少年付添人日誌 | 福岡県弁護士会

少年付添人日誌弁護士会月報「付添人日誌」より転載したものです。

付添人日誌(30・1月号)

1 はじめに

今回、私が担当いたしました少年事件につき、ご報告させて頂きます。本件は、中西俊博先生のご指導の下、付添人活動を行いました。

2 事案の概要

本件は、数人の友人らと警察署付近の道路にて、バイクで旋回するなどの集団暴走を行ったという共同危険行為の事案でした。少年は、複数回同様の行為を繰り返しており、複数の共同危険行為が審判の対象となっていました。

3 活動の内容

(1) 少年との面会

事件名が道路交通法違反ということで、出動要請があり、中西先生とともに鑑別所に面会に向かいました。少年は、元気そうな様子で、鑑別所に入ったことをあまり気にしていないのかなという印象でした。また、事件の内容について聞き取り、非行事実が共同危険行為であることがわかりましたが、どちらかというと地味で大人しい雰囲気であったため意外に感じました。

話を進めていくと、当時、住み込みで働いていた職場の環境がひどく、ストレスの発散に暴走行為に及ぶようになったということでした。少年曰く、職場に比べれば鑑別所は天国のようであるとのことで、最初に元気そうに見えたのにも納得できました。

少年は、付添人に対しては礼儀も正しくしっかりしており、根は真面目なタイプで十分更生が期待できる様子でした。また、反省文を書かせると、鑑別所の指導もあってか、自分の行為がどれだけ危険かということや、周囲に迷惑を掛けるかということを理解した内容で、十分に反省が伝わるものでした。

このような少年の資質に加え、理容師を目指して専門学校に通いたいという目標があり、少年院送致は回避しなければならないと思いました。

(2) 保護者との面会

少年の両親と面会し、日頃の様子や今後の方針について話し合いました。

両親は、できる限り毎日少年に面会に行っており、少年との関係は良好でした。ただ、少し、少年に対して甘いとの印象は否めず、また、夜の仕事をしているため、少年の監督にも不安がありましたので、少年の指導監督方法や、今後の関わり方についてしっかり考えてもらうよう伝えました。

(3) 調査官との面会

「少年事件付添人マニュアル」を読む限りでは、共同危険行為の場合に少年院送致となる可能性が高いようであり、また、少年の記録を読んでも少年院送致の意見が多く、調査官が意見を固める前に、調査官に面会を申し出ることとしました。

調査官は、上記のような少年の良い資質についても十分に理解してくれました。他方で、少年の真面目さが裏目となって、悪友の中で発揮される傾向もあり、進んで非行に及ぶといった懸念があることなど、率直な意見交換できました。

また、当時の職場に問題があり、環境を調整すれば更生が期待できるといった点について調査官と意見が一致したこともあり、試験観察の方向での検討をしてもらえることとなりました。

(4) 審判

少年の反省に加え、付添人、調査官ともに試験観察の意見を出したこともあり、3か月の試験観察となりました。この間、少年の職場の変更を含めた環境の調整や、規則正しい生活習慣、バイクの処分などが課題とされました。

(5) 試験観察

試験観察となった後、バイクを真っ先に廃車にし、元の職場を辞め、少年が目標としている美容・理容のアルバイトを探し始めました。私は、美容・理容のアルバイトはすぐに見つかるようなものではないと思っていたのですが、友人の紹介で程なく理容室でアルバイトを始めました。

毎週送ってくる日記も毎日しっかり書いてあり、規則正しい生活を続けていました。

このように、試験観察期間中、ほとんど問題なく3か月が過ぎました。

(6) 最終審判

何事もなく試験観察期間を終え、再非行防止のための努力に加え、理容室でのアルバイトを始め将来に向けて努力していること等が評価され、審判の結果は、保護観察処分となりました。

4 おわりに

初めての少年事件で手探り状態でしたが、少年自身が素直で真面目だったので大きな問題が起きることなく活動を終えることができました。短い期間ではあるものの少年の成長を垣間見ることができ、少年事件のやりがいを感じました。

眞子 幸人

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