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福岡県弁護士会のロゴマークについて

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対外広報委員会
古 賀 克 重(47期)

当会のロゴマークが決定しましたので、ご報告します。
1 意義
対外広報委員会およびHP委員会は、当会をイメージとして認知してもらうとともに、他の広報手段と連携されることによって広報効果をより高める目的から、ロゴマークを提案しました。
ちなみにロゴマークは、日弁連、東京弁護士会、大阪弁護士会、福井弁護士会、東京3会の法律相談センターなどが導入しています。
なおHP委員会からは合わせて「キャラクター」の提案もなされましたが、具体的に利用できる場面が現時点では限られるため、今回は見送りました(キャラクターを採用する弁護士会も見受けられ、岡山弁護士会「たすっぴ」、兵庫県弁護士会「ヒマリオン」などがあります)。

2 採用の経過
ロゴのイメージとしては、対外広報委員会およびHP委員会において、「様々な分野で全国をひっぱってきた進取の気質」、「市民に開かれた地元の法律家」などの意見が出ました。
そのイメージも参考に、広告代理店から10種類以上の案を提案してもらい、常議員会でも議論した上、会員に対するアンケートを実施しました。
アンケートでは3つのロゴマークに票が集中しましたので、最終的に、常議員会で決を取り、今回のロゴマークを採用したものです。

3 採用されたロゴ「開かれた扉」
扉(ドア)をモチーフにした今回のロゴマークは、弁護士が気軽に相談できる存在であることを表現したもので、市民の皆さんに気軽に相談して頂きたいとの思いが込められています。
そしてシンプルで覚えやすくこちらの意図が伝わりやすく、弁護士会の新しいイメージを醸成することを狙っています。

4 利用方法
利用方法としては、以下のようなものが考えられます。
当会執行部の名刺、弁護士会の封筒、記念品、レターヘッド、プレスリリース、チラシ、パンフレット、月報、ウェブサイト、テレビCM、パブリシティ(無料広告)、電話帳、省庁訪問資料、他県弁護士会への配布資料などです。
なお、あくまで「弁護士会」としてのロゴマーク・ロゴタイプですので、会員が個人の名刺・封筒・サイトなどに利用することは想定していませんのでご注意ください。

5 他広報との連携
西日本新聞に毎週掲載している弁護士会コラム「ほう!な話」では早速ロゴマークが利用されているほか、6月4日に開催した「法曹養成制度について考える市民集会」翌日の新聞でも、ロゴマーク入りバックボードを背にするカラー写真付き記事が掲載されました。
今後も様々な広報活動とも連携させることによって、福岡県弁護士会の存在、そして地元の弁護士が市民に開かれた頼れる存在であることを一層訴えていきたいと思います。

法教育センター登録説明会ご報告

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会 員 渡 邊 典 子(61期)

1 はじめに
平成23年4月、福岡県弁護士会内に法教育センターが設立されました。法教育センターでは、講師のあっせん等を行うため申込窓口を設置し、担当する弁護士名簿から講師を配転するシステムが整えられました。多くの北九州部会の弁護士にも登録していただけるよう、4月27日、法教育センターの登録説明会が北九州弁護士会館にて開催されました。

2 説明会の内容
登録説明会には、19名が参加されました。
説明会では、北九州部会法教育委員会の末廣委員長が、そもそも「法教育」とはなんぞやというところから説明されました。
法務省が発足させた法教育研究会が、平成16年に提出した意見書では、法教育とは「法律専門家ではない一般の人々が、法や司法制度、これらの基礎となっている価値を理解し、法的なものの考え方を身につけるための教育を意味する」と定義づけられています。生徒・児童たちに、法律の条文や、法的な知識を学んでもらうものではないという点を強調されていました。
資料として配布された弁護士白書2010年版では、法教育は『個人が尊重される自由で公正な社会』の構成員としての市民を育てることが目標であり、そのような市民として必要な技能や知識とは、・事実を正確に認識し、問題を多面的に分析する能力、・自分の意見を明確に述べ、また他人の主張を公平に理解する能力、・多様な意見を調整して合意を形成し、また公平な第三者として判断を行ったりする能力があげられています。

3 感想
私は、先ほど・から・であげられた能力について学校で学んだ記憶がありません(教えられていたかもしれませんが、記億に残っていません。)
以前、何かの調査で、親が子どもに期待する性格について、日本では「思いやり」や「規則を守る」などが上位であるのに対し、アメリカでは、「責任感」や「正義感・公平性」が上位であることを目にしました。特に、日本では、「公平性」への意識が低い点が印象に残っていました(平成17年 子供と家族に関する比較調査概要 総務省青少年対策本部に同旨の内容が見つかりました。)
私の学生時代を振り返ると、きまりを守ることは教えられましたが、問題を解決するため事実を分析し、利害を調整してきまりを作ることや、既存のきまりを批判的に検証し、作り替えるなどの経験は乏しかったように思います。
しかし、よりよい社会を作り、その社会で主体的に生きていくには、言われたとおりにしているだけでは足りないはずです。・から・の能力を身に付けておくことは、別に法律専門家だけに必要なものではなく、社会の一員として生活していく中で、有意義なことではないかと思います。よく、法教育の目標を語るとき「生きる力を育てる」と表現されていますが、まさに、法教育の成果は生きていく糧になると思いました。
説明会では、実際の授業風景のDVDも視聴しましたが、生徒たちが積極的に楽しそうに議論している姿が印象的でした。
このような経験を重ねる中で、生きる力を身に付けてくれることを期待し、私も少しでも役に立てればと思いました。

4 おわりに
平成23年5月9日から、出前授業の無料キャンペーンの受付が始まりました。北九州エリアでもたくさんの要請があるようおおいに期待しています。私も、生徒たちと議論して、活力をいただいてきたいと思います。

精神保健当番弁護士活動報告

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会 員 坂 巻 道 生(62期)

1 はじめに
平成22年4月、精神保健相談の申込みを受け、出動しました。私にとっては、始めての精神保健当番の出動でした。バックアップについて下さったのは鬼塚恒先生です。始めてのことで要領の分からない私が何とか最後までたどり着けたのは、鬼塚先生の貴重なアドバイスがあってのことでした。鬼塚先生にはこの場を借りて御礼申し上げます。
2 自分の一生は自分で決める
相談者は65歳、統合失調症の診断を受け、医療保護入院として、既に12年ほどの入院期間が経過しており、今回は退院請求を希望しています。
始めて精神病院に足を踏み入れると、独特な匂いにも、閉鎖病棟の鍵を閉める音にも、反応してしまいます。相談者に会って驚いたのは、本人に病識は全くなかったことでした。「電波障害」を口にしながら、自分がなぜ入院しているのか、自分は病気ではない、と口にしています。
ただ、今回退院請求をする理由を尋ねた時、相談者はそれまで下に向けていた視線をわずかに上げ、静かに答えました。
「自分の人生は残り少なくなってきた。自分の一生は自分で決めたい」
相談者のこの言葉は、今回の活動の全体を通じて、私の脳裏から消えることはありませんでした。
3 何かあったとき、あなたに責任がとれるのですか?
面談を終え、相談者の保護者であるお兄さんに連絡を取りました。主に対応されたのはその奥さんです。奥さんは私に対してまくし立てました。「今まであの人のためにどれだけ苦労してきたか分かっているのですか」「娘の夫には身内に精神病患者がいることを隠している、出てきたらどうするのか」「大事な家族を守るためなら、あの人を殺して自分も自殺する」。現在の病状はとても落ち着いています、と申し向けても、言われたことは一言。「何かあったとき、あなたに責任がとれるのですか」。
保護者のご家族とは何度もお話しました。電話の奥で、夫婦間の諍いを聞き取る時もありました。私自身、この幸せな家族にとって、災いでしかないことを自覚しました。
保護者、主治医からは、退院請求を取りやめるよう言われましたが、請求は行うことにしました。請求の可否について見通しが立たなかったこともありますが、相談者の今後のためにも、退院を判断すべき人間は私でないと考えたからです。
保護者にも、その旨伝えました。私の「立場」は理解していただけたと思っています。
4 電波障害は止まりました
現地調査の期日、相談者は、「電波障害は止まりました」と言いました。私と話した際に、「電波障害」のことを絶えず口にしていただけに、私は驚きました。これが、本当に治まったのか、審判を有利に進めるために口にしたことなのか、私には今でも分かりません。
5 朝から寝込んでおります
退院請求の結果は「6か月を目処に他の入院形態(任意入院)への移行が適当である」。
早速、保護者の方に結果報告のために連絡をとりました。保護者の奥さんは「予想外…、ショックのあまり朝から寝込んでおります」と力なく話しました。
相談者に対し結果の説明のため、病院に行きました。病院に着くと、相談者はなにやら電話をしており、しばらく私は待合室で待っていました。電話が終わった後、電話の相手は誰ですかと尋ねました。相手は、保護者で、「今後は一切の縁を切る」と言われたそうです。私は、相談者に対して、かける言葉が見つかりませんでした。
6 その後
結果の通知から、6か月が経ち、私は担当のソーシャルワーカーの方に連絡を取り、相談者の現状を尋ねました。相談者は、現在、病院を退院し、グループホームにおり、保護者との関わりあいを少しでも持たせるため、保護者を説得しているとのことでした。

京都法教育推進プロジェクト

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会 員 諌 山 佳 恵(62期)

1 「京都ですごいことをやっているから見てきて」と声をかけて戴き、平成22年10月29日、「法教育シンポジウム~未来を拓く法教育in京都~」に行って参りましたので、ご報告いたします。
2 京都府内の小中高等学校では、本年6月から、このプロジェクトに基づく多様な法教育メニューが実施されています。この企画のすごいところは、「京都市教育委員会、京都府教育庁、京大法科大学院、同志社大法科大学院、立命館大法科大学院、法学部、京都地裁、京都地検、京都弁護士会、京都司法書士会、法テラス京都、京都地方法務局、京都刑務所、京都保護観察所」が参加するオール京都による取り組みである点です。
3 まず、京大の笠井教授から法教育のこれまでの動きや将来を踏まえた本プロジェクトの意義について、基調講演を頂きました。
4 立命館中学校1年生の録画授業放映
次に、その実践報告として、中学校1年生に対する法教育授業の模様が放映されましたが、生徒達の興味を引きつけた理想的な授業は、ドラマを見ているようでした。
この授業では、歴史ある京都市の街に高層マンションが建設される場面を想定し、建築の景況について、生徒達を反対派・賛成派・中立派に分けて討論した後、各派が納得できるルール作りを再討論しました。身近な問題に直面した生徒達は、これを自分の問題として考え、マンションの色や形、店舗の出店条件に至るまで、柔軟なアイデアを出していました。最後に、先生が京都市の景観保全条例を紹介したときには、市民生活におけるこの条例の役割を実感でき、また、このような授業を受けた経験がなかった私は、生き生きと議論する生徒達を羨ましく感じました。
5 立命館宇治高等学校2年生の公開授業
次に、高校2年生の刑事模擬裁判が公開され、生徒達が自作の台本に基づく証人尋問及び被告人質問を発表しました。
証人尋問では犯人の目撃状況というポイントを突いた尋問が行われ、被告人質問でも的確な尋問が行われ、見応えがありました。異議も積極的に飛び出し、手続きを充分に勉強して尋問を全て暗記するまで努力した生徒達の熱意を感じました。
6 パネルディスカッション
その後、法テラス理事の草野氏をコーディネーターとし、エッセイストの市田氏、京都弁護士会の伊藤氏、立命館宇治高校教諭の太田氏、京都市教育委員会の島本氏、嵯峨野高校の松宮氏、法務省大臣官房付丸山氏という様々な立場の方をパネリストに迎え、「法教育の普及における地域社会の役割」について議論が行われ、各機関とも、積極的に法教育に取り組む意思があること、法教育実践のために地域の専門家の力が不可欠であるという共通認識をもつことがわかりました。
7 これからの法教育
このプロジェクトによる局地的・一回的な取り組みの成果を、普遍的継続的な法教育実践にどうつなげるべきか、翌日京都弁護士会で開かれた意見交換会で話題になりました。
このプロジェクトの意義は、通常協力しない機関が一定の連携をとって法教育に取り組んだ点にあります。特に、法の専門家と教育現場の指導力が連携することによる相乗効果は大きく、弁護士会が、出前授業、裁判傍聴はもちろん、日々の業務活動を通じて、現場の教師とのパイプを拡大、強化していく必要性を感じました。
学校に弁護士が来て話をしてくれた経験は、小中高生にとって一生心に残るはずです。また、先日の裁判傍聴で引率を担当させて戴いた専門学校生達は、刑事裁判に興味津々であり、裁判の現場に足を運んでもらう契機が重要と感じました。
福岡でも、現場の教師のニーズを掘り起こし、全ての学校で当たり前に法教育が実践されるよう、これから学校現場にいって法教育に関わっていきたいと感じました。

月報2月号福岡県弁護士会会長日記

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会 長 市 丸 信 敏(35期)

◆ランナー1月12日、平成23年度の当会役員選挙の立候補受付が閉め切られ、会長・副会長や常議員の候補者が出そろいました。現執行部のメンバーにとっては、スムーズに後任者が決まってくれるのか、実は昨年の晩秋の頃からの大きな関心事となっており(およそ11ヶ月前、「後任者が決まらなければ留任だ」とか、「それぞれの後任者探しが副会長の最大の仕事だ」などと、冗談ともつかないような引き継ぎを受けた記憶が消えません!)、それだけに、年が明けて次年度の役員候補者が無事に出そろったこと、これによって、いよいよ自分たちの任期明けも間近に迫ってきたのだとの実感が湧いてきたことに、現執行部の各人それぞれが、ジワッと喜びを噛み締めておるところです。その次年度会長予定者からは、「地域司法計画の実現と、さらなる人権擁護活動を!」という立派な所信も配布されました。多くの会員がご存知のとおり高い理念・見識と若々しい行動力を兼ね備えておられる会員であるだけに、この困難な時代の船長を託するにまさに打って付けの方が名乗りをあげて頂いたと、心から敬意を表するとともに、大変頼もしく思っております。現執行部としても、残る力を振り絞って、今年度内に片づけるべきことに精力を傾注し、また、遺漏なき引継に向けての準備作業に努めたいと思います。ついでながら、福岡ほどの大規模会でありながら、そして、現に多士済々の会員が数多おられながら、昨今のように会執行部の担い手の確保に毎年難儀するというのは、いささか口惜しくも思われます。もっとも、年々歳々増大する一方の会務、他方で厳しさを増す業務環境といった事情を反映してか、役員のなり手の確保に困難を伴っているのは全国的に共通のようです。東京3会や大阪などのように、会内にいくつもの会派(派閥)を抱えているところにあってさえも、役員のなり手を確保するため、そして多大な犠牲に対するいくらかの補償として、正副会長に多少の給与を支払っている会がこのところさらに増加傾向にあるようです。当会でも今後の課題として検討してみる価値はありそうです。

◆歴史から学ぶ弁護士魂今年度の研修委員会の研修改革に向けての取り組みには誠にめざましいものがあります。大量入会者時代に対応すべく、昨年度の池永執行部が取り組んで布石し、今年度から実施された新人会員に対する主任指導弁護士制度や、とりわけ「新人ゼミ」(昨年5月から12月まで毎月実施(試行))は大変好評なようです。但し、講師を務めて頂いた会員の皆さんには、毎月の創意工夫に満ちた事前準備や、熱のこもった指導、そしてゼミ後の懇親会までを含めてのお世話を頂き、そのご負担は大変なものであったと察します。毎月各班から上がってくるゼミ実施報告書やレジュメなどを拝見していますと、この内容、この講師であれば、自分も是非話しを聞きたい、勉強させて貰いたいとの衝動に駆られることも度々でした。講師陣の会員、そして班の世話役の研修委員の皆さまに、この場を借りて厚く感謝申し上げます。この新人ゼミは、バージョンアップを図りながら次年度以降も継続することが期待されます。実は、新人研修に関するもう一つの大きな改革に、入会(登録)後の集合研修(今年は1/27・28予定)があります。新人を対象に、弁護士会のことや、弁護士倫理のこと等について丸2日間をかけて講義を行うもので、永年にわたって行われてきたものです。今年度は、新任の橋本千尋研修委員長の陣頭指揮のもと、文字通り研修委員会の総力を傾けてその刷新が図られました。委員の精魂を込めた共同執筆でできあがった「新規登録弁護士等研修 集合研修テキスト」は、わが国弁護士制度の歴史や当会の歴史を俯瞰し、弁護士自治の意義・根拠、司法改革の歴史などを、コンパクトながらもコラムを織り交ぜることによって具体的、そして如実に描き出したものです。このテキスト、そして、豪華講師陣によって、じっくりと、熱く、弁護士会、弁護士自治、司法改革の意義や歴史が伝えられる予定です。これによって新人の皆さんが、福岡県弁護士会の会員としての誇りと精神に触れ、これをそれぞれの心に刻み込む契機になることを願います。また、このテキストは、新人のみならず、既存の会員にとっても貴重で、面白い読み物です。全会員に配布を致したいと思いますので、司法改革に際して「陽は西から昇る」と形容された当会の奮闘の歴史を再確認するためのバイブルとして、是非、ご一読を乞う次第です。

◆専門性3題・ 専門研修21世紀のあるべき法化社会を実現するため、社会の潜在的な法的ニーズの掘り起こしを含めて「社会生活上の医師」としての弁護士の使命を果たすため、ひいて、弁護士として生き残っていくために、専門性を高めることは不可欠と思料します。研修はその中心手段として重要です。当会(研修委員会や各委員会)や日弁連、法務研究財団などが企画・開催する各種の実務研修・専門研修は、ご承知のとおり、近年めざましく充実してきておりますが、会館が古くて手狭なために、研修会に定員を設けるなど、会員の皆さまにご迷惑をお掛けしておりますことをお詫び致します。他面、もったいないことに、折角の貴重な研修が案外閑散としており残念なことも少なくありません。研修案内にアンテナを張って頂ければ幸いです。・ 専門認定・登録積年の課題ですが、日弁連や当会(業務委員会)では、専門認定・登録制度の研究・検討が続けられております。いろいろと困難な点、解決すべき課題は少なくないように見受けられますが、ニーズに的確に応えるべく、ユーザーからみた専門家集団としての在り方という見地に鑑みると、やはり断固たる決意でその方向を目指して前進してゆくべきものと思料します。ちなみに、1月18日には、この問題の第一人者である武士俣敦教授(福岡大学)を招いての勉強会が当会で開かれ、諸外国の歴史と実情を教えて頂くなどしました。専門性の認定・登録制度は、例えばイギリスでは、1983年の精神衛生法制定に伴って最初のスペシャリストパネルができたとの事実(但し、法律扶助制度と一体として)や、教授の見解では、世界的には、専門認定制度は経済的魅力に乏しい分野(換言すると、ごく一般の市民が直面するがあまり経済的ではない法的分野。刑事法、家族法、移民法など)で法律扶助と密接に関連して成立している傾向にあるとの指摘や、完全なものを作ろうとせず、できるところから始めようとの問題提起は、刑事被疑者(当番弁護士)、少年保護付添、精神保健、生活保護、高齢者・障害者、精神保健など、権利擁護活動の場面において全国をリードしてきた当会に身を置く私にとっては示唆的でした。わが国においても、法律扶助制度が飛躍的に充実されてゆくには、これら権利擁護活動の全国的拡充、それを下支えするための精通化(専門化)のための努力が一体として必要・有益なのだろうと感じた次第です。・ 相談の減少・無料化傾向目下、法テラスが問題提起した「初期相談」構想(無資力であるか否かを問わず、初回の法テラス相談を無料とする制度の創設)を巡って論議がされています。その多方面への影響は大きく、いち早く反対の意見を表明した会もあります。もっとも、その制度構想の内容自体が必ずしも煮詰まってはおらず、また多額の国家予算を要することであって、容易に実現することではなく、日弁連では冷静かつ慎重に対応をしておるところです。他方、全国の弁護士会の法律相談センターは、この数年来、相談件数の減少に悩み続けて、相談センター存続の危機に瀕した会もあります。当会でも昨年度よりも今年度と、さらに減少傾向が顕著になっております。その打開策として、一部では、相談センターの相談を全面的に無料化して沢山の相談を呼び込むようにしてはどうか、という議論もあるようです。その是非については色々な指摘があり得ることかと思いますが、私見では、相談センターが無料化に踏み切るということは(上記の初期相談も同様ですが)、個々の会員の相談業務に対する大きな圧力(相談料を貰いにくくなる、相談がセンターに流れる等)になる事象であり、もしそれを実施するとすれば、それを是とする会員のコンセンサスと客観情勢が備わることが前提となるのではないか(従って、無料化に踏み切るには相応の時間を要する)との視点も忘れてはならないのではないかと考えます。むしろ、個々の会員の業務における対策と同様に、相談センターとしても、専門性をより高め、顧客満足度をさらに高める工夫を重ねながら、潜在的なニーズを深く掘り起こし、また、新たな分野を切り開いて行く、そうしてリピーター(ないしファン=紹介者)を増やしていく等、地道な努力の積み重ねをもってこの難局を乗り切るよう進むべきではないのだろうかと愚考する次第です。

◆「必要とされるときの弁護士」昨年末、福岡市で一般社団法人・福岡成年後見センター「あさひ」が発足しました。代表理事は宇治野みさゑ会員(福岡部会)で、医師、精神保健福祉士などの多分野の専門家を糾合した組織として、認知症となった高齢者や知的障害者などを施設での相談会や成年後見事務で支援しようというものです。この団体で特筆すべきは、宇治野会員の、当会の精神保健相談活動を中核メンバーとして支えて来て頂いたという経歴や経験に由来すると思われますが、精神障害者の支援も明確に意識されている点にあります。弁護士会として、人権擁護ないし権利擁護活動や業務開拓の一環として別団体を組織して活動を広げることの有益性は感じても、現実問題としては弁護士会が団体を設立してまで活動することには困難を伴います。従って、上記のように、会員個人が率先して組織を作り、多方面で活躍されることは今後益々増えて来ることが期待されます。県内では、成年後見事務を担う団体として、つとに北九州市の一般社団法人北九州成年後見センター「みると」(代表理事・中野昌治会員(北九州部会)が広く活躍中ですし、また、消費者問題の分野では、NPO法人「消費者支援機構福岡」が存し、すでに当会の沢山の会員もメンバーとして関わっています。さらに、子どもの虐待問題については、当会の子どもの権利委員会のメンバーが参画してNPO法人を設立して「子どものシェルター」(虐待を受けた子どもの緊急避難施設)を設置・運営する取り組みの準備が目下進行中です。まさに、「社会生活上の医師」、「必要とされるときの弁護士」たらんとして、これら困難な分野に果敢に挑戦される会員・団体の活動に、ご理解とご支援・ご協力をお寄せ頂きたく、よろしくお願いします。

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