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みんな悩んでいます~「子どもの日記念無料電話相談」の現場から~

カテゴリー:月報記事

子どもの権利委員会事務局長 森 俊輔(65期)

1 はじめに

去る2018年5月12日(土)午前10時から午後4時まで「こどもの日記念無料電話相談」を実施しました。この企画は、毎週土曜日午後0時半から午後3時半まで行っている「子どもの人権110番」の拡大版です。

子どもの人権に関する相談と謳ってはいるものの、子どもに関する相談であれば、離婚と親権に関するものから、いじめ、体罰、無戸籍問題、貧困、非行事件など様々なジャンルの相談を受け付けています。

2 閑散とした午前・嵐のような午後

当日午前は静かな滑り出し。取材に来たNHKの記者さんも”いい画”を撮ろうと意気込みますが、そんな時に限って電話が鳴らないのです。「テレビに映りたい」という私の願望が強く出過ぎたせいでしょうか。

相談担当の弁護士たちは、皆、正午のNHKニュース(九州沖縄版)効果を期待してお互いの顔を見合わせます。会場となった弁護士会館第二会議室は、どこか閑散としていました。

それがどうしたことでしょう(ここで皆さんの頭の中に「大改造!劇的ビフォーアフター」のBGMを流してください)。NHKニュースが流れ終わるや否や、プルルルルと電話が鳴り、用意していた2回線はあっという間に埋まってしまったのです。閑散とした第二会議室は、あっという間に活気溢れる電話相談会場に様変わりしました。電話機も自分の役割が果たせたからか、どこか嬉しそうです(BGM終わり)。

3 私はどうしたらいいの!?

「いじめに遭った子どもが不登校になっている。どうしたらいいのか」「家を出て知人宅で寝泊まりする娘を自宅に取り戻せないのか」「どこに相談したらいいのか分からないんです」

早急に法的な対応が必要なものもあれば、電話から得られる情報の限りでは家族同士の話し合いに委ねるほかないと思われるものもありました。ただ、ひとつ確かなことは、皆さんがそれぞれの立場から子どものことを考え、そして悩んでいるということです。だからこそ、ニュースを見て、すがる思いで電話を手に取られたのでしょう。

この日、午後4時までに合計14件の電話相談が寄せられ、うち数件は継続して面談相談等を受けることとしました。6時間だけで電話口からはいくつもの「ありがとう」が聞こえてきました。

午後4時に回線を切るとき、第二会議室には、温かな光と爽やかな皐月の風が吹き込んでいました。

4 みんな悩んでいる

行政機関も司法機関も民間でも様々な相談窓口が設けられています。それでも、どこにどうやって相談していいのか分からないまま、ひとりで悩んでいる人が大勢います。そんな方々の一助になる事ができ、子どもの人権擁護のために私たちは何をすべきか、何ができるのかを考えさせられました。

今後も広報を充実させて、「子どもの人権110番」を新たなステップに進化させていく予定です。乞うご期待。

今回、ご協力いただいた皆様にこの場を借りて御礼を申し上げます。

シンポジウム「民法の成年年齢引下げを考える~18歳で成人になるということ~」ご報告

カテゴリー:月報記事

消費者委員会委員 南正覚 文枝(67期)

1 はじめに

平成30年4月21日、インペリアルパレスシティホテル福岡にて、当会主催、日弁連、九弁連共催で、シンポジウム「民法の成年年齢引下げを考える~18歳で成人になるということ~」が開催されましたので、その概要についてご報告いたします。

2 当日までと当日の様子

本シンポジウム開催に当たっては、県内大学等教育機関への案内状の送付や、会員、後援団体である福岡県、福岡市の消費生活センターや司法書士会、NPO法人消費者支援機構福岡等の呼びかけなど、様々な形で周知がなされました。

その甲斐あってか当日は、会場がほぼ満員になる約100名もの方々が集まってくださいました。

多くの参加者の方々の熱気を感じる中、当会の中村博則副会長の開会挨拶により、本シンポジウムは始まりました。

このシンポジウムの最中に、ご多忙の中、古賀之士参議院議員、稲富修二衆議院議員、野田国義参議院議員、国会議員秘書の方1名も駆けつけられ、ご挨拶いただきました。それぞれの皆様のご挨拶から、立法を担う国会議員の方々もこの問題に対して深い関心を寄せていることが窺えました。

なお、当日のシンポジウムの状況は、当会公式ツイッターで、リアルタイムで伝えられました。

3 基調講演1「成年年齢引下げに関する問題点」

まず初めに、日弁連消費者問題対策委員会副委員長の中村新造弁護士による「成年年齢引下げに関する問題点」と題した基調講演が行われました。

「民法」と「民法以外の法律」の区別がついているか、未成年者取消権、親権とは何かといった基本的な概念の説明から入り、民法の成年年齢は何を定めているのか、民法の成年年齢を引き下げる必要性はあるかといった内容を20歳成年制の歴史などにも言及しながら、パワーポイントを使用してわかりやすく説明していただきました。

4 基調講演2「若年者の消費者被害拡大防止の課題」

次に、日弁連消費者問題対策委員会成年年齢引下げ問題プロジェクトチーム座長の平澤慎一弁護士による「若年者の消費者被害拡大防止の課題」と題した基調講演が行われました。

プロジェクトチーム座長の立場から、民法の成年年齢引下げの問題の現状及び議論状況を詳しく説明していただきました。その上で、そもそも成年年齢引下げの必要があるのか、この問題についてもっと積極的に広報活動を進めていく必要があるのではないか、実践的な消費者教育を実践していかなければならないのではないかといった課題についても言及されました。

5 リレー報告
(1)「未成年者の消費生活相談の現状について」

福岡県消費生活センター相談員の岩尾より子氏より、平成28年度の福岡県消費生活相談の概要から、未成年者の消費生活相談の現状に関する報告がありました。

その中で19歳以下の相談については挙がってこないエステサービスやフリーローン・サラ金についての相談が、20歳代になると上位に挙がってきている現状が報告されました。このことから、未成年者取消権等が行使できなくなる20歳代になるとともに若者に対する業者等からの勧誘が急増すること、それとともに判断能力が未熟な若者が高額な契約金額の契約を締結させられ被害額も急増するといった実態が浮かび上がります。

今後成年年齢が18歳になることで、18歳から20歳までの若者の高額契約にまつわる被害が飛躍的に増えていくのではないかということが強く懸念される報告でした。

(2)「消費者教育の観点からー視点の整理―」

佐賀大学教授であり、適格消費者団体NPO法人佐賀消費者フォーラム理事長の岩本諭氏より、消費者教育の視点からの報告がありました。

「消費者教育推進」政策の動向をご説明いただき、「若年消費者への消費者教育」推進の必要性やその場合どのような教育内容が必要と思われるかについて、実際に大学生と日々接している岩本教授より、現実の若年消費者の実態を踏まえた提言がなされました。

(3)「若年者の契約意識と消費者トラブル」

当会の朝見行弘会員より、若年者の契約にまつわるトラブルについて、消費者契約法改正の内容も交えて報告がありました。消費者のトラブルを予防・解決するための法律である消費者契約法の概要と、本年3月に提出された改正案の改善点等について具体的な説明がなされました。

成年年齢を引き下げることにより想定される若者の契約にまつわる被害拡大を防止する必要性が高いことからすると、今回の消費者契約法改正ではまだまだ十分でないと感じました。

6 シンポジウム閉会

最後に、当会の千綿俊一郎消費者委員会委員長より閉会の挨拶がなされ、盛況のうちにシンポジウムは幕を閉じました。

7 おわりに

民法の成年年齢引下げに関して、日弁連等が慎重であるべきとの意見を表明する中、法務省は平成30年3月13日、民法の定める成年年齢を20歳から18歳に引き下げることを内容とした民法の改正案を国会に提出しました。

今回この法案が成立した場合に18歳以上の若者の多くに降りかかるかもしれない消費者被害など様々な問題点について、多くの方々に知っていただき、そして考えていただきたいという趣旨で本シンポジウムは企画されました。

4月の天気の良い土曜日の開催となり、シンポジウムへの参加者は少ないのではないかと危惧されましたが、実際には10歳代から70歳代までの学生や教師、消費生活相談員など、様々な年代、属性の方々に多数お集まりいただきました。これは取りも直さず、今回の成年年齢引下げについて、世代等を問わず多くの方々が強い関心を寄せていることの表れだと感じました。

実際に本シンポジウムに参加してくださった方々がどのような感想をお持ちになったか、任意にアンケートをお願いしたところ、参加者の半数以上の58名の方が回答を寄せてくださいました。

そのアンケートによると、アンケートに回答してくださった方の実に82.7%もの方が成年年齢引下げに「反対」若しくは「どちらかといえば反対」との結果となりました。

「反対」、「どちらかといえば反対」の理由としては、法整備等の施策が十分になされていない、若者に対する消費者教育が十分になされていない、議論が深まっておらず拙速であるといった意見が数多く挙げられ、やはり現段階での成年年齢引下げに対しては強い危惧を抱いていることが窺えました。

原稿を執筆している現在、本法案はいまだ成立していない状況ですが、私自身消費者委員会の一員として、今後ともこの問題に強く関心を持ち続け、若者の消費者被害の防止のための消費者教育の推進や消費者被害の相談などにも積極的に関わっていこうと思っています。

あさかぜ基金だより~対馬ひまわり基金法律事務所引継式に出席して~

カテゴリー:月報記事

弁護士法人あさかぜ基金法律事務所 弁護士 服部 晴彦(68期)

対馬ひまわり基金法律事務所の引継式

3月26日、対馬市の「対馬グランドホテル」において、対馬ひまわり基金法律事務所所長の引継式が開催されました。対馬ひまわり基金法律事務所の新しい所長は、「あさかぜ」において養成を受けてきた若林毅弁護士です。5代目の所長を退任するのは、同じく「あさかぜ」で養成を受け、3年前に赴任した青木一愛弁護士です。

対馬ひまわり基金法律事務所とは

「対馬ひまわり」のある対馬は、福岡市から北東130キロメートルにあり、韓国釜山とは約50キロの距離にある国境の島で、東アジアの国々、特に朝鮮半島との玄関口として栄えてきました。風光明媚でリアス式海岸の景色が広がり、韓国からの観光客が年間約36万人も訪れる観光の島でもあります。

対馬ひまわり基金法律事務所は、平成17年10月に開設され、若林弁護士で6代目の所長となります。3代所長の井口夏貴弁護士、4代所長の伊藤拓弁護士も「あさかぜ」出身です。事務所は、対馬市役所のある厳原地区のNTT厳原ビル1階にあり、長崎地方裁判所厳原支部まで歩いて2分ほどの距離です。

対馬には、対馬ひまわりのほかには、法テラス対馬法律事務所があります。

弁護士過疎解消への情熱

引継式は、長崎県弁護士会の山下俊夫弁護士(九弁連元理事長)の司会で進行し、小野寺日弁連副会長らが挨拶されました、青木弁護士は所長退任の挨拶の中で、赴任後の3年間について、弁護士会からの指導、援助、あさかぜの先輩後輩の支援、事務所の事務職員の協力で、任期満了を迎えることができた。対馬赴任中には、707件の法律相談を行った。家事や債務問題の相談が多かったが、明治時代の抵当権登記の抹消や境界線の確定などの土地問題があったのが印象的だった。障害者、高齢者に関する相談について、福祉、行政との連携を進めてきたが、その途上で任期が終了してしまうのが心残りだ、と述べました。

若林弁護士は、「大学卒業後に就職していた信用金庫を辞めて、四国八十八箇所のお遍路の旅に出ました。その間に、悩み事を持っておられるお遍路さんや施しをしてくれた住民の方々と話をしていくなかで、困った人を助ける仕事がしたいと思い、弁護士になろうと思いました」、「司法試験の勉強をしていく中で、弁護士過疎偏在問題の存在を知り、以前から父親が地元に弁護士が身近にいないため困っていたという話を聞いていたこともあり、弁護士になったときは、弁護士過疎の解消のために働く弁護士になりたいと思い、司法修習後にあさかぜ基金法律事務所に入所しました」と弁護士を志望した動機、弁護士過疎解消への熱い思いを語りました。さらに抱負として、「自分で6代目の所長ということで、弁護士の存在は知られるようになっているが、より身近な存在になれるように積極的に事務所の外に出て活動し、弁護士にできることがたくさんあることを島民の方に知ってもらって、島民の方の役に立てる事務所にしていきたい」と力強く決意表明しました。

引継式後の披露会には、対馬市副市長、長崎地裁厳原支部支部長をはじめ、多数の地元関係者が来賓として参加するとともに、歴代の対馬ひまわりの所長弁護士も参列して、対馬ひまわりが地域で果たしてきた役割と歴史の重さを垣間見ることができました。

引継式に出席して

私も、あさかぜに入所して3年目を迎えました。これまで、先輩弁護士の引継式、開所式に何回も出席してきましたが、若林弁護士は同期入所ということもあり、私も新天地に向けて頑張ろうという思いを強くしました。養成期間もあとわずかになりましたので、赴任に向けて準備をしっかり進めていきたいと思います。

KBCセカンドライフHAPPYフェスタ

カテゴリー:月報記事

対外広報委員会 委員 太田 千遥(70期)

第1 はじめに

去る平成30年3月31日(土)に、大丸エルガーラ8階大ホールにて、セカンドライフHAPPYフェスタが開催され、当会からは上田英友弁護士(2018年度会長)、原田直子弁護士(2016年度会長)、岡部信政弁護士が「出張版!まずは、弁護士に聞いてみよう!」のコーナーにご出演されました。

このイベントは、第二の人生(セカンドライフ)をよりHAPPYなものにする支援のために開催されたイベントで、ご来場の方の多くがご年配の方でした。私も対外広報委員会の一員として同イベントに参加させていただきましたので、僭越ながらご報告させていただきます。

第2 当日について
1 会場の様子について

当日はひふみんこと加藤一二三さんや洋七師匠こと島田洋七さん、映画評論家のおすぎさんら著名な方のトークショーも行われており、広い大ホール内は立ち見の人がいるほどの大盛況ぶりでした。会場後方には体内年齢を測定できるブースや酵素水等の健康食品のブース等、様々な企業の出店ブースがありました。

そのような盛り上がりの中、上田先生はじめ3人の先生方が登壇されました。

2 弁護士活動の紹介について

まず、上田先生と原田先生から福岡県弁護士会の紹介と、弁護士の業務内容についての説明がありました。

具体的には、福岡県弁護士会に所属する弁護士の数や、また弁護士は相続問題やパワハラ問題等の様々な場面で活動しており、市民の皆様の日々の暮らしの中で起こるちょっとしたトラブルでも解決に向けてお役に立つことができるという内容です。

「身体の不調は病院へ、それ以外の身近な悩みは弁護士会の法律相談センターへ」ということで、福岡県弁護士会の法律相談センターの概要等についても説明がありました。

3 高齢者の消費者被害について

次に、高齢者の消費者被害についての相談に対し、岡部先生にご回答いただきました。

具体的には、業者から必要のないリフォーム工事を迫られ、80代の母親が工事の契約をしてしまったという事例において、業者から請求されている300万円の工事代金を支払う必要があるのかという相談内容でした。

岡部先生からは、近年、高齢者が訪問販売によって高額なリフォーム工事を契約させられているという相談が国民生活センターに年間6000件から7000件寄せられていること、対応策としてクーリングオフ制度によって解約できること、クーリングオフ期間の8日間という期間は法律が定める内容を満たす書面の交付があって初めてカウントが始まること、同期間が経過した後も錯誤無効の主張ができる可能性があることをお話しいただきました。

さらに、高齢者がトラブルに巻き込まれないための対応策として、離れて暮らしている場合も家族が見守ることが重要であること、必要に応じて成年後見制度を利用すること、後見制度の概要や手続の流れ、弁護士が後見人となる場合もあることをお話しいただきました。

第3 感想

個人的にはひふみんに会いたかったのですが、私が会場に行ったときにはひふみんのトークショーは既に終わっており、とても残念でした。洋七師匠のトークでは、ビートたけしさんの独立騒動について軽快な語り口で話されていたことが印象に残っています(たけしさんの第二、第三の人生といったところでしょうか。)。また、イベントの抽選で桝谷委員が2等の景品(ひよこ(お菓子)の詰め合わせ)を当てるという珍事もありました(ひよこは桝谷委員がその後事務所で美味しくいただいたそうです)。

私は会場の後方から壇上の先生方を応援させていただいていましたので、全体を見渡すことができました。後ろから見ていると、高齢者の消費者被害に対する対応策等の話を聞きながら数名の方々が何度も大きく頷いておられた姿がとても印象的でした。

私自身も高齢者の消費者被害の問題等、大変勉強になりました。なお、司会進行が台本と異なるというハプニングがあったのですが、その際、司会の沢田さんに原田先生がアドリブで突っ込み、その後のトークはさらに和やかな雰囲気に包まれたというシーンがありました。大勢の観衆の前でも臨機応変に対応するという点でも大変勉強になりました(笑)。

人生100年と言われる現代社会ですが、そんな時代に弁護士としてどのように役に立っていけるのか、改めて考えさせられたイベントでした。消費者委員会からご出演いただきました岡部先生、誠にありがとうございました。

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ステージ上の様子

ジュニアロースクール2018春in福岡(3/27)

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法教育委員会 会員 畑田 将大(70期)

1 はじめに

平成30年3月27日午後1時より、西南学院大学法科大学院棟にて、毎年恒例の法教育委員会主催の「ジュニアロースクール」(以下「JLS」といいます。)が開催されました。今年は、「救急車の有料化って、どう思う?」と、身近であり、かつ、難しいテーマを中学生・高校生と共に弁護士も頭を悩ませつつ議論をしてまいりました。以下、今年のJLSについて具体的にご報告いたします。

2 当日の状況
(1) 参加人数

今年も中学生6名、高校生23名、合計29名と、例年通り多数の参加者が集いました。

(2) 弁護士による寸劇

議論に入る前に、「救急車の有料化って、どう思う?」というテーマをイメージしやすいように、我々弁護士で寸劇をさせていただきました。寸劇の役者は、八木先生、横山先生、芳賀先生、末廣先生、高橋先生、吉村先生、山室先生、そして私の8名です。みなさん本物の役者ではないかと見間違えるほど迫真の演技をされていたため、臨場感のある寸劇となり、笑いあり、涙ありの会場となりました。私も救急車無料制度維持を推奨する政治家役を担当したため、スティーブ・ジョブズ並のボディランゲージを駆使し、中学生・高校生相手に演説をさせていただきました。

(3) 議論の様子

まずは、あらかじめ立場を決めた6つのグループ(無料化3グループ、有料化3グループ)に中学生・高校生を配分し、それぞれの立場からメリット・デメリットを出し合っていただきました。適宜各グループに配属された弁護士が疑問をぶつけ、グループの論拠の弱い部分をどう克服できるのか、克服できずともそれを上回るメリットはあるのか、意見を出し合い、最後に代表者による発表を通して各グループの意見を共有します。私は、特定のグループに所属せず会場全体の様子を見守っていたのですが、どこのグループもレベルの高い議論をされており、大人である我々にとって勉強になった部分も多々ありました。

次に、他のグループの発表及び無料化・有料化を推奨するそれぞれの政治家役の演説を聞いた上で、各自が妥当だと思う立場で改めて議論をしていただきました。ここでも熱い議論が繰り広げられ、「無料化してしまっては、軽傷患者が気軽に救急車を呼んでしまい、重傷患者へすぐに救急車を派遣することができなくなるのではないか」「有料化してしまうと、お金のある人のみが救急車を呼べるようになってしまい、不公平である」といった意見が飛び交う中、「所得制限を設けて、一定の所得のある人のみが有料化という案もよいのでは?」という折衷案も飛び出しておりました。そして、議論の結果、各々のグループはどの立場を推奨するのか結論を出していただき、発表してもらいました。結果は有料化2グループ、無料化4グループと無料化が多数となりましたが、結果以上に、今回の議論を通して、子ども達はもちろんのこと、大人である私も相手を説得することの難しさ、論拠をしっかりと組み立てて説明することの大切さを改めて学べたことに、大きな収穫があったものと思われます。

3 最後に

JLS後に取ったアンケート結果によりますと、9割近くの中学生・高校生が「面白かった」と回答してくれたものの、それと同数程度の生徒が今回のテーマの難易度について「難しい」と回答しておりました。たしかに、子ども達にとっては難しいテーマであったかもしれません。しかし、「面白い」にも関わらず、「難しい」と感じたということは、それだけ子ども達が頭を使い、悩み、議論を尽くしたという何よりの証拠ではないでしょうか。福岡県弁護士会副会長柴藤先生が仰っていたように、今回のJLSの目的は、子ども達に議論の場を与え、自分の考えに一定の筋道を立てて話し合い、相手を説得することの難しさ・大切さを学んで欲しいという点にあります。この目的についてはアンケート結果に出てきた「面白かった」けど「難しかった」という両回答の多さから見るに、達成できたのではないかと思います。

福岡県弁護士会 〒810-0044 福岡市中央区六本松4丁目2番5号 TEL:092-741-6416

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