福岡県弁護士会 裁判員制度blog

2011年5月 9日

高齢者犯罪の増加


『季刊・刑事弁護』66号の浜井浩一・龍谷大学教授(犯罪学)の「警察統計から見た日本の治安」を紹介します。注目すべき指摘がなされています(な)

「日本では、高齢層の検挙人員、起訴人員、受刑者人員が、最近、顕著に増加している。20年間で総人口の高齢化は2倍であるが、起訴人員は8倍、受刑者も6倍以上に増加している。刑務所の高齢化は一般社会の3倍以上のスピードで進んでいる。
1980年代には、万引きは少年犯罪であり、検挙人員は実に50%以上を占め、60歳以上の高齢者は10%に満たなかった。しかし、2006年には高齢者の割合は30%を超え、ついに少年の割合を超えた。今や、万引きは高齢者の犯罪といっても過言ではない。
最近、高齢者の孤独死が問題となっている。犯罪に巻き込まれることを恐れ、電話にも出ない、玄関に人が来ても対応しない高齢者が増えている。警戒心や犯罪不安の高まりから、自宅に引きこもってしまい、それが社会孤立を引き起こしてはいないか、いま一度考えてみる必要がある。」

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