少年付添人日誌 | 福岡県弁護士会

少年付添人日誌弁護士会月報「付添人日誌」より転載したものです。

付添人日誌(25・10月号)

1 受任の経緯

建造物損壊で家裁送致された中学3年生の子を担当しました。

通常、少年事件は、当番付添人で回ってくる又は、被疑者国選対象事件で回ってくるケースが多いのですが、この少年は、筑後部会の事務局から、直接、少年付添人を担当して欲しいという要望があり担当することになりました。私は、これまでそのようにして担当した事件はなかったのですが、在宅で家裁送致された少年に対し、裁判所から付添人をつけた方がよいという判断の下、弁護士会へ斡旋依頼がなされたようでした。

2 少年との面会

少年は、児童養護施設に入所しているとのことだったので、すぐに少年に会いに施設に行きました。

少年は、年齢よりも幼い印象で、物事を深く考えるのが苦手なようでした。ぽやーっとした感じで、自分のやったことについて反省の弁は述べるものの、きちんと考えられていないような状況でした。

少年や施設の先生から聴き取りを行う中で、今回、学校で火遊びをして学校のベランダや廊下に焦げ跡をつけてしまったことで家裁に送致されたこと、生後5ヶ月から施設に入所していること、両親は、両方とも刑務所に出たり入ったりを繰り返しており、現在は両親とも入所していること、今回の件以外にも施設の子らと万引きなどの非行を繰り返し行っていたこと、などが分かりました。

近日中に、裁判所で調査官と面談を行う予定ということだったので、その日は聴き取りだけにして、調査官との面談後に再度訪問することを約束して帰りました。

3 観護措置(予定)

調査官面談の翌日、裁判所から当職宛に連絡が入りました。調査官との面談の前日(当職との面談の後)に、再度学校で火遊びをやった事実が判明したらしく、裁判所として、近々観護措置をとる予定であるとの連絡でした。

再度の非行が、当職との面会の後だったので、面会の時にもっと注意をしておけばよかったと反省しました。また、そのあとこの少年は、再度非行を行ってしまうのですが、今思えば、家裁からの連絡後すぐに少年に会いに行くべきでした。

4 逮捕

しばらくして、施設から連絡がありました。少年が、施設の子らとコンビニで万引きをしたため、逮捕されてしまったという連絡でした。すぐに少年と接見したのですが、少年は、逮捕されてもなお、自分のした事の重大さに気づけていないように見受けられました。そのため、自分のした事を見つめ直させるために、非行に及んでしまう原因とその対策についてよく話をしました。

5 審判に向けて

少年は、両親が刑務所に入っているので、両親以外に引き取り手がいなければ、おそらく児童自立支援施設か少年院に行かざるをえなくなると考えました。

そのため、少年を引き取ってくれそうな先を探しました。まずは、少年が夏休みの度に会っているという父方の祖母に会いに行きました。しかし、祖母は、高齢で、かつ一人で暮らしていること、一度少年を引き取ることを提案したが、少年自身が拒んだことなどから、引き取ることは難しいのではないかと話していました。

そこで、母方の祖父母に頼めないかと思い、刑務所へ少年の母親に会いに行きました。少年の母親は、近いうちに刑務所から出られること、刑務所から出たら少年を引き取って一緒に暮らしたいこと、そのためにも(母親の)両親に引き取ってもらいたいことなどを話していました。しかし、母親自身、両親と長い間連絡をとっておらず、引き取ってくれるか分からないということでした。実際、当職から、母親の両親に手紙を2度出しました(母親本人が、実家の住所しか記憶していなかったため)が、返信はありませんでした。

そのため、母方の祖父母は諦めざるをえず、少年とも相談した結果、もう一度父方の祖母に引き取ってもらう方向で進めることにしました。

しかし、当職が連絡したところ、少年の祖母は、娘のところへ引っ越してしまっており、娘が引取に快く思っていないことや、祖母の年齢的なことから、引取はできないと断られてしまいました。

6 審判

本件は、児童相談所から、強制的措置許可申請(決定の日から向こう2年の間に通算120日を限度として強制的措置をとるという内容)がなされている事案でした。

調査官の意見は、「児童自立支援施設送致」「2年の間に通算60日間を限度として強制的措置をとることを許可する」というものでした。審判の結果も、調査官の意見と全く同じでした。

7 最後に

本件は、在宅の時点で受任したにもかかわらず、受任後に2度も非行に及んでしまい、それにより逮捕されるに至ってしまいました。在宅の事案は初めて担当したのですが、在宅であるが故に、審判までの間に非行に及ばないようなケアも必要であったと痛感した事件でした。

小 松 宏 吉

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