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カテゴリー: 会長日記

福岡県弁護士会会長日記

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福岡県弁護士会会長日記
会 長
田 邉 宜 克(31期)
新年明けましておめでとうございます。
私ども執行部も、会員の皆様のご協力を得て、無事新年を迎えることができ、残すところ3か月となりました。
最後まで職責を全うすべく、全力を傾注いたしますので、今後とも会員の皆様のご支援ご協力をお願いいたします。
さて、弁護士会の取り組むべき課題は、多岐にわたりますが、私ども執行部が年度内にと考えている課題を幾つかご紹介したいと思います。
【裁判員制度・被疑者国選の対応態勢】
北九州部会・筑後部会では、1人14、15件にもなろうかという負担を部会員が公平に分担する態勢をとられています。
福岡部会では50%の方々に被疑者国選登録をしていただきましたが、筑豊地区のバックアップ問題や裁判員制度のバックアップ問題もあり、なお、一部の会員に重い負担をお願いせざるを得ない状況にありますので、更なる国選登録を是非ともお願いいたします。
裁判員制度対象事件は、被疑者国選担当者に引き続きお願いすることになります。弁護士会の裁判員対応態勢も詰めの段階にあります。裁判員対応を含む刑事弁護の研修会等に積極的にご参加下さい。
【少年刑事援助事件の特別負担金】
昨年12月の日弁連臨時総会で、これまでの当番弁護士基金(月額4,200円)を平成21年6月以降、少年刑事事件基金に衣替えし、当番弁護士(付添人)・国選対象外の刑事被疑者援助事件・少年付添援助事件のために月額3,100円の負担を会員にお願いすることが決まりました。
当会は、これまで当会独自のリーガル基金負担金(月額5,000円)を主たる財源として、日弁連の基礎金額(刑事7万円、少年8万円)に刑事1万円、少年2万円を上積みしてお支払いしています。
今回の新基金で日弁連からは、被疑者援助8万円、少年付添援助10万円、即ち、従前の上積み額加算後と同額が支給されることになりますが、未だその支給額は低額であること、被疑者援助・少年付添援助事件を一層拡充すべきこと等を勘案し、平成21年6月以降も当会の上記上積支給を継続すべきではないか(刑事9万円、少年12万円)と考えています。具体的には、平成21年3月で期限の来るリーガル基金の継続という形で、会員の皆様にお諮りすることになります。
【対外広報・TV等CM】
本年度は、2,400万円余をTV・ラジオのCM(主として多重債務、今後、交通事故相談のCMも予定)に充て、各センターの手数料収入は、大幅増の昨年度を更に上回る見込みです。CMと相談数の相関関係も確認できており、次年度以降もTV・ラジオのCMを積極的に実施すべきだろうと考えています。本年度その方向性についてご検討いただき、次年度の予算審議という形で会員の皆様にお諮りすることになります。
【会館移転問題】
いよいよ九大六本松跡地への移転問題が具体的に動き出します。土地取得費、会館建設費、新会館の維持管理費等の負担を会員の皆様にお願いすることになりますが、会員の皆様のご理解を得るためにも、今後、可能な範囲で会館移転問題に関する具体的情報を提供して参りたいと思います。

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                      会長 田邉 宜克(31期)
【9月度新入会員】
9月に入会された会員の皆さんを心から歓迎いたします。
さて、この新入会員の中に今次の司法改革の申し子的な三人の会員がおられます。
佐藤哲也さんは、東京での養成期間を経て法テラス北九州にスタッフ弁護士として赴任されました。登録会員1人当たり年間14、5件といわれる北九州部会の拡大後の被疑者国選の一翼を担っていただくことになります。
上加世田嘉隆さん(現行61期)も法テラスに雇用されたスタッフ弁護士ですが、所謂新スキームでの養成事務所であるあおぞら法律事務所で、登録初年度から1年間活動された後、独り立ちしたスタッフ弁護士として他所へ赴任されます。
井口夏貴さん(現行61期)は、あさかぜ基金法律事務所で、登録初年度から1年半ほど弁護士としての経験を積まれた後に、九弁連管内の過疎地の法律事務所(ひまわり公設・法テラス4号・独立開業等)に赴任されます。
三人ともに、しっかりとした、そして、過疎地での弁護活動や刑事弁護に強い意欲を持った方ですが、弁護士経験零ないし1年の若い会員であることに変わりはありません。無論、法テラス、養成事務所、運営委員会・指導担当者がサポートしますが、会員の皆さんには更に進んで、当会の仲間として、委員会活動や事件処理を通じ、また、種々の機会に相談に乗り助言するなど、会員全体の力で育成していく積極的な意識を持っていただきたいと思います。
【新司法試験合格者発表】
9月11日に新司法試験合格者2065名が発表されました。例年、設定目標の下限付近の合格者数でしたが、これを下回ったことはなく(今年の司法試験管理委員会の設定目標下限は2100名)、かつ、受験者の蓄積もあって、合格率が33%と昨年より7%下がった点が、注目されました。また、法科大学院別の合格者数において首都圏集中、地方と首都圏の格差の問題も指摘されているところです。当然、法曹人口の問題にもリンクしますが、やはり、法科大学院の統廃合や定員整理の問題に要注意です。特に、福岡県内4校、九弁連管内7校の法科大学院については、私達に続く後輩達の養成問題として、真剣に考えていく必要があります。私は個人的には、全国的に、統廃合、少なくとも法科大学院の定員の削減は避けられないのではと思っています。合格者数上位を残して下位校を切り捨てるのか、そうなると九州はその影響を避け得ません。一律に一定率で減員するのか、地方を重視し中央の大規模校の定員整理を求めるべきではないか、今後、この問題が、どのような流れになるのか、弁護会としての意見を出すべき時期が来るものと思います。
【新検察審査会法の施行】
検察官が独占していた公訴権行使のあり方に民意をより直截に反映させるために、検察審査会法が改正され、裁判員制度と同様、平成21年5月21日に施行されます。この改正法では、弁護士の関与が制度的に予定されています。
審査会が起訴相当を議決した事案を検察官が再び不起訴処分にした場合に、審査会が再び起訴相当を議決したときは、起訴すべき法的拘束力が発生します。その起訴と公判維持は、「指定弁護士」が行います。また、審査会は、その審査を行うにあたって法律に関する専門的な知見を補うため「審査補助員」を委嘱することができるとされ、弁護士がその任にあたることになります。指定弁護士はさほどの件数はないでしょうが、補助審査員は、一定数の委嘱要請があると考えられ、弁護士会としては、適切な弁護士を推薦するため、研修や推薦名簿の要否等の検討が必要になります。犯罪被害者問題を含め、刑事司法のあらゆる面に弁護士の関与が求められる時代だということもできるでしょう。

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                          会 長 田邉宜克 (31期)
【スタッフ弁護士と刑事弁護態勢】
7月29日に「スタッフ弁護士の配置」の件で、全員協議会を開催した。執行部8人以外の出席会員は11名と少数に止まった(積極的反対意見なし)。参加者が少数なのは、会員総体も積極的に反対しない意向であると捉えるべきか。
スタッフ弁護士についての議論は、当会の被疑者被告人国選対応態勢確立の重要性を再確認させる場でもあった。札幌弁護士会は、本年3月末に「被疑者国選対象事件の拡大及び裁判員裁判が一部の会員で担うべきものでないことを共通認識とし、会員の総力で09年態勢を確立する。現時点ではスタッフ弁護士を招聘しない。」との常議員会決議を挙げた。当会においても「被疑者国選対象事件の拡大及び裁判員裁判が一部の会員で担うべきものでないこと」は、当然に「共通認識」であるはずであり、「会員の総力で対応態勢を確立すべき」ことも同様である。筑豊地区や壱岐対馬等の被疑者国選選任の「万が一の場合」に備えた安全装置としてスタッフ弁護士が配置されても、弁護士としての上記基本姿勢に毫も影響はないはずであり、この機会に今一度、国選弁護の原点に帰って、我々弁護士の責務を自覚すべきであると思う。
筑豊地区のバックアップ体制を確実にするために少なくとも40名余の福岡部会員が必要であるとすれば、執筆日現在で福岡本庁事件に専念できる被疑者国選登録福岡部会員数は、240名を割り込む。当会は、「国選弁護拡大ニュース」を連続して発行し、未登録会員に個別に登録要請の手紙を差し上げ、更には、担当者が対象会員に電話や個別訪問をして登録をお願いするなど、被疑者・被告人国選弁護登録拡大運動に全力で取り組んでいるが、未だ充分ではない。一人でも多くの会員の登録を切にお願いする次第である。
【あさかぜ基金法律事務所】
9月からいよいよ、過疎地対応弁護士養成事務所である「あさかぜ基金法律事務所」が活動を開始する。九弁連の事業ではあるが、その運営は、実質的に当会の責務である。正副の指導担当弁護士が、被養成弁護士の指導にあたるが、当会会員全員で育て上げる気概を持つ必要がある。指導担当弁護士以外の会員からもお声かけいただき、被養成弁護士と共同して各種の事件を受任し、できるだけ多く事件処理を共にする中で「養成」することが一番である。
同様に、9月から新スキームで養成されるスタッフ弁護士が、当会に配属される。司法修習終了後、すぐに当会に登録し、あおぞら法律事務所で弁護士活動をスタートする。当地での1年余の養成期間を経て、過疎地に赴任することになるが、当会の一員として、会員が協力して育て上げることが求められている。
更に、法テラス福岡地方事務所や北九州支所のスタッフ弁護士も登録後1年余しか経ていない弁護士であることに変わりない。委員会活動を通じて、あるいは、国選事件や扶助の処理について多くの会員がアドバイスするなどして、合計3名のスタッフ弁護士を当会の仲間として、力を合わせて育て上げる意識が必要である。
多くの会員の理解とご協力をお願いしたい。

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                         会 長 田邉宜克 (31期)
【徳永賢一先生ご逝去】
6月19日の日弁連理事会中に、元会長徳永賢一先生ご逝去の報に接した。先生は、木曜会の創立メンバーとして会務運営民主化の先頭に立ち、上田国賠訴訟の弁護団の中心を担い、当番弁護士制度創設時の刑事弁護委員長として、当番弁護士出動第1号も務められた大先達であった。日弁連理事の重責は認識しつつも会長職を優先することとし、理事会を途中退席して福岡に戻り、翌20日の告別式に参列して弔辞を献じた。まさに巨星墜つの感あり。
心から徳永賢一先生のご冥福をお祈り申し上げます。
【東北弁連ブロック大会(7月4日)】
九弁連理事として、東北弁連ブロック大会に出席した。
この大会では、司法試験合格者数を年間3000人程度とする政策の変更を求める決議が提案された。審議会意見書が想定した法曹需要の増加の見通しがないこと、裁判官・検察官の増加を含む司法の基盤整備が十分に講じられないまま弁護士人口のみが急増するのは需要との間のアンバランスを生じさせていること、OJTの不足や過当競争により質の低下を招来すること、合格者数を2100人で凍結しても10年後には弁護士数は約4万人に達すること、過疎偏在問題は相当程度改善されていること等の理由から、合格者数を2100人で凍結し、法曹需要の増加・法曹の質の確保の視点から法曹人口のあり方を具体的に検証したうえで、適正な年間合格者数を決めるよう求めるものであった。他方、会場からは「本当に法曹需要はないのか、一般市民が弁護士に頼みたくても頼めない、弁護士が事件依頼を忙しい等で断っている実状にあるのではないか。」「中小企業の法的需要は調査でも相当程度存在しているではないか。」「法曹の質の低下は、未だ検証されていない。」「弁護士過疎問題が現に存在するのに、合格者数減少を打ち出すのでは市民の理解は得られない。既得権保護との非難を免れない。」「ロースクールの学生のことも考えるべきである。」等々の反対意見が出た。裁決は2:1で賛成多数であったが、もう少し、議論の時間が必要だったと思えた。本月報発行時には、既に、合格者数についての日弁連理事会の提言が発表されているはずである。当会でも、本格的に法曹人口についての議論を始めなければならない。
なお、東北弁連では、大会終了後懇親会までの間の約90分に日弁連執行部と会員との意見交換会が実施されている。日弁会長・副会長が全員揃って、国選弁護・裁判員裁判・法テラスとスタッフ弁護士・法曹人口問題について説明し、会員と直接質疑応答するというもので、会員と日弁連の距離を近づける機会として有意義であった。

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                      会 長  田邉 宜克(31期)
【定期総会・就任披露宴】
5月22日に福岡県弁護士会の定期総会と役員就任披露宴が開かれた。総会では、予算決算等の審議事項と「より良い刑事裁判の実現を目指して」「あさかぜ基金法律事務所を成功させよう」との二つの宣言(当会HPに掲示)がいずれも承認可決され、就任披露宴も多数の招待者・会員のご参加を得て、盛会裡に終えることができた。
会員の皆さん及び就任披露宴にご出席いただいた方々に心から御礼申し上げます。
また、総会終了後の法テラス埼玉の本所スタッフ弁護士谷口太規氏の講演は、スタッフ弁護士の活動内容とその矜持を知ることができ、大変参考になった。同弁護士に講演内容を敷衍した文章を本号に寄稿していただいたので、是非ともご一読いただきたい。
【あさかぜ基金法律事務所】
5月16日に、あさかぜ基金法律事務所運営委員会に引き続き入所予定の3名の修習生の方との懇談会を行った。現行61期1名、新61期2名、合計3名の予定者に弁護士偏在地区での活動を志した動機や意欲を語っていただいたが、いずれも、あさかぜ基金法律事務所の第1期を委ねるにふさわしい方々で大変心強い思いであった。運営委員会や指導担当弁護士にだけ、その養成を担わせるのではなく、当会の責務として、会員全員に積極的なご協力ご支援をお願いしたい。
【奄美ひまわり事務所引継式】
5月24日に奄美ひまわり基金法律事務所の引継式が開催され、九弁連副理事長として出席した。後任として奄美に赴任した大窪弁護士は、東京の養成事務所を経て、紋別ひまわり事務所で3年間活躍された後、2,100kmの距離をものともせず奄美行きを決断した。彼は、弁護士がより求められている地域で働くことをモットーとし、多重債務ほかの需要に応えるほか、離島である奄美地区(周辺の奄美群島も)の被疑者国選弁護への対応が自らの責務であると語った。その披露宴には、北海道から沖縄まで、全国各地から、多くのひまわり事務所の仲間達が集まったが、意識が高く、熱意溢れる若者ばかりで、弁護士偏在地域を支えている人たちの心意気に感動した。
また、奄美ひまわり事務所は、鹿児島県弁護士会の支援委員会の大変なご苦労があって支えられていることも実感した。あさかぜ事務所から派遣される先の単位会との連携は、極めて重要である。
【柳川地区の零地区解消】
5月27日に同月初め柳川市で開業された三島正寛弁護士の事務所開設披露が行われた。所謂、零地区として、全国で最後に残ったのが、柳川と長浜であったが、三島弁護士の決断に引き続き、6月初めに長浜でも法律事務所が開設され、ついに零地域解消という日弁連の悲願が達成されたのである。日弁連の取組みのシンボリックな意味だけではなく、その地域に弁護士が常駐しているのと、いないのとでは、地域とのつながり、法的需要の掘り起こし、ひいては、その地域での権利の救済の面で、大きな違いがあることは明らかであって、三島弁護士は、何よりも柳川地域の住民に歓迎され、期待されている。今後、柳川地区の司法サービスの中核として活躍されることを願うや切である。
【当番弁護士負担金】
来年5月で当番弁護士負担金の期限が満了する。被疑者国選弁護が開始され、現在の被疑者援助事件の多くが国選となっても、当番弁護士や国選対象外の被疑者援助事件、なにより、少年事件全件付添の全国拡大を目指す付添人援助事業実施のために、同趣旨の負担金継続は必要不可欠であろう。そのために必要な負担金額を含め、会内で広く議論して行きたい。

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