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カテゴリー: 声明

生活扶助基準引下げを違法とした最高裁判所判決を高く評価し、直ちに判決を踏まえた是正措置を実施するとともに生活保護基準を適正に見直すよう求める会長声明

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 2025年(令和7年)6月27日、最高裁判所は、大阪府内、愛知県内の生活保護利用者らが、2013年8月から3回に分けて行われた生活扶助基準引下げ(以下「本件引下げ」という。)に係る保護費減額処分の取消等を求めた訴訟の上告審において、厚生労働大臣による本引下げの違法性を認め、保護費の減額処分を取り消す判決(以下「本判決」という。)を言い渡した。
 本判決は、本件引下げの主な理由とされた「ゆがみ調整」(指数の適正化)及び「デフレ調整」(物価変動率=下落率の反映)のうち、「デフレ調整」について次のように指摘し、生活保護法3条、8条2項に違反して違法と判断した。
 すなわち、本判決は、まず、厚生労働大臣の裁量判断の適否の審理においては、本件引下げに至る判断の過程及び手続に過誤、欠落があるか否か等の観点から、統計等の客観的数値等との合理的関連性や専門的知見との整合性の有無等について審査されるべきであるという判断枠組を示し、その上で、「デフレ調整」に関し、生活保護法8条2項が最低限度の消費水準を保障するものであること、他方で、物価変動が直ちに同程度の消費水準の変動をもたらすものとはいえないことを指摘し、本件引下げにおいて国が物価変動率のみを直接の資料として基準生活費の改定率を定めたことについては、十分な説明もなされておらず、その合理性を基礎付けるに足りる専門的知見があるとは認められないことから、厚生労働大臣の判断の過程及び手続には過誤、欠落があったとした。
 全国29の地方裁判所に提起されていた本件と同種の訴訟では、最高裁判決前までの時点で、20地裁、7高裁において生活保護利用者側勝訴の判決が出されていた。本判決は、憲法25条が定める生存権保障の分野において、法の支配、法による正義を実現するという司法の役割が果たされたものとして高く評価することができる。
 本件引下げが実施された2013年8月当時、生活保護利用者は215万人を超えていたが、本判決によって補償措置を図られるべき対象はそのすべてに及ぶ。生活保護利用者に対する補償措置は、国及び各地方自治体の喫緊の責務である。
 また、当会は、これまでも繰り返し、生活保護基準の見直しを求める会長声明(直近では2025年2月19日付)を発出してきたが、本判決を受けて国が生活保護基準を見直すべきことは明確になったといえる。その見直しにあたっては、判断過程の適正の確保を求める本判決の趣旨を踏まえ、生活保護法3条及び8条2項の趣旨を十分に反映しつつ、生活保護利用者の実態を考慮できる適切な検討方法がとられなければならないといえよう。
よって、当会は、国及び各自治体に対し、本判決を重く受け止め、直ちに、訴訟の全面解決を図り、かつ、本件引下げによって減額された保護費の差額を支給するなど必要な補償措置の実施を求めるとともに、国の責任として判断過程の適正を確保しながら速やかに生活保護基準を適正な内容に見直すよう強く求める。

2025年(令和7年)7月16日

福岡県弁護士会        

会 長  上田 英友     

地方消費者行政の維持・強化を求める会長声明

カテゴリー:声明

1 令和6年版消費者白書によると、2023(令和5)年の消費生活相談件数は約90.9万件であり、前年の約87.6万件から約3.3万件、前々年の約85.9万件から約5万件増加している。また、被害額としても、2023(令和5)年の消費者被害額(既支払額(信用供与を含む。)は、過去最高の約8.8兆円であると報告されている。
 福岡県消費生活センターの統計によると、福岡県内における消費生活相談件数は、2019(令和元)年以降、約5万件を維持しており、直近5年間において減少傾向はない。そのうち、相談の傾向としては、SNSに関連する相談が2019(令和元)年の約3倍となっていること、高齢者からの相談が全体の7割以上を占める点検商法の相談が2022(令和4)年の2倍以上となっていることなど、従前の商法に加えて、若年者や高齢者を被害者とする消費者被害の増加やインターネットを利用した悪質な手口が広く波及していることがうかがわれる。そのため、地域住民の安全を守るためには、このような被害実態をいち早く把握し、専門的知見をもって対応できる身近な消費生活相談員という窓口の体制確保をはじめとする地方消費者行政の継続、強化が重要となる。
 福岡県の2023(令和5)年における住民10万人当たりの消費生活相談員数は、2.3人であり、全国平均(2.7人)を下回っている一方、2023(令和5)年における相談員一人当たりの相談対応件数は、411.2件と全国平均(300.3件)を大きく上回っており、消費生活相談員の負担は大きい。
2 このような状況の下、国は、地方公共団体の消費者行政、特に消費生活センター等で行われている消費生活相談の充実強化に向けて、現行の地方消費者行政強化交付金(以下「強化交付金」という。)等の財政支援策を継続してきたが、強化交付金には地方公共団体ごとに交付金の活用期限が定められており、活用期限を迎えると強化交付金は終了となる。
 この強化交付金を消費者生活相談員の人件費としている地方公共団体のうち、既に2024(令和6)年で約100の自治体が活用期限を迎えており、令和7年度末にはさらに約220の自治体が活用期限を迎えることになる。
 福岡県においても、2025(令和7)年度末に38の自治体、2027(令和9)年度末に7の自治体が活用期限を迎えることになる。
 今後、財源不足により相談窓口が縮小せざるを得なくなった場合、消費生活相談員の負担はさらに顕著なものとなる。
3 強化交付金の活用期限は、地方公共団体の消費者行政予算の自主財源比率を増加させるための呼び水として設けられたものであるが、地方公共団体の消費者行政予算は自主財源だけでまかなえる状況にはない。
そのため、国が活用期限を迎えた強化交付金の終了という事態への速やかな対応を行わない場合、地方公共団体において消費生活相談員の任用継続、維持をすることが困難になるという問題にとどまらず、地方消費者行政全体の衰退につながるおそれがある。
 したがって、地方公共団体が、消費生活相談員の安定的な確保と処遇改善をするなどして、地方消費者行政を安定して推進するためには、強化交付金の活用期限の延長、あるいは、強化交付金に代わる恒久的な財源を確保することが必要である。
4 また、現在、国が進めるデジタル技術を活用した電話と対面相談によらない消費生活相談体制のデジタル化(以下「DX化」という。)について、国の責任において予算措置を講じない場合、全部又は一部の地方公共団体において、DX化の費用を負担せざるを得なくなるため、地方消費者行政に悪影響が生じるおそれは否定できない。
 一般社団法人全国消費者連絡会の2023年度「都道府県の消費者行政調査報告書」においては、「相談業務デジタル化するとなると、多くの費用負担が見込まれる。それにより小規模自治体の相談窓口が縮小する恐れがある」などという地方公共団体からの不安の声が、現実のものとして指摘されている。
 特に、地方の消費生活相談業務に必要不可欠な「全国消費生活情報ネットワークシステム」(以下「PIO-NET」という。)刷新における地方公共団体の費用負担の問題は顕著である。PIO-NETに登録される情報は、相談現場における助言・あっせんのための情報としての役割以外に、法執行の端緒や立法政策の根拠となるという重要な意義を有するため、地方公共団体における入力事務に支障がでないように、国がその費用の全額を負担すべきである。
5 以上のとおり、消費者被害を防止・救済し、地域住民の生活の安定を担保するため、当会は、国に対し、
 ⑴ 地方公共団体が、地方消費者行政を安定して推進するための恒久的な財源の確保のための措置を講ずること(少なくとも、強化交付金の交付期限を延長するなど、消費生活相談員の安定的な確保と処遇改善に必要な予算措置を講ずること)
 ⑵ 国が進める消費生活相談業務のDX化に関連し、地方公共団体が、地方の消費生活相談業務に必要不可欠な「全国消費生活情報ネットワークシステム」(PIO-NET)の刷新・運用及び消費生活相談業務のデジタル化の構築・運営を行うための費用の全額を、国が負担する措置を講ずべきことを強く求める次第である。

2025年(令和7年) 6月27日

福岡県弁護士会 会長 上田 英友      

死刑執行に抗議する会長声明

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 本日、国内において1名の死刑確定者に対して死刑が執行された。前回の死刑執行は、令和4年7月26日であり、2年11か月が経過しての執行となった。国際社会から死刑廃止の要請もあり日本でも死刑が執行されない状態が続くと思われたが、突然の執行であった。
 たしかに、突然に不条理な犯罪の被害に遭い、大切な人を奪われた状況において、被害者の遺族が厳罰を望むことはごく自然な心情である。しかも、日本においては、犯罪被害者及び被害者遺族に対する精神的・経済的・社会的支援がまだまだ不十分であり、十分な支援を行うことは社会全体の責務である。
 しかし、そもそも、死刑は、生命を剥奪するという重大かつ深刻な人権侵害行為であること、誤判・えん罪により死刑を執行した場合には取り返しがつかないことなど様々な問題を内包している。
 人権意識の国際的高まりとともに、世界で死刑を廃止または停止する国はこの数十年の間に飛躍的に増加し、2024年の統計では、法律上及び事実上の死刑廃止国は145か国(死刑存置国は54か国)となっている。経済協力開発機構(OECD)加盟38か国のうち、死刑制度を存置しているのは3か国(韓国、米国、日本)のみであり、韓国では1997年以降、死刑が執行されておらず、米国では50州中23州で死刑が廃止、2021年7月には、連邦レベルでも死刑執行が停止されている。OECD加盟国のうち、日本のみが国家として死刑を執行している。
 このような世界の情勢もあり、日弁連が中心となり「日本の死刑制度について考える懇話会」が設置され、複数の国会議員や学識経験者、警察・検察出身者、弁護士、経済界、労働界、被害者団体、報道関係者、宗教家及び文化人など各層の有識者によって議論があり、同会は、2024年11月13日、報告書を公表し、「現行の日本の死刑制度とその現在の運用の在り方は、放置することの許されない数多くの問題を伴っており、現状のまま存続させてはならない」という基本的な認識を示した。
 当会においても、2025年1月29日に、死刑制度の廃止に向けて、本報告書の提言に沿って、早急に、国会及び内閣の下に死刑制度に関する根本的な検討を任務とする公的な会議体を設置すること、その結論が明らかにされるまでは死刑の執行を停止することを強く求める会長声明を発しており、これまでも1996年以降、死刑執行に対し、都度これに抗議する会長声明を発出してきたほか、2020年9月18日に「死刑制度の廃止を求める決議」を採択し、2021年8月25日には「米国における連邦レベルでの死刑の執行停止を受け、日本における死刑制度の廃止に向けて、死刑執行の停止を求める会長声明」を発出してきた。
 そこで、当会は、国に対し、今回の死刑執行について強く抗議の意思を表明するとともに、日本が、基本的人権の尊重、特に生命権の不可侵性の価値観を共有できる社会を目指そうとしている国際社会と協調し、国連加盟国の責務を果たせるよう、あらためて死刑制度の廃止に向けて死刑の執行を停止することを強く要請するものである。

2025年(令和7年) 6月27日

福岡県弁護士会会長 上田 英友      

最低賃金額の大幅な引上げ及び地域間格差の解消を求める会長声明

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福岡県においては、2024年10月、福岡県最低賃金を前年比51円増額の1時間992円とする改定が行われた。しかし、時給992円は、正社員を含むフルタイムの労働者(一般労働者)の1か月の所定内労働時間である148.7時間(「毎月勤労統計調査 令和6年分結果確報」)で計算すると月額14万7510円程度と、未だいわゆるワーキングプアと呼ばれる水準にとどまっている。
一方で原材料価格の高騰や円安状況の継続など様々な社会情勢の影響により、コメ価格の高騰をはじめ食料品・日用品や光熱費など生活関連品の価格が昨年に引き続き上昇傾向にある。厚生労働省の「毎月勤労統計調査令和6年分結果確報」によると、現金給与総額(事業所規模5人以上)での実質賃金指数は前年比0.3%減となり、3年連続での前年比マイナスとなった。このように、物価上昇に労働者の賃金上昇が追いついておらず、名目賃金から物価変動の影響を除いた実質賃金の上昇率はほぼゼロの状態が続いている状況を踏まえると、労働者の生活を守り、経済を活性化させるためには、全ての労働者の実質賃金の上昇を実現する必要があり、そのためには最低賃金額を大幅に引き上げて賃金全体の底上げを図ることが不可欠である。
また、最低賃金額を大幅に引き上げると同時に、最低賃金法第9条以下の地域別最低賃金制度を抜本的に見直し、地域間格差の解消に向けて全国一律最低賃金制度の導入についても検討されるべきである。
中央最低賃金審議会は、2023年度(令和5年度)、地域別のランク制度を4段階から3段階に改定し地域間格差の是正を図ったが、2024年度(令和6年度)の最低賃金は、最も高い東京都で時給1163円であるのに対し、福岡県では時給992円、最も低い秋田県では時給951円であり、地域間における時給格差(最大212円)は今もなお大きい。一方で、地域別の労働者の生計費は、都市部と地方の間でほとんど差がないという調査結果もある。そのため、地方の最低賃金額を大幅に引き上げることは喫緊の課題である。
地域の最低賃金の高低と人口の増減には相関関係があるとされており、最低賃金の地域間格差は、最低賃金が低い地域の人口減ひいては経済停滞の要因の一つともなっている。全国一律最低賃金制度を導入し、地域間格差を解消させることは、地域経済にとってもプラスの影響をもたらしうるものである。
一方で、昨今の人手不足、経営者の高齢化、働き方改革関連法への対応など、現在、中小企業を取り巻く環境は大きな変革期にあり、厳しい状態にあることは否定できない。そのため、日本の経済を支えている中小企業が最低賃金を引き上げても円滑に企業運営を行うことができるよう、国(及び地方自治体)において、十分な支援策を講じることも必要である。例えば、社会保険料の事業主負担部分の免除・軽減、賃上げを実施したすべての中小企業が対象となる利用しやすい助成金制度の創設、人件費及び原材料費等の価格上昇を取引価格に適切に反映させることを可能にするような公正取引規制の徹底などの支援策が考えられる。
政府は2024年11月22日の閣議決定で「2020年代に全国平均1500円という高い目標の達成に向け、たゆまぬ努力を継続する」としている。2029年中に現在全国加重平均1055円の最低賃金を1500円に引き上げるためには、本年を含め毎年89円の引上げが必要であり、この目標達成のためにも、充実した中小企業支援策が直ちに検討されなければならない。
当会は、引き続き、本年度、中央最低賃金審議会が、厚生労働大臣に対し、地域間格差を縮小しながら全国すべての地域において最低賃金の引上げを答申すべきこと、また、福岡地方最低賃金審議会が、福岡労働局長に対し福岡県最低賃金の大幅な引上げを答申すべきことを強く求めるとともに、国に対し、中小企業への十分な支援策を求める。

2025年(令和7年) 6月4日

福岡県弁護士会      

会長 上田 英友

5高裁での違憲判決を受け、直ちに、すべての人にとって平等な婚姻制度の実現を求める会長声明

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1 同性間の婚姻ができない現在の婚姻に関する民法及び戸籍法の諸規定(以下「本件諸規定」という。)の違憲性を問う一連の訴訟において、2025年(令和7年)3月7日に名古屋高等裁判所は、憲法14条1項及び同24条2項に違反する旨の判決(以下「名古屋高裁判決」という。)を言い渡し、同月25日大阪高等裁判所も同様に、憲法14条1項および同24条2項に違反する旨の判決(以下「大阪高裁判決」という。)を言い渡した。
 一連の訴訟は、札幌・東京(一次・二次)・名古屋・大阪・福岡の各地裁の判決が出され、いずれも原告側が控訴していたところ、上記各高裁判決は、2024年(令和6年)3月14日の札幌高裁、同年10月30日の東京高裁、同年12月13日の福岡高裁に続く、高裁における4件目、5件目の判断であり、これで、控訴審が係属していた全ての高裁判決が出されたことになる(東京高裁には二次訴訟が係属中である。)。
2 名古屋高裁判決は、性的指向は自らの意思で選択や変更はできないことを認め、婚姻により両当事者が人的結合関係を形成することは、法律婚制度ができる以前から行われてきた人間の本質的営みであり、個人の人格的存在と結びついた重要な法的利益であると指摘した。そして、人間が社会的存在であり、人格的生存には社会的に承認が不可欠であることからして、そのような人的結合関係を社会的に承認されること自体も個人の人格的存在と結びついた重要な法的利益であるとした。
  それを踏まえ、本件諸規定が、異性間の人的結合関係についてのみ法律婚制度を定め、同性カップルが法律婚制度を利用する規定を全く設けていないことは、少なくとも現時点において、婚姻制度の制定については国会の裁量であることを踏まえても、なお、合理的な根拠を欠く差別的取り扱いであり、立法裁量の範囲を超えているとし、本件諸規定は憲法14条1項及び同24条2項に違反すると判断した。
  また同判決は、パートナーシップ制度等、法律婚制度以外の制度では解消できない様々な不利益があることや、同性婚制度を法制化しても弊害は想定し難いことなどを具体的かつ詳細に判示しており、国会に対し、早急な同性婚制度の法制化を強く促す内容となっている。
3 大阪高裁判決は、婚姻は性愛を基礎とする親族身分的人的結合関係を規定しているところ、異性カップルは婚姻をし、親族的身分関係を形成し、互いに権利と責任を負い、各種の法的効果を享受して安定した共同生活を営むことができる一方、同性カップルはこのような法的利益を享受することができず、このような区別取扱いは合理的根拠に基づくものとはいえず、法の下の平等に反する、として本件諸規定は憲法14条1項に違反すると判断した。
  また、相互に求め合う者同士が自ら選択した配偶者と婚姻関係に入ることができる利益は、 現代社会を生きる上での個人の人格的存在と結び付いた重要な法的利益に当たるものといえ、同性カップルがこれを享受することができないのは、性的指向が同性に向く者の個人の尊厳を著しく損なう不合理なものであるといわざるを得ない、として本件諸規定は憲法24条2項に違反すると判断した。
  なお、同判決は、同性婚の法制化に困惑し心理的抵抗を覚える国民に、冷静かつ寛容な態度を期待することは、かけがえのない個人を尊厳ある主体として重んじることを旨として家族制度を構築することを命ずる憲法24条の理念に沿うものである、同性婚に対する国民感情が一様でないことは、同性婚を法制化しないことの合理的理由にはならない、とも指摘した。前記名古屋高裁判決も同旨の指摘をしている。
4 一連の訴訟では、地裁レベルとしては、大阪地裁を除く4地裁5判決において、本件諸規定を違憲ないし違憲状態とする判断が出ていた。
  そして高裁レベルにおいては、札幌・東京・名古屋・大阪・福岡高裁と、控訴審が係属していた5つの高裁において、違憲判決が言い渡されるに至った。一連の訴訟で唯一、合憲判決であった大阪地裁判決も、大阪高裁判決によって覆された。
  当会は、これまでの会長声明において、本件諸規定を違憲とする判決が相次いでいることから、このような司法判断の流れは確定し、もはや動かしがたい、と指摘したが、今回の高裁判決により、司法判断の流れがさらに明確になったというべきである。  これ以上、法制化を遅らせてよい事情は何一つない。
  しかし、大阪高裁判決を受けて、林芳正官房長官は、「最高裁の判断を注視したい」とコメントしており、政府において、投げかけられている問題を自ら解決しようという姿勢は、残念ながら、全く見受けられない。
  同性婚制度が存在しないことによって、多数の人々が多大な苦難を被り、人権を侵害され続けている。これまでに示された違憲判決を見るとき、この状況を放置し、最高裁の判断が出るまで待つことは、政府や国会の責務の放棄であると言わざるを得ない。直ちに、同性婚制度を実現させなければならない。
5 当会は、2019年(令和元年)5月29日の定期総会において採択した「すべての人にとって平等な婚姻制度の実現を求める決議」において、憲法13条、14条、24条や国際人権自由権規約により、同性カップルには婚姻の自由が保障され、また性的少数者であることを理由に差別されないこととされているのだから、国は公権力やその他の権力から性的少数者が社会的存在として排除を受けるおそれなく、人生において重要な婚姻制度を利用できる社会を作る義務があること、しかし現状は同性間における婚姻は制度として認められておらず、平等原則に抵触する不合理な差別が継続していることを明らかにし、政府及び国会に対し、同性者間の婚姻を認める法制度の整備を求めた。また、前記一連の判決に対しても、それぞれ会長声明を発し、政府・国会に対し、同性間の婚姻制度を早急に整備することを改めて求めてきた。
  当会は、ここに改めて、政府・国会に対し、直ちに、同性間の婚姻制度を整備し、 すべての人にとって平等な婚姻制度の実現を図るように求める。
                     2025年(令和7年)5月14日
                       福岡県弁護士会      
                        会 長   上 田 英 友

福岡県弁護士会 〒810-0044 福岡市中央区六本松4丁目2番5号 TEL:092-741-6416

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