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ADRの更なる活用を 〜久留米法律相談センター20周年によせて

カテゴリー:月報記事

元・筑後部会紛争解決センター運営委員会委員長
富 永 孝太朗(54期)

これは、先日行われた久留米法律相談センター20周年記念パーティーにて配布した冊子に掲載されたADRに関する文章を修正した上で再掲したものです。

1 はじめに

福岡県弁護士会が行うADR手続は、代理人弁護士による申立て以外は、弁護士による法律相談を前置すること(弁護士による紹介状の作成)を要件としており、その意味では、法律相談センターこそがADRの窓口的機能を果たしていると言っても過言ではありません。

本稿は、筆者の経験に基づいた福岡県弁護士会久留米紛争解決センターにおける解決事例を紹介するとともに裁判所における民事訴訟あるいは民事調停とは異なる弁護士会ADRの存在意義を踏まえ、法律相談センターの更なる発展と共に弁護士会ADRの理解と活用をお願いすることを目的とするものです。

2 久留米紛争解決センターにおける解決事例

ADR手続における弁護士と紛争解決を望む当事者との関わりは、(1)本人申立を前提に紹介状を作成する。(2)申立代理人としてADRを申し立てる。(3)相手方代理人として応諾し、手続に関わる。(4)仲裁人弁護士として手続を主宰する。といったものに概ね分類されます(ただし(4)の類型は、仲裁人弁護士候補者となっている弁護士に限ります)。

(1)の類型については、紛争の金額が低廉で弁護士に依頼するのは費用対効果の点から適当ではない反面、相手方も何らかの形で解決を希望することが窺われる紛争で解決した例が見られました。筆者が紹介状を作成した事例では、婚約不履行や共同事業の不履行などの紛争において、数10万円の解決金の支払で解決したものがありました。

(2)の類型については、筆者が関与した事例として、マンション建物新築工事において既に入居が始まった後に配管に瑕疵が判明し、その瑕疵修補及び損害賠償請求を求めてADRを申し立てたという事例がありました。この手続では専門委員として1級建築士の関与の下、補修箇所を特定し、多数回の期日を設けて、入居者への説明や補修方法などを慎重に協議して進め、概ね納得の行く瑕疵修補を完了させることが出来ました。他には、ある食品工場の機械に挟まれ指が損傷するという労災事故の被害者の代理人として損害賠償を求めてADRを申し立てた事例もありました。この事例の主たる争点は、事故態様に伴う過失相殺割合でしたが、速やかに相手方代理人とともに事故現場に赴き、状況を確認することができたことにより、短期間で解決を見ることが出来ました。

(3)の類型については、内縁の妻と戸籍上の妻との遺産に関する紛争に関して相手方代理人として関与し、解決を見ました。相手方代理人として関与する場合には、相手方本人に十分にADR手続の内容、特に解決した際の成立手数料の負担を要することを説明し、納得を得る必要があります。

(4)の類型としては、いわゆる上司によるパワハラ・セクハラによる損害賠償を求め申し立てられ、相手方が一定の解決金を支払うことで解決した事例があります。被害を受けたとする申立人の話を十分な時間を取って耳を傾け、共感をすることにより、当初は当事者双方の解決金額に大きな開きがあったのですが、解決を見ることができました。ADR手続では、パワハラやセクハラといった当事者双方共に公開を望まない紛争の解決事例も多く見られます。

3 ADRの存在意義

裁判所における民事訴訟は、全ての紛争を解決に導くことの出来る万能の手続ではありません。訴訟手続では、1回の期日に十分議論が出来る時間を取れず、その厳格な手続から、証拠が限定され、その紛争の実態を正確に把握して貰うまでに多くの時間や費用を要することも少なくありません。高度に専門化された紛争であれば、より一層時間と費用が必要となるでしょう。また、公開したくない紛争には、民事訴訟は馴染みません。

また、民事調停もADRの一類型であり、裁判所における簡便な紛争解決手続という意義は十分に認められます。もっとも特に複雑な紛争に関しては、紛争解決の専門家である弁護士の方が速やかに紛争の実態把握をでき、期日の設定や解決内容の柔軟性からすれば、紛争の性質や規模、当事者の関係性によっては、民事調停よりもADR手続が適している紛争が少なからずあると考えられます。

さらに、この点はあくまで私見ですが、民事訴訟は、一度提起してしまえば、事実上、その結論が好むと好まざるに関わらず判決という形で決着を見てしまう不可逆的な手続であるのに対し、ADR手続は当事者が合意しなければ、結論を見なくても良いという中間的な手続であるところも長所ではないかと考えます。当事者間の交渉が捗らないときに直ちに訴訟提起をするのでは無く、仲裁人という中立的第三者を挟んだ上での交渉という選択もありますし、訴訟となった場合でも争点整理機能も果たすことになります。

2で概観した解決事例のような民事訴訟及び民事調停手続による解決に適していない紛争、さらにはADR手続の方が迅速かつ円満な解決が期待される紛争が存在するというのがADRの存在意義であると思います。

4 最後に

ADR手続は、民事訴訟や民事調停手続とは存在意義を異にする有益な紛争解決手続であるということが本稿をその窓口的機能を果たす法律相談センターを支える多くの皆様(特に法律相談を行う弁護士)に認識して頂ければ幸いです。

更なるADRの活用を切に望みます。

◆憲法リレーエッセイ◆ 生存権裁判に参加して考えたこと

カテゴリー:憲法リレーエッセイ

会 員 小 谷 百合香(64期)

みんなで知恵を絞って!

弁護団会議では毎回、白熱した(?)議論が展開されています。裁判の目的は老齢加算の復活ですが、そのためには、老齢加算がなくなって、高齢者がどれほど苦しく、貧しいみじめな暮らしをしているか、裁判官に分かってもらわなければなりません。そのために、理論面、事実面双方から裁判官にいかに伝えるか、7人で知恵を絞っています(私は実働というにはまだまだですが…)。

たとえば、生活保護受給の高齢者は、一度入った風呂のお湯を捨てずに溜めておいて、何度も沸かし直して入るのですが、その経済的メリット(果たして本当に節約になっているのか)と、衛生面でのデメリット(雑菌がどのくらい潜んでいるか)を検証しようという案が出たことがありました。結局、この案は、技術的な困難から実行されませんでしたが、既存のもの(経験や知識)にとらわれずに、自由に発想していいんだと実感します。

周囲に知られたくないこと

さて、この裁判の関係で、私は、とある高齢者の自宅に行きました。

この家族は、高齢の母と子ども二人の三人で暮らしていました。生活費は、母親の年金や生活保護費、それに子どもの収入や障害者年金です。

当初、母親は、少し耳が遠いながらも、私たちの質問に答えてくれていました。ところが、老齢加算がなくなったことで、変わったことは、との質問に、近くにいた子どもが「母さん、服や下着を買わんようになった。死んだ父さんのパンツや靴下を履いてるじゃないか」と言ってから、母親が顔を上げることができなくなり、顔色がみるみるうちに赤く変わり、話した子どもの膝をピシッと叩いたあと、まったくしゃべらなくなりました。

母親にとって、そこまで辛抱して生活していることは、周囲の人に知られたくないことだったのです。

おばあちゃんが、死んだおじいちゃんのパンツや靴下を履いている…このことは、話を聞いた私にとっても大きなショックでした。下着や靴下って、家族で使い回すようなものじゃないでしょ。これって、歯ブラシ使い回しているようなものでしょ。これで、高齢者が尊厳持って生きていると言えるのか。この高齢の母親の話は、しっかり聞き取って裁判官に伝えれば、きっと伝わる。そう実感した瞬間でもありました。

私が考えたこと

生活保護バッシングや保護費削減が声高に叫ばれる中、裁判自体は非常に厳しい状況です。

しかし、今回の訪問は、本当に保護を必要とする人が、十分な保護を受けられていないことを再度実感させられた、いい機会でした。

必要としている人に、必要としている保護を受給させる。これが、憲法の求める「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」ではないのでしょうか。今回、私が話を聞いた母親の生活は、それが保障されていると言えるものでしょうか。

やはり、現場で必要としている人の声を聞かなければ現場の声は吸い上げられません。私たちはその吸い上げを実現できる立場として、これからも現場の生の声を聞き続け、それを裁判官にきちんと伝え続けていかなければならないと感じています。

給費制市民集会についてのご報告

カテゴリー:月報記事

会 員 菰 田 泰 隆(65期)

1 去る平成25年1月19日土曜日、福岡県弁護士会館にて司法修習生の給費制に関する市民集会が開催されましたので、その反響の大きさについて会員の皆様にご報告させていただきます。

まず当日は、千綿俊一郎先生から給費制に関する法改正の経過や現在の議論状況について基調報告がなされた後、初めて貸与制での司法修習を経験した新65期会員である私菰田泰隆、高松賢介先生、國府朋江先生から貸与制における司法修習の実情等を報告させていただきました。加えて、弁護士を目指したきっかけや給費制に対する想いについて、馬奈木昭雄先生、椛島敏雅先生、下村訓弘先生、九州大学法学部生の安井あんなさんによる、リレートーク形式での貴重な体験談などをお話しいただきました。そして最後に、羽田野節夫先生、平田広志先生、高松賢介先生によるパネルディスカッションが行われ、給費制の意義やあるべき制度論、市民に理解して欲しい点等が活発に議論されました。会場には、一般の方々だけでなく、国会議員や議員秘書の方々、テレビ局関係者や新聞記者の方々、他県のビギナーズネット会員の方々等、参加者は100名を超え、給費制に対する関心の高さに驚かされるばかりでした。

2 中でも私が最も印象に残ったのは、以下の2点です。

第1に、今回の市民集会全体を通じて強調されてきた統一司法修習の重要性です。国民の権利保護を司る司法が適正な裁判を行うためには、その裁判過程や判決に至る論理を十分に理解した法曹三者による適切な訴訟追行が不可欠です。それはつまり、法曹三者同士がいかなる思考過程を経て訴訟を追行するのか、互いにいかなる点に重点を置いた訴訟活動を行っているのかを知り、互いの行動原理を共通理解としなければ成り立たないものです。そこで、長年続く統一司法修習は、司法試験合格者全員に対して法曹三者すべての行動原理を学ばせるために、統一した実務修習制度を用意しているのであり、これが現在の司法制度の根幹を成していると言っても過言ではないでしょう。そんな中で給費制廃止の議論から発展して、貸与制での司法修習が困難であるならば、統一司法修習自体を廃止し、法曹三者ごとで個別の研修を行えばよいとの議論が発生していることも事実です。今回の市民集会では、全体を通じて統一司法修習の重要性が説かれ、給費制廃止の議論が統一司法修習という司法制度の根幹にかかわる問題であることが浮き彫りになったという意味で、他に類を見ない市民集会を開催することができたと実感しております。

第2に、市民集会終了後、マスコミ各社が新66期である現司法修習生から詳細なインタビューをとっていた事実です。後にマスコミの方々から聞いたお話では、記者の方々も給費制廃止について関心はあったものの、司法修習の実情や統一司法修習の意義など、司法修習自体についての理解はあまりなく、「私たちが記者として関与していてもこの程度の知識・理解しかないのだから、市民のみなさんは司法修習というものを理解するどころか、存在すら知らない方が多数を占める。そんな状況下で給費制廃止の議論を進めても、適切な結論が得られるわけもなく、その前提知識を伝えることが私たちの役目なのだから、生の声を伝えて行きたい。」とおっしゃっていました。私たち法曹の情報発信能力には限界があり、マスコミなどの力を借りなくては私たちの意見を世論に反映させていくことは不可能です。そんな中で、法曹関係者だけでなく、マスコミの方々が市民集会に参加した結果として危機感を抱いてくださったことは、給費制復活に向けた極めて大きな前進であると感じました。

3 以上のとおり、部分的な紹介にとどまりましたが、今回の市民集会は今後の給費制復活議論を進めていくにあたって、極めて大きな影響を与えることができたと実感しております。今後も、司法修習の重要性や実情を市民のみなさまに広く知っていただく機会を設け続け、少しずつでも給費制に対する理解を得ていく地道な活動を続けて行く必要があると思われます。

会員の皆様方におかれましては、これから後に続く後輩たちが司法修習に専念できる環境を整えるため、これからも給費制復活に向けた活動にお力添えをお願い致します。

◆憲法リレーエッセイ◆ 憲法とわたし

カテゴリー:憲法リレーエッセイ

会 員 平 山 博 久(57期)

1 はじめに

この度、憲法リレーエッセイの依頼をいただきました。

憲法・・・思い返せば、司法試験を受験していた当時、一番苦手な科目でした。

理由は規定の仕方が一番曖昧だと感じたからです。

憲法を実体化する主体は国民であり、国民が現行憲法内容を決めたことを学んでも、憲法の曖昧さは納得できないものでした。

他には憲法に関する最高裁判例を見ても読み進めて、ドキドキ・ワクワクするものが少ない(と当時は思っていた)ことも一つの理由だと思います。

2 憲法と向き合った事件

さて、そんな私が、弁護士登録をして、最初に憲法と向き合った事件が中国残留孤児国家賠償請求事件でした。

現行憲法制定前の事実から現在に至る一連の事実につき、現行憲法下での違憲・違法を問う、この部分だけ取り上げても同事件がいかに壮大且つ困難な事件であるかを理解いただけるのではないでしょうか。

さて、私は、その弁護団活動を通じて、実務的な憲法の重要性を学びました。

事実を調べ、事実を評価し、法律を調べ、法律を適用し、そして憲法に戻って、事実の位置づけや評価はそれで良いのか再評価を行う。これらをどのような順序で考えていたかは、はっきりとは覚えておりません。

ただ、とにかく憲法を頂点とする法規範を意識して、事実を見て、評価し、争点に位置づけることを何回も繰り返した弁護団でした。

その弁護団活動を通じて、憲法に始まり、憲法に終わる、あらゆる事件で憲法を意識しようと思ったわけですが・・・・残留孤児の「訴訟」が終わり、今年は登録して10年目に入る年になり、憲法的な物の考え方ができなくなっていたことに気付かされます。

今回の憲法リレーエッセイの話をいただいた時に、「憲法・・・・しばらくしっかり向き合って考えてないなぁ・・」と思ったのです。

確認するまでもなく憲法は「最高規範」です。

その最高規範を意識することを怠り、事案に直接的または間接的に適用がある下位規範を頼りに業務を行っていたことに気付かされ、とても恥ずかしく思いました。

そこで、大学時代に使っていた基本書を取り出して読んでみましたが、改めて憲法とは面白い規範だと思いました。

現在、北九州において写真撮影に関する接見国賠訴訟の弁護団活動をしていますが、同事件はまさに憲法的視点が要求される事件といえます。

これから腰を据えて憲法と向き合い、勝訴に向けて努力していこうと思います。

3 ところで、この度、憲法リレーエッセイを書くことになりましたが、きっかけは私の事務所の事務所だよりでした。

私は、本年1月の黒崎合同法律事務所の事務所だよりにて、暇があれば、自然風景等の写真を撮るために、散歩等をしているという話を書きました。

すると、私の写真を見た弁護士から、(自然や写真が)「どう憲法と結びつくかわかりませんが、これを憲法と結び付け」てエッセイを書いてくれとの依頼が来たのです。

本来、自然と憲法について書くのであれば、原発や産廃処分場関連のエッセイを書くのがすっきりするとは思います。

ただ、今回のご依頼を受け、最高位の視点である憲法的視点を日常業務において持っていないことに気付かされたことがあまりにショックであったため、自戒の意味を込めて、憲法とわたしという内容で書きました。

今後は、日常業務においても、最高法規たる憲法的視点を常に意識した上で、業務に取り組んでいこうと思います。

災害対策委員会報告 「被災地視察のご報告」

カテゴリー:月報記事

東日本大震災復興支援対策本部 青 木 歳 男(60期)

平成24年11月25日から28日にかけて、福島県二本松市、浪江町、南相馬市、宮城県南三陸町、気仙沼市の各所を視察いたしましたので、ご報告いたします。なお、本報告は、視察3日目、4日目についてのものです。前半部分の報告は、前号の通りです。

27日午前8時30分に、宮城県南三陸町の宿泊施設を発つと、午前中は同町の被災状況、ボランティア活動の実態、復興の現在を視察しました。

この日は、南三陸町の中心である志津川地区の視察です。南三陸町は、宮城県北東部に位置するリアス式海岸の町で、人口約1万5000人、中心部は15m超の津波で壊滅状態、1000名を超える犠牲者が出ています。

志津川地区は、市街地の瓦礫はほとんど片付けられ、市街地はほぼ更地の状態である一方で、海沿いの一カ所に集積された瓦礫は山のように積まれています。町役場職員が最後まで防災無線を発信し続けたことで有名となった南三陸町役場防災対策庁舎跡場所ですが、引っかかった瓦礫の撤去は済んだものの、鉄骨部分だけが残っていました。未だ町の多くの地区が立ち入り禁止区域に指定され、建物を建てることはできないため、街の復興は進んでいないのが現状でした。

他方、このような状況を少しでも改善しようと、志津川地区に存した店舗の有志が仮設の商店街「南三陸さんさん商店街」を建てています。

また、Yes工房(南三陸復興たこの会)では、職を失った町民を中心に雇用の創出を図り、地域活動を維持しながら、被災した住民の自立を支えることを目的として、南三陸のゆるキャラ「オクトパス君」製品の製造をしていました。オクトパス君は「置くとパス」とのダジャレとかわいい風体が受けて、全国(主に受験生)から注文が殺到していました。同工房にて木彫りのストラップを彫る技術を提供しているのは民間会社で、代表者が震災後に一人南三陸町を訪れて協力を申し出たことが、同工房の成功を支えた要因の一つです。複数のNPO団体や支援企業の動きが洗練され、進化していることは特筆すべき今回の視察の発見です。

その後、気仙沼市を訪れ、復興支援Cafe「NONOKA」と宿泊先であるホテル望洋でそれぞれお話を伺いました。気仙沼市は、人口約6万8000人の三陸海岸沿いにおける一大漁業基地でしたが、震災による20m超の津波、大火災で千数百人の犠牲者を出しています。

気仙沼市でも、復興のあり方とスピードが問題となっていました。復興計画を進める上での住民の意見集約については、自治体と住民との意見の相違、地区ごとの意見の対立、世代間の考えの相違など克服すべき課題は山積しています。意見を集約できずに時間ばかりが経過し、人が(特に働き盛りの)都会へと流出している現状に皆強い危機感を抱いていました。

翌28日午前は、気仙沼市内の鹿折地区の仮設商店街「複幸マルシェ」を訪ねました。周囲は以前基礎コンクリートだけが残る荒地のままであり、近くには陸に打ち上げられた大型船「第18京徳丸」が見えます。復興は進んでいないという印象を受けたまま、気仙沼市を後にし、帰福しました。

震災から1年9ヶ月が経過し、震災に対する国民的な注目が減退する中、逆に復興問題の本質である地域社会の再生は正念場を迎えています。地域間での意見の調整が進まず、行政もリーダーシップを発揮するのが難しい中、地域の空洞化が進んでいるという現状は、視察をしてみなければわからない課題を明確にしてくれました。対策本部において、今回の大震災に対する復興支援が、長期的視野に立った息の長い活動でなければならないことは宮下弁護士の前号の報告の通りです。

弁護士会として、今後は大規模災害時の対策・対応だけではなく、災害後の各種支援団体の設立・運営に対する支援(NPO法人、一般社団法人、ファンドの設立・運営)、復興の際の「街作り」にいかに住民の意思を最大限かつ迅速に反映させるスキームを作るかといったことが新たな課題です。

福岡県弁護士会 〒810-0044 福岡市中央区六本松4丁目2番5号 TEL:092-741-6416

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