福岡県弁護士会 裁判員制度blog

2007年4月 2日

法廷用語の日常語化(その5)

 合理的疑い
 証拠にもとづいて、皆さんの常識に照らして有罪であることに少しでも疑問があったら、有罪にはできません。そのような疑問が残っていたら、無罪にしなければなりません。
 裁判員に対しては、合理的疑いという言葉は使わないのが望ましいとされています。
 実は、合理的疑いという用語には定説がありません。したがって、言い換えや説明が難しいのです。そこで、このように説明したらどうかと提案されています。しかも、用語そのものが分かりにくい。
1.合理的な疑いが残る場合には、有罪にすることはできない。
2.合理的な疑いが残る場合は、無罪にしなければならない。
3.有罪にするには、合理的な疑いを超える証明が必要である。
 ここでは、次のコメントが大切だとされています。
 一般の感覚では、疑いとは犯人らしいという疑いであり、これはマイナスのイメージをもつ言葉である。しかし、合理的な疑いがある場合には無罪というのは、プラス・イメージの結論とすべきだというのだから、一般の語感とのねじれが生じてくる。
 合理的を常識的という表現におきかえる。次に、それは一般人の常識か、個々人の常識なのか。万人に共通する常識というものも、実は存在しない。
 したがって、裁判員に対しては、一般の人はどう考えると思いますか、と問いかけるのではなく、あなたはどう考えますか、と個々人の基準による意見を求めるべき。
 ふむふむ、うーん、なかなか難しいものですよね、これって・・・。   (な)

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