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カテゴリー: 会長日記

福岡県弁護士会会長日記

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                         会 長 田 邉 宜 克(31期)
【スタッフ弁護士】
 北九州部会が「法テラス」北九州支所にスタッフ弁護士の配置を希望することは、昨年度常議員会で、承認されています。被疑者国選弁護人制度の本格実施後の一人当たりの担当件数が、14件+αに上る実情からすれば、強い異論はないところでしょう。
 他方、福岡部会では、昨年度中、福岡地方事務所本所のスタッフ弁護士配属については、特段の議論をしていませんでしたが、本年度早々に法テラス福岡から「本年度中に、北九州支所に一人、福岡本所に一人のスタッフ弁護士を配置することについて、法テラス本部から意向打診を受けているので、この点について県弁と協議したい。」との申し入れを受けました。
 法テラスとしては、受入会が、スタッフ弁護士は、不要であって受け容れる意思はないと表明すれば、強制的に赴任させることはないものと思われます。
 それでは、法テラス福岡は、何故スタッフ弁護士の配属を希望したのでしょうか。県弁執行部として、法テラス福岡との協議を開始していますが、その必要性について、概略以下のとおり説明を受けました。
(1)速やかに被疑者国選弁護人を選任する責務を負う法テラスは、被疑者国選弁護拡大後も、万が一にも穴を開けることは許されない。弁護士会、特に福岡部会の被疑者国選弁護人態勢では未だ十分であるとは考えていない。
(2)これまでの実践例からしても、筑豊地区の休日、特に共犯事案の配点については、現状でも正に綱渡りの感がある。また、被疑者弁護人として登録されている会員でも諸般の事情で受任を回避されたりすることが少なくなく、この1年半で数件担当した会員から20件近く担当した会員まで受任件数に幅があり、一定の会員の過大な負担で凌いでいる実情にある。単純に事件数を登録者数で割り出して「回る」「回らない」の議論をするのは実際的ではない。被疑者国選弁護拡大後に、万が一の事態を惹起しないためには、法テラス福岡本所へのスタッフ弁護士の配置は必須であると考えている。
(3)壱岐・対馬での国選対応についても、本所スタッフ弁護士に遊軍的に活動していただくことを予定している。
(4)所謂「国選扶助対応」のスタッフ弁護士であり、扶助事件以外の一般民事事件を受任することは予定していない(薬害・消費者等の集団訴訟受任の例外はあり得る)。従って、民業圧迫との懸念は杞憂である。
 今後、法テラス福岡と協議を重ね、より詳細な内容を適宜会員にご報告し、意見集約の場を設けて、当会の意見を早急に明らかにしたいと思います。
 なお、仮にスタッフ弁護士が配置されたとしても、担当しうる国選件数には当然ながら限界があり、より多くの会員の皆さんに被疑者国選名簿登録をしていただく必要性には、何ら変わりがありません。
【刑事贖罪寄付金のお願い】
 従来、扶助協会の行っていた自主事業(刑事被疑者・少年付添・精神障害者等・外国人・難民・犯罪被害者等)は、日弁連及び単位会が承継し、法律援助事業として行っていますが(司法支援センターに運営を委託)、弁護士会の事業である以上その資金は、弁護士会が自前で用意しなければなりません。扶助協会時の自主事業資金と同様にその原資は、主として刑事贖罪寄付金です。
 当会宛の贖罪寄付は、その半額を日弁連に納付して日弁連の法律援助事業資金に充てられ、残額は、法律援助事業の日弁連負担額に加算して支払う当会の所謂「上積」分(刑事被疑者・1万円、少年・原則2万円等)等の支払いに充てられます。
 当会は、昨年度の全国の被疑者事件の11.2%、少年付添人事件の19.4%、これらに難民その他を含めた全事件数の13.7%の法律援助事件を行っています。これは、本当に全国に誇るべき実績です。
 他方、この事業を支える贖罪寄付実績を見ると、昨年度全国で4億6,647万円の贖罪寄付がありましたが、当会の贖罪寄付額は253万円に止まり、なんと全国比0.53%に過ぎません。仮に事件数比の分担があるとすれば、当会の贖罪寄付案分額は、2,981万円になります。会の規模の大小があり、この案分額を当会が当然に分担すべきとは言えないでしょうが、扶助協会福岡支部には、平成17年度1,700万円、同18年度1,191万円の贖罪寄付があったことと比較すれば、余りにも少なすぎると言わざるを得ません。
 また、現状では刑事被疑者(1万円×1000件)及び少年付添(2万円×800件+α)等の「上積」「横出し」分が、当会会計から支出されています。1年後に被疑者国選の本格実施が始まるとしても、このままでは少年付添の上積み分の負担は依然として残り、贖寄付金額が現状のままでは、その支出に対応する額の収入は確保できないことになります。
 会員の皆さんは、扶助協会が解散した後の贖罪寄付は、扶助協会を承継した司法支援センターにと考えられたのかもしれません。
 しかし、扶助協会の各種自主事業を引き継いだのは弁護士会であり、弁護士会がその事業遂行につき責任を全うする義務を負っているのは明らかです。
 日弁連から最高裁・最高検に自主事業等弁護士会への贖罪寄付の目的・制度設計について説明し、情状面での考慮を依頼しており、当地の裁判所・検察庁もこのような公益的な目的に支出される弁護士会への贖罪寄付を量刑上斟酌すべきことは十分理解されているはずです。
 ついては、会員の皆さんに、上述の事情をご理解いただき、贖罪寄付は、是非とも当会宛に納付していただくようお願いいたします。
 なお、寄付手続きの詳細については、各部会事務局にお尋ね下さい。

福岡県弁護士会会長日記

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                      会 長 田 邉 宜 克(31期)
はじめに
当会の抱えている課題や活動内容を会員の皆さんにお知らせするため、本年度も会長日記を毎月執筆掲載することにしました。
本年度1年間、宜しくお願いいたします。
就任挨拶回り−どこを
正副会長及び事務局長4、5名で、3月24日から4月11日まで、3週間にわたって福岡県内160か所を「弁護士会役員就任挨拶」で回りました。訪問先は、県内の裁判所・検察庁・法務省連施設、関連専門職団体、県や福岡市・北九州市はもとより、西は二丈町、東は豊前市、南は大牟田市まで当会と関連のある自治体、マスコミ各社、九州電力その他の地域企業や商工会議所、連合等々の労働組合、福祉関連団体、各政党、大学・ロースクール、各地域の医師会等々です。また、折角訪問するのですから、自治体の首長・社長・総長等のトップの方とお話しすることを原則としました。
就任挨拶回り−何を
挨拶回りの目的は、各界の方々に弁護士会が多様な公益活動を行っていることを知っていただくことです。特に、弁護士会の市民サービス部門(法律相談センター・多重債務・交通事故・高齢者「あいゆう」等々)の活動をお知らせし、チケット制等制度の利用と、内外への広報方をお願いしました。
併せて、裁判員制度への理解を求め、かつ、取調の全過程可視化実現要求署名への協力をお願いしました。ほとんど全ての訪問先で可視化の署名協力を要請し、県警4課出身の方々が陣取っておられる暴追センターでも、びびりつつも趣旨をお話し、チラシと署名用紙を受けとっていただきましたし、自民党県本部でも賛意を表していただき、現在、訪問先からの署名が当会に届けられています。
また、高齢者虐待対応チーム制度についてもお話ししましたが、積極的な反応を得られた自治体もいくつかありました。
毎日続けて多くの方々と面談することは、大いに疲れることは事実ですが、各界のトップに直接お会いすること自体が弁護士会にとって一つの財産になるのだと思いました。
来年5月21日裁判員法施行決定
1年後に裁判員法が施行され、被疑者国選対象事件の範囲が10倍に拡大します。当会は、これまでの刑事弁護等委員会、裁判員制度実施本部の活動をより充実させていくとともに、拡大する被疑者国選の制度を担うに十分な国選弁護人を確保するため、新に国選弁護対応体制確立推進本部を設置し、一人でも多くの会員に被疑者国選名簿への登録をお願いする具体的取り組みを進めて行きます。
また、この制度実施を踏まえて、司法支援センターとの連携も更に深めて行く必要があり、北九州支部のみならず、法テラス福岡事務所本体へのスタッフ弁護士配点についても、会内での議論を深めていく時期に来ています。
更に、取調の全過程の可視化(録画の義務付)を求める署名を5月までに目標の1万名を超えて集める必要があります。無論、執行部や刑事弁護等委員会を中心に活動しますが、会員の皆さんが一人10名ずつ集めていただければ、それだけで7,500名になるのです。是非とも積極的にご協力下さるようお願いいたします。
拠点事務所の説明会&面接実施
4月12日に弁護士法人あさかぜ基金法律事務所の入所希望者に対する説明会を行い、同月19日に面接を行いました。いよいよ今年の秋の開設に向けて第一歩を踏み出したことになります。説明会では、八代ひまわりの長先生と法テラス壱岐の浦崎先生に仕事の実状・過疎地の弁護士のやり甲斐・問題点等を具体的にお話しいただき、地域に弁護士が常駐することの重要性を再認識しました。また、「法テラスのスタッフ弁護士の重要な役割は利用者の為に法テラス本部と戦うことである。」、「都市公設スタッフの役割は、国選や扶助事件の処理に止まらず、収益性を考えずに事件に取り組めることや公の組織であるが故の行政との連携の取りやすさ等、その特性を活かして自ら考え、模索し、作り出して行くことができる。」との浦崎先生のご発言は、とても重要だと思いました。

福岡県弁護士会会長日記

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                     前会長 福 島 康 夫(30期)
1 北九州引野口事件無罪判決確定
ひどい話である。話してもいない代用監獄の同房者が殺人、非現住建造物放火の犯行状況を告白するのを聞いたと供述したばかりに起訴され、求刑は18年だったとの事である。結局、小倉支部で無罪判決が下され確定した。冤罪がまた明らかになった。被告人本人は取調で一貫して否認をしていたが、本人から犯行告白を聞いたという同房者の供述が重視されて起訴されてしまったのである。代用監獄は違法捜査の温床だという言葉が生きている。違法捜査を起こしやすい制度は制度自体を廃止しなければならない。それにしても、1審で無罪が確定した際、元被告人の片岸さんが、うれしいというよりも腹が立つといわれていたことが心に残る。取調べの全過程の録画、代用監獄の廃止、いずれも私たち弁護士が世間に訴えていかなければならないことを再確認した。
田邊弁護団長をはじめとする北九州部会の弁護団のご苦労と重圧はいかばかりであったろう。最大限の敬意を表したい。
2 九弁連のあさかぜ基金法律事務所設置
3月21日の臨時総会で九弁連が設置主体となる「あさかぜ基金法律事務所」を福岡市に設置すること、および当会が技術的支援をすることが決定された。執行部として最後の大きな審議案件となったが、臨時総会でこの「あさかぜ基金法律事務所」が暖かい目で迎えられたことにホッとしている。これで九弁連の過疎偏在問題は解決に向けて大きく動きだした。まさに九弁連は一つになったと思う。何としてでも成功させなければならない。次年度の執行部の大きな課題である。今後暖かい目でこの「あさかぜ基金法律事務所」が成功するよう絶大な支援をお願いしたい。
3 裁判員裁判に向けて
裁判員裁判の実施まで1年と迫ってきた。最近毎日のように無罪判決の新聞報道に接するが、たまたまとは思われない。その理由として最近、裁判官が緊張感をもって審理に臨んでいるということではないだろうか。私たちはこれまで一般の市民にわかってもらうために無罪推定の原則をどう説明したらよいか突き詰めて考えたことがあっただろうか。裁判員裁判は模擬裁判をしている中で裁判官、検察官、弁護士それぞれに刑事裁判の原点に立ち返らせる効果を与えていると思う。
4 研修の充実に向けて
重要な法律の改正が毎年毎年行われている。めまぐるしい速さで世の中が変わっている。改正されるたびに法律書を買うと事務所の本棚は大変である。かといって、古い法律書に頼って執務をして懲戒になればもっと大変である。法曹の質の問題は新人ばかりではない。経験者に対する研修も含んでいる。
ところで、昨年1月から新61期修習生83名が当会で修習中である。今度の修習生の特徴は修習期間が1年。全員法科大学院出身で即実務修習に入り前期修習がない。そのため、研修所の教官の方が巡回して起案講評等を行っている。各実務庁の修習期間は2ヶ月しかなく、これでは刑事弁護を最初から最後まで修習できないことになる。これで1年後に弁護士として刑事弁護を1人でさせることには不安があるのは私だけではないであろう。
2月の理事会で新人弁護士の研修の意味でベテラン弁護士が一緒に刑事弁護ができるようにするため複数選任の制度を作るべきではないかということが問題になった。現在の制度設計では研修のための複数選任制度は認められていないが、早急に検討すべき課題である。修習期間の短縮をカバーするためには修習内容の工夫は勿論新人弁護士時代のOn the job trainingしかない。修習委員会と研修委員会の一層の工夫をお願いしたい。
5 皆さんに感謝 
この日記もいよいよ今回が最後である。前年度から引き継いで、毎月その時々の弁護士会の動きをお知らせしてきたが、最後まで続けて来れてホッとしている。原稿の締め切り日を過ぎてもまだ出せない私を、懲りずに督促していただいた広報委員会の委員各位にお詫びと共に感謝したい。
それにしても、この1年間は本当に目まぐるしかった。多重債務相談の無料化実施、これに伴うテレビ・ラジオの広報から始まり、会員の熱意と団結で様々な活動を行った。司法シンポ、民暴拡大協議会といった全国規模のシンポジウムが2つ、それ以外に7つのシンポを行った(憲法、消費者、人権、可視化、子ども、民暴 中小企業)。常議員会で決議した会長声明、意見書は50近くに達しようとしている。会員1人1人の皆さんの大いなる活動の成果である。当会の活動は衰えるところを知らないようである。
1年間、何とか任務を全うできたのも、会員の皆さんのご支援ご協力のお陰である。本当に感謝したい。
この福岡県弁護士会会長日記も次号から田邊次期会長にバトンタッチをすることになる。次年度もよろしくお願いしたい。
最後にあたって、私の最近の好きな言葉でこの日記を締めくくりたい。
「夢なくして計画なし。
計画なくして実行なし。
実行なくして成果なし。」

福岡県弁護士会会長日記

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                   会 長  福 島 康 夫(30期)
1 簑田所長最終講義
福岡地裁の簑田所長が2月6日で定年退官されることになり、裁判所制度改革・裁判官選任充実化委員会が中心となって1月23日簑田所長の最終講義が開催された。事前の申し込みが盛況だったため会場を会館から「あいれふ」に変更して開催される事になった。簑田所長は36年連続して九州の裁判所で勤務されたとのことである。これだけ長く九州だけを勤務された裁判官は今後も出てこないであろう。私の修習生時代の民事部の右陪席裁判官であり、いろいろと教えていただいた。その後私はスモン訴訟福岡弁護団に加入したが、簑田裁判官が右陪席の民事2部から福岡スモン判決をいただいた。薬害の被害を受けた患者さんの気持ちを真摯に受けとめた名判決である。最終講義の冒頭に会長として挨拶をし、私自身感慨深いものがあった。この企画を実現していただいた野田部委員長に感謝したい。
2 九弁連の拠点事務所を福岡に
昨年12月の日弁連臨時総会では5年間で10億5,000万円の予算を使って偏在解消のための経済的支援策が決議された。その中で各ブロックに一つの拠点事務所を作ることが構想され、そのため1,500万円が補助されることが決まっている。膨大な予算をかけた日弁連の並々ならぬ決意の表れである。これに呼応して、当会では拠点事務所プロジェクトチームを立ち上げ、九弁連の事業で福岡に事務所を設置し、福岡県弁護士会は技術的支援をするという構想の報告書が提出された。この構想は日常の業務等の運営は福岡県弁護士会の運営委員会が行い、大所高所からの問題を九弁連の管理委員会が行い、毎年4人の弁護士を養成していくというものである。検討すべき課題は多いが、何とか始動して軌道に乗せたいものである。これこそ正解はない。これまでのノウハウとアイデアの勝負である。会員の皆さんの英知を結集して新しい拠点事務所を作り、是非とも成功させたい。
3 取調の可視化国会要請行動
2月15日の日弁連理事会の昼間、日弁連執行部、理事の全員、それに取調の可視化実現本部の主だった委員で国会議員要請活動を行った。勿論、当会の美奈川会員もこの要請行動の中心である。私と河辺副会長は加毛日弁連副会長、池田次長と一緒に地元選出の国会議員に面会し、取調の全部の録画が必要なことを訴えた。たまたま時間がとれるということで、筑後地区選出の鳩山邦夫法務大臣と法務大臣室で面会することができた。直前に美奈川会員から提供を受けた韓国の警察、検察庁の録画設備の写真を渡して、いかに日本が遅れているかを説明した。写真は説得力がある。かなり突っ込んだ説明ができ、面会時間は30分以上に及んだ。取調べの全過程の可視化の実現は目前に迫っている。是非とも2009年5月の裁判員裁判制度実施までに実現させなければならない。可視化実現のための署名活動も始まった。5月までに30万人の署名を目ざしている。皆さんのご協力をお願いしたい。
4 情報の共有化
今年度はFニュースを毎週発行、ホームページの会員のページの充実等会員に対する情報の共有化を図ってきた。Fニュースは徳永響業務事務局長の責任編集で週1回以上の発行ができた。今後、内容的にもっともっと工夫の余地があるかもしれない。
常議員会の資料が既に400になっている。資料の厚みはほとんど同じだが、資料の数は例年の2倍となった。そのための執行部の会議もワイワイガヤガヤ1年間やってきたが、資料は6冊目になっている。このほか執行部では日常の事務連絡等は執行部メーリングリストを頻繁に利用しており、すでに3500程度になっている。
執行部では会内の情報の共有化に努力したつもりであるが、もっともっと情報の共有化を進める必要がある。次年度に是非とも引き継ぎたい事項である。
5 謄写事業公募制の件
裁判所の記録謄写はこれまで弁護士協同が行ってきたが、昨年度後半、謄写事業公募制の問題が急浮上した。その後、当会はこれまで2回にわたって意見書を裁判所と日弁連に提出した。昨年から心配していた問題であったが、今般、協同組合が落札できたということである。協同組合の藤井理事長をはじめ理事の皆さんは1年間大変だったが、良い結果が出て本当によかった。なお、九弁連管内の裁判所の謄写事業は各地の協同組合がほぼ落札し、これまでと同じ取り扱いの見込みである。これで、わずかの枚数の記録謄写で事務員さんに遠方まで出張させるという大いなる無駄をさせずにすむ。まずは一安心である。
6 新会館建設問題
今年度、新会館建設問題は結果的には目立った動きはなかった。候補地は六本松の九大教養部が移転した後の土地であり、本年3月には福岡市が設置した「九州大学六本松キャンパス跡地利用計画策定委員会」が法曹ゾーンを主とした跡地利用計画案を提出した。しかし、それ以降の具体的な動きはなく、次年度以降になりそうである。先日、九弁連の理事会で大分県弁護士会館を訪問したが、立派である。
当会の会員は現在756名。来年は800名に達するのではないかと思う。新会館建設については、現実の予算の問題はあるが、大いに夢を語り合いたい。

福岡県弁護士会会長日記

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                        会 長  福 島 康 夫(30期)
1 福岡県弁護士会の女性会員が今年ちょうど100人に達した。
私たちの大先輩の湯川久子会員が5月の日弁連定期総会で50年表彰を受けられ、12月の福岡部会の忘年会でお祝いをした。そして、ちょうど節目の50年の年に当会の女性会員がちょうど100人に達した。まずは新年早々おめでたい。湯川先生は九州の女性弁護士第1号であり、まさに日本の女性弁護士の先駆者である。登録されてからこれまでの50年の間には女性弁護士の先駆けとして多くのご苦労がおありになったと思うが、そんな気配は微塵も見せられない。私自身駆け出しの頃、法律扶助協会の審査委員会で長らく御指導頂いた。湯川先生はいつも素晴らしい姿勢である。これも「能」をされているためと思うが、いつまでも若々しく元気で頑張っていただきたい。
日弁連は昨年、男女共同推進参画本部を設置し、男女共同参画社会をめざす活動を始めた。福岡では759名中の100名であるので13%以上となった。現在、常議員30名の中で女性会員は内田常議員と安部常議員の2人だが、男女比から考えても、もっと女性会員が常議員になる必要がある。男女共同参画施策基本大綱では政府目標と同様に2020年までに弁護士会の役員にも30%以上を目指すことになっている。そして、日弁連理事会では私と河辺副会長と同じ机に並んでいる滋賀の元永会長が頑張ってよく発言している。40期の女性会員である。
ところで、現在新設予定の総務委員会に弁護士会の職員関係のセクハラ窓口を設けるべく、常議員会で審議中である。この問題の中心は主には執行部と職員間の関係でということになるが、今後設置しただけで開店休業になるはずである。そうでなければ大問題である。なお、両性の平等委員会では弁護士と事務所の事務員さん、弁護士と弁護士のセクハラ窓口設置を検討中とのことである。
2 互いに顔のわかる弁護士会であるために、茶話会幹事に感謝。
12月20日付けで新60期の17名の新入会員が当会に登録し、当会の会員は現在759名となった。今年4月時点から56名増加したことになる。互いに顔のわかる弁護士会であるための一層の工夫が必要である。会員限定の写真付き会員名簿は今年度以降も毎年発刊する必要がある。
そして、今年度特に茶話会幹事の活躍はめざましいものがあった。
福岡では4月の花見に始まり、納涼船、3庁のボーリング大会、秋のバーベキュー大会、新人弁護士歓迎会、忘年会、新年会と2ヶ月に1回以上の割合での催しである。知名代表幹事をはじめとする茶話会幹事の献身的な活動に大いに感謝したい。
互いの顔のわかる弁護士会であるために、また茶話会幹事の労苦に報いるためにも会員各位の参加を是非ともお願いしたい。特に、若手会員は先輩会員と知り合う絶好の機会である。大いに参加をして盛り上げていただきたい。
3 福岡地裁別館の新築
福岡地裁本庁に新館が建設されることになった。空き地は1カ所しかない。裁判所の西側の駐車場とテニスコートだった場所である。今年3月に着工し9月には完成予定とのことである。新館は2階建てで裁判員裁判用の合議法廷が2つ、単独の法廷が2つ増設されるということである。接見室も2つ設置の予定とのことである。接見室については昨年11月の1審協刑事部会で討議している。なお小倉支部は1つ法廷を増設するとのことである。この新館建築で裁判所の並々ならぬ決意を感じた。いよいよ、裁判員制度の開始まで秒読みとなった。
4 裁判員制度研修
1月12日から14日まで、早稲田大学法科大学院の模擬法廷を使用して、法廷弁護指導者養成プログラムの研修が開催された。当会から徳永響業務事務局長と甲木会員が参加した。裁判員裁判用の尋問技術、弁論技術をアメリカの全米法廷弁護協会所属の弁護士4名からまる3日間研修を受けるというものである。研修の模様はテレビでライブ放送がされたが、私も2日間県弁会館でテレビで見た。非常に参考になると思う。徳永業務事務局長と甲木会員が今後当会に新しい風を巻き起こすことを大いに期待したい。
弁護士会はこれまで裁判員裁判対策が遅れているのではないかといわれていたようであるが、これを契機に一挙に進んでいきたいものである。残すところ1年。待ったなしである。今回の研修は早稲田大学法科大学院の裁判員法廷を利用してなされたが、日弁連には模擬法廷がない。ところで、1月の日弁連理事会では大阪弁護士会館の中に日弁連の資金で裁判員用模擬法廷を設置することが承認された。この模擬法廷は西日本の拠点になる見込みである。
5 弁護士会の贖罪寄付が大幅減の危機
弁護士会の贖罪寄付が危機的な状況である。当会には例年1,000万円以上の贖罪寄付が寄せられていたが、今年度は全国で3億7,000万円以上の贖罪寄付が集められているにもかかわらず当会の贖罪寄付は全額で130万円程度でしかない。例年の10%程度の落ち込みの原因は全国で寄付を集めるようになったために、モティべーションが下がったのであろうか。弁護士会の贖罪寄付は被疑者弁護人援助制度、少年付添人援助制度の重要な財源であり、当会の財政にも直接関係している。なお、他に、法テラスの贖罪寄付の制度はあるが、弁護士会の財政、自主事業の財政に関係しているのは弁護士会の贖罪寄付である。法テラスの贖罪寄付制度は、自主事業の財源になっていないことを留意していただき、あえて付言する次第である。昨年までの当会の被疑者弁護人援助制度の事件はざっと年間1000件、少年付添人援助制度の事件はざっと年間800件。今年度はどちらもさらに増えそうである。このままでは自主事業の財源である弁護士会の贖罪寄付は逼迫し、財政は破綻してしまう。弁護士会の贖罪寄付の制度については裁判所、検察庁にも説明をし、理解を求めている。今年度は残り少ない、弁護士会の贖罪寄付が増加するよう会員各位のご理解をお願いしたい。

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