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給費制維持緊急対策本部だより ~日弁連の会議に出席してみての感想~

カテゴリー:月報記事

会 員 中 嶽 修 平(66期)

はじめに

去る5月27日、日弁連会館にて開催された給費制対策本部会議に、市丸健太郎委員の代理として出席しました。当会からは、私の他に、鐘ケ江啓司委員、髙木士郎委員が出席し、千綿俊一郎委員がTV会議で出席しました。

給費制対策本部会議は、月2回のペースで開催されており、他の日弁連会議と比較しても、その回数は多く、日弁連の中での関心の高さがうかがえます。そのため、遠方ながら出席している委員もおり、活発な議論が繰り広げられていました。

事前打合せ

給費制対策本部会議は、午後5時からですが、それに先立ち、午後4時から事前打合せが開催されています。事前打合せは、TV会議では中継されていません。そのため、給費制対策本部会議に出席することの意義は、まさに、この点にあるのだと思いました。

今回の事前打合せでは、貸与制の問題を、司法修習との関連で新たな視点から訴えることはできないか、ということについて議論しました。丁度、私が66期で貸与を受けていたことから、司法修習の現状や、貸与制に対する感想や不便さなど、貸与制の下で修習を行った弁護士の声を届けることができたのではないかと思います。ただし、貸与制の問題を司法修習と関連づけて議論することは、司法修習自体の問題にもなってしまうことから、今回の事前打ち合わせでは結論は出ませんでした。次回以降の事前打合せに期待します。

給費制対策本部会議

給費制対策本部会議は、TV会議を利用して、各地の委員も参加して、活発に議論が繰り広げられました。

まず、最高裁判所関係について、司法修習中の交通費・住居手当だけでも推進室に提案してもらえないかと、要望しているが、実際には厳しい状況であるとのことでした。というのも、67期司法修習生からは、経済的支援として移転費が支給されていますが、その予算を獲得するにあたり、財務省から相当厳しい注文があり、結果的に、最高裁が詰め腹を切らされるような事態になったからだそうです。

次に、自民党の動きとして、修習生に対する経済的支援についての提言が、平成26年7月末に出る予定でしたが、それが平成26年度末まで延期になりました。自民党内の文科部会で法科大学院の見直しPTが立ち上げられ、その中で法科大学院生に対する給付型奨学金を求めるなどの動きが起こっており、法科大学院制度の問題と給費制の問題とをセットで検討する必要があるためとのことでした。

給費制本部としては、予備試験、法科大学院ともに、最終的には司法修習に来るということ、法科大学院の問題とセットになると給費制の問題が後回しになるおそれが高いことから、法科大学院の問題と給費制問題がセットで論じられるのはおかしいという議論がされました。

今後、各地で市民集会が開催される予定ですが、自民党の修習生に対する経済的支援についての提言が平成26年度末に延期されたため、テーマやスローガンなどについてもその練り直しの必要性がでてきました。

おわりに

実際に会議に参加し、改めて、財務省のハードルの高さを痛感しました。給費制の問題は、予算措置を伴うことから、政治家や財務省を動かす必要がありますが、そのためには、市民集会などを通じ、国民の支持を得て、政治家に訴えかけていかなければなりません。

給費制問題の解決まで、まだまだ、先は長いですが、粘り強く取り組んでいきたいと思いました。

あさかぜ基金だより

カテゴリー:月報記事

会 員 西 村 幸太郎(66期)

私の所属するあさかぜ基金法律事務所(以下「当事務所」といいます。)は、過疎地赴任を見据えた弁護士が活動する、特徴ある事務所です。いわゆる養成事務所と呼ばれることもありますが、「養成」といっても、その方法は千差万別です。今回、私自身が当事務所での取組みを振り返り、養成の在り方について考えながら、取組みの内容についてご紹介させていただきたいと思います。

扱っている事件についてです。過疎地に赴任すると、弁護士の絶対数が少ないため、その地に生起する玉石混淆の紛争が、一挙に持ち込まれることになります。良質なリーガルサービスを提供するためには、その弁護士が、どのような分野においても、一定以上の処理が出来ることが必要です。そこで、当事務所では、法律相談等によって各自で受任した単独事件はもちろん、他の先生方との共同受任事件にも取り組み、幅広い事件を経験しながら、技術の研鑽に努めています。当事務所をバックアップしていただいている組織・制度は多数ありますが、共同受任事件を確保できるようなシステムの構築もすすめています。様々な方にご協力いただいており、感謝の気持ちでいっぱいです。今後とも宜しくお願いいたします。

経営面についてです。当事務所では、「事務所会議」と題して、毎月のキャッシュフローデータをにらみながら、事務所経営に関する議論を行っています。その他、HPの改修についてや、各種制度についての見直し・検討など、議題は多岐に亘りますが、過疎地赴任後に自ら事務所運営ができるような能力を醸成できるように、意欲的に取り組んでいます。これとは別に「弁護士会議」と称して、事務所に所属する弁護士の新件を確認し、利益相反がないかをチェックしたり、処理に困っている事件について、弁護士間で意見交換を行ったりしています。会議の内容は、事務所運営がよりよくなるよう、弁護士自身で設定すべきものだと思いますので、今後も、創意工夫を凝らしながら、取り組んでいきたいと思います。

簡単にですが、事件面及び経営面について、当事務所の取組みを紹介させて頂きました。他の事務所での創意工夫も気になるところで、情報収集も継続して行っていきたいと思っています。技術の向上のためにどのような工夫が出来るかは、弁護士として常に意識すべきものだと思いますので、初心を忘れずに頑張っていきたいです。
法曹人口が増加する中、今こそ弁護士がどうあるべきか問われているように思います。司法制度改革において、リーガルサービスを全国津々浦々に浸透させようという理念が掲げられ、一定程度の成果は上げていると思いますが、まだまだ十分とは言えません。司法過疎地においても良質なサービスを提供できるよう、今後も精進していきたいと思います。

◆憲法リレーエッセイ◆ 君ゆでガエルとなりたもうことなかれ

カテゴリー:憲法リレーエッセイ

会 員 原 田 美 紀(59期)

ゆでガエル理論というのをご存知だろうか。
熱いお湯にカエルを入れると驚いて飛び跳ねる。
ところが、常温の水に入れ、徐々に熱していくと、カエルはその水温に慣れていく。そして、熱湯になったときには、もはやカエルは跳躍する力を失って飛び跳ねることができずに、ただただそのままにゆであがってしまう、というものである。

今の憲法改正や集団的自衛権の行使容認の動きをみるにつけ、私はこのゆでガエルを思い出す。
じわじわと自分たちが知らないうちに、為政者の意図する方向に導かれ、あっと気づいたときには、取り返しのつかない、どうしようもない事態に陥ってしまっている。そんなゆでガエルになってはならないのだが・・・

縁あって、私は今、福岡県弁護士会の憲法委員会委員長を務めさせていただいている。
法学部出身ではなかった私は、受験時代に初めて憲法というものに触れたと言ってよい。そして、個人の人権を守り、国家権力を制限するという憲法というものを作り出した人々の英知に感動したのを覚えている。
もっとも、弁護士になって、諸先輩方の熱い議論を聞くにつけ、自分の不勉強を自覚せざるをえなかった。
また、恥ずかしながら、今まで護憲、特に9条を守るということについて回りの委員ほどの熱い思いを持っていなかった。
理想と現実の間の妥協点というものは常に必要であり、全面的にイエスとかノーという結論を出すよりもよい結果となることの方が多いと思っているし、積極的妥協というのはあってよいと思っていた。

その私が、である。おかしいと思うのである。
テレビでの議論などを見ながら、「憲法が古いぃ?時勢に合わない?個人を尊重するのが憲法の目的で、そのために最低限に必要なものが平和だという根本に古いも新しいもないだろうが・・・」「解釈改憲…なんですとぉ。」といちいち突っ込んでいる。

解釈改憲、その言葉自体に矛盾を感じる。
ときの政府を縛るはずの憲法を、縛られる立場の政府が、国民の意思を問うという議論も手続もなしに解釈によって実質的に変えてしまう。ありえない話ではないか。
「改正」というとドラスティックな印象を与えて多くの反対者が出ることが予測されるから、あえて、「改正」という手続を採らず、「解釈」という手段をつかう。あまりにも姑息な手段ではないか。
集団的自衛権の行使容認にしても、こんなに国民生活に影響を与える問題を、十分な議論も、その議論の前提となる資料も示されないで(ここが重要だと思うのです)、強行することが許されるのだろうか。
それに、そもそも、集団的自衛権の必要性をいうときによくつかわれる「近隣諸国との摩擦」、これは個別的自衛権の強化の問題であって、集団的自衛権とは無関係のはずである。集団的自衛権の行使容認の目的が、一国との関係を強固にしたいというところにあることは明々白々である。
そんなことで、多くの人の犠牲のうえに成り立った今の平和を壊してなるものかと思うのである。
長年にわたり容認されてきたものを変えるというにはそれなりの積極的論証が必要なはずだが、どの意見を聞いても問題のすりかえにしか思えない。

この時勢の変化に、敏感に反応できる行動できる人間になれるか、私の課題である。

あさかぜ基金だより ~あさかぜのこれまで~

カテゴリー:月報記事

弁護士法人あさかぜ基金法律事務所 弁護士 青 木 一 愛(65期)

あさかぜ基金法律事務所は、平成20年9月に開設されました。現在、事務所開設から5年9か月が経過し、間もなく丸6年を迎えようとしているという時期になるかと思います。そこで、本稿では、(大変中途半端な時期ではありますが)改めて当事務所のこれまでを振り返りたいと思います。

さて、当事務所の開設当初は、旧61期の井口夏貴弁護士1人が所属している状況でした。当時の事務所は南天神ビル7階の1室であり、今の事務所(同ビルの2階)に比べると、若干狭かったようです(もっとも、所員は井口弁護士1人でしたから、事務所は広く感じられたのではないかと思いますが)。

その後、同年12月には新61期の細谷文規弁護士、水田祐輔弁護士、吉澤愛弁護士が入所して弁護士4名体制となり、以降は、毎年、2~3名の新人弁護士が入所し、常時弁護士4~6名体制で稼働しております。

当事務所は、「九弁連管内の司法過疎・偏在問題を解消する」ことを目的として設立されたものです。そのため、当事務所の所属弁護士は、事務所を退所後、九弁連管内のひまわり公設事務所又は法テラス4号事務所の所長弁護士として赴任することや、いわゆる司法過疎地において新規に事務所を開業することが予定されております。
そこで、これまでの所属弁護士の赴任先について振り返っていきます。

井口夏貴弁護士(旧61期) 2009年10月~
 対馬ひまわり基金法律事務所へ赴任
細谷文規弁護士(新61期) 2010年1月~
 法テラス高森法律事務所へ赴任
水田祐輔弁護士(新61期) 2010年6月~
 西都ひまわり基金法律事務所へ赴任
吉澤愛弁護士(新61期) 2011年1月~
 島原中央ひまわり基金法律事務所へ赴任
井寄靖弁護士(新62期) 2011年9月~
 井寄法律事務所を開設
伊藤拓弁護士(新62期) 2011年10月~
 対馬ひまわり基金法律事務所へ赴任
坂巻道生弁護士(新62期) 2012年3月~
 小林ひまわり基金法律事務所へ赴任
松坂典洋弁護士(新63期) 2012年1月~
 壱岐ひまわり基金法律事務所へ赴任
城石恵理弁護士(新63期) 2012年10月~
 法テラス指宿法律事務所へ赴任
油布貞徳弁護士(新63期) 2013年4月~
 ゆふ法律事務所を開設
福元温子弁護士(新64期) 2013年6月~
 法テラス五島法律事務所へ赴任
小池寧子弁護士(新64期) 2013年8月~
 法テラス徳之島法律事務所へ赴任
今井洋弁護士(新64期) 2013年11月~
 法テラス壱岐法律事務所へ赴任

このように振り返ると、まず、離島の公設事務所へ赴任した例が多いことが分かります(13名中6名が赴任)。特に、昨年度は、新64期の弁護士が全員離島の法テラス事務所へ赴任しており、より一層、この傾向が色濃いものとなりました。また、対馬のように当事務所の出身者(井口弁護士)から出身者(伊藤弁護士)へと所長が交代している事務所もあれば、壱岐のように、ひまわり公設(松坂弁護士)及び法テラス(今井弁護士)のいずれの事務所も当事務所の出身者が所長を務めている地域もあります。

一方、昨年4月には、油布弁護士が福岡県大川市(現在、弁護士は油布弁護士1名のみ)に独立開業しており、今後は、このような形で、当事務所の出身者が、司法過疎地に定着することを前提に事務所を開設する例も増えてくるでしょう。

更に、細谷弁護士は、法テラス高森での任期を終えると、鹿児島県出水市(現在、細谷弁護士も含め弁護士2名)に事務所を開設し、引き続き弁護士の少ない地域で弁護士業務を行っています。今後、当事務所の出身弁護士も、順次、上記の事務所の任期を終えることになりますが、これらの弁護士が、新たに司法過疎地で独立開業したり、ひまわり公設事務所を引き継ぐ形でその地域に定着したりする事例も増えてくるでしょう。

以上、簡単に当事務所のこれまでを振り返って参りました。
今後も、当事務所の所員は、司法過疎地に赴任又は独立開業することを志し、研鑽を積んで参る所存ですので、会員の皆様には、引き続きご指導・ご鞭撻賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

給費制本部だより 「4.15院内集会のご報告」

カテゴリー:月報記事

会 員 石 井 衆 介(66期)

1 はじめに

平成26年4月15日、参議院議員会館1階講堂において、ビギナーズ・ネット等共催のもと、日弁連主催の「司法修習生への給費の実現と充実した司法修習を求める院内集会~給費の実現へ『国民の理解は得られています!』~」が行われました。

今回私は、給費制本部本部長代行の市丸信敏先生、同本部委員の髙木士郎先生、鐘ヶ江啓司先生と共に、同集会に参加させていただきましたので、その模様をご報告させていただきます。

2 院内集会の概要

今回の集会には、衆参両院から61名(本人出席21名、代理出席40名)の国会議員が参加されました。さらに日弁連関係者、各種支援団体代表者の方々など多数の参加があり、その合計数は180名を超えました。このことは、給費制廃止に対する注目度の高さを象徴しているといえます。

集会の進行について簡単にご説明します。

まず初めに第65期弁護士の野口景子先生より、貸与制経験者の立場から、司法修習生の実情についてご報告がありました。先日フジテレビの番組「ニュースJAPAN」内で放送された映像を用いながらのご説明であり、参加者の方々にも、司法修習生の窮状をよりリアルに感じ取っていただけたように思います。

その後、日弁連の村越進会長のご挨拶により開会し、続いて前回の院内集会同様、参加された国会議員の方々に、給費制の問題について、個別のご発言をいただきました。さらに、ビギナーズ・ネットによって給費制復活にご賛同いただけた各団体の紹介がなされ、公害・地球環境懇談会の小池信太郎代表幹事からも、給費制復活に向けた温かいメッセージをいただきました。

3 国会議員のご発言等

今回何よりも特徴的だったことは、国会議員の方々のご発言だけで、院内集会の終了予定時刻となってしまったことです。それほど多くの方々が、給費制が廃止された現状に問題を感じておられるということであり、同時に、発言時間が長くなったことは、お一人お一人が、この問題の解決に向けて強い意欲をお持ちであるということの表れでもあるといえるでしょう。

司法修習生や若手法曹の経済状況等ミクロな観点からだけではなく、法曹志願者の激減や国際的な司法戦略というマクロな観点からも、多数の問題点が指摘されました。もはや、司法修習生に対する何らかの経済的支援が必要であることは、集会参加者の共通認識であったといえます。

また、与野党を含めた複数の議員から、超党派による解決が繰り返し指摘され、国会における問題意識と給費制復活への声が着実に広がっていることが実感されました。

既にご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、院内集会の直前である平成26年4月9日、公明党法曹養成に関するプロジェクトチームが、法曹養成に関する緊急提案を発表しました。同提案では、司法修習生に対する経済的支援の必要性についても明言されており、「修習手当」制度の創設をも選択肢に含めた抜本的な改革が要請されています。

一方自民党も、同日、自民党政務調査会及び司法制度調査会・法曹養成制度小委員会合同会議が、法曹人口・司法試験合格者に関する緊急提言を発表しましたが、同提言では、そのタイトルからも明らかなとおり、主に司法試験の合格者に関する検討がなされ、司法修習生への経済的支援については触れられていません。そのため、自民党の給費に関する今後の方針には注目が集まっていました。

そんな中、自民党の司法制度調査会の事務局長代理も務めておられる宮崎政久衆議院議員から、同調査会は、既に残された司法制度の諸問題についても検討する準備に入っているとの心強いご発言をいただきました。

福岡県選出の国会議員としては、原田義昭衆議院議員及び仁比聡平参議院議員のお二人に、ご発言をいただくことができました。特に仁比議員は、国会議員のご発言のトリとして、債権回収に怯えることになる若手法曹や携帯弁の例を挙げながら、給費の問題は日本の司法のあり方にかかわる重要課題であると熱弁されており、給費制復活にかける思いを強く感じられました。

今後、国会において、給費制に関する議論がますます活発になることが期待されます。

4 おわりに

以上のとおり、院内集会に参加していると、給費制復活に向けた各種取り組みが、少しずつ実を結び始めているのではないかと感じられます。また、弁護士会以外の諸団体の方々の間でも、給費制への支援は確実に広まっています。

当会会員の先生方におかれましても、今後の展開を見守っていただきますとともに、引き続き変わらぬご支援の程よろしくお願い申し上げます。

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