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カテゴリー: 声明

北九州市小倉北区の飲食店に対する暴力団関係者による殺人未遂・資料業務妨害事件に関する会長声明

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福岡県弁護士会 会長  前田 豊
平成15年(2003年)8月26日
 去る8月18日午後8時頃、北九州市小倉北区において飲食店に対し、暴力団関係者による爆発物を用いた殺人未遂、威力業務妨害事件が発生した。\n この事件は、北九州市内における民事介入暴力排除運動に携わる市民をターゲットにした悪質な犯罪行為であり、暴\力の力によって市民の生命・身体や営業に圧力をかけ、広く暴力、暴\力団に対する恐怖感を植え付けようとしいてる点で、「暴力による支配」を狙った市民社会に対する挑戦である。\n 今回の事件は、基本的人権と社会正義の実現を目的とする弁護士会としても到底看過することのできない重大な犯罪である。
 北九州地区においては、これまでも地道な暴力排除運動が積み重ねられてきたところであるが、今回の犯行によって、これまでの暴\力排除運動を些かも後退させてはならないと考える。
 当弁護士会としては、今回の卑劣な犯行を強く非難するとともに、広範な市民とともに、より大きな民事介入暴力排除の運動を積極的に推し進めていく決意である。\n

住基ネットの稼働停止等を求める会長声明

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福岡県弁護士会 会長  前田 豊
 平成15年(2003年)8月25日 
1.本日、住民基本台帳ネットワークシステム、いわゆる住基ネットが本格稼働(第2次稼働)を始めた。
 当会は、2002年8月5日の第一次稼働以前より、住民の個人情報が漏洩する可能性があり、また行政機関による個人情報の恣意的収集、濫用の危険があるので、個人情報保護のための所要の措置が講じられるまでの間の住基ネットの稼働延期を要請してきた。\n 第一次稼働後、個人情報保護法及び行政機関等個人情報保護法が一応成立したものの、繰り返し指摘してきたように、個人情報の漏洩及び行政機関による個人情報の恣意的収集、濫用という危険性を払拭するものではなく、個人情報保護のためには不十分なものである。\n さらに、福岡県下の複数の自治体において、住基システムとインターネットを物理的に接続しており、その運用面での情報漏洩の危険性もある。地方自治情報センターが本年1月、2月、7月に実施した全国調査の結果も、市町村等の自治体における住基ネットのセキュリティが万全でない現実を示している。
2.また、住基ネットへの接続を拒否している自治体や住基ネットへの接続を住民個人の選択に委ねている自治体があり、相当数の住民の情報が住基ネット上に流通していない状態が続いているが、これによって住民基本台帳に関する事務が混乱したという事情は認められない。また、住基カードを独自に利用する条例をつくった自治体は、全国の市区町村3,207のうち45市区町村にとどまっている。これらは、この住基ネットの必要性に大きな疑問を投げかけるものである。
 他方で、本日からの本格稼働は、これまでの市町村−県(地方自治情報センター)−国の行政機関という縦の情報の流れに加え、市町村から市町村へという横の情報の流れを作るものであるが、市町村等における住基ネットのセキュリティが万全でない状態で稼働をこのまま進めることは危険である。しかも、相当数の住民情報が住基ネット上に流通していない状態で本格稼働を行えば、一部もしくは全部の住民の情報を流さない自治体と全住民の情報を流す自治体との間で大きな混乱を招くのではないかとの指摘もなされている。
3.更に、今回の本格稼働において、住基カードが発行されることになるが、この住基カードは膨大な量の個人情報の蓄積とこのカードによる個人情報へのアクセスを可能にし、個人情報の漏洩の危険性を格段に大きくするものである。ところが、国は、住基カードのセキュリティ対策の検討を本年5月25日に始めたばかりであり、現時点における住基カードのセキュリティー対策は不十\分なものといわざるを得ない。
 のみならず、この住基カードに多数の個人情報を載せ又はアクセスを可能にすることは、カードを媒体とした個人情報の集約を可能\にし、国民総背番号制の機能を与える危険性がある。\n このため、当会では,つとに福岡県内の各自治体に住基カードの発行を停止すること、もしも発行する場合にはそこに載せる個人情報を基本情報のみに限ることを要請してきた。
4.当会は、住基ネットの本格稼働が始められたことに遺憾の意を表すとともに、あらためて住民のプライバシー権・自己情報コントロール権を保障するための十\分に実効性のある措置が取られるまでの間、また少なくとも住基ネット管理の安全性が確認されるまでの間、住基ネットの稼働を一時停止するよう求めるものである。また、各自治体に対しては、住基カードへ載せる個人情報を住民基本情報のみに限るほか、住民の個人情報を保護するために可能な限りの措置を取るよう求めるものである。\n

司法修習生の給費制維持を求める声明

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福岡県弁護士会 会長  前田 豊
 平成15年(2003年)8月1日
 司法は、法の支配の理念に基づき、政治部門と並んで社会を支える重要な柱であり、この司法の運営に直接携わるプロフェッションである法曹に対しては、国民が個人の尊厳・基本的人権を享有する主体として自律的な社会生活関係を維持・形成し、発展させていくために必要な法的サービスを提供するという役割を果たしていくことが期待されている。制度を活かすものは人であり、そして21世紀における司法の役割の増大に応じて、その担い手である法曹(弁護士・検察官・裁判官)の果たすべき役割も、より多様で広くかつ重くなっていく。そのため、法曹の質と量を大幅に拡充する事が不可欠とされている。
 かくして、新たな法曹養成制度は、21世紀の司法を担うにふさわしい質を有した法曹を確保するため、従前の司法試験による選抜ではなく、法科大学院を中核とする法曹養成制度に改め、法科大学院での履修に続いて、新司法試験を経て実務修習を中心とする司法修習を実施することになった。その際、司法修習制度は、これまでの実務修習制度の有用性に鑑み,この新制度のもとにおいても引き続いて実施することとされたものである。
  ところで現在、従来から司法修習生に対して給与を支払っていた制度(給費制)を維持するかどうかが検討されている。
 しかし、上記のとおり、法曹養成制度は単なる職業人の養成ではなく、国民の権利擁護、法の支配の実現にかかわるプロフェッションたる法曹を養成するものであり、したがって、法曹の養成は、国及び社会にとって極めて公共性・公益性の高い重要事項である。
 そして、弁護士は、基本的人権の擁護と社会的正義実現の担い手であるのに加えて、各種公益活動、公的弁護、公設事務所、法律相談センターなど公益性の高い分野を担い、実行する人的資源であり、その公共性、公益性が高い点においては、裁判官あるいは検察官と全く同様である。
 従って、法曹養成とりわけ司法修習に対しては、可能な限り国費が投入されるべきであり、そうすることが国と社会に活力を与え、透明で公正なルールに従って適正かつ迅速に紛争解決をはかり、法の支配を貫徹することを可能\とするものである。
 司法修習生には、給費制の反面、修習専念義務が課されており、他の職業に就いて収入を得る方法を閉ざされている。従って、修習専念義務を課したまま給与を支給しないことは合理的均衡を欠き、また当然、司法修習生の生計の維持を困難とする。
 加えて、司法修習生になる前に2年ないし3年の法科大学院に在学することから,その間に多額の学資や生活資金が必要となる。この経済的負担はそれ自体極めて重大な問題であるが、その上司法修習生に対し給与を支給しないことは、負担を一層増大させるものであり、経済的打撃はさらに大きくなる。そして、この経済的負担の大きさゆえに、多くの有用な人材が法曹を目指すことを諦めることも懸念される。
 そこで、法科大学院における学生の経済的負担を軽減するべきことはもとより、司法修習生に対する給費制を維持して、修習に専念できる態勢を整備すべきである。
 これに対し、給費制に代えて貸与制を採用するとの意見があるが、多額の負債を抱えて新人法曹としての生活をスタートさせることは、その後の返済を考えると、到底好ましいものとは思われない。
 法曹には多種多様な人材が求められるものであるが,経済的負担の大きさから一定の富裕層のみからの偏った人材しか輩出されなくなるとすれば、それは極めて憂慮すべき事態を招来するものであり,司法制度改革審議会意見書の趣旨にも反することとなる。
 よって、司法修習生への給費制度は今後とも堅持されるよう強く求めるものである。

「『国を愛する心情』等の評価項目を定めた通知表を採用しないことを求める会長声明

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福岡県弁護士会 会長  前田 豊
 平成15年(2003年)6月6日
 本年6月3日、「福岡市小学校公簿等研究委員会」は、今年度の通知表案として6案を示し、希望校への配布を開始した。そのうちの1案には、小学校6年生の社会科の「関心・意欲・態度」を評価する項目で、「我が国の歴史や伝統を大切にし、国を愛する心情を持つとともに、平和を願う日本人として世界の国々の人々と共に生きていくことが大切であることの自覚をもとうとする」との観点の趣旨が示され,これに「学習状況」と「評定」の欄において1,2,3の評価をすることになっている。\n 当会は昨年度、上記の観点の趣旨とほとんど同様の表記であった昨年度福岡市立小学校6年生の通知表\について、市民団体からの人権救済申立を受け、当会の人権擁護委員会において調査・審議をし、常議員会において承認をしたうえ、本年2月26日、「『国を愛する心情』『日本人としての自覚』といったものは個人の思想・良心に関わるものであり、こうしたものを児童の学習到達度を評価する通知表\に規定することは、公教育の現場において特定の思想・良心を児童に強制する結果をもたらすおそれがあり、とりわけ在日韓国人らの人権を侵害するおそれが高い」として、当該評価項目を削除し改めるよう、当該通知表採用校の福岡市立堤丘小学校校長に警告し、福岡市教育委員会に勧告した。\n ところが、6案中の1案とはいえ、再び本年度の通知表案において昨年と同様の評価項目が示されたことはまことに遺憾であり、当会は、通知表\案採否の決定権を持つ福岡市立の各小学校校長に対し、この通知表案を採用しないよう求めるものである。\n すなわち、上記の評価項目は、一部「世界の国々の人々と共に生きていくことが大切であること」との文言が挿入・付加され若干の修正が施されてはいるが、他は昨年の通知表と同文であり、当会の上記警告書及び勧告書に述べたことがそのまま当てはまるものである。それは、教員による評価を通じて、児童に対し、「国を愛する心情」を持つこと、及び「平和を願う日本人として世界の人々と共に生きていくことの大切さを自覚する」ことを求めるものであって、公教育の現場において特定の思想・良心を児童に強制する結果をもたらすおそれがあるものである。特に、我が国で共に学び生活する外国籍の児童の思想・良心の自由を侵害し、子どもの権利に関する条約29条に定めた「多文化共生教育」の要請にも反するものであり、加えて、児童の国籍の如何を問わず、同条約12条に定められた「子どもの意見を表\明する権利」の趣旨にも反するといわなければならない。
 また,児童が一生懸命考えているのに「国を愛する心情」がないと評価されたり、児童が教員からよい評価を得るため気持ちを曲げて「国を愛する心情」を表現したりするときには、当該児童に対する教育効果のうえでも大きな問題が残るのではないかと懸念される。\n 本年度の通知表案は、「福岡市小学校公簿等研究委員会」という任意団体が作成し、各小学校の校長が採用するか否かの決定権を持っているとされている。\n そこで、当会は、福岡市立の小学校校長に対し、憲法上も子どもの権利に関する条約上も重大な違反の疑いがある、「国を愛する心情」等を評価項目に定めた通知表を採用しないよう求めるものである。\n

有事法制に反対する会長声明

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福岡県弁護士会 会長  前田 豊
 平成15年(2003年)5月21日
 有事法制法案が5月15日衆議院を通過し、現在参議院で審理中である。
 この法案は、当初の政府案を修正したものであるが、「武力攻撃予測事態」の定義や範囲はなお曖昧である。また、「武力攻撃予\測事態」と周辺事態法でいう「周辺事態」の異同や、武力攻撃事態対処法と周辺事態法がどう連動するのかは依然として不明確であり、周辺事態法又はテロ特措法との連動いかんによっては、憲法が認めていない集団的自衛権と同様の結果となることも懸念される。さらに、有事認定の客観性も十分に担保されているとはいえず、国会による事前の民主的コントロールも確保されているとはいえない。有事における首相の地方公共団体や指定公共機関に対する指示権・代執行権は当面凍結されたものの何ら変更がなく、有事において民主的な統治機構\や地方自治を維持することができるのかという疑問は払拭されていない。民間放送局を含むメディアが有事に政府の統制下におかれる危険性も完全には排除されていない。しかも、国民的な議論が尽くされたものとは言いがたく、衆議院における徹底した議論も行われていない。
 いうまでもなく、この法案は、わが国の進路を決定し、国民の生命と安全そして憲法と基本的人権に関わる重要な法案である。当会は、このような憲法原理に関わる重要法案について、十分な国民的議論も国会審議もないままに、そのまま参議院において可決され成立することには反対せざるを得ない。\n この法案は、以上のとおり、平和主義、基本的人権の尊重、国民主権主義という憲法原理に抵触する重大な疑念が存在するものであり、当会は、その廃案を求めるものである。

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