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カテゴリー: 声明

「改正」入管法施行停止を要請するとともに個人情報の集積管理体制構築の動きに対し反対する声明

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1 2007年11月20日、先に改正された出入国管理及び難民認定法(以下、「入管法」という。)の施行により、テロリストの出入国を水際で防止するためとして、日本に入国する全ての外国人(在日韓国・朝鮮人ら日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者及びその子孫などの特別永住者や16歳未満の外国人等を除く)の顔情報、指紋情報を国が取得して保管する手続が開始された。日本では、年間600万人から700万人の外国人の入出国がある。前記改正入管法の施行により、特別永住者や16歳に満たない者などが除かれるにしても、中短期滞在の外国人のみならず日本を生活の本拠とする永住者や日本人の配偶者である外国人までもが対象とされ、毎年膨大な数の外国人について生体情報が集積されることになる。
まず、「テロの未然防止」という名目で、このような膨大な数の、また広範な範囲の外国人について生体情報を取得し保存するような必要性があるか疑問である。かつて外国人登録法における指紋押捺義務が2000年に完全撤廃された経緯に照らしても、指紋情報の取得を出入国管理の一環として復活させ、更に指紋以外の生体情報も取得することは、プライバシー権の侵害はもちろん国際人権自由権規約7条で禁止する品位を傷つける取り扱いに該当する疑いが極めて強く、同規約26条で禁止された外国人差別にも該当する疑いもある。
そこで、当会は、日本に入国するすべての外国人に対し顔情報、指紋情報の提供を義務付ける制度は外国人のプライバシー権を著しく侵害し、品位を傷つける取り扱いの禁止及び外国人差別に抵触するものであるから、前記改正入管法の施行を直ちに一時停止してその制度廃止を含めた見直しをするよう要請する。
2 今回の改正入管法施行により取得された外国人の生体情報の利用に関しては、犯罪現場などで取得した顔情報や遺留指紋などと照合することが可能となり、既に新設された入管法61条の9により法務大臣は外国の入国管理当局との間で相互にその保有する個人情報を交換することも可能となっている。また、本年10月1日より施行された改正雇用対策法により外国人(特別永住者を除く)の就労状況に関する情報を厚生労働大臣が雇用主から刑罰を背景に強制的に届出させ(同法28条1項、38条二号)、これらの情報提供を法務大臣が受けることができるようになった(同法29条)。同様の制度導入が外国人の就学状況に関する情報についても検討されている。
このように外国人の入出国をはじめ日本における生活状況全般を監視する制度の構築は着実に進展している現状にあり、これを放置すれば、監視社会化の動きは、日本人を含む市民生活全般にまで波及することは必至である。
この点、日本弁護士連合会は、本年11月2日に「人権保障を通じて自由で安全な社会の実現を求める宣言」を採択し、個人情報の統合、利用を厳格に規制し、特に警察などが市民の生活や思想を監視するために情報を利用することを防止することなどを提言した。当会も、九州弁護士会連合会とともに、本年7月21日、「監視社会を招かないためのルール確立を求める宣言」において、「警察や行政機関が、適正な手続に基づかず個人情報の収集・利用をしないための措置をとる必要がある」との立場を明らかにしてきたところである。
改めて当会は、国が日本人であると外国人であるとを問わず個人識別情報を取得したり、異なる目的を持つ国家機関の間で個人情報を共有したり、外国の国家機関との間で相互に情報を交換したりするなどして、個人ごとの生活上の情報を集積管理する仕組みを構築する監視社会化への動きがあることを注視し、その動きに対して人権保障の観点から反対していく所存である。
2007年(平成19年)12月10日
福岡県弁護士会
会  長   福  島  康  夫

生活保護基準の引き下げに反対する声明

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厚生労働省は、本年11月30日、同省が設置した「生活扶助基準に関する検討会」(以下「検討会」という)が報告書をまとめたのを受け、厚生労働大臣の記者会見において、来年度予算から生活保護基準の引き下げを行う予定である旨を発表した。しかし、当会は、生活保護基準の引き下げに強く反対すると共に、その拙速な断行を中止するよう要求するものである。
 生活保護基準は、憲法25条が規定する国民の生存権保障の水準を決する重大な基準であり、その引き下げは、生活保護利用者の生活を直撃し、破壊しかねないものであるばかりでなく、最低賃金、地方税の非課税基準、公立高校の授業料免除基準などの労働、医療、福祉、教育、税制などの多様な施策に連動しており、低所得者全般の生活に多大な影響を及ぼす重大問題である。当会は、本年10月29日付当会会長声明において、その点を指摘し、厚生労働省及び「検討会」に対して、拙速な検討を慎み、慎重な審議を行うよう要請してきた。
 にもかかわらず、生活保護利用者や幅広い国民の意見を聴取することもなく、わずか1ヶ月半足らずの期間の検討によって、引き下げの詰論を出していることは、拙速以外の何ものでもなく、”初めに結論ありきの検討”と言わざるを得ず、手続的にも極めて問題である。
 今回「検討会」報告書は、わが国の全世帯のうち、最も収入が低い一割の低所得世帯の消費支出水準と生活保護基準とを比較した上で、保護基準の方が高いとして、その引き下げに根拠を与える内容となっている。しかし、日本弁護士連合会が、第49回人権擁護大会決議で指摘したように、わが国では違法な窓口規制が広汎に行われていることから生活保護の補足率が極めて低いために、本来であれば生活保護を受け得るのに受けられず、生活保護基準以下の収入で生活することを余儀なくされている世帯が多数存在している。にもかかわらず生活保護世帯や低所得世帯の生活実態を十分考慮することなく、単純な比較検討を行うという今回のような手法は、著しく妥当性を欠くものと言わざるを得ない。そのような世帯の消費水準との均衝を理由として生活保護基準を引き下げることは国民の生存権保障の水準を際限なく引き下げていくことになりかねない。
 当会は、厚生労働省に対し、現在行なわれようとしている生活保護基準の引き下げを中止するよう強く要求するものである。
   2007(平成19)年12月5日
                     福岡県弁護士会
                        会 長   福  島  康  夫

違法な国民監視の根絶を求める声明

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本年6月6日、陸上自衛隊情報保全隊が、自衛隊のイラク派兵に反対する市民等の動向を監視し、その情報を体系的に収集・分析していた資料の存在が明らかとなった。
その中には、メディアの取材活動や、弁護士会の活動、市民から選ばれた議員の活動までもが監視の対象とされ、「反自衛隊活動」などと評されている。
 また、本年6月8日、公安調査庁の職員3名が、新潟県佐渡市の佐渡グランドホテルを訪れ、同ホテルに対し、同年6月23日、24日に開催される青年法律家協会の定時総会に参加するために同ホテルに宿泊する予定者の名簿を提供するよう求めた。
 これらの監視行為には、法的根拠が全く存在しない。
 陸上自衛隊情報保全隊は、自衛隊の保有する内部情報の流出や漏洩を防止するための組織であり、この目的に必要な情報収集活動しか許されていない。市民の行動を監視することは全く権限を逸脱した行為であり、違法である。
 また、公安調査庁は、破壊活動防止法の定める「破壊的団体」や、無差別大量殺人を行った団体の規制に関する法律の定める「無差別大量殺人を行った団体」の調査・処分の請求・規制措置以外の権限は認められていない。
 青年法律家協会は、憲法を擁護するために設立された弁護士、研究者の団体であって、このような団体でないことは明らかであるから、その行動を監視することは全く権限を逸脱した行為であり、違法である。
このように、陸上自衛隊や、公安調査庁が、組織的、系統的、日常的に、市民の行動を監視してその情報を収集・分析・利用することは、単にこれらの市民のプライバシー権を侵害するばかりでなく、民主主義をささえる表現の自由に対し強い萎縮効果をもたらすものであるから、憲法13条、21条に反し違憲である。
そもそも、日本国憲法は、国民の権利自由を最大限に保障するため、主権者たる国民が、公権力を十分監視し、コントロールするという民主主義という手段を採用している。しかるに、本来国民に奉仕すべき公権力が、何らの法的根拠なしに主権者たる国民を監視し、公権力の意に添わない国民の行動を萎縮させることは、日本国憲法の採用している民主主義原理に反するのであって、とうてい許容され得ない。
 当会は、政府に対し、?直ちにこのような行為を中止すること、?本件に関する原因調査を十分に行うこと、?二度と違憲・違法な監視行為が繰り返されないよう、実効的な再発防止策を策定し、実行することを強く求める。
2007年11月28日
                   福岡県弁護士会会長 福島 康夫

生活保護基準の引き下げについて慎重な検討を求める声明

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厚生労働省は、本年10月19日、学識経験者によって構成される「生活扶助基準に関する検討会(第1回)」(以下「検討会」という。)を開催した。同省のホームページにおいて検討会の設置及び開催が発表されたのは同月16日であり、それからわずか3日後の突然の開催であった。
 「検討会」は「平成20年度予算編成を視野に入れて結論が得られるよう検討する。」という。そして、北海道新聞(本年10月18日朝刊)の報道によれば、「検討会」は年内に報告書をまとめ、生活保護の給付の基本となる最低生活費の基準額の引き下げを提言する見通しであり、地域ごとに支給額に差をつけていた「級地」制度の見直し方針と相まって、都市部では大幅な生活保護基準の引き下げが懸念されるという。
 しかし、生活保護基準は、憲法25条が保障する「健康で文化的な最低限度の生活」の基準であって、国民の生存権保障に直結する重大な基準である。
 日本弁護士連合会が昨年7月に実施した「日弁連全国一斉生活保護110番」においては、生活に困窮した市民の切実な訴えが多数寄せられたが、生活保護基準が引き下げられるということは、現に生活に困窮している市民のうち、生活保護を利用して困窮から脱することができなくなる人が増加することを意味する。
 しかも、生活保護基準は、介護保険の保険料・利用料・障害者自立支援法による利用料の減額基準、地方税の非課税基準、公立高校の授業料免除基準、就学援助の給付対象基準、また、自治体によっては国民健康保険料の減免基準など、医療・福祉・教育・税制などの多様な施策にも連動している。
 このように、生活保護基準が引き下げられれば、生活保護利用者の生活レベルが低下するだけでなく、日本で生活する低所得者全般に直接の影響が出てくる。特に年収200万円以下の労働者(いわゆるワーキングプア層)にとっては、上記諸施策への連動が及ぼす影響は重大であり、増大するワーキングプア層の生活を更に苦況に追い込むことになりかねない。
 したがって、生活保護基準に関する議論は、十分に時間をかけて慎重になされるべきである。また、こうした議論は、公開の場で広く市民に意見を求めた上、生活保護利用者の声を十分に聴取してなされるべきである。
 にもかかわらず、上記の新聞報道のとおり、厚生労働省の「検討会」が、わずか2ヶ月足らずの検討期間しか設けず、あらかじめ「引き下げ」の提言をするとの結論を決めた上で検討を行うものであるとすれば、既に述べた生活保護基準の重要性に鑑み、到底容認することができない。
 当会は、昨年、日本弁護士連合会において採択された「貧困の連鎖を断ち切り、すべての人の尊厳に値する生存を実現することを求める決議」を受けて、生活保護をめぐる相談・援助体制を構築及び生活保護制度全般にわたる調査・検討を行う委員会を発足させ、貧困問題の解決に向けて取り組んでいるところである。
 厚生労働省及び「検討会」に対し、結論先にありきの拙速な検討を厳に慎み、公開の場で生活保護利用者の声を十分に聴取し、徹底した慎重審議を行うことを強く求める。
                2007(平成19)年10月29日
                  福岡県弁護士会           
                  会 長   福  島  康  夫

「少年警察活動規則の一部を改正する規則案」に対する会長声明

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警察庁は,2007年9月,改正少年法の施行に伴う「少年警察活動規則の一部を改正する規則案」(以下「規則案」という。)を公表した。
 しかしながら,規則案のうち,?「ぐ犯調査」に関する規定(規則案第三章第三節)は全面的に削除すべきであり,?「触法調査」に関する規定(規則案第三章第二節)中に,警察官が少年に対する調査を行う際に,弁護士付添人を選任できること,質問に答えない権利があることを告知する規定を定めるべきである。
1 「ぐ犯少年」とは,親元に帰らない,暴力団とつきあいがある等の事情から判断して,将来,罪を犯すおそれのある少年のことであるが(少年法3条1項3号,少年警察活動規則2条4号),規則案では,「ぐ犯少年」であると疑うに足りる相当の理由のある少年について,警察官が調査できることを明確に規定している(規則案27条,30条)。
  しかし,先の通常国会に上程された少年法改正案の中に同趣旨の規定が存在していたが,国会審議の際,「警察官による調査権限の及ぶ範囲が不明確で,調査対象の範囲が過度に拡大するおそれがあるという懸念」から,全党一致で改正案から削除された経緯がある。今回の改正は,あえて法律で規制をしないことを決めた事項について,法律より効力の弱い国家公安委員会規則でこれを規制しようというものであり,国会の権能を無視したものであることは明らかであり,国会が国権の最高機関であり唯一の立法機関であることを定めた憲法41条にも抵触するおそれがある。実質的にも,警察庁作成の「少年非行等の概要」によれば,2006年度に,深夜徘徊,喫煙などの不良行為で警察が補導した少年の数は140万人を超えている。これらの少年と「ぐ犯少年」との境界線は極めて曖昧であることから,仮に,「ぐ犯調査」が許容されることになると,警察官が捜査の名を借りて,様々な情報を収集することが可能となり,まさに警察主導の監視社会化につながりかねない。
  以上の点から考えて,「ぐ犯少年」に対する警察官の調査権を定めるべきではない。
2 「触法少年」とは,罪を犯したが刑罰を科されることのない14歳未満の少年のことであるが(刑法41条,少年法3条1項2号,少年警察活動規則2条3号),警察官が「触法少年」に対する調査を行う際に,少年には,弁護士である付添人を選任することができる権利(少年法6条の3)及び強制にわたる質問を受けない権利(同法6条の4,2項)が保障されている。これらの規定は,元来,少年は大人以上に警察官に迎合した供述を行ったり,暗示や誘導を受け易い傾向があり,その結果,警察の取り調べにおいて,虚偽の自白が行われ冤罪を生み出す危険性が大きいとの事実を踏まえて定められたものである。しかし,このような権利が定められても,実際に調査を担当する警察官が,少年に対して権利の告知をしなければ,権利が保障されたとはいえない。
  ところが,規則案では,調査にあたり,警察官が少年に対し,「弁護士付添人を選任することができる」旨,及び「その意思に反して質問に答えなくても良い」旨を告知することをまったく規定していない。したがって,上記少年法の趣旨を貫徹するためにも,これらの点を規則案に明確に規定すべきである。
                 2007年10月12日
                 福岡県弁護士会 会長 福 島 康 夫

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