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カテゴリー: 会長日記

会長日記

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平成24年度福岡県弁護士会  会 長 古 賀 和 孝(38期)
澄んだ青空から曇天の日々が多くなり、肌寒さを感じる季節となりました。昨日、大相撲九州場所の初日を迎え、さらに来月の福岡国際マラソンの号砲を聞きますといよいよ福岡の師走となります。皆様方、体調にはくれぐれもご留意下さい。
11月2日、韓国ソウル弁護士会呉旭煥会長他20数名の方々が、全国に先駆け実現しました当会の当番弁護士制度視察のため来福されました。協議会の内容については別稿に譲りますが、内容豊かな意見交換となったと聞いております。ソウル弁護士会は日本で言えば東京三会に匹敵する韓国で突出した大規模弁護士会で、正に、韓国法曹界を代表する団体といってよく、その発出される意見は法律実務に与える影響が極めて大きいところがあるとのことです。視察先として当会が選ばれたことは誠に光栄で、制度発足後、日夜ご協力頂いている会員各位のご尽力の賜といって良いと思います。呉会長は今年3月にも当会を訪問されており面識もありましたので、懇親会の席では一層親しくお話をさせて貰い、大変盛り上がりました。しかも日本語も堪能で、全く韓国語ができない私に日本語で話しかけて頂き恐縮いたしました。
当会役員がご挨拶に使う名刺には「不安を安心に」との当会独自のキャッチフレーズが記載されておりますが、呉会長は韓国語の自分の名刺を示し、『私の名刺には「弁護士に優しく、市民に優しく」と書かれております』と笑顔で説明してくれます。弁護士に優しくとの意味ですが、どうも、弁護活動に見合った十分な報酬をとの意味もあるようで、なかなか積極的な対応をされていると感心したものです。韓国は弁護士の海外進出を精力的に推し進め、自国経済と一体をなす戦略を採用しているとのこと。今年9月に和歌山県で開催された日韓弁護士サミットにも呉会長は出席されており、大いに自国のアピールをされたと聞いております。法曹養成制度を一変し、法曹一元を実現させ多くの合格者を輩出しつつ、弁護士の有用性を前面に打ち出していく姿勢に韓国の大いなる勢いを感じます。
転じて、10月に開催されました日弁連理事会では、日弁連会長選挙に関する選挙制度改革の意見聴取を今後行うことが報告されました。ご存じのとおり、本年度日弁連会長選挙は異例の再選挙となり、年度が開始した5月に日弁連会長が決まりました。この間、新旧執行部の事務引継が停滞し、新年度方針決定が遅れる事態を招いております。国の各種立法にあたり、日弁連は様々な提言を行い、国会議員、省庁、官僚、各種団体役員と面談、協議し、日弁連の考えを伝え反映させる活動を行うのですが、新年度になっても会長が決まらないことから、大きく出遅れてしまったと言われています。決められない政治、このフレーズはよく耳にするのですが、実は私たちが所属する日弁連にも該当します。他方、決めるための選挙制度に改訂することは良いのですが、多数決一本で実施すれば、大単位会のキャッチボールで会長が決定されることとなり、地方の会員、単位会の意見がないがしろにされるとの危惧もあります。日弁連のリーダーとしてふさわしい人を適正に決める制度の構築は、言うは易く、行うは難し。12月に予定しております臨時総会において、議論の詳細を会員の皆様にご説明すると共に、協議を行いたいと思っております。
先にご紹介しましたソウル弁護士会呉会長は、次年度韓国弁護士会会長、すなわち、日本で言えば日弁連会長に就任される予定とのことです。因みに、年齢は1960年生まれと教えて貰いました。九州福岡が特にお好きのようで、日本語の持ち歌は、「無法松の一生」、「九州男児」などで聞き惚れます。ものが違います。

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平成24年度福岡県弁護士会  会 長 古 賀 和 孝(38期)
1 暑く長かった夏も終わり、すっかり秋めいてきました。天上の青空も秋の風情の鰯雲をたなびかせ、実に気持ちの良い季節となりました。10月初めの三連休の一日、日頃のストレス発散ではありませんが、ススキも揺れる阿蘇路のドライブとしゃれ込み、既に10年を経過した愛車をかっ飛ばして参りました。残り半年をアグレッシブに活動していきたいと考えております。
2 9月終わりから10月にかけては、大きな催しが目白押しで変化に富み、また、多くの人たちとの交流を行い、大変参考になりました。9月21日は新第65期司法修習生の実務修了式が行われ、これから過酷な後期修習に向かう修習生を送り出しました。当地福岡での短いながらも多くの実りある経験を今後の法曹人生に活かして頂きたいと祈念しております。この三庁で行う修習生修了式およびそれに引き続く送別懇親会については、経費負担の面などからこれを今後も維持するかどうか各庁から意見も出ているところではありますが、実務修習に一区切りを付ける意味や各法曹の意見交換の場としての意味合いもあり、弁護士会としては是非とも継続していきたいと考えています。
3 9月27日には駐福岡中国総領事館による63周年国慶節祝賀会、10月3日には駐福岡大韓民国総領事館による建国記念日を祝う国慶日レセプション、同5日には台北駐福岡経済文化辦事處および福岡縣中華總會による101年国慶節祝賀レセプションが各開催されました。昨今の厳しい政治情勢はありますが、関係者のスピーチは挙って民間の草の根交流を基にして両国の友好関係を維持していこうとの前向きなものでした。私もできるだけ多くの参加者と意見交換を行いましたが、その中で、海外との経済交流はもとより、文化交流においても弁護士の役割をアピールしていくことの重要性を実感したところです。日常の弁護士業務を見ますとなかなか外国に目を向ける機会が少ないのですが、私共弁護士、弁護士会に寄せられている期待は、一面厳しいところもありますが、概して、海外交流の同行者という点では、大きなものがあるように感じました。とりわけ、9月初めには政府間で開催される日韓フォーラムが中止となり、その後引き続き行われる予定であった釜山フォーラムも最終的には延期となってしまいました。この釜山フォーラムについては当会が両国間の経済障害に関する法的問題点の報告をする予定となっており、国際委員会を中心にドラフトを作成して頂き、準備万端を整えていたこともあり、誠に残念と言うほかありません。韓国総領事館主催のレセプションにて参加されていた財界・大学関係者と協議を行い、また、近いうちに実施となる可能性が大いにあることから、さらに弁護士会の協力を依頼されて参りました。是非とも、発表が日の目を見ることを心から念じております。
4 10月5日には佐賀市において第55回日弁連人権擁護大会が開催されました。佐賀での開催によって全国で全ての単位会での開催が実を結んだとのことで、意外な気もしましたが、子ども教育権を守るための教育政策決議、自死のない社会を目指す決議、豊かな海を守るための沿岸域保護宣言など、時宜を得た決議が可決されました。当会からも多くの会員が決議説明員として関与され、また、会場発言者としても意見を述べられました。当番弁護士、全件付添人制度などこれまでも新たな法制度の風は西から吹き、大きな実りを上げると言われて参りました。人権擁護大会に出席して、今更ながらに、当会会員の地道な活動に依るところが大きいところを実感した次第です。

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平成24年度福岡県弁護士会  会 長 古 賀 和 孝(38期)
予想したとおり、残暑は厳しく、天高い青い空も見ることが未だできない陽気です。9月度の日弁連理事会に向かう前の福岡市は気温30度でしたが、東京は随分涼しくなっており上着も必要ではないかと案じ、取りあえずは、手に持って出かけました。ところがどっこい30度を超えるオレンジ色の気候で、とても難儀しております。
格別、映画を見るわけではありませんが、20年ほど前に「依頼人(ザ・クライアント)」という映画が上演されました。ストーリーは、とある少年が妙な成り行きで犯罪に巻き込まれ、警察、マフィアに追われることとなってしまい、絶体絶命の窮地を脱するため、なけなしの「1ドル」で弁護士を依頼するというものです。依頼者が少年であること、弁護料が「1ドル」であること、この安価な弁護料でも主人公の女性弁護士は命を懸けて少年を守るために、全力を尽くし、活動を行うところが、単なるサスペンス、アクション映画とは異なり、それなりに好評を博しました。やりがいがある仕事であれば、銭金ではない、ということでしょうか。
さて、来年1月1日から従来の家事審判法に変わり、新たに家事事件手続法が施行されることは皆さんご承知のことと思います。この法律は戦後直ぐの時期に制定された家事審判法が条文も少なく、当事者の関与、主張の突き合わせ、証拠の閲覧謄写など近時の当事者参加という時代の趨勢にそぐわないところがあるとして、新法化されたものです。家事関係立法の大きな転換ということができ、また、内容面でもこれまでの取扱を大きく変えるものであるため、私たち実務家である弁護士も習熟が必要となります。当会でも家庭裁判所の協力を得て、研修を行うことにしております。
9月度の日弁理事会の審議で、家事事件手続法によって、弁護士費用の負担をすることになった子の費用は、当然に国が負担すべき場合があり、それは国選弁護に準じて、総合法律支援法に基づく法テラスの本来業務として取り扱うべきであるとの意見を採択することになりました。
今少し敷衍しますと、新法によれば、子の監護に関する調停、親権者の指定、変更に関する調停において子は法定代理人によらず、独立して手続を行うことができるとされております(法252条1項2号、4号)。また、行為能力が制限されているものがこれらの手続をおこなう場合、必要があるときは、裁判長は、申立てにより、弁護士を手続代理人として選任することができると定められております。申立てがない場合には選任命令を発したり、職権で選任することも規定されています(法23条1項、2項)。ここまでは良いとして、さらに、子は選任された弁護士に裁判所が認める相当額の報酬を支払わなければならないとされています(同条3項)。驚くべきことです。
監護の仕方についての要望や、親権者として自分にふさわしい人はだれか、自ら判断したい、また、その補助が必要だという場合にあって、弁護士に手続を依頼するという、尤もなことが自己負担というのでは、手続代理人の選任が躊躇されることにも繋がりかねません。勿論、私選弁護と同様、費用負担をしてくれる成人があればよく、案ずるに足りないとの見解もありましょうが、例えば離婚に際しての子の親権の取り合いという例を取ったとき、必ずしも両親に資力があるとも言えません。仮に、両親に資力があったとしても、双方が親権を取りたいばかりに自ら出費すると言い張り、新たな紛争を生じさせることも予想されます。
法テラスの本来業務とすることには、法テラスと契約していない弁護士は手続代理人に就任できないのかなど、様々な問題もあります。しかし、弥縫策として、喫緊の課題を乗り越えるため法テラスによる負担はやむを得ません。本来、家事事件手続法自体で根本的に子に負担させない制度を策定すべきでしょうが、最高裁も如何ともし難いといい、また、法テラスも中々承諾しないが故に、日弁連からの意見書発出という方法を取らざるを得ず、今回の審議および可決となったものです。
冒頭、「1ドル」で事件受任をした映画「依頼人」の話しは、銭金ではない、やらなければならないことはやる、それがおよそ弁護士と名の付く者の「this is my job」ではないかと思ったからです。但し、国の無策により、いつまでもタダ働きをさせられるのはまっぴら御免です。

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平成24年度福岡県弁護士会  会 長  古 賀 和 孝(38期)
 9月に入ったとはいうものの天晴れと言う他ない残暑が続いています。しかも予定された計画停電は実施されていないものの、折からの節電要請で冷房もこれまでよりずっと抑制されておりますので、暑がりの私にとっては、正に、試練の日々です。
 さて、7月19日、20日と北海道弁護士会連合会の定期大会に、九弁連副理事長として出席しました。北の大地はその名の通り、どこまでも広大で緑に満ち満ちており、冷涼そのものでした。今回、道弁連では、「北海道は、広大な面積の中に海洋・平野・山地・河川等多様で豊かな自然環境を有するとともに、第1次産業も盛んであって、再生可能エネルギーのポテンシャルも極めて大きい。また、再生可能エネルギーの地産地消が実現した場合には、地場産業や雇用の創出等といった、副次的効果も認められる。」として、「再生可能エネルギー及び省エネルギーの推進に向けた取組みに関する宣言」が採択されております。昨年の東日本大震災と同時に発生した原発事故を契機として代替エネルギーに関する議論が広く国中で沸き起こっていることや、過疎化が進む現状への危機感から、誠に時機に適った宣言ということができます。北海道を九州と読み替えれば、概ね、地域特性は近似していますので、益々親和性を感じました。
 午後からの大会に先立ち、午前中開催された「再生可能エネルギーに関するシンポジウム」は、地域活性化、経済効果、雇用創設と言った、日常の生活に直結する観点からの報告で大変興味深いものがありました。ドイツ視察を行った札幌弁護士会の若手会員からは、風力発電事業を共同出資でおこない配当や保守作業に従事して賃金を得ている、あるドイツの村人の詳細な報告がありました。また、別の報告者からは、北海道内の温泉施設を持った公共施設の電力供給を、全て木材チップ発電に転換したことで、木材伐採のためのルート開設、伐採事業、木材チップ製造、保管、輸送、発電設備保守などの全ての過程で雇用が創出され、これによって町内に環流する資金量は、油代などの町外流出を含む重油ボイラー発電時代の環流資金量と比較して、赤字から大幅な黒字となったとの報告がなされたときには、会場内の参加者からどよめきが起こるほどのインパクトがありました。木材チップ発電というと、電力の生産量の観点から、正直なところちゃちな印象がありましたが、なんとなんと、経済面でも雇用面でも過疎化対策の面でも、大きな成果を上げていることを知り、感心した次第です。
 わずか2日間の札幌滞在でしたが、森林資源豊かな北海道ならではの再生可能エネルギーの利用実例を知るだけではなく、目標を持って地道に研究を行い、実践をしていく姿にも感銘を受け、北海道と同じ位に、広く、豊かになったように感じました。

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平成24年度福岡県弁護士会  会 長 古 賀 和 孝(38期)
梅雨本番の頃、早く梅雨明けしないかと期待をするものの、明ければ明けたで猛暑が予想され、しかも、計画停電の実施も告知されるのですから、なお一層の暑苦しさを感ぜずにはいられません。さてこのような季節の中で、一服の清涼剤とも言える体験をしましたので、今月はこのご紹介をします。
 さる、7月2日は在福岡アメリカ領事館主催で独立237回目の祝賀パーティが市内のホテルで開催されました。各種団体の定時総会後のパーティにも呼ばれて参加するのですが、この独立祝賀パーティは、いかにもアメリカ的というか非日本的というか、とても明るく心和むものでした。国旗をもった儀仗兵の行進から始まり、厳かにパーティは始まりました。続いて、ジェイソン・R・クーバス主席領事の歓迎の挨拶となり、まず、スクリーンに写った古いモノクロ写真の解説となりました。写真には男性が写っていますが、誰かよく分かりません。「この人は随分昔にキューバからアメリカ合衆国に渡り苦労に次ぐ苦労の末、アメリカ国籍を取得し、またビジネスで大成功を収めました。」なるほど髪型、シャツ、ズボンの形をみると古き良きアメリカの風情です。写真が家族写真に変わり、「その後、愛し合う妻と出会い、かわいい子どもにも恵まれました。」とのナレーションが続きます。数百名の招待客は、この人物は現代アメリカ史上きっと著名な人物であろうが、残念ながら名前がわからない、もしも回答指名でもされたらどうしようと戸惑いを隠せません。私も無意識に後ずさりしたように記憶しています。しばらく間をおいて、声高らかに「この男性こそ、私のお父さん、そしてお母さん、それに私なのです。」と、誇らしげにアナウンスされた途端、場内はどっと沸き拍手喝采の渦です。何ともいえない和んだ雰囲気となりました。実に素晴らしい。独立記念の祝賀パーティですから公式行事であることは間違いないのですが、そこでも大事な家族のご披露をするところに感動を覚えたものです。家族を核にして生活をエンジョイする姿勢ですね。行事に追われている毎日と比べると、余裕が違います。とても羨ましく思いました。この独立記念日のパーティは毎年コンセプトを変えるとのことで、今年はヒスパニック系をコンセプトとした催しが企画され、テキーラ、キューバン・サンドイッチなどの飲食物が振る舞われ、また、プロダンサーによる官能的なタンゴやサルサなどの踊りも披露されて、とても楽しいパーティとなりました。
 この月報が発刊されている頃は、裏の赤坂小学校のプールから小学生の元気な歓声が聞こえ、きっとあっぱれな夏を迎えていることと思います。 皆様、健康にはくれぐれもご留意を。

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