることにもなり、基本的人権の擁護と社会正義の実現という弁護士・弁護士会の使命を果たすことにもつながります。

そこで、当会は、性の多様性を受け入れ尊重する「開かれた弁護士会」となるべく、下記の活動指針を実現していくことを宣言します。

  1. 男女平等及び性の多様性の尊重を実現するための「基本計画」を整備する。
  2. 弁護士のワーク・ライフ・バランスを推進するため、家事・育児・介護等の負担を担う会員も活動しやすいよう支援する施策を整備する。
  3. セクシュアル・ハラスメント及び性別による差別的な取扱いを防止するため、既存の制度の充実を図る。
  4. 男女平等の実現及び性的マイノリティの権利擁護に関し、会員の理解を深めるための施策を進め、研修・啓発活動をよりいっそう充実させる。

2016年(平成28年)5月25日
福 岡 県 弁 護 士 会

宣 言 の 理 由

1 福岡県弁護士会でのこれまでの取り組み

当会においては、性別による差別的取扱い等の防止に関する規則の制定、産前産後期間における会費等免除制度の創設、育児期間中における会費等免除制度の創設、研修時間等の配慮、女性弁護士社外役員候補者名簿の作成・提供など、さまざまな男女平等実現のための施策がとられてきたところである。

2 政府・社会の動向

2015年(平成27年)の我が国のジェンダー・ギャップ指数(GGI)は依然として145か国中101位と、男女間の格差が先進国の中で最低水準である。かかる状況を受けて、「社会のあらゆる分野において、2020年までに、指導的地位に女性が占める割合が、少なくとも30%程度となるよう期待する」との政府目標が掲げられ、2015年(平成27年)には国会で「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)」が成立するなどしている。また、性的マイノリティの権利擁護に関する議論も活発化しており、議員連盟の発足や、文部科学省から各地方自治体等への通知がなされるなど、社会の意識と実情に急速な進展も見られる。

3 福岡県弁護士会としての今後の課題と目標

当会では、2016年(平成28年)4月1日時点での会内女性割合が約17.8%(会員数1198名 女性会員212名)であるなかで、2016(平成28)年度の役職者に占める女性会員の数と割合は、執行部(会長・副会長及び事務局長)は過去最高の2名(25%)、常議員6名(20%)であるものの、この数や割合が安定的に維持できる状況にはなく、委員長は7名(11%)と依然として低いままであり、会務活動におけるさらなる男女平等の実現が期待される。そのためには、家事・育児等を担う会員の会務活動への参加に障壁となっている事由の調査や分析などが不可欠であり、その上で、障壁事由を取り除くための施策を整備することが必要である。

男女平等の観点からは、会員の出産・育児・介護等に伴う労働時間の制約や収入の格差、女性修習生の就職難など、問題を指摘する声があるものの、その実態の把握が出来ていないため、原因の分析と問題解消のための取り組みが急がれる。と同時に、男女問わず弁護士として実力を発揮しながら自らの人生を充実させていくために、弁護士のワーク・ライフ・バランスを推進することも重要である。弁護士にワーク・ライフ・バランスの考え方が浸透することは、社会における家庭責任の適切な分担や、仕事と家庭責任との両立の促進にもつながるものである。

また、当会では、2009年(平成21年)に「セクシュアル・ハラスメントの防止に関する規則」を施行し、セクシュアル・ハラスメントや性別による差別的取扱の防止に向けて取り組んできた。このような当会が既に設置している制度についても、相談件数が僅かに留まるなど、未だ十分に活用されていない可能性がある。そのため、会員が利用しやすく、実効的な制度になるべく、制度内容の充実を図る必要もある。

加えて、2015年(平成27年)、当会(両性の平等に関する委員会内)に性的マイノリティに関するLGBT小委員会が発足した。LGBTは性の多様性の一部であって、「人権」の問題であり、人権擁護を使命とする弁護士・弁護士会が率先して取り組むべき問題である。しかし、弁護士会内における同問題に関する周知は未だに不十分と言わざるをえない状況であり、LGBTが戸籍や婚姻に留まらず、日常生活全般に関わる問題であることの理解を深めるために、当会において様々な研修や啓発活動が必要である。

そこで、当会において、男女平等及び性の多様性の尊重を実現するための「基本計画」を整備し、総合的かつ統一的な取り組みをさらに進めると共に、様々な施策の整備や制度の充実を図るべきであると考え、本宣言案を提案する。

朝鮮学校に対する補助金停止に反対する会長声明

カテゴリー:声明

1 自由民主党は、2016年2月7日、「北朝鮮による弾道ミサイル発射に対する緊急党声明」を出し、「朝鮮学校へ補助金を支出している地方公共団体に対し、公益性の有無を厳しく指摘し、全面停止を強く指導・助言すること。」を求めた。
  同年3月29日、文部科学大臣は、「北朝鮮と密接な関係を有する団体である朝鮮総聯が」朝鮮学校の「教育内容、人事及び財政に影響を及ぼしている」と指摘し、朝鮮学校68校に対し補助金を支出している28都道府県に対し、朝鮮学校のみを対象として、補助金の適正かつ透明性のある執行の確保を求める通知を発出した。
  文部科学大臣の本件通知は、形式的には、朝鮮学校に通う子どもたちに配慮する姿勢を示しながら、実質的には、外交問題と補助金交付を関連づけることにより、各地方自治体における補助金の停止を促すものであり、朝鮮学校に通う子どもたちの教育を受ける権利を侵害するものであると言わざるを得ない。
  2014年8月29日に公表された国連人種差別撤廃委員会の最終見解においても、日本国内で地方自治体による朝鮮学校に対する補助金の割当の継続的縮小あるいは停止が行われている現況について、日本政府が地方自治体に対し、朝鮮学校に対する補助金提供の再開あるいは維持を要請することを奨励しているところであり、本件通知は、これにも背馳するものである。
2 言うまでもなく、朝鮮学校に通う子どもたちにも、人として、自己の人格を完成、実現するために必要な学習をする固有の権利である学習権(憲法第13条、第26条1項)は勿論、児童の権利に関する条約第30条、国際人権規約A規約(「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(A規約)」)第13条、人種差別撤廃条約(「あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する条約」)などにより日本社会において民族教育を受ける権利が保障されている。
  地方自治体による補助金は、公立私立を問わず、学校に通う全ての子どもにかかる経済的負担の軽減を図ると同時に、子どもたちの学習権及び民族教育を受ける権利を実現するために重要な役割を果たしている。とりわけ、朝鮮学校は、第2次世界大戦後、日本での定住を余儀なくされた在日朝鮮人が、朝鮮民族の言葉や文化を後世に承継させるために設立され運営された私立学校であり、かかる歴史的経緯を踏まえ、長年にわたって補助金が交付されてきた事実を軽視してはならない。
  しかるに、朝鮮民主主義人民共和国に対する日本政府の外交政策と、朝鮮学校で学ぶ子どもの教育を受ける権利を結びつけ、補助金を削減・停止すれば、朝鮮学校に通う子どもたちだけが他の学校に通う子どもたちに比べて不利益な取扱いを受けることとなり、教育を受ける権利にかかわる法の下の平等(憲法第14条)に反するおそれが高いだけでなく、朝鮮学校に通う子どもたちの学習権を侵害することになることは明らかである。
3 福岡県には、学校法人福岡朝鮮学園が運営する4つの朝鮮学校が存在するが、小川洋福岡県知事は、本年4月12日の記者会見において、朝鮮学校に対する補助金支出につき、「補助金交付要綱に基づき、適正な執行に努めていきます。」と述べ、従前どおり支出を継続することを明らかにした。茨城県や名古屋市などが、朝鮮学校に対する補助金の減額や停止を検討するなか、福岡県知事の表明は、朝鮮学校に通う子どもたちの教育を受ける権利を擁護するものとして高く評価されるものである。
4 当会は、朝鮮学校に通う子どもたちが、日本社会における全ての子どもたちと同様に等しく教育を受ける権利を享受することができるよう、文部科学省に対して、本件通知の撤回を求めるとともに、福岡県以外の地方自治体に対しては、朝鮮学校に対する補助金の支出について、補助金交付の目的を踏まえ、上記憲法及び人権条約の趣旨に合致した運用を行うよう強く求めるものである。
                   2016年(平成28年)5月13日
                   福岡県弁護士会 会長 原 田 直 子

ハンセン病「特別法廷」最高裁判所調査報告に関する会長声明

カテゴリー:声明

ハンセン病患者が当事者の裁判がハンセン病療養所等の「特別法廷」で行われてきた問題について、全国ハンセン病療養所入所者協議会等が最高裁に検証を求めていたところ、最高裁事務総局は、本年4月25日、有識者委員会意見とともに、検証結果(以下「調査報告書」という。)を公表した。
 調査報告書によれば、ハンセン病を理由とした裁判所外の開廷場所の指定を求める上申が昭和23年から同47年まで96件あり、その内95件を認可し(1件は撤回)、不指定事例はないこと、遅くとも昭和35年以降は、他の疾患と区別すべき状況でなかったのに、定形的にハンセン病療養所等を開廷場所に指定していた運用は、不合理な差別的取扱いと強く疑われ、裁判所法69条2項に違反するもので、ハンセン病患者に対する偏見、差別の助長につながり、ハンセン病患者の人格と尊厳を傷つけたとして、深く反省し、お詫びの意を表明した。
 最高裁が自ら差別的な違法行為を行ったことを認めて謝罪の意を表明し、今後、人権に対する鋭敏な意識を持って、二度と同じ過ちを繰り返さないことを表明したことは、評価できる。
 他方、有識者委員会意見では、「特別法廷」は、ハンセン病患者への合理性を欠く差別として憲法14条に違反し、「激しい隔離・差別の場」であって、最高裁が指摘する掲示等をもってしても、一般の人々に実質的に公開されたというには無理があることから、憲法37条、82条の公開原則に違反する疑いが拭いきれないとし、1960年(昭和35年)以前についてもハンセン病患者への反省と謝罪があってしかるべきと指摘した。
 有識者委員会がハンセン病患者に対する差別・偏見の問題をより深く考察し、「特別法廷」の違憲性を認め、最高裁の責任を追及したことは、まさに正鵠を射ている。
また、有識者委員会は、最後に、弁護士を含む法曹界・法学界の人権感覚と責任を厳しく問うた。
1952年に熊本県で起きた殺人事件で無実を訴えていたハンセン病療養所入所者の被告人が「特別法廷」で差別と偏見に基づく裁判を受け、死刑判決が下され、死刑執行された「菊池事件」について、当会は、2013年5月8日、「『菊池事件』について検察官による再審請求を求める会長声明」を公表し、最高裁の上記調査中、2016年2月13日、シンポジウム「ハンセン病『特別法廷』と司法の責任」を開催した。
しかし、それまでの間、当会は「特別法廷」問題について何らの取組みもしてこなかったのは事実であり、有識者委員会意見は重く受け止めなければならない。
当会は、基本的人権の擁護を使命とする弁護士会として、「特別法廷」の違憲性・差別の問題について、長きにわたり調査・検証を怠ってきた責任を深く自覚して痛切に反省し、ハンセン病患者・元患者、その家族の方々などに、心より謝罪の意を表する。
 今後とも、当会は、真摯な自己検証とともに、ハンセン病患者・元患者、その家族の方々などの被害回復に努力し、ハンセン病問題の全面解決に向けた活動に全力を尽くす所存である。
2016(平成28)年5月12日
福岡県弁護士会会長 原 田 直 子

熊本地震に関する緊急の声明

カテゴリー:声明

4月14日、同月16日の2度にわたって最大震度7を観測した熊本における巨大地震は、その後も余震が断続的に続き、現在もなお予断を許さない状況にあります。

この地震で現在までに亡くなった方48名、行方不明者2名、震災関連死と思われる方が12名に上り、今なお避難生活を余儀なくされている方々が6万人にも上っています。被災者の方々の心身の疲労は極限に達しており、その苦痛と不安は筆舌に尽くしがたいものであると思われます。

震災により亡くなられた方々に心からの哀悼の意を表するとともに、被害に遭われた皆様には心からお見舞いを申し上げます。政府・被災地自治体等による現場支援が十分に発揮され、厳しい環境下におかれている被災者の方々の救助ならびに生活支援が早急になされ、インフラ復旧と被災者の方々のニーズに基づく1日も早い復興を願ってやみません。

福岡県弁護士会は、本日より、緊急の無料法律相談を実施し、被災地熊本県弁護士会とも連携しながら、緊急の電話相談等にも尽力していく所存です。

今後、被災者の皆様の被害回復と権利保護のために、全力を挙げる決意であることを表明いたします。

2016年(平成28年)4月25日
福岡県弁護士会 会長 原 田 直 子

死刑執行に関する会長声明

カテゴリー:声明

1 本日、大阪拘置所と福岡拘置所でそれぞれ各1名の死刑確定者に対して死刑が執行された。
死刑が執行されたのは、2015年(平成27年)6月、12月、そして、本日と1年に満たない間に3回目であって、合わせて5人になる。
2 死刑は、かけがえのない生命を奪う非人道的な刑罰であることに加え、罪を犯した人が更生し社会復帰する可能性を完全に奪うという問題点を含んでいる。のみならず、死刑判決が誤判であった場合にこれが執行されてしまうと取り返しがつかない。これまで死刑事件において、4件もの再審無罪判決が確定しており(免田・財田川・松山・島田各事件)、えん罪によって死刑が執行される可能性が現実のものであることが明らかにされ、また、2014年(平成26年)3月には、死刑判決を受けた袴田巖氏の再審開始と死刑および拘置の執行停止が決定され、いまもなお死刑えん罪が存在することが改めて明らかとされたばかりである。
  国際的にも死刑の廃止は大きな潮流である。世界で死刑を廃止又は停止している国は140か国に上っており、今や死刑を国家として統一的に執行している国は日本のみである。このような状況の下、国際人権(自由権)規約委員会は、2014年、日本政府に対し、死刑の廃止について十分に考慮すること等を勧告している。
このような事態であるにもかかわらず、次々と死刑を執行する姿勢には大きな疑義を挟まざるを得ない。
3 日本弁護士連合会は、2014年(平成26年)11月に、「死刑制度の廃止について全社会的議論を開始し、死刑の執行を停止するとともに、死刑えん罪事件を未然に防ぐ措置を緊急に講じることを求める要請書」を提出して、有識者会議の設置や死刑に関連する情報の公開などを具体的に求め、全国民的議論が尽くされるまでの間、全ての死刑の執行を停止することに加え、死刑えん罪事件を未然に防ぐため、全面的証拠開示制度の整備や再鑑定を受ける権利の確立などを要請した。
  しかし、2010年(平成22年)8月に東京拘置所の刑場が一部マスメディアに公開された後、議論の前提となるべき死刑に関連する情報の公開すら進んでいない。
4 当会は、政府に対して、今回の死刑執行について強く抗議の意志を表明するとともに、今後、死刑制度の存廃を含む抜本的な検討がなされ、それに基づいた施策が実施されるまで、一切の死刑執行を停止することを強く要請するものである。
2016年(平成28年)3月25日
               福岡県弁護士会会長  斉 藤 芳 朗

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