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最高裁は何故期限の利益喪失特約でみなし弁済の成立を否定したのか

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会員 本田 祐司

一、最高裁第二小法廷平成一八年一月一三日判決、同第一小法廷平成一八年一月一九日判決及び同第三小法廷平成一八年一月二四日判決は、「元本又は利息の支払を遅滞したときには、当然に期限の利益を失い、直ちに元利金を一時に支払う」という期限の利益喪失特約は、「債務者に対し、支払期日に約定の元本及び制限超過部分を含む約定利息を支払わない限り、期限の利益を喪失し、残元本全額及び経過利息を直ちに一括して支払う義務を負うことになるとの誤解を与え、制限超過部分の支払いを事実上強制する特約であるから、この特約の下で、債務者が、利息として、制限超過部分を支払った場合には、右のような誤解が生じなかったといえるような特段の事情のない限り、債務者が自己の自由な意思によって制限超過部分を支払ったものということはできない」と判示し、この特約に基づく支払いにみなし弁済(貸金業法四三条)の成立を否定した。

債務者に右のような誤解が生じなかった場合には、右最高裁判決によっても、なお、みなし弁済は成立することになるが、制限超過部分を支払わなくとも期限の利益を喪失しないことを正確に理解している債務者が、あえて制限超過部分を支払うことは通常はないから、今回の最高裁判決は、みなし弁済規定が適用される場面が事実上はないことを認めたに等しい判決である。

二、これまで、これと同一の争点が下級審の裁判所で争われたことは何度もあったが、高等裁判所を含め、これまでの下級審裁判所の判決は、ことごとく、右特約に基づく支払いに任意性を認め、みなし弁済の成立を認めるものであった(最高裁平成一六年二月二〇日判決の補足意見で滝井裁判官が、初めて、今回の最高裁判決と同一の判断を示したが、それまでは、この争点で債務者が勝訴するなどとは誰も考えていなかった)。

その意味で、今回の最高裁判決は解釈が固まっており、ほとんど異論のなかった多数の裁判所の判断を一八〇度変更したものであり、異例中の異例の判断である。

最高裁が、今回、このような思い切った判決を書いた理由は、次に述べるとおり、貸金業法のみなし弁済規定が、あまりにもできの悪い法律であるために解釈で救うことには限界があったためであると思われる。

三、貸金業法は、貸金業者に、契約書面と受取証書に高利の約定が有効であることを前提とした記載を求め(貸金業法一七条、一八条)、高利の約定が有効であることを前提とした業務を営むことを求めている。そして、この義務を遵守した貸金業者にみなし弁済の恩典を与えている。一方、貸金業法は、貸金業者に、利息制限法に従った業務を営むよう求めてはいない。したがって、現行の貸金業法の下では、高利の貸金業者が高利の約定が有効であることを前提とした業務を営むことはむしろ当然のことであり、期限の利益喪失の特約についてもしかりであった。

これまでの下級審の裁判所は、高利の約定が有効であることを前提とした業務を忠実に営んでいる貸金業者にみなし弁済の恩典を与え続けてきたのである。

しかしながら、高利の約定が有効であることを前提とした貸金業者の業務は、期限の利益喪失特約の適用場面で論理的に破綻をきたすことになる。「高利の約定それ自体は、みなし弁済の成立によって有効とみなされる」が、「高利を前提とする期限の利益喪失特約は、たとえみなし弁済が成立しても有効とはならない」ので、期限の利益喪失特約を文言通りに適用する業務は、貸金業法上も違法だからである。このことは、「債務者が約定の利息支払期日に制限額は上回るが、約定額には不足する利息しか支払えなかったケース」を想定してみれば明らかなことであって、貸金業者の高利の約定の有効を前提とする業務と期限の利益喪失特約とは、どうしても両立し得ない関係に立つのである。

四、制限超過利息の約定は制限超過部分につき無効であるが、これを任意に支払えば有効とみなされるというみなし弁済規定では、制限超過部分の不払いによる期限の利益の喪失を説明できないのである。

今回の最高裁判決は、弁護団が最高裁に対して、右の理論的説明をしつこく求め続けたことと、最高裁がこの点の矛盾にようやく気付いてくれたことの成果ではないかと思われる。

公設事務所IT日記

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島根県弁護士会会員 田上 尚志

お久しぶりです。元?HP委員会の田上です。去年の一月から島根県浜田市の浜田ひまわり基金法律事務所に派遣され、はや一年間が過ぎました。島根県は、東部の出雲地方(県土の三分の一、県民人口のおおよそ六〇パーセント)と西部の石見地方(県土の三分の二、県民人口のおおよそ四〇パーセント)に分かれています。浜田市は、石見地方の中心都市です。もっとも、出雲地方は、松江城や小泉八雲など、観光地として有名で、県庁所在地でもある松江市や、出雲大社などがあり、結構観光客などで賑わっています。これに対して、石見地方は……。あっ、津和野は島根県です。断じて山口県ではありません。まあ、とにかく、島根では出雲に比べて石見が地味な印象があることは否めません。これが弁護士の分布ということになると、登録三二名中二六名が出雲地方、これに対して石見はわずか五名です。決して計算を間違えたわけではなく、もう一人は隠岐に事務所を開いています。

こんな事情の島根県浜田市ですが、一年間暮らしてみて、弁護士過疎地では都市部以上にITの活用が必要というか不可欠なのではないかと思う今日この頃です。
 その理由として、第一に、石見地方は過払い無法地帯です。今まで弁護士がおらず、相談に行くところがなかったからか、過払金返還請求権の桁が違います。統計を取っているわけではないので多分に感覚的なものですが、少なくとも半数以上が純粋に過払い元金だけで訴額一四〇万円を超えていると思います。サラ金業者が開示した取引履歴にS五八…とか、S五九…という文字がしばしば躍ります。過払い金計算ソフトがなければとてもやってられません。

第二に、移動が多く、しかも時間がかかるので、待ち時間を有効に活用するには小型軽量のノートパソコンが必需品です。県庁所在地が松江なので、裁判で松江に行く機会も多いのですが、松江と浜田を結ぶ特急は一日に七本しかありません。博多までJRの特急が二〇分おきに発車し、三〇分おきに天神まで西鉄の特急が発車していた大牟田時代が夢のようです。二枚切符や四枚切符など、あるわけがありません。私は浜田市ではなく、妻の実家がある隣町の益田市に住んでいるのですが、最初の松江出張のとき、「松江までの四枚切符を下さい」と駅員さんに言ったら、「そんなものはありません」と言われてしまいました。「福岡にはあったのですが」と食い下がったら、「うちはJR西日本ですから、JR九州のことは知りません」と返答されました。もっともなことです。こんな状況なので、期日が終わっても列車(電化されていないのです)の時間まで一時間半くらいあるということもしばしばです。そんなときは、裁判所の弁護士待合室で起案に励む時もあります。また、なにしろ島根県には弁護士が少ないので、私のような登録後間もない者でも、日弁連の委員に選任されます。東京に行く際、出発時間の関係で寝台特急のサンライズ出雲を利用し、移動時間中に寝台車の個室の中で起案することもあります。最近、私のノートパソコンに重要な周辺機器が加わりました。USB接続の一二〇GBハードディスクです。判例秘書のデータが丸ごと入ります。USBから電源も供給するので、ACアダプタも不要です。これに判例秘書のデータを入れて持ち運べば最強のモバイル環境でしょう。

げっ、延長コードを持って来るのを忘れた!。

全国一斉先物取引被害・外国為替証拠金取引被害110番報告

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会員 柳 教 日

一 全国一斉先物取引被害・外国為替証拠金取引被害一一〇番について、ご報告させていただきます。

福岡部会及び筑後部会では、平成一八年一月二六日と二七日の両日に、北九州部会では、同月三〇日に、全国一斉先物取引被害・外国為替証拠金取引被害一一〇番の電話相談が実施されました。

二 全部会の相談件数は、合計五六件に上りますが、取引別の内訳は、先物取引被害相談が四四件、外国為替証拠金取引被害相談が二一件、その他が一六件となります。今回の相談件数は、例年よりも多かったとのことです。

なお、北九州部会では、ライブドア株主からの相談が、八件ありました。インターネットの一部HPで、相談に乗ってもらえるような記載があったためらしいとのことです。

三 相談者の年齢層は、確認された限りでは、三〇代が四件、四〇代が五件、五〇代が一一件、六〇代が一〇件、七〇代以上が七件となります。

当然のことながら、先物取引被害・外国為替証拠金取引被害に遭うには、ある程度の蓄えがあることが前提になりますから、相談者の年齢層が五〇代以上に偏ることになりますが、しかし、その蓄えたお金は、老後の生活の糧としての意味があることを考えると、被害は深刻といえます。

四 被害額についてみると、九九万円以下が四件、一〇〇万円以上四九九万円以下が一三件、五〇〇万円以上九九九万円以下が一〇件、一〇〇〇万円以上一九九九万円以下が七件、二〇〇〇万円以上二九九九万円以下が二件、三〇〇〇万円以上四九九九万円以下が五件、五〇〇〇万円以上九九九九万円以下が二件となり、高額の被害が目立ちました

取引別・年齢層別の被害額の特徴についてみると、外国為替証拠金取引では、九九九万円以下が主流を占めるのに対し、先物取引においては、被害額が数千万円単位に上るものが散見されました。

もっとも、外国為替証拠金取引被害では、会社が倒産しているため、損害の回復については微々たる金額で甘んずるしかない事例が多くありました。

先物取引被害では、前述のように被害額が数千万円単位に上るのが散見されましたが、加えて、このような高額の被害者が高齢者に偏っているという特徴があります。

五 以下、若干の感想を述べたいと思います。

まず、外国為替証拠金取引被害相談では、前述のように会社が倒産している事例の場合、相談者が期待するアドバイスができず、相談者のため息を聞きながら、不甲斐ない気持ちになりました。相談者の側から素朴に考えると、会社が倒産したとしても、彼らが出したお金は燃やさない限りどこかにあるはずですから、そのお金を返してほしいと思うのは当然だと思います。彼らを救う手立てが考え出されて然るべきなのでしょうが、しかし、如何せん知識、経験不足ゆえ、私には、良い考えが浮かびません。

次に、電話相談されたほとんどの方が、取引の仕組みを理解していないようにみえ、そもそも、なぜ、高度な専門的知識と経験が必要な先物取引や外国為替証拠金取引が一般人を相手に堂々と行われているのか、という疑問を深くしました。欧米諸国では、先物取引を行うのは、八割が専門業者なのに対し、日本では、一般人が八割を占めているとのことです。法制上の欠陥があるように思われるのですが。

最後に、短時間で相談者の話を聞き取り、事案を把握することの難しさを実感しました。ベテランの先生方が横について、適切なアドバイスをしてくださったのですが、それがなかった場合を想像すると、ぞっとした気分になりました。

先輩の諸先生方、ありがとうございました。

英国便りNo.13 「動物の権利」と「人間の権利」論争(2004年9月29日記)

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刑弁委員会の皆様

松井です。

暑かった日本も、天高き爽やかな秋が訪れていることと思います。

ロンドンは肌寒い日が続いています。(九月半ば、まだ夏の太陽が照りつけていたイタリア旅行から帰り着いたとき、あまりの気温の差に冬が来たのではないかと思ったくらいです。)

さて、今回は、イギリスでの動物の権利をめぐる最近の動きについてお伝えしたいと思います。

日本でも報道されたかも知れませんが、九月一五日に、ロンドンの国会議事堂の前で、狐狩り禁止法に反対するデモ隊と警官との大規模な衝突があり、怪我人が出る騒ぎとなりました。

法案は可決され、狐狩りは二〇〇六年七月をもって全面禁止となってしまいます。

英国の狐狩り(Fox Hunting)は、人が馬に乗って、猟犬を操りつつ、狐を追い詰めて捕らえるというもので、中世の貴族から受継がれてきた伝統的なスポーツの一つでした。

しかし、動物愛護団体は、「楽しみのために狐を追い詰めて犬に噛み殺させるのは残酷である」という理由で、長い間反対運動をしていましたが、動物愛護に理解のあるブレア労働党政権になって、一気に法案化されたようです。

確かに、国民の多数は狐狩り禁止に賛成しているのですが、私は、狐狩り擁護派の言い分にも理があると思います。

というのは、狐狩りを禁止しても、農産物に被害を及ぼす狐の数をコントロールする必要はあり、今後も、一定数の狐は銃や罠で狩られるそうです。同じ狩られるなら、狐狩りでもいいではないか、むしろ、無差別に殺される銃よりも、年を取った狐が捕われる狐狩りのほうが自然にかなっている、というのが擁護派の主張です。

それに加え、狐狩りによって収入を得ている地方の人々(一万五千人ともいわれる)の生活の問題もあります。

もっと根本的には、娯楽のために生き物を苦しめることが悪であるとすると、スペインの闘牛はもちろん、私たちが楽しんでいる魚釣りや、ひいては贅沢な肉食のために家畜を殺すことも悪ということになってしまいます(人間はベジタリアンでも健康に生きていける)。

実際、このような極論も冗談ではなくなってきています。

今年の七月に出された動物福祉法の改正案では、動物を虐待する行為への刑の上限が、四〇〇万円の罰金及び一年の懲役に引き上げられるだけではなく、「その苦痛が科学的に証明される限り」保護の対象が昆虫やナメクジやミミズなどの生物にも拡大されています。

「科学的証明」が可能かどうかは別として、釣り針に刺したミミズがもがき苦しんでいるのは痛いからではないでしょうか? こちらの新聞も、庭仕事でナメクジを捕まえてハサミで切ったり塩に入れることも、許されなくなるのか、と当惑しています。

動物愛護の最も行き過ぎた例と言えるのは、動物実験反対過激派と言われる人たちでしょう。

大学や製薬会社では、医療研究や新薬開発のために動物実験を行いますが、動物過激派の人たちは、そこで働くスタッフや、物品納入業者に対して、爆弾入り手紙を送る、車をパンクさせる、注文していないものを送りつける、近所に「He is a killer」などと書いた紙をばら撒くなどの、ヤミ金業者顔負けの嫌がらせを繰り返しています。

昨年は、そういう脅迫事件が二五九件あったそうです。

その結果、ケンブリッジ大学が研究所建設を中止したり、医療研究機関がアメリカに引っ越したりという弊害(過激派に言わせれば成果)が出ています。オックスフォード大学もこの七月から標的となってます。

研究所のほうも、むやみに動物実験をしているわけではなく、できるだけ代替手段を使うようにしているのですが(この三〇年で実験に使われる動物の数は半減)、過激派の活動はおさまらないようです。

もちろん脅迫事件は犯罪として取り締まられるべきですが、ブレア政権は、「動物実験をなくすことを目指す」と公約したことがある手前、動きが鈍いようです。

私の個人的な意見としては、ある生物の数を減らしたり、種を絶やすような人間の行為は、生活に必要であっても制限・禁止されるべきだけれども、その心配がない場合には(例えば、家畜や、増えている野生生物)、人間が生活していくうえで、食用や研究に使用することはもちろん、娯楽目的でも、それに文化的価値が認められる限り、生物を殺すことが許されるように思うのですが、皆さんはどう思われますか?

英国便りNo.12 イギリスの入管・難民事件への法律援助(2004年8月31日記)

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会員 松井 仁

刑弁委員会の皆様

最近福岡に大型台風がやって来たそうですが、皆様ご無事でしたでしょうか?

こちらロンドンでは、季節も秋めいてきて、気温も夜は一〇度以下に下がっています。

BBCでオリンピックを観戦しましたが、イギリス選手ばかりで、なかなか日本人選手が写らないのでイライラしました(まあ、当たり前といえば当たり前)。また、野球やシンクロナイズドスイミングは、全く放送がなく、変わりに乗馬やボートは延々とやっていました。

さて、今回は、イギリスの入管・難民事件へのリーガルサポートの現状についてご報告します(これは、実は私が一年間通った大学院準備コースで書いた論文のテーマなのです)。

イギリスには、観光客やビジネス以外に、毎年多くの外国人が、留学、労働、難民申請などを目的に入国してきます。その数は日本の比ではなく、例えば、難民申請を例にとると、日本の二〇〇二年の申請者は二五〇名(うち在留を許可された者五四名)なのに対して、イギリスでは約八万四〇〇〇人(同約二万八〇〇〇人)と、約四〇〇倍もの差があります。

それゆえ、入管・難民事件に関するリーガルシステムも、非常に発達しています。

まず、入管・難民手続の中で外国人をサポートする人材として、弁護士以外に、「Immigration Advisor」と呼ばれる職業の人たちがいます。Advisor は、非営利のNGOのメンバーであることもありますが、営利目的で事務所をかまえている人々も多数あり、入管・難民事件は、「一大産業」と言われています。

イギリスでは、原則として非弁活動を禁止する法律がないので、もともと誰でも自由に Advisor の仕事をできたのですが、一〇年ほど前から、悪質な営利 Advisor の存在(たとえば、いいかげんな仕事をして法外な報酬を請求する、など)が問題となりました。

そこで、政府は、二〇〇一年から、「Office of Immigration Service Commissioner」という独立官庁をつくって、Advisor は、その官庁の審査を受けて許可を得なければ入管・難民事件を手がけてはならない、というしくみにしました。

この制度は、Advisor の質の維持に資するとして、法曹界ではおおむね歓迎されています。

ところで、弁護士については、弁護士会の監督下にあるため、現在はこの官庁の管轄外とされています。しかし、最近、入管・難民事件にたずさわる弁護士に対する苦情が増えており、今後は Advisor と同じように官庁の監督下におくべきではないかという意見も出ています。弁護士会は、危機感を募らせ、会員のレベルアップに必死です。

次に、イギリスには、入管・難民事件専門の裁判所(審判所)があります(Immigration Appellate Authority と呼ばれます)。

その裁判所では、入管当局の決定に不服がある外国人の申立が、Adjudicator と呼ばれる裁判官によって再審査され、さらに、その裁決に不服があれば、Immigration Appeal Tribunal という裁判体で再々審査されます。

私も一度見学に行きましたが、審判所の建物は、様々な人種の当事者の人たちと、Advisor や弁護士でごったがえしていました。

二〇〇〇年には、約二〇〇〇〇件の不服申し立てがなされ、うち約一七%で、入管当局の結論が覆っており、重要な役割を果たしています。

ところが、政府は最近、不服申し立て事件を処理する経費を節減するため、外国人の不服申し立ての権利を制限する法律を次々と成立させており、法曹界からは強い批判が出ています。

最後に、法律扶助(リーガルエイド)についても触れておきましょう。

日本でもよく紹介されるイギリスの充実した法律扶助制度には、ずいぶん以前から、入管・難民関係のカテゴリーも設けられており、この法律扶助によって、弁護士やNGOの Advisor による活発な援助が支えられてきました。

ところが、最近、政府は、法律扶助支出の増大を押さえるために、支出要件の引き締めを試みており、入管・難民関係でも、例えば、「入管当局の手続段階で五時間分まで、不服申し立て段階で四時間分までしか扶助しない」というような通達を出し、NGOや法曹界からの大反対を招きました(因みに、刑事の法律扶助も大幅に制限されたようです)。

以上のように、イギリスの制度にも色々な問題はあるのですが、日本では Immigration Advisor の制度も、入管・難民事件専門裁判所の制度もなく、外国人に対する法律扶助の支給要件も厳しいことを考えると、やはり我々が参考にすべき点が多々あると思います。

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