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法制審議会刑事法(再審関係)部会の審議状況に抗議し、議員立法による再審法改正の実現を求める会長声明

カテゴリー:声明

再審法改正については、2025年(令和7年)3月、法務大臣が法制審議会に対して「刑事再審手続の在り方に関する諮問第129号」により再審法改正について諮問したことから、法制審議会刑事法(再審関係)部会(以下「再審部会」という。)が設けられ、審議が進んでいる状況にある。

ところで、2025年(令和7年)12月16日に開催された再審部会第13回会議において、部会の委員・幹事(以下「委員等」という。)に対して、「今後の議論のための検討資料」(以下「検討資料」という。)が配布された。これは、法務省事務当局が作成した資料であるが、再審部会12回会議までの審議状況を忠実に整理・反映したものではなかった。しかも、かかる検討資料は、再審部会の委員等への事前の提示や意見聴取を経ることもなく、「意見の集約に向けたたたき台(案)」との標題で先に報道機関に配布され、記者に対する説明も行われていたものである。議事運営を補佐すべき立場に過ぎないはずの法務省事務当局が、その意のままに意見集約の方向性を示唆する内容で論点の抽出・整理を行い、その内容を再審部会の委員・幹事に先んじて報道機関に公表することによって、これを既成事実とし、それに沿った方向に再審部会の審議を誘導することを企図したものとみざるを得ない。検討資料の内容も、裁判所が再審請求書やその添付資料等を調査し、再審の請求が理由のないものであると認めるときは、証拠開示や事実の取調べをすることなく、直ちに再審請求を棄却することを義務づける案を明記するなど、えん罪被害者の速やかな救済を指向するものとは言い難い。

 再審部会を含め、法制審議会の刑事法関連部会の事務局は、法務省刑事局が務めているが、その要職は検察官が占めている。そのため、再審部会については、かねてよりその公正性、中立性に疑問が多く呈されており、再審法改正を再審部会の審議に委ねていたのでは、その内容が骨抜きにされるとの指摘もなされていたが、今回の出来事は、まさにそのおそれが現実化したものといえる。

当会は、法務省事務当局に強く抗議すると共に、再審部会に対し、えん罪被害者の速やかな救済の実現という再審法改正の原点に立ち返り、再審制度に関する専門的知見や再審事件の実情を踏まえた公正中立な審議を行うよう求め、国会に対しては、速やかに議員立法案を審議、可決するよう求める。

2026年(令和8年)1月14日

                                       福岡県弁護士会 

会長 上田 英友

最高裁判決を待つことなく、直ちに、すべての人にとって平等な婚姻制度の実現を求める会長声明

カテゴリー:声明

1 同性間の婚姻ができない現在の婚姻に関する民法及び戸籍法の諸規定(以下「本件諸規定」という。)の違憲性を問う一連の訴訟の中の東京二次訴訟控訴審において、2025年(令和7年)11月28日、東京高等裁判所は、 本件諸規定は、憲法24条1項、2項及び14条1項のいずれにも違反しないとの合憲判断を下した(以下「東京二次高裁判決」という。)。

2 一連の訴訟においては、最初の判決である札幌地裁で違憲判断が示された(2021年(令和3年)3月17日)後、大阪地裁が合憲判断を下した(2022年(令和4年)6月20日)。しかしその後は、東京地裁(一次・二次)・福岡地裁が違憲状態の判断、名古屋地裁及び高裁段階では札幌・東京(一次)・名古屋・大阪・福岡高裁がいずれも違憲の判断を下していた。

  当会は、2019年(令和元年)5月29日の「すべての人にとって平等な婚姻制度の実現を求める決議」において、憲法13条、14条、24条や国際人権自由権規約により、同性カップルには婚姻の自由が保障され、また性的少数者であることを理由に差別されないこととされているのだから、国は公権力やその他の権力から性的少数者が社会的存在として排除を受けるおそれなく、人生において重要な婚姻制度を利用できる社会を作る義務があること、しかし現状は同性間における婚姻は制度として認められておらず、平等原則に抵触する不合理な差別が継続していることを明らかにした。その後も、一連の訴訟の判決が出される度に会長声明を発し、政府・国会に対し、同性間の婚姻制度を早急に整備することを改めて求めてきた。

  また、日本弁護士連合会は、2019年(令和元年)7月18日の「同性の当事者による婚姻に関する意見書」において、同性婚が認められないことは、性的指向が同性に向く人々の婚姻の自由を侵害し、法の下の平等に違反するものであり、憲法13条、14条に照らし重大な人権侵害である旨を述べていたところ、さらに、去る2025年(令和7年)12月12日、長崎市で開催された人権擁護大会において、「当事者の性別にかかわりなく婚姻を可能とする民法等の改正を求める決議」を採択し、改めて、本件諸規定の取扱いが平等原則に違反し、個人の尊厳を損なうものであることを指摘して、速やかに本件諸規定を改正することを求めている。

  東京二次高裁判決は、本件諸規定について、「一の夫婦とその間の子」の結合体を、社会の基礎的な構成単位となる基本的な家族の姿として想定し、夫婦が夫婦としてどうあるべきかという観点のみならず、その間に生まれてくる子の父母としてどうあるべきかという観点から、婚姻の具体的な要件及び効果を定めている、とし、その合理性を重視する一方、現実に、同性のカップルが存在し、異性カップルの夫婦と同様の社会的実態を持って生活している点や、子の養育をしている点、それにもかかわらずこれらを保護する法的効果を得ることができない点、家族としての公的承認を受けることができない点等の不合理に光を当てることなく判断をしている。このような判断は、上記の、これまでの違憲判決の積み重ねや、当会・日本弁護士連合会の見解等からして、到底受け入れられるものではない。

3 もっとも、東京二次高裁判決は、政府・国会において、同性間の婚姻制度を整備する必要がないと免責を与えるものではない点に留意しなければならない。

  すなわち、東京二次高裁判決も、国会の立法裁量を重視し、現時点において、本件諸規定が違憲とは言えないと判断したのみであり、同性カップルに法的保護は必要ない、国会において何ら立法を行わなくても良い、などと述べたものでは、全くない。それどころか、東京二次高裁判決においても、「我が国における立法の検討状況をみると、法律婚制度については、社会状況の変化を踏まえた改正が随時行われる一方で、同性の者同士に係る家族に関する法制度については、少なくとも約10年前から、政府において、国会等で慎重な検討を要すると政府が答弁等をしながら、その慎重な検討を開始したことをうかがわせる証拠がなく、国会においては、法律案が提出されても、審議が開始されないという状況にある。このことからは、かえってその慎重な検討は開始されていないこともうかがわれるのであって、その検討状況は、客観的にみて、控訴人らが性自認等に従った法制度上の取扱いを受けるという人格的存在と結びついた重要な法的利益が十分に尊重されているとは評し難い状況にある。」と指摘され、遅々として進まないどころか、一向に実質的検討すら行おうとしない政府や、審議にすら入れない国会の対応が批判されており、さらに、「人が性自認等に従った法令上の取扱いを受けることは、人の人格的生存と結びついた重要な法的利益であるから、このままの状況が続けば、憲法13条、14条1項との関係で憲法違反の問題を生じることが避けられない」とも明言されている。

  同性のカップルの権利・利益が尊重されていない現状を指摘する東京二次高裁判決の趣旨に照らせば、むしろ、政府・国会において、速やかに同性間の婚姻制度を整備しなければならないはずである。

4 しかるに、本判決を受け、木原稔官房長官は、「国の主張が認められた」と評価したと報道されている。これまで政府は、複数の違憲判決に対し、同性婚の制定は「極めて慎重な検討を要する」とか、同種訴訟や上級審の判断を「注視したい」などと消極的なコメントを発してきていたが、合憲判決に対しては評価のコメントを出すというのは、上記で指摘した、政府が今なすべき役割について、全く無理解であると言わざるを得ない。

  一連の訴訟は、いずれも最高裁に上告中であり、このまま推移すれば、遠からぬ将来、最高裁の判決が出される。当会は、その判決は、東京二次高裁判決を除き、5つの高裁が一致して違憲と判断した重みを踏まえ、個人の尊厳を何より重視した、明確な違憲判断となることを強く期待している。

  しかし、政府・国会においては、その最高裁判決をただ待つのみという態度は、到底許されるものではない。東京二次高裁判決を評価するというのであれば、同判決が指摘する「性自認等に従った法制度上の取扱いを受けるという人格的存在と結びついた重要な法的利益が十分に尊重されているとは評し難い状況」を速やかに改善し、同性婚の法整備を行わなければならない。

5 当会は、改めて、同性間の婚姻ができない本件諸規定は憲法13条、14条、24条に違反するものであることを指摘し、政府・国会に対し、最高裁判決を待つことなく、直ちに、同性間の婚姻制度を整備することを求める。

 当会は今後も、性的少数者を含めたすべての人にとって平等な婚姻制度の実現に向け、努力していく所存である。

以 上

                  2026年(令和8年)1月7日

             福岡県弁護士会      

会 長   上 田 英 友

佐賀県警察科学捜査研究所技術職員によるDNA型鑑定での不正行為を強く非難するとともに第三者機関による検証等を求める会長声明

カテゴリー:声明

佐賀県警察は、本年(2025年)9月8日の記者会見において、佐賀県警察本部化学捜査研究所の技術職員が7年余りにわたり、実際には実施していないDNA型鑑定を行ったように装う等、虚偽内容の書類を作成するなどの不正行為(以下、「本件不正行為」という。)を繰り返していたことを公表した。
各種報道によると、今回、確認されたものだけでも、虚偽の鑑定書類作成を含めて130件に上り、そのうち、実際は鑑定していないのに鑑定したことを装った証拠捏造というべきものが9件、鑑定試料の余りを鑑定後に紛失して別の物を鑑定試料と偽って警察署に返すなどしたものが4件、上記130件のうち再鑑定を行った124件の中で当初の鑑定と異なる結果になったものが8件、鑑定結果が証拠として検察庁に送付されたものが16件あるとのことであった。
DNA型鑑定等の科学鑑定は、近時の刑事司法において、捜査や公判の帰趨を決する大きな影響力を持つ科学的証拠である。科学鑑定が正確に実施されることは、無辜の者を誤って処罰することがないようにするだけでなく、真犯人の発見や事件の早期解決、真相究明にとっても重要である上、国民の刑事司法に対する信頼を担保するものである。それにもかかわらず、7年余りもの間、刑事司法に対する重大な背信行為が繰り返し行われ、かつ、見過ごされてきたことは、極めて遺憾であり、強い非難に値する。虚偽証拠による裁判は、刑事訴訟法435条1号によりそれ自体が再審事由となる上、本件不正行為のようにDNA型に関する虚偽の報告書を作成することは、虚偽公文書作成罪(刑法156条)、証拠偽造罪(刑法104条)などの犯罪に該当するものであり、極めて重大な事態である。
捜査段階で作られた証拠は、被疑者、被告人の防御権や弁護人の弁護活動に関わるものであることはいうまでもなく、結果、被疑者、被告人の人生そのものに重大な影響を及ぼすものである。
本件不正行為が二度と起こらないようにするためには、原因究明は必須である。ところが、各種報道によると、佐賀県警察は、佐賀地方検察庁、佐賀地方裁判所の協力を得て調査を行った結果、全ての不正行為について捜査や公判への影響はなかったとして第三者による調査機関の設置は必要ないとしている。
 しかし、佐賀県警察が行ったとする調査は、あくまで捜査機関が自ら実施したものに過ぎず、その調査過程や発覚の端緒は何ら明らかになっていない。しかも、問題発覚から約1年もの間、公表されなかった点も看過できない。
本件不正行為が繰り返し行われた原因の究明、捜査や公判への影響がないという説明の真偽、他の類似事案の有無、本件不正行為が7年余りも見過ごされた原因、チェック体制の適否、組織的な関与の有無、再鑑定の実施方法や鑑定資料の適否の検証など、数多くの課題が残ったままであり、到底十分ではない。
防御権や弁護活動に影響がなかったかどうかという点は、当然、捜査の対象となった被疑者、被告人、弁護活動を行った弁護人に情報を提供して調査を行わなければ、明らかにならない。しかし、現在まで、各事件の被疑者、被告人及び弁護人に対する調査は一切行われていない。
 佐賀県警察の対応は、本件不正行為の重大性を見誤っていると指摘せざるを得ない。また、佐賀地方検察庁が、警察の捜査を指導監督する立場にあるにかかわらず、本件不正行為を見抜くことができなかったことも看過できない。
本件不正行為が、7年余りもの間繰り返し行われ、かつ、見過ごされてきたことからすると、警察内部の監察及び検察官による指揮並びに公安委員会による監督では、鑑定に際しての証拠の偽造を防止することはできないという構造的欠陥が明らかになった。真相究明のためには、捜査機関から独立した機関による調査が必要不可欠である。また、本件不正行為は佐賀県警察のみの問題ではない。全国の都道府県警察においても、本件不正行為と同様な問題が起きていないか可及的速やかに確認を行う必要がある。
よって、当会は、法務省、最高検察庁、警察庁及び国家公安委員会に対し、中立的な第三者機関を設置した上で、本件不正行為が捜査及び公判に与えた影響を検証し、再審請求を行うなどの適切な措置を講じるとともに、本件不正行為を防止することができなかった構造的原因を究明し、再発防止策を策定することを求める。また、佐賀地方検察庁は、当時の弁護人に情報を提供して調査をおこない、鑑定結果が判決に影響を及ぼした可能性が否定できない事案については再審請求の機会を得られるよう配慮すべきである。

令和7年10月1日
福岡県弁護士会
会長  上 田 英 友

骨太の方針2025を踏まえ、いわゆる谷間世代の経済的負担や不公平感を軽減するための基金制度の創設を求める会長声明

カテゴリー:声明

2025年(令和7年)6月、政府の「経済財政運営と改革の基本方針2025」(いわゆる骨太の方針2025)において「法曹人材の確保等の人的・物的基盤の整備を進める」「国際法務人材の育成」との記載及びその注記で「法教育の推進、公益的活動を担う若手・中堅法曹の活動領域の拡大に向けた必要な支援の検討を含む」ことが明記された。
これは、2017年(平成29年)4月、裁判所法の改正によって、同年11月1日以降に採用された司法修習生(第71期以降)に対しては基本給付金などの修習給付金が支給されることとなった一方、2011年(平成23年)11月から2017年(平成29年)10月までの間に採用された司法修習生(新65期~70期、いわゆる「谷間世代」)には新たな給付金制度の遡及適用がなかったために生じた、谷間世代が無給での修習により重い経済的負担を負ったままに取り残されるという不公平な問題の解決策として、日本弁護士連合会(日弁連)、当会ほか全国の弁護士会、各弁護士会連合会、そして新たな給付金制度の実現に向けて活発に活動してきたビギナーズネットを挙げて取り組んできた谷間世代に対する修習給付金と同額の一律給付による解決、また、実質的に谷間世代への一律給付と異ならないような基金制度の創設を目指してきたことが反映された結果である。これまで谷間世代問題の解決に向けて寄せられた国会議員の応援メッセージは2025年(令和7年)5月23日時点で391通に達している。
日弁連が目指す基金構想は、一律給付に実質的に代わりうる措置として、国からの交付金により日弁連又は日弁連が協力して設立する財団法人等に基金を設置し、その基金からの給付金をもって谷間世代の様々な活動、研修、技能向上などを、5年間の時限で集中的に支援することによって谷間世代問題の解決を図らんとするものである。
近年、大規模自然災害や多くの社会問題が発生し、またわが国を支える中小企業も創業、事業承継、国際取引等の重要な局面に置かれている等々の状況の中で、弁護士に対するニーズはさらに高まりを見せており、この状況下で国民のための司法を維持強化するためには、全法曹の約4分の1に相当する約1万1000人を占め、今や司法の中核を担っている谷間世代の法曹が、かかるニーズに応じて諸課題により積極的に取り組むことができるようにすることが不可欠である。
すなわち、かかる基金制度によって、谷間世代が、高齢者・障がい者支援、子ども対策・支援、災害支援、消費者問題等々の幅広い公益的活動や、行政機関や公私の教育機関の第三者委員会等の業務、中小企業のスタートアップ、事業承継、国際業務の支援、弁護士業務に資する日弁連等が企画する研修、資格取得や語学の講座受講等々に取り組むことを給付により支援して、谷間世代の多くが抱いている経済的負担や不公平感を軽減することにより谷間世代がさらに広く深くこれら諸課題等に積極的に取り組むことができることとなるのであり、これによって実現される国民の権利利益の保護、救済は決して小さくない。
本来、法曹は三権の一翼である司法を担う重要な人的基盤であり、公費により養成されなければならない。一時的に公費による養成が途絶えた状態は修復されるべきであり、世代を問わず全ての法曹が公費により養成され、その公的役割を自覚し、十分に力を発揮することは、この国の司法制度を利用しもしくは司法の影響を受ける全ての人の利益となるのである。
当会は、日弁連、全国の弁護士会、各弁護士会連合会とも力をあわせ、引き続き、谷間世代問題の解決に向けて一層の尽力を重ねる決意であるが、政府、国会、最高裁判所など関係機関におかれては、骨太の方針2025及び日弁連が提唱する基金制度の理念に即して、その早期実現に向けて必要な措置を講じて頂くよう強く求める。

2025年(令和7年)8月6日
福岡県弁護士会
会長 上 田 英 友

今秋の臨時国会での再審法改正の実現を求める会長声明

カテゴリー:声明

いわゆる福井女子中学生殺害事件において、2025年(令和7年)7月18日、名古屋高裁金沢支部は、検察官の控訴を棄却する判決を言い渡し、1990年(平成2年)の一審無罪判決を支持した。2025年(令和7年)8月1日、名古屋高検が上訴権を放棄したことで、一審無罪判決が確定した。当会はいわゆる袴田事件の再審無罪判決に際して発した会長声明において、逮捕から無罪判決までに58年もの年月を要したことを指摘したが、本件についても逮捕から今般の控訴棄却判決の言い渡しまでに38年もの年月が費やされている。人生の多くを自己のえん罪を晴らすための闘いに費やさざるを得なかったその余りの残酷さは、袴田事件と同様、筆舌に尽くしがたいものがあるといわざるを得ない。
このように、えん罪被害者の救済が遅れる理由が現行の再審法の不備にあることは衆目の一致するところである。2025年(令和7年)6月18日、野党により衆議院に「刑事訴訟法の一部を改正する法律案」(以下、「本法案」という。)が提出され、その後、衆議院法務委員会に付託されて、閉会中審査となっている。本法案は、「再審制度によって冤(えん)罪の被害者を適正かつ迅速に救済し、その基本的人権の保障を全うする」という観点から、①再審請求審における検察官保管証拠等の開示命令、②再審開始決定に対する検察官の不服申立ての禁止、③再審請求審等における裁判官の除斥及び忌避、④再審請求審における手続規定を定めることを内容とするものである。これは、当会が2023年(令和5年)9月の総会決議及びこれに続く累次の会長声明で繰り返し求めてきた再審法改正の内容と軌を一にするものであって、高く評価できる。
 一方で、再審法改正に関しては、2025年(令和7年)4月21日以降、法制審議会刑事法(再審関係)部会(以下、「法制審部会」という。)において審議が行われており、本法案の定める4項目も審議対象となっている。
 しかし、上記4項目の改正に関して、まず、検察官と密接な関係を有する法務省が事務局を務める法制審議会が主導的な役割を担うことについて、えん罪被害者の適正かつ迅速な救済を目指すという観点において強い懸念を表明せざるを得ない。
 つぎに、再審法改正は、何よりもえん罪被害者の速やかな救済に資するものでなければならない。そして、上記4項目は、数多くある論点の中でも、えん罪被害者の速やかな救済を実現する上で根幹をなすものであるから、これらの点については、早急に法改正がなされるべきである。それにもかかわらず、法制審部会では、再審手続における証拠開示の範囲を新証拠及びそれに基づく主張に関連する限度にとどめようとする意見や、再審開始決定に対する検察官の不服申立てを禁止することに消極的な意見が見受けられた。これらを受けて、事務局を務める法務省が原案をとりまとめる形で、上記4項目の改正に関する是非を含む全14項目にも及ぶ論点が提示された。法制審部会での早期のとりまとめを目指すとしても、その法案化までにはなおも相当な期間を要することは明らかで、再審法改正が速やかに進む目処は立っていないと言わざるを得ない。
 このような状況に照らせば、えん罪被害者の早期救済のためには「国の唯一の立法機関」である国会こそ、速やかにあるべき再審法改正の方向性を示すことが重要である。多くの地方議会や首長、民間団体などからも広く支持が表明されていることは、その証左である。
 よって、当会は、国会に対し、速やかに本法案の審議を進め、今秋に予定されている臨時国会において本法案を可決・成立させることを求めるものである。

2025年(令和7年)8月6日

福岡県弁護士会

会長  上 田 英 友

福岡県弁護士会 〒810-0044 福岡市中央区六本松4丁目2番5号 TEL:092-741-6416

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