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カテゴリー: 声明

外国人留学生や朝鮮大学校に通う困窮学生に対する学生支援給付金の平等な給付を再度求める会長声明

カテゴリー:声明

1 2020年(令和2年)5月19日、政府は新型コロナウイルス感染症拡大の影響で世帯収入、アルバイト収入等が激減し、経済的困窮に陥った学生に対し、「『学びの継続』のための学生支援緊急給付金」(以下「本給付金」という。)を創設した。
ところが、同制度は、①外国人留学生に対してのみ「学業成績優秀者」の要件を課し、支給要件を加重していること、②本給付金の対象学校から朝鮮大学校を除外していることから、憲法第14条の平等原則,人種差別撤廃条約5条(e)(v),社会権規約第2条第2項,第13条第1項,第2項(c)に違反する合理的理由のない差別を内容とする、看過できない問題を有するものであった。
そこで、当会は、2020年(令和2年)12月9日、「学生支援緊急給付金に関し困窮学生への平等な給付を求める会長声明」を発出し、政府に対し、以上の差別を直ちに是正すべく、外国人留学生や朝鮮大学校に通う困窮学生に対しても、他の学生と平等に給付する制度を設けた上で、速やかに給付するよう求めた。
また、同制度が差別的な内容を有しているという問題については、当会だけでなく東京弁護士会、第二東京弁護士会等全国の複数の弁護士会及び関東弁護士会連合会が、憲法の平等原則等に反するとして声明を発出し、政府に是正を求めた。
2 2021年(令和3年)11月26日、政府は、いまだ流行する新型コロナウイルス感染症による対応のため、改めて「『学びの継続』のための学生支援緊急給付金」として1人10万円を支給することを閣議決定した。
しかし、今般決定された上記制度においても、前回の制度に対して当会を含む複数の弁護士会等が是正を求めた点について、以下のとおりほとんど改善されていない。
⑴ 外国人留学生に対する支給要件がそうでない学生と比べて厳しいこと
本給付金は、①「高等教育の修学支援新制度(給付型奨学金)」の利用者であるか、②一定の困窮状況を前提として、「第一種奨学金(無利子奨学金)等の既存の制度を利用していること又は利用を予定していること」を、支給の対象の学生の要件としている。
しかし、外国人留学生はそもそも高等教育の修学支援新制度の対象になることはないため、①を満たすことはできない。
また、②についても、「学生等の学びを継続するための緊急給付金に関するQ&A(2021年(令和3年)12月20日版)」問2-6-1によれば、「既存の制度」とは、高等教育の修学支援新制度、第一種奨学金(無利子奨学金)、民間等による支援制度、大学等独自の奨学金制度、外国人留学生学習奨励費とされ、民間等による支援制度、大学等独自の奨学金制度を利用あるいは利用を予定している外国人留学生も対象になりうるとされたことは前進ではあるものの、それ以外の方法となると、外国人留学生が高等教育の修学支援新制度、第一種奨学金(無利子奨学金)を利用することはできない以上、支給の対象となるためには、外国人留学生学習奨励費を利用することしか残されていない。
そして、この外国人留学生学習奨励費の利用要件として、「前年度の成績評価係数が、大学院レベル、学部レベル、日本語教育機関とも2.30以上であり、給付期間中においてもそれを維持する見込みのある者であること。」が必要とされている。
そうすると、本給付金も構造としては、外国人留学生に対してそうでない学生と比べて厳しい学業成績要件を課しているという点では、前回の制度とほとんど変わっていない。
改めて述べるが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により経済的困窮に陥った学生に対して「学びの継続」を支援し、教育を受ける権利を保障すべき必要性は、外国人留学生であっても何ら変わることはない。
そして、「学びの継続」を支援するという本給付金の趣旨からすれば、外国人留学生に対してのみ、実質的に過重な要件を設定する合理性はない。
⑵ 給付金の対象学校から朝鮮大学校を除外していること
本給付金は、国公私立大学(大学院含む)・短大・高専・専修学校専門課程・法務省告示に指定された日本語教育機関、文科省が指定している外国大学日本校に在学する学生のみを給付金の対象としたため、各種学校である朝鮮大学校は、対象外とされた。
しかし、前回の声明でも指摘した通り、朝鮮大学校は、1998年(平成10年)に京都大学が朝鮮大学校卒業生の大学院受験を認め合格したことを契機に、1999年(平成11年)8月、文部科学省が学校教育法施行規則を改正して大学院入学資格を拡充し、外国大学日本校とともにその卒業生に大学院入学資格が認められている(学校教育法第102条第1項・同施行規則第155条第1項第8号・学校教育法施行規則の一部を改正する省令の施行等について(1999年(平成11)年8月31日文高大第320号)第一の二)。また、2012年(平成24年)には社会福祉士及び介護福祉士法施行規則が改正され、朝鮮大学校卒業生にも受験資格が認められている(社会福祉士及び介護福祉士法第7条第3号・同施行規則第1条の3第3項第3号)。
このように、他の外国大学日本校と同様に、朝鮮大学校を日本の高等教育機関として認める法制度が存在している。
そして、朝鮮大学校の学生も他の高等教育機関に在籍する学生と同様、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により経済的に困窮しているという事情は何ら変わることはない。
それにもかかわらず、各種学校の認可を受けていない外国大学日本校は本制度の対象とするのに、朝鮮大学校のみを本制度から除外する合理的理由はない。
これまでも政府は、各種学校に属する朝鮮学校に対し、高校無償化制度(2010年~)でも、幼児教育・保育無償化制度(2019年~)でも除外する方針をとってきた。
この方針の問題性については、当会の会長声明(平等な高校無償化制度の実施を求める会長声明(2010年(平成22年)3月29日)、外国人学校の幼児教育・保育施設を幼保無償化の対象とすること等を求める会長声明(2020年(令和2年)7月3日)等)のみならず、国連による勧告(子どもの権利委員会勧告(2019年(平成31年)2月7日)等)等、多くの機関から再三にわたり指摘、批判がなされている。
それにもかかわらず、政府が、改善をするどころか、同様の除外、差別政策を繰り返していることについては、当会としても、改めて強く批判せざるを得ない。
3 前述のように外国人留学生に対する支給要件の加重や朝鮮大学校の排除は、憲法第14条の平等原則、人種差別撤廃条約第5条(e)(v)、社会権規約第2条第2項、第13条第1項、第2項(c)に違反する、合理的理由のない差別である。
 よって、当会は、政府に対し、以上の差別を直ちに是正すべく、外国人留学生や朝鮮大学校に通う困窮学生に対しても、他の学生と平等に給付する制度を設けたうえ、速やかに給付することを、繰り返し求める。

2022年(令和4年)4月27日
福岡県弁護士会  
会 長  野 田 部 哲 也

旧優生保護法訴訟において国の賠償責任を認めた大阪高裁及び東京高裁違憲判決を踏まえて、被害者の全面救済を求める会長声明

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本年2月22日、大阪高等裁判所は、旧優生保護法違憲国家賠償請求大阪訴訟について、続いて、本年3月11日、東京高等裁判所も、同東京訴訟について、いずれも一審の原告敗訴判決を変更し、請求を一部認容するという画期的な判決(以下「大阪高裁判決」、「東京高裁判決」という。)を言い渡した。
両判決とも、旧優生保護法の違憲性を明確に認め、大阪高裁判決はそのような憲法違反の法律を立法した国会議員の責任を肯定し、東京高裁判決は同法に基づいて違憲・違法な優生手術を実施せしめた厚生大臣の責任を肯定したという相違はあるものの、いずれも国の国家賠償責任を認めた。その上で、これまで一審判決が除斥期間をもって原告の請求を斥けたのに対して、そのようなことは正義・公平の理念に反するとして、除斥期間の適用を制限することとしたものである。
これまで各地の同種訴訟では旧優生保護法の明確な違憲性が肯定されながらも、除斥期間が高い壁となって、請求棄却判決が相次いでいただけに、大阪高裁判決及び東京高裁判決がこの壁を乗り越えて、被害者の願いに寄り添う判決をしたことについては、高く評価できる。
とりわけ、東京高裁判決は、憲法違反の法律に基づく施策によって生じた被害の救済を、憲法の下位規範である民法724条後段を無条件に適用することによって拒絶することは慎重であるべきで、憲法17条により保障された国家賠償請求権を実質的に損なうことがないよう留意しなければならないことにも言及している。除斥期間の適用に関して、このような憲法に立脚した法論理が語られたことは画期的である。
そこで、当会は、国に対し、旧優生保護法に基づく過酷な被害をもたらしたことを真摯に反省し、大阪高裁判決に対する上告受理の申立てを取り下げるとともに、東京高裁判決に対する上告又は上告受理の申立てを断念し、両判決を速やかに確定させた上で、旧優生保護法の問題の全面解決に向けて、両判決が示した法的な賠償責任を前提に、被害を償うに足りる十分な賠償・補償はもちろんのこと、責任の明確化と謝罪及び真相究明・恒久対策について早急に検討し、一人でも多くの被害者に被害回復の途が開かれるよう積極的な対応を行うよう求める。
当会としては、今後も、旧優生保護法の問題について、あまねく被害回復がなされるよう必要な提言を適時行っていくとともに、旧優生保護法により侵害された尊厳の回復を含む真の被害回復の実現に向けて、真摯に取り組んでいく所存である。

2022年(令和4年)3月16日
福岡県弁護士会     
会長 伊 藤 巧 示

死刑執行に抗議する会長声明

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 本日,国内において3名の死刑確定者に対して死刑が執行された。
 日本における死刑執行は,今世紀に入ってから,2011年を除いて毎年行われていたが2019年12月から今回の死刑執行まで2年間なされていなかった。今回の執行により,今世紀において合計94人もの死刑確定者が,国家刑罰権の発動としての死刑執行により生命を奪われていることになる。
 たしかに,突然に不条理な犯罪の被害にあい,大切な人を奪われた状況において,被害者の遺族が厳罰を望むことはごく自然な心情である。しかも,日本においては,犯罪被害者及び被害者遺族に対する精神的・経済的・社会的支援がまだまだ不十分であり,十分な支援を行うことは社会全体の責務である。
 しかし,そもそも,死刑は,生命を剥奪するという重大かつ深刻な人権侵害行為であること,誤判・えん罪により死刑を執行した場合には取り返しがつかないことなど様々な問題を内包している。
 人権意識の国際的高まりとともに,世界で死刑を廃止または停止する国はこの数十年の間に飛躍的に増加し,法律上及び事実上の死刑廃止国は,2019年12月31日時点で,国連加盟国193か国のうち142か国にのぼる。2018年12月17日には,国連総会本会議において,史上最多の支持(121か国)を得て死刑廃止を視野に入れた死刑執行の停止を求める決議案が可決され,本年7月1日には,米国連邦政府において,司法長官が連邦レベルでの死刑執行の一時停止を司法省職員に指示する通知を公表した。このように死刑廃止は世界的な潮流という状況にある。
 当会においても,1996年以降,死刑執行に対しこれに抗議する会長声明を発出してきたほか,2020年9月18日に死刑制度の廃止を求める決議を採択し,本年8月25日には「米国における連邦レベルでの死刑の執行停止を受け,日本における死刑制度の廃止に向けて,死刑執行の停止を求める会長声明」を発出している。
 そこで、当会は,今回の死刑執行について強く抗議の意思を表明するとともに,日本が,基本的人権の尊重,特に生命権の不可侵性の価値観を共有できる社会を目指そうとしている国際社会と協調し,国連加盟国の責務を果たせるよう,あらためて死刑の執行を停止することを強く要請するものである。

2021年(令和3年)12月21日
福岡県弁護士会会長 伊藤 巧示

岡口基一裁判官を罷免しない判決の宣告を求める会長声明

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1 岡口裁判官に対する弾劾裁判所への訴追について
  裁判官訴追委員会は、本年6月16日、岡口基一裁判官(仙台高等裁判所判事兼仙台簡易裁判所判事、以下「岡口裁判官」といいます。)について、その罷免を求め、弾劾裁判所に訴追しました。
  岡口裁判官の罷免事由とされているのは、SNS上での投稿や取材コメント等の表現行為について、「裁判官弾劾法第2条第2号に規定する裁判官としての威信を著しく失うべき非行があったときに該当する。」というものです。
  岡口裁判官は、現在、弾劾裁判所により、その職務執行の停止がなされています。
2 裁判官の独立と身分保障について
  司法権は、立法権、行政権と並ぶ三権の一つで、裁判所がこれを担うこととされており、立法権や行政権を含むいかなる外部からの圧力や干渉も受けない、独立した存在とされています。
  そして、裁判が公正に行われ、人権の保障が確保されるためには、裁判を担当する個々の裁判官が、独立して職権を行使できなければなりません。
  それゆえ、憲法は、「すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される」(憲法76条3項)として、裁判官の職権行使の独立を明記し、「裁判官は、裁判により、心身の故障のために職務を執ることができないと決定された場合を除いては、公の弾劾によらなければ罷免されない」(憲法78条前段)として、裁判官の身分を保障しています。
3 弾劾裁判による罷免の限界について
  上記のとおり、人権の保障が確保されるためには、裁判官の独立と身分保障は欠かせませんが、他方で、裁判官は、司法権という国家権力を行使する者であり、その権限行使に対し、一定の民主的規制を及ぼす必要があります。
  そこで、日本では、裁判官の身分保障の例外として、国会議員で構成された弾劾裁判所において、裁判官を罷免することができる裁判官弾劾制度が採用されました。
  弾劾裁判所の構成員である国会議員は、国民から選挙により選出されたとはいえ、立法権の担い手であり、立法権による裁判官の独立の侵害の危険性を孕みます。また、弾劾裁判により罷免された裁判官は、裁判官としての身分を失うだけではなく(裁判所法46条2号)、法曹資格それ自体をも失ってしまいます(検察庁法20条2号、弁護士法7条2号)。そのため、弾劾裁判により裁判官を罷免できるのは、「職務上の義務に著しく違反し、又は職務を甚だしく怠つたとき」、「その他職務の内外を問わず、裁判官としての威信を著しく失うべき非行があつたとき」に限定され(裁判官弾劾法2条)、きわめて厳格に解釈されています。
  過去に罷免判決が宣告された例は7件ありますが、いずれも、職務を放置し、職務上の義務に著しく違反したことが明らかな事案や、収賄や公務員職権濫用、児童買春、ストーカー行為、盗撮等の犯罪を行い、裁判官としての威信を著しく失うべき非行があったことが明らかな事案に限られています。
4 岡口裁判官に対する罷免について
  確かに、岡口裁判官の表現行為は、訴追委員会の主張するとおり、「刑事事件の被害者遺族の感情を傷つけるとともに侮辱し」、「私人である訴訟当事者による民事訴訟提起行為を一方的に不当とする認識ないし評価を示すとともに、当該訴訟当事者本人の社会的評価を不当におとしめたものである」等とも評価し得るものであり、岡口裁判官は、一連の行為について、真摯に向き合う必要があります。
  しかし、岡口裁判官の一連の行為は、裁判官という公的な立場で行った表現行為ではなく、職務外の私的な表現行為にとどまり、次に述べるとおり、「裁判官としての威信を著しく失うべき非行があつたとき」に該当するとは認められません。
  私的な表現行為自体を理由とする裁判官の罷免が認められた場合、一般の裁判官に対し、その表現行為を萎縮させ、著しく制約する結果が生じかねません。
  また、このような理由で罷免が認められてしまうと、裁判官が罷免をおそれ、萎縮し、司法権の独立及び裁判官の独立が害されることも危惧されます。
  そこで、裁判官の私的な表現行為が「裁判官としての威信を著しく失うべき非行があつたとき」に該当するのは、その表現行為が、犯罪行為に匹敵し、当該裁判官の法曹資格を失わせなければ、国民の裁判官に対する信頼が回復しないほどの悪質なものである場合に限ると考えるべきです。
  将来、岡口裁判官が、裁判官の10年の任期(憲法80条1項)を終えた際、再任されず、裁判官としての身分を失うことはあり得るにせよ、それを超え、岡口裁判官を罷免してしまうと、行為と処分との均衡を著しく失することとなります。
  岡口裁判官の表現行為は、犯罪行為に匹敵し、岡口裁判官の法曹資格を失わせなければ、国民の裁判官に対する信頼が回復しないほどの悪質なものではなく、「裁判官としての威信を著しく失うべき非行があつたとき」に該当するとは認められません。
5 むすび
  裁判所は、社会的少数派の人権を擁護する最後の砦です。
  そのような裁判所を構成する裁判官の身分保障と独立を守ることは、極めて重要です。
  よって、当会は、弾劾裁判所に対し、岡口裁判官に対する訴追について、冷静かつ慎重に審理し、罷免しない判決を宣告するよう求めます。

2021年(令和3年)12月8日   
福 岡 県 弁 護 士 会       
会長 伊 藤 巧 示

成年年齢引下げに伴う消費者被害防止のための措置を求める会長声明

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 民法の成年年齢を20歳から18歳に引き下げる「民法の一部を改正する法律」(平成30年法律第59号。以下、「本法律」という。)の施行日は2022年(令和4年)4月1日とされている。
 18歳、19歳の若年者は、就職、進学等で社会との接触が一気に増える時期であるが、友人関係の影響を受けやすく、リスクを十分把握しないままに誘いに応じてしまったり、被害に遭ったときにどう対応すればいいか分からず、解決が遅れ、被害が深刻になってしまったりする事態が生じやすい。この時期こそ、消費者被害に巻き込まれることから防止しなければならない。成年年齢が引き下げられ、若年者に民法上認められていた未成年取消権が失われれば、消費者被害に巻き込まれた場合の救済策が不十分なものとなってしまう。
 当会では、2018年(平成30年)2月23日、「民法の成年年齢引下げに反対する会長声明」を発出した。この会長声明では、仮に成年年齢の引下げを行うとしても、①事業者が消費者の判断力、知識、経験等の不足につけ込んで締結させた契約を取り消すことができる規定(消費者契約法の改正)と、②知識、経験、財産状況に照らして、当該取引を行うのが適切でない若年者に対する勧誘を禁止するとともに、そのような勧誘が行われた場合にはその契約を取り消すことができる規定(特定商取引法の改正)を設けること、③若年者がクレジット契約をする際の資力要件とその確認方法を厳格化すること(割賦販売法の改正)及び④若年者が貸金業者等から借り入れを行う際の資力要件とその確認方法につき厳格化を図ること(貸金業法と主要銀行向けの総合的な監督指針等の改正)が必要であるとしていた。
 ところが、本法律制定から3年以上が経過した現時点でも、これらの対応は不十分である。
 ①の取消権については、消費者庁での検討会で議論されているが、創設の目途はたっていない。②から④についても、改正は具体化されていない。
 また、消費者被害の防止のためには消費者教育が重要であるところ、福岡県下の公立高校をみても、外部講師を招いた消費者教育についての予算措置がないなど、取り組みは遅れている。
 一方で、大学生などの若年者に対する消費者被害は依然として発生し続けている。SNSやインターネット上の広告を通じて、簡単に稼げる方法があると誘い込む副業詐欺や、本来は受け取れない持続化給付金を受け取る方法を教えるという詐欺、海外の不動産への投資と称してお金を支払わせておきながら、その後、連絡が取れなくなるといった詐欺など、手口は多様化、巧妙化している。
 そこで、当会は、国に対し、成年年齢引下げに伴う消費者被害防止のために、早急に、先に指摘した①から④の改正や、場合によっては成年年齢引下げの施行延期などを含めて、十分な対応措置がとられることを求めるものである。

2021年(令和3年)11月18日
福 岡 県 弁 護 士 会
会 長  伊 藤 巧 示

福岡県弁護士会 〒810-0044 福岡市中央区六本松4丁目2番5号 TEL:092-741-6416

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